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更新日:2024.09.12
登録日:2024.06.24
住宅ローンは離婚したら払うのは誰?ケース別の支払い方法を詳しく紹介
「離婚したら住宅ローンは誰が払う?」
「離婚して妻が家に住む場合、住宅ローンの支払いはどうなる?」
離婚時に住宅ローンの返済が残っているとき、上記のように悩む人も多いのではないでしょうか。
離婚後の住宅ローンの返済方法は、ローンの名義人や、対象の不動産に誰が住むかなどによって異なることを覚えておきましょう。本記事では、離婚後の住宅ローンは誰が払うのか、わかりやすく解説します。
住宅ローンの財産分与の方法や、夫名義の住宅ローンが残った家に妻が住む場合の注意点なども紹介するので、ぜひ参考にして手続きをスムーズに進めましょう。
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離婚時に住宅ローンが残っていたら確認すること
離婚時に住宅ローンが残っていたら確認すること
離婚する際に住宅ローンの返済が残っている場合は、以下の3点を確認しましょう。
・不動産の名義人は誰か
・住宅ローンの残額
・住宅ローンの契約内容
それぞれの内容について、詳しく解説します。
不動産の名義人は誰か
不動産の名義人は、法務局で登記謄本を取得して確認しましょう。登記謄本では不動産の名義人だけでなく、不動産に設定されている担保権などもわかります。
離婚後は、これまで住んでいた家や土地は売却するか、夫・妻のどちらかが所有することになるのが一般的です。不動産と住宅ローンの名義人が異なる場合もあるため、これから必要になる手続きを把握するためにも状況を明確にしておきましょう。
住宅ローンの残額
住宅ローンの残額を確認できるものは、主に以下の3つです。
・借入先の金融機関のホームページ
・借入先の金融機関から毎年送郵送されてくる残高証明書
・契約時に金融機関から発行される返済予定表
なお、不動産を売却する際にまだ住宅ローンの返済が残っているときは、オーバーローン・アンダーローンのいずれかの状態になります。それぞれの言葉の意味は、以下のとおりです。
オーバーローン
オーバーローンとは、不動産の評価額より、住宅ローンの借入額のほうが高い状態です。年月を経て不動産の価値が下がり、購入時の金額より売却時の評価額が安くなった場合などに、オーバーローンとなります。
オーバーローンの場合、不動産を売却できたとしても住宅ローンを返済し切れないため、離婚後も返済を続けなければなりません。
アンダーローン
アンダーローンは、不動産の評価額が、住宅ローンの借入額より高い状態です。住んでいるうちに所有している不動産の価値が上がり、購入時より高い金額で査定されることで、利益が発生します。
不動産の評価額は、経済的要因や社会的要因など、その時の情勢によって変動することを覚えておきましょう。
住宅ローンの契約内容
住宅ローンの契約内容
住宅ローンの契約内容は、申し込み時の契約書で確認しましょう。確認すべき内容は、返済の名義人や連帯保証人などが誰になっているかです。夫婦の場合、名義人については以下のパターンが考えられます。
契約内容によって財産分与などの対応が変わる場合もあるため、離婚時にはしっかり把握しておくことが大切です。
鑑定士コメント
離婚したことを金融機関に報告する義務はあるのでしょうか?離婚した場合は、借入先の金融機関に報告すべきです。住宅ローンの契約ではほとんどの場合、氏名・住所・電話番号などの契約内容が変われば、届け出をしなければならないと定められています。離婚すれば家族構成や世帯収入、財産状況なども変わるため、金融機関への報告は義務といえます。住宅ローンの返済途中で離婚が決まったら、必ず金融機関の担当者などに連絡しましょう。
住宅ローンは離婚の財産分与の対象になる?
住宅ローンは離婚の財産分与の対象になる?
離婚する場合、住宅ローンもほかの財産と同じく財産分与の対象になります。
結婚している間に蓄えた財産や借り入れた借金は、夫婦2人のものとして公平に分配しなければなりません。夫婦間の話し合いによって財産分与の割合は変えられますが、2分の1とする場合が多いでしょう。
住宅ローンの財産分与の方法について、詳しく解説します。
住宅ローンを財産分与するには
住宅ローンの残額を財産分与に組み込むためには、まず対象の不動産の評価額を査定してもらいましょう。不動産を売却しない場合でも、財産分与のためには評価額が必要です。不動産の査定は、不動産会社や不動産鑑定士に依頼できます。
不動産の評価額をそのほかの共有財産と合算し、そこから住宅ローンの残額を差し引いた金額を夫婦間で分配しましょう。具体例は以下のとおりです。
なお上記の例において、不動産を売却する場合としない場合とでは、分配方法が以下のように異なります。
離婚時は、金銭以外にも不動産・家具・商品など、すべての財産の価値を一度金額に換算して計算する場合が多いでしょう。
住宅ローンは名義人に支払い義務がある
離婚後も住宅ローンの返済が残っている場合は、継続してローンの名義人が返済を続けることになります。夫が名義人の場合は引き続き夫が、共同名義の場合は離婚後も夫と妻の両者が返済していかなければなりません。
なお、住宅ローンの名義人は変更できないのが一般的です。ただし、金融機関や契約内容によっては名義人を変更できる可能性もあります。離婚によってどうしても名義人変更が必要になった場合は、借入先の金融機関に相談してみましょう。
離婚時に残った住宅ローンはどう支払う?
離婚時に残った住宅ローンはどう支払う?
離婚後の住宅ローンの返済方法は、対象の不動産をどうするかによって変わります。離婚時は、以下の3つのケースが代表的です。
・夫が住む場合
・妻が住む場合
・家を売却する場合
それぞれの内容について、詳しく解説します。
夫が住む場合
離婚後も夫がそのまま家に住み続ける場合、住宅ローンの名義人が夫で妻には何の負担もなければ、特別な手続きは不要です。世帯収入や家族構成の変更を金融機関に報告し、引き続き夫がローンを返済しながら住むことになります。
ただし、連帯保証人や共同名義に妻が設定されていて、その義務を放棄したい場合は別途手続きが必要です。連帯保証人は、新たな保証人を立てたり信用保証協会を利用したりすることで、変更できる場合があるでしょう。
共同名義を解消するには、住宅ローンの借り換えをする方法があります。住宅ローンの借り換えについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
住宅ローンの借り換えの基礎知識を解説!メリットとデメリットも押さえておこう
妻が住む場合
妻が住宅ローンの名義人で引き続き家に住み続ける場合は、前述の「夫が住む場合」と同様になります。しかし、夫が住宅ローンの名義人で妻が家に住むなら、以下2つのいずれかの対応が必要です。
・住宅ローンの名義を妻に変更する
・住宅ローンの名義人は夫のまま、妻が夫に支払う
それぞれの内容について、詳しく解説します。
住宅ローンの名義を妻に変更する
離婚後は妻が家に住み続ける場合、住宅ローンの返済も妻が行うのが理想的な方法です。しかし前述のとおり、住宅ローンの名義人変更は難しい場合が多いでしょう。
夫から妻への名義人変更は、以下3つのいずれかのケースに当てはまれば、認められる可能性があります。
・妻の収入や資金力が夫と同等の場合
・妻の保証人として資金力のある人を設定できる場合
・不動産の評価額が住宅ローン借入額より大幅に高い場合
借入先の金融機関で名義変更が認められない場合は、妻の名義でほかの金融機関への借り換えを行うのもひとつの方法です。ただし、新たな金融機関の審査に通らなければ、借り換えはできない点に注意しましょう。
住宅ローンの名義人は夫のまま、妻が夫に支払う
名義人変更や借り換えができなければ、夫が金融機関への返済を続け、妻が住宅ローン分を毎月夫へ振り込む方法もあります。
ただしこの場合、住宅ローンの名義人と家に住む人が違うため、可能かどうか事前に金融機関に確認しましょう。金融機関によっては契約違反となる場合もあり、注意が必要です。
また、夫が住宅ローンの支払いを途中でやめたり、独自の判断で不動産を売却したりする可能性も考えられます。返済が滞れば妻が立ち退きを命じられたり、家が競売にかけられたりするおそれがある点はデメリットです。
住宅ローンの名義人が夫のまま妻が住み続ける場合は、上記のようなトラブルに備えておく必要があります。
家を売却する場合
家を売却する場合
離婚時に家を売却して住宅ローンをまとめて返済する場合、以下の2つのケースによって対応が異なります。
・オーバーローンの場合
・アンダーローンの場合
それぞれのケースについて、詳しく解説します。
オーバーローンの場合
オーバーローンの場合、住宅ローンの借入額が家の評価額を上回っているため、家を売ってもローンを完済できません。返済を残したままでは家を売却できないため、夫婦の財産から補填するなどして完済しましょう。
まとまった資金を用意できず、どうしても住宅ローンが完済できなければ、金融機関と相談のうえ任意売却をする方法もあります。任意売却とは、住宅ローンを完済できない場合でも、金融機関が同意すれば家を売却できる方法です。
任意売却で得たお金は、当然住宅ローンの支払いに充てます。しかし、オーバーローンでは任意売却後も返済が残るため、残額の返済計画を立てておくことが大切です。
アンダーローンの場合
アンダーローンの場合は、家の評価額が住宅ローンの借入額を上回っています。家を売って得たお金で、住宅ローンの返済をすべてまかなえるのがうれしいポイントです。
さらに、発生した利益は夫婦で分配できるため、離婚前後の諸費用の足しにもなるでしょう。
鑑定士コメント
住宅ローンと養育費を相殺することはできるのでしょうか?離婚協議により、住宅ローンと養育費を相殺することは可能です。たとえば今までの家に妻と子どもが住む場合で、夫が住宅ローンの名義人であれば、夫が返済を続けることで養育費代わりとするケースがあります。ただし、夫が返済をやめてしまったり家を売却したりするなど、トラブルが発生する可能性がある点には注意が必要です。
離婚時の住宅ローンに関する注意点
離婚時の住宅ローンに関する注意点
離婚時の住宅ローンに関して注意するポイントは、以下の2つです。どちらも、夫名義の住宅ローンが残っている家に妻が住む場合に当てはまります。
・公正証書を作成する
・妻が連帯保証人の場合は別の保証人を立てる
それぞれの内容について、詳しく解説します。
公正証書を作成する
夫が住宅ローンの返済をし、妻や子どもが家に住み続ける場合には、その内容を記載した公正証書を作成しましょう。公正証書とは、個人や法人からの依頼によって公証人の権限のもと、その内容を証明するために作成される公文書です。
公正証書には、高い証明力と執行力があります。離婚後も夫が住宅ローンを返済する旨を記載しておけば、約束が守られなかった場合に強制的に取り立てる手続きを進めやすいでしょう。
妻が連帯保証人の場合は別の保証人を立てる
住宅ローンの名義人が夫でも妻が連帯保証人であれば、離婚後に夫の返済能力がなくなった場合は妻に返済義務が移行します。妻に資金力がなかったり、夫が養育費代わりにローンを返済したりする場合は、連帯保証人を変更したほうがよいでしょう。
ただし、連帯保証人の変更は簡単にはできません。借入先の金融機関や、返済状況などによっては交渉できる場合もありますが、基本的には難しい場合が多い手続きです。
別の連帯保証人を立てるには、住宅ローンを借り換えて、新たに保証人を設定する方法が現実的です。なお、借り換え先の金融機関の審査に通らなければ、別の連帯保証人を立てられない点には注意してください。
まとめ:住宅ローンが離婚時に残っていたら専門家に相談しよう
まとめ:住宅ローンが離婚時に残っていたら専門家に相談しよう
離婚時に住宅ローンが残っている場合は、基本的に住宅ローンの名義人が返済を続けます。まずは不動産の名義人・住宅ローンの名義人・契約内容・残額などを確認しましょう。
対象の不動産を売却する場合、アンダーローンであれば一括で完済が可能です。しかし、オーバーローンの場合は、残った住宅ローンの返済方法を考えておかなければなりません。
また、家を売却しない場合は誰が住むのかなど、離婚後の状況によっても返済方法は異なります。財産分与の取り決めも必要なため、離婚時の住宅ローンについては不動産会社・借入先の金融機関・弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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