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更新日:2024.09.12
登録日:2023.12.20
修繕積立金の消費税の取り扱いは?ルールをわかりやすく解説!
修繕積立金を支払ったり徴収したりするうえで気になるのが、消費税の取り扱いです。分譲マンションの所有者は必ず修繕積立金を徴収されるため、詳細を把握しておく必要があります。
一方で「消費税が課税されないか心配」「経費として計上できるの?」など、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。修繕積立金への理解を深めるために、基本的な消費税のルールをチェックしておきましょう。
本記事では、修繕積立金の消費税の取り扱いについて解説します。修繕積立金の経費として計上するための条件や、管理費における消費税の取り扱いとあわせてまとめました。
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修繕積立金における消費税の取扱い
修繕積立金における消費税の取扱い
修繕積立金の消費税について、知っておきたいポイントを紹介します。
・消費税法上で非課税取引とされている
・修繕積立金の支払いは消費税の対象外である
・修繕積立金を徴収するときも消費税の対象外である
修繕積立金を取り扱う際の基礎知識として、チェックしておきましょう。
消費税法上で非課税取引とされている
修繕積立金は、消費税法(※)上では非課税取引であるとされています。消費税法とは、課税の対象や税額の計算方法、申告・納付など、消費税に関する事項を定めた法律です。
事業を得ておこなう対価を得る取引であっても、課税対象になじまないものなど消費税の課税が不要なケースがあります。非課税取引と呼ばれていて、対象となる税目は以下の通りです。
・土地の譲渡ならび貸付け
・住宅の貸付け
・有価証券等の譲渡
・預貯金の利子並びに保険料を対価とする役務の提供等
・物品切手等の譲渡
・社会保険医療の給付等
・学校教育
・支払手段の譲渡
・外国為替業務にかかる役務提供
・国等がおこなう一定の事務にかかる役務提供
・介護保険サービスの提供等
・社会福祉事業等によるサービス提供
上記以外にも非課税となる取引はあるので、国税庁のホームページ(※2)でチェックしておきましょう。上記の税目でも、条件によっては非課税にならないケースがあるので注意が必要です。
※1参照:e-Gov法令検索
※2参照:非課税となる取引
修繕積立金の支払いは消費税の対象外である
消費税法上では、共有部分の修繕にあてる修繕積立金の支払いは消費税の対象外です(※1)。消費税の課税対象となるかは、対価性の有無で判断されます。
対価性とは提供した物やサービスに対して、金銭などを受け取ることです。修繕積立金はマンション管理組合によって積み立てられ、大規模修繕の際に施工会社へと支払われます。
区分所有者は設備の改善などの利益を直接享受していないため、対価性がないと判断することが可能です。さらに国税庁のホームページ(※2)では以下の回答が確認できます。
・マンション管理組合は区分所有者が構成員であり、組合との間の取引は營業に該当しない
・区分所有者からマンション管理組合が収受する金銭は非課税とする
このことからマンション管理組合に支払う修繕積立金は、非課税であることがわかります。修繕積立金として提示された金額には、消費税は含まれていません。
※1参照:集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定
※2参照:マンション管理組合の課税関係
修繕積立金を徴収するときも消費税の対象外である
修繕積立金を徴収するときも消費税の対象外である
マンション管理組合が区分所有者から徴収した修繕積立金は、消費税の対象外です。マンション管理組合と区分所有者の取引は營業に該当しないため、非課税であるとされています。
マンション管理組合が受け取った修繕積立金は、消費税が課税される課税売上(※)には該当しません。積立金として受け取って管理するだけなので、対価性はないと判断することが可能です。
一方で修繕積立金を使用して施工会社に支払う場合は対価性があるので、課税仕入れとして取り扱います。ただし、収入を計上する際は消費税が課税されていないため、仕入税額控除の対象にはなりません。
※参照:課税売上げと課税仕入れ
鑑定士コメント
管理組合が区分所有者から徴収したマンションの修繕積立金に消費税は課税されないのはなぜでしょうか?修繕積立金は、実際に修繕に使用されるまでただの積立金です。消費税は、物の販売やサービスの提供の取引に対して課税されます。修繕積立金を支払っても、「お金を預けているだけ」と考えられるでしょう。支払いに対価性がないと判断されるため、消費税は課税されません。
修繕積立金は経費として計上可能
修繕積立金は経費として計上可能
修繕積立金は、実際に修繕工事が実施されたときに経費として計上することが可能です。修繕工事が完了した日に属する年分の経費とします。
修繕積立金を支払ったときはまだ修繕工事をおこなっていないため、原則として経費にはできません。ただし、以下の要件を満たすことで、支払い期日が属する年分の経費として計上できます(※)。
・所有者がマンション管理組合に対して修繕積立金の支払い義務を負うこと
・徴収した修繕積立金について、マンション管理者が所有者への返還義務を有さないこと
・修繕積立金はマンションの修繕・維持に使用され、それ以外への流用がないこと
・修繕積立金の額が、各区分所有者の共有持分に応じた合理的な方法で算出されていること
要件に該当するか判断が難しい場合は、マンション管理組合に相談しましょう。
なお、修繕積立金を経費にする際の勘定科目については下記の記事で紹介しているので、あわせて参考にしてください。
管理費も非課税扱いになる
管理費も非課税扱いになる
管理費は修繕積立金と同様に消費税の課税対象外です。管理費とは、共有部分のメンテナンス・清掃のために区分所有者から徴収される費用のことを指します。
共通に使用する部分の費用を居住者が応分に負担する場合、共益費や管理費など名称を問わずに非課税です(※)。課税仕入れとして処理できないため、仕入税額控除の対象にもなりません。
また、マンション管理組合として区分所有者から徴収した管理費も、課税対象外です。管理費の金額が1,000万円を超えた場合、ほかに課税売上がなければ消費税の納税義務はありません。
※参照:集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定
鑑定士コメント
管理組合が駐車場と駐輪場代を徴収する場合、課税対象となるのでしょうか?駐車場代や駐輪場代は、課税対象になるケースとならないケースがあります。組合員である区分所有者に対する貸付けであれば、消費税の課税対象外です。一方で組合員以外への貸付けなら課税の対象です。対価性がある事業行為と判断されるため、消費税が課税されます。
まとめ:修繕積立金に消費税はかからないがほかの税金は確認が必要
まとめ:修繕積立金に消費税はかからないがほかの税金は確認が必要
マンション管理組合が区分所有者から徴収した修繕積立金に消費税はかかりません。マンション管理組合と区分所有者との取引は營業に該当しないため、非課税取引にあたります。修繕積立金の支払いや徴収で消費税は課税されないと覚えておきましょう。
どのようなケースで消費税などの税金が課税されるのかは、あらかじめ確認しておくことが重要です。適切に納税するためのルールを把握しておくことで、税金によるトラブルを防げます。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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