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更新日:2024.09.12
登録日:2023.04.20
住宅ローン控除の概要は?条件や計算方法をわかりやすく解説
「住宅ローン控除とはどんな制度?」
「マイホームを購入したいけど、住宅ローン控除は誰でも受けられる?」
住宅の購入を検討する際に、このように悩む人は多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅ローン控除について詳しく解説しています。最後まで読めば、住宅ローン控除を受けるための適用条件や控除額の計算方法、実際に申請する際の手続き方法がわかります。ぜひ参考にして、住宅ローン控除の手続きをスムーズに進めましょう。
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(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家によるコメント
表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正評価」
が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローン控除または住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れて住宅を購入したりリフォームしたりした場合に、年末に残っている住宅ローンの金額の0.7%を所得税から控除する制度です。控除額が所得税額を上回った場合は、翌年の住民税からも控除されます(※)。
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、できるだけ少ない負担で、国民が希望に合った住宅を手に入れられるよう設けられました。適応条件を満たしていれば、きちんと手続きすることで一定の期間にわたって毎年控除を受けられます。
住宅ローン控除を受けるための条件は、住宅を購入したのか増築・リフォームしたのかによって変わります。また購入した住宅の築年数や省エネ基準を満たしているかどうかも影響するため、住宅ローン控除の手続きの際には、自分が当てはまる条件を確認しておくことが大切です。
※参照:国土交通省
住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除を受けるためには、適用条件を満たさなければなりません。住宅ローン控除の適用条件は、以下の3つの場合にわけられます。
・新築の場合
・中古の場合
・増築やリフォームをした場合
それぞれの内容について詳しく説明しますので、住宅の購入やリフォームを検討している人はぜひ参考にしてください。
新築の場合
新築物件を購入した場合、住宅ローン控除を申請するために満たさなければならない条件は、主に以下の5点が挙げられます。
・工事完了または住宅の引き渡しから6カ月以内に、控除を受ける本人が住むこと
・控除を受ける年の合計所得額が2,000万円以下であること
・住宅ローンの返済期間が10年以上であること
・購入した住宅の床面積が50㎡以上であること
・購入した住宅の床面積の半分以上が居住スペースであること
住宅ローン控除を受ける人は、購入した住宅に自ら住む必要があります。そのため資産運用などを目的として購入した住宅は、控除の対象にはなりません。
また、住宅の居住スペースについても注意が必要です。購入した住宅を自宅兼事務所などとして使用する場合、居住スペースが半分以下だと控除が受けられないことは気に留めておきましょう(※)。
※参照:国土交通省
中古の場合
中古物件を購入して住宅ローン控除を受ける場合は、新築物件を購入した場合の5つの適用条件と合わせて、以下2点の条件のうちどちらか一つを満たさなければなりません。
・昭和57年よりあとで建築された物件であること
・現在の耐震基準を満たしていること
物件が建築された年の基準は、昭和57年1月1日以降に建てられものなら現行の耐震基準を満たしていることから設けられている適用条件です。また昭和57年より前に建てられた物件でも、そのあとに耐震補強工事をするなどして基準を満たしていれば、住宅ローン控除を申請できます(※)。
ほかにも中古物件の耐震基準に関する例外は、いくつか認められています。自分が購入した住宅が耐震基準を満たしているかどうかわからなければ、不動産業者などに確認しておきましょう。
※参照:国土交通省
なお、中古マンションを購入した場合の住宅ローン控除については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる人はチェックしてみてください。
中古マンションでも住宅ローン控除を受けられる?適用される条件とは
増築やリフォームをした場合
増築やリフォームをした場合
増築やリフォームをしたときにも、住宅ローン控除を受けられる場合があります。適用条件は以下の7点です。
・控除を受ける本人が所有しているかつ自ら住んでいる住宅であること
・控除を受ける年の所得額の合計が2,000万円以下であること
・改修工事が終わったあと6カ月以内に入居すること
・改修工事後の床面積が50㎡以上であること
・床面積の半分以上が居住スペースであること
・対象となる工事費用から補助金などを控除したあとの金額が100万円以上であること
・居住スペースの工事費が全体の工事費用の半分以上であること
増築やリフォームで住宅ローン控除を受ける場合は、収入や居住スペースの条件のほかに、工事費用についての基準が設けられています。また、対象となる工事も以下のように決まっているため注意しましょう。
・増築や改築、建築基準法に規定される大規模な修繕や模様替えの工事
・マンションの専有部分の床や壁、階段などの半分以上を修繕または模様替えする工事
・居室・キッチン・お風呂・トイレ・洗面所・納戸・玄関・廊下のいずれかの床や壁全体を修繕または模様替えする工事
・一定の耐震基準を満たすために修繕または模様替えする工事
・住宅をバリアフリー化するための工事
・住宅を省エネ化するための工事
なお増築やリフォームをする際には、住宅ローン控除ではなくリフォーム促進税制(リフォーム減税制度)を利用する方法もあります。バリアフリー化と省エネ化の改修工事は、リフォーム促進税制のほうが控除額が大きい場合があるため、自分にとってどちらが得かを考えて決めましょう(※)。
※参照:住宅リフォーム推進協議会
2022年税制改正で改正された住宅ローン控除のポイント
2022年税制改正で改正された住宅ローン控除のポイント
住宅ローン控除の内容は、2022年の税制改正で一部変更されました。変わった内容については、以下の4つにわけられます。
・控除率を引き下げ
・控除期間が延長された
・環境に配慮した住宅を優遇
・その他の改正点
それぞれの内容について詳しく説明しますので、これから住宅ローン控除を受ける予定がある人はぜひチェックしてください。
控除率を引き下げ
2022年に税制が改正された際、住宅ローン控除の控除率は1%から0.7%に引き下げられました。控除額が引き下げられた理由としては、住宅ローンの低金利化が挙げられます。現在の金利に合わせて、控除率が引き下げられることとなりました(※)。
住宅ローンを借り入れると、借り入れた金額のほかに、毎年利息を支払わなければなりません。住宅ローン控除は、この利息の負担を軽減するために設けられた制度です。
しかし税制改正前は、控除率より金利のほうが低くなるケースが多くあり、控除を受けることで利益を得る人もいました。この状況が本来の住宅ローン控除導入の目的からずれていたため、税制が変更されて控除率が引き下げられたといえます。
※参照:国土交通省
控除期間が延長された
控除率が引き下げられた一方で、控除を受けられる期間は10年間から13年間へと延長されました。税制改正前の控除期間は、特例措置を除けば、基本的には最長10年間でした。
税制が改正されてからは、2022年以降に住宅ローン控除を受ける人は、新築物件を購入した場合なら控除期間は13年間となっています。ただし中古住宅の購入や増築、リフォームの場合は、今までどおり控除期間は10年間なので注意しましょう(※)。
以上のように新築物件を購入する場合であれば、住宅ローン控除の控除率が下がる一方で控除期間は延長されます。そのため住宅ローン控除は、税制改正後もこれまでと変わらずメリットの大きい制度といえるでしょう。
※参照:国土交通省
環境に配慮した住宅を優遇
環境に配慮した住宅を優遇
税制改正以降、環境に配慮した住宅を購入する人を優遇して、住宅ローンの借り入れ限度額が住宅の環境性能ごとに設定されました。改正後の借り入れ限度額を住宅の性能ごとに表にまとめたので、以下をご確認ください(※)。
※1 令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅に令和6・7年に入居する場合は、借り入れ限度額2,000万円、控除期間10年間
税制の内容が変わる前は、住宅ローンを借り入れる際の限度額について、新築の一般住宅でも4,000万円と定められていました。しかし税制改正以降、新築一般住宅の借り入れ限度額は3,000万円に引き下げられています。
また、令和6年以降に建築確認を受けた新築の住宅は、省エネ基準を満たしていなければ住宅ローン控除を受けられなくなるため注意が必要です。
※参照:国土交通省
その他の改正点
その他の改正点としては以下の3点が挙げられます(※)。
・住宅ローン控除を受ける人の所得の上限が3,000万円から2,000万円に引き下げ
・合計所得金額が1,000万円以下の場合、令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅の床面積要件が40㎡以上50㎡未満でも適用に
・所得税から控除しきれない分を住民税から控除するときは、課税総所得金額の5%(最高9.75万円)以内に引き下げ(以前は7%、最高13.65万円まで)
所得制限が引き下げられ、一部の高所得者は控除を受けられなくなりました。また、住民税から控除される最大金額が引き下げられる点にも注意が必要です。
しかし、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅については、一定の条件を満たせば住宅ローン控除を受けられるよう変更された点はメリットといえます。40㎡といえば1LDK程度の間取りが多く、1〜2人暮らしの人も住宅を購入しやすくなるでしょう。
※参照:国土交通省
住宅ローン控除の最大控除額
住宅ローン控除の最大控除額
住宅ローン控除の最大控除額は、すでに表で説明した住宅ローンの借り入れ限度額から計算できます。住宅ローンの借り入れ限度額の0.7%が最大控除額となるためです。たとえば令和5年に新築の認定長期優良住宅に入居した場合、住宅ローン控除の最大控除額は、以下の計算式で求められます。
5,000万円(借り入れ限度額)×0.7%=35万円/年(最大控除額)
住宅の性能ごとの最大控除額について以下の表にまとめたので、住宅の購入を検討している人は参考にしてください(※)。
※1 令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅に令和6・7年に入居する場合は、14万円/年
住宅ローン控除額は、環境性能がよい住宅ほど金額が高くなります。マイホームの購入を検討する際には、省エネ基準を意識してどのような物件にするか決めましょう。
住宅ローン控除額の計算方法
住宅ローン控除額の計算方法
実際に住宅ローン控除額が決定されるときには、以下の2つの金額のうちどちらか少ないほうが採用されます。
・控除を受ける年の住宅ローン残高の0.7%
・住宅の種類に応じた住宅ローン控除の最大控除額
たとえば先ほど、令和5年に新築の認定長期優良住宅に入居した場合の最大控除額は、35万円と計算できることをご説明しました。しかし、もし年末の住宅ローン残高が4,800万円だった場合、計算式は以下のようになります。
4,800万円(ローン残高)×0.7%=33.6万円(控除額)
最大控除額の35万円よりも33.6万円のほうが少ないので、その年に控除される金額は33.6万円までということになります。住宅の種類や入居した年、ローン残高によって控除額が決まるので、計算するときには自分が購入した家の情報と、住宅ローン残高証明書を確認しましょう。
鑑定士コメント
住宅ローン控除額を計算する際のポイントとしては、まずは住宅ローン控除額は、毎年変わることは気に留めておきましょう。当然のことながら、住宅ローンを返済すればローン残高は毎年減っていきます。控除額も、それに伴って減少するのが一般的です。また、所得税から控除しきれなかった分は翌年の住民税からも控除されますが、住民税から差し引くことができるのは9.75万円までとなります。ローン残高の0.7%の金額すべてを差し引くことができない場合もあることを覚えておきましょう。(数値は2023年時点)
住宅ローン控除額のシミュレーション
住宅ローン控除額のシミュレーション
それでは実際に、住宅ローン控除額の計算のシミュレーションをしてみましょう。今回計算するための条件は、以下のように設定することとします。
・新築の認定長期優良住宅に令和6年に入居
・年末の時点での住宅ローン残高は2,800万円
・住宅を購入した金額は3,200万円
・所得税額は9万円
・翌年の住民税額は18万円
まずは、住宅ローン控除の最大控除額を確認しましょう。先にご紹介した最大控除額の表で今回の条件が該当する箇所を見ると、年間の最大控除額は31.5万円です。次に、年末の住宅ローン残高を基準に控除額を計算します。計算式は以下のとおりです。
2,800万円(ローン残高)×0.7%=19.6万円(控除額)
最大控除額の31.5万円より、年末ローン残高を基準にした控除額の19.6万円のほうが少ないため、今回のケースで控除される金額は19.6万円までとなります。
控除額がわかったところで、実際に差し引かれるところである所得税と住民税を確認しましょう。今回は所得税額が9万円で、控除額の19.6万円のほうが高額なので、差し引いたあとの所得税は0円となり支払う必要はありません。
残りの10.6万円は翌年の住民税21万円から差し引かれることになりますが、住民税から差し引ける金額は最大で9.75万円です。そのため、実際に控除できる金額は以下のように計算できます。
9万円(所得税)+9.75万円(住民税)=18.75万円(実際の控除額)
以上のように住宅ローン控除は、最大控除額や年末ローン残高を基準とした控除額の全額が差し引かれない場合もあることを覚えておきましょう。
住宅ローン控除の申請方法
住宅ローン控除の申請方法
住宅ローン控除額の計算方法がわかったら、申請方法を確認しましょう。住宅ローン控除は、住宅を購入した年とそれ以降の年で申請方法が変わります。会社員などの給与所得者の場合と個人事業主の場合でも異なるので、自分はどの方法で申請すべきなのかを把握する必要があります。
1年目は確定申告が必要
住宅ローン控除を受ける最初の年は、すべての人が確定申告をする必要があります。会社員など、普段は勤務先で年末調整をしている人でも、住宅を購入した年は自分で確定申告をしなければならないので注意しましょう。確定申告に必要な書類は、以下の8点が代表的です(※)。
・確定申告書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・建物や土地の登記事項証明書
・建物や土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
・源泉徴収票
・住宅ローンの残高を証明する残高証明書
・耐震基準適合証明書や認定長期優良住宅建築証明書の写しなど
必要書類を税務署に持参するか、国税庁のホームページ(e-Tax)から申告書の作成や送信をするかのどちらかの方法で手続きをしましょう。確定申告の時期は、住宅を購入した年の翌年2月16日〜3月15日です。開始日や最終日が土日祝日なら、翌日や翌々日の平日に設定されます。
※参照:国税庁
2年目以降の手続き方法
会社員などの給与所得者なら、2年目以降は会社の年末調整で住宅ローン控除の手続きができます。勤務先に以下の書類を提出しましょう(※1)。
・住宅ローンの残高を証明する残高証明書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」は、電子交付の場合もあります。電子交付を受けた人で、勤務先への提出は書面でなければならない場合は書面で出力できるシステムもあるので、国税庁のホームページをチェックしてください。
個人事業主の場合は、2年目以降も確定申告が必要です。ただし、以下の通り必要書類は少なくなります(※2)。
・確定申告書
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・源泉徴収票
・住宅ローンの残高を証明する残高証明書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
1年目と同様に、税務署で手続きをするか国税庁のホームページで申請してください。個人事業主で住宅ローン控除を受ける人は、2年目以降も忘れず手続きを行いましょう。
鑑定士コメント
住宅ローン控除には、住宅を購入した年に該当する確定申告の手続きが必要です。購入した翌年の春が1年目の確定申告期間です。しかし、手続きを忘れてしまった場合でも、後から対応可能です。「還付申告」というものです。新居に入居した翌年の1月1日から5年以内であれば、還付申告が可能です。しかし、住民税からの控除については、納税通知書が発送されたあとだと出来ません。また、1年目に確定申告をすれば、2年目からは所得の条件によっては年末調整で手続きを済ませることが可能です。
まとめ:住宅ローン控除を利用すればローンの負担を軽減できる
まとめ:住宅ローン控除を利用すればローンの負担を軽減できる
住宅ローン控除は、マイホームの購入を考えている人にとってメリットの大きい制度です。さまざまな適用条件や計算方法があり難しく感じるかもしれませんが、利用すればローンの負担が軽くなり、将来の資金計画にも役立ちます。
自分が購入する住宅がどの場合に当てはまるのかをしっかり理解して、控除額をシミュレーションしておくことが大切。本記事で解説した内容をもとに、住宅ローン控除の手続きをスムーズに進めてください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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