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更新日:2024.07.20
登録日:2023.06.02
第二種住居地域とは?特徴や用途制限についてくわしく解説
土地や建売住宅などのチラシで「第二種住居地域」という言葉を見たことがある人は多いのではないでしょうか。土地は都市計画法に基づき、用途によって13の用途地域に分類されています。
本記事では、第二種住居地域とは何か、建築できる建物や用途制限、メリット・デメリットについて解説します。第一種住居地域との違いや第二種住居地域に向いている人についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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第二種住居地域とは
第二種住居地域とは
第二種住居地域とは、都市計画法における用途地域の1つであり、その名の通り住居用として定められた地域の1つです。第二種住居地域の特徴は、住環境を優先する地域ではあるものの飲食店や商業施設などが建築できるところです。一般的に、駅周辺の商業地域に隣接していることが多く、普段の生活において利便性が高い地域といえるでしょう。
住居専用地域ではないため、日当たりなどの制限がそこまで厳しくなく、戸建てやマンションが密集して建築されていることもあります。また、面積に制限はあるものの倉庫や工場なども建築可能です。住居専用の地域と比べると、さまざまな種類の建物が混在した街並みになっています。
第二種住居地域で建てられる建築物とは
第二種住居地域で建てられる建築物とは
第二種住居地域はさまざまな建物が建築できますが、それでも建築できない建物はあります。ここでは、第二種住居地域で建築できる建物とできない建物について、それぞれ詳しく解説します。
建築できる建物
第二種住居地域で建築できる建物は、下記の通りです。
・戸建て・マンションなどの住宅
・幼稚園・保育園・児童厚生施設
・小学校・中学校・高等学校・高等専門学校・大学
・病院・診療所・保険所
・図書館
・神社・寺院・教会
・身体障害者福祉ホーム・老人ホーム・老人福祉センター
・交番・警察署
・税務署・郵便局・消防署
・建物の2階以下で床面積の合計が10,000㎡以下の店舗・飲食店・事務所
・ホテル・旅館
・ボウリング場・スケート場・ゴルフ練習場・プール
・カラオケボックス・パチンコ屋・マージャン屋
・自動車教習所
・面積が50㎡以下で危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ない工場
・ガソリンスタンドなどの危険物の処理・貯蔵量が非常に少ない施設
・2階以下で床面積の合計が300㎡以下の自動車車庫
・営業用ではない倉庫
住宅のほか、ボウリング場やスケート場などのような遊戯施設を建築できます。
建築できない建物
第二種住居地域では、基本的に先述した建築できる建物以外は建築できません。建築できない建物は、下記の通りです。
・面積が50㎡以上の工場
・危険物の処理・貯蔵量が多い施設
・床面積の合計が10,000㎡を超える店舗・飲食店・事務所
・営業用倉庫
・映画館・劇場
・キャバクラ・キャバレー・ナイトクラブ
主に、災害や事故によって周辺地域に大きな影響を及ぼす建物などが該当します。
鑑定士コメント
用途地域の中に、第二種住居地域と第二種低層住居専用地域があります。同じ第二種とついているので間違いやすいので整理しております。第二種低層住居地域とは、その名の通り景観や住居の環境を維持するために低層の住居のみ建築できる地域です。第一種低層住居地域よりもやや用途が緩和され、小中学校や150㎡までの一定のお店などが建てられます。しかし低層住居専用地域なので高さが10mまたは12m以下の建物しか建築できません。また、第二種住居地域と異なり大学や病院、遊戯施設は建築できません。
第ニ種住居地域の用途制限
第ニ種住居地域の用途制限
第二種住居地域では、建築する建物に用途制限が設けられています。制限されているのは、主に下記の3つです。それぞれの制限内容について、詳しく見ていきましょう。
・容積率
・建ぺい率
・高さ制限
容積率
第二種住居地域では、下記いずれかの容積率が指定されています。この容積率は「指定容積率」と言われ、同じ第二種住居地域でも場所によって異なるため注意が必要です。
・100%
・150%
・200%
・300%
・400%
・500%
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合です。「延床面積 ÷ 敷地面積 × 100(%)」で求めることができます。例えば、敷地面積が100㎡で建物の1、2階の床面積がそれぞれ50㎡だとします。この建物の容積率は「100㎡ ÷ 100㎡ × 100(%)」で計算でき、容積率は100%です。
ただし、幅員が12m未満の道路に接している土地の場合、接している道路の幅員に特定の係数をかけた「基準容積率」と指定容積率の小さい方の容積率が適用されます。
第二種住居地域の場合は係数は40なので、接する道路の幅員が5mの場合の基準容積率は「5m × 40 = 200(%)」になります。もし指定容積率が300%でも、この場合は基準容積率である200%が適用されるのです。
建ぺい率
第二種住居地域の建ぺい率は、下記のいずれかです。防火や通風、採光などの観点で決められます。容積率と同様に、同じ用途地域でも異なるため確認する必要があります。
・50%
・60%
・80%
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。「敷地面積 ÷ 建築面積 × 100(%)」で求めることができます。建ぺい率の建築面積は、建物を真上から見た場合の面積である「水平投影面積」で算出されます。
第二種住居地域の場合、建ぺい率が80%の地域では特例が適用される可能性があります。特例が適用されるのは「防火地域内にある耐火建築物」です。特例が適用されると、建ぺい率は100%になります。
また、各自治体が指定した「角地」にある物件は、建ぺい率が10%割り増しされます。自治体によって角地の規定が異なるため、事前に確認が必要です。
高さ制限
第二種住居地域には、建物の絶対高さ制限はないため、3階建ての戸建てやマンションを建築できます。ただし、下記3つの制限があるため、自由に建築できるわけではありません。
※横にスクロールできます。
※参照:建築基準法 法別表第3、建築基準法
道路斜線制限とは、道路の採光を確保するための高さ制限です。道路の反対側の境界線から規定の勾配で引いた線の範囲内に建物を建築する必要があります。
隣接斜線制限とは、隣人の採光や通風などを確保するための高さ制限です。隣地境界線上に一定の高さ(立ち上がり)をとり、そこから規定の勾配で線を引きます。道路斜線制限同様、地面と斜線の範囲内でしか建物を建築できません。
日影制限とは、周辺の敷地の日照を確保するための制限です。影がもっとも長くなる冬至の日を基準にして、特定の場所に一定時間以上影ができないように制限しています。
鑑定士コメント
第二種住居地域の住宅を選ぶ際の注意点は、周辺環境です。住宅や公共施設、遊戯施設などが混在する第二種住居地域は、近くに幹線道路があることが多いです。公共施設などはアクセスが良くなるためプラスポイントになり得ますが、住宅の場合は住環境に影響するためマイナスポイントです。そのため、幹線道路からの騒音や排気ガスの影響を受ける可能性があるかないか、事前に立地を確認しておくことが重要です。
第ニ種住居地域と他の地域との違い
第ニ種住居地域と他の地域との違い
第二種住居地域を含めて、用途地域には12の種類があります。それぞれの用途地域の特徴は下記の通りです。
ここでは、第二種住居地域と似ている下記2つの用途地域と第二種住居地域の違いについて解説します。
・第一種住居地域との違い
・第二種住居専用地域との違い
※参照:「用途地域による建築物の用途制限の概要」
第一種住居地域との違い
用途地域には、第一種住居地域というものもあります。第二種住居地域とのもっとも大きな違いは、ボウリング場やスケート場、カラオケボックス、パチンコ屋などの遊戯施設が建築できないことです。そのため、台の主居住地域と比べると、夜は静かで看板も少ないため照明の明かりなども気にならないでしょう。
また、第二種住居地域では床面積の合計が10,000㎡以下の店舗・飲食店・事務所を建築できるのに対し、第一種住居地域は3,000㎡までしか建築できません。(※)第二種住居地域と比べると、より住宅に特化した地域です。
※参照:東京都
なお、第一種住居地域については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
第二種住居専用地域との違い
第二種住居専用地域として、低層・中高層の2種類があります。第二種住居専用地域と第二種住居地域の違いは、主に建てられる建物の種類です。
低層地域では住居と公共施設しか建てられず、中高層地域でも小規模の店舗やオフィスしか建てられません。一方、第二種住居地域は大規模な商業施設やオフィス、一部遊戯施設も建てられます。
いわゆる閑静な住宅街と言われるような地域は専用地域であり、住環境は良好ですがスーパーなどの建物は建てにくいため利便性に欠けます。第二種住居地域には商業施設や遊戯施設を建てられるため、利便性は高いでしょう。
第二種住居地域のメリット
第二種住居地域のメリット
第二種住居地域のメリットは、主に下記の2つです。
・生活に必要な施設が集まっている
・夜間でも比較的街が明るい
第二種住居地域では、比較的大きなスーパーマーケットなどが建築できます。さまざまな公共施設や幼稚園、学校なども建築できるため、生活圏内に必要な施設が集まっており利便性が高いです。
また、遊戯施設などの建物があることにより、夜間でもある程度街全体に明かりがついています。街が明るいことで、防犯上のメリットもあるでしょう。
第二種住居地域のデメリット
第二種住居地域のデメリット
第二種住居地域には、下記のようなデメリットもあります。
・排気ガスや騒音が気になる
・日当たりが悪い場合がある
第二種住居地域は、幹線道路の周辺に位置していることが多いです。そのため、車通りが多く排気ガスの影響を受けやすいでしょう。
車だけではなく多くの公共施設や店舗・飲食店・事務所があるため、人通りも多いです。周囲が賑やかで防犯上のメリットがある一方、静かに過ごしたい人にとっては騒音が気になる可能性があります。
また、第二種住居地域の高さ制限が厳しくないため、日当たりが悪い建物もあります。住み始めた後に高い建物が建築される可能性もあるため、日当たりが悪くなる場合があることを認識しておかなければなりません。
第二種住居地域に向いている人の特徴
第二種住居地域に向いている人の特徴
第二種住居地域に向いている人は、下記のような人です。
・利便性が高い地域に住みたい人
・自分の生活音が気になる人
第二種住居地域は、生活に必要な施設が周辺にそろっているため、生活する上で利便性が高い地域です。普段の生活圏がそれほど広くない人にとって、住宅の周辺に必要な施設がそろっている第二種住居地域は住みやすい地域でしょう。
また、多くの施設があることで周囲が賑やかなため、自分の生活音が周りに聞こえにくいと言う特徴があります。常識の範囲での生活音であれば周囲の騒音で聞こえにくくなるため、自分の生活音を気にせずに過ごせます。
第二種住居地域を選ぶときに気をつけたいポイント
第二種住居地域を選ぶときに気をつけたいポイント
第二種住居地域を選ぶときに気をつけたいポイントとして、下記のようなポイントが挙げられます。
・騒音や排気ガスに注意する
・寒さを感じやすい
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
騒音や排気ガスに注意する
第二種住居地域は、騒音や排気ガスに注意する必要があります。というのも、第二種住居地域は住居だけではなくさまざまな建物が建てられる地域です。
商業施設や遊戯施設だけではなく、一部の工場も建てられます。また、地域の特性上、幹線道路付近であることも珍しくありません。
そのため、道路や各種施設の騒音や車の排気ガスなどの影響を受ける可能性があります。
寒さを感じやすい
第二種住居地域は、幹線道路を中心として広がっている場合が多いです。幹線道路沿いは、周囲にマンションやオフィスなどの高層階の建物が並びます。
そのため、風の通り道になりやすい地域でもあります。とくに冬は、風の影響で寒さを感じやすくなってしまうでしょう。
また、強い風が吹くことも珍しくありません。排気ガスの問題も相まって、ベランダに洗濯物を干しにくいということも注意点の1つです。
まとめ:第二種住居地域は遊戯施設が建設可能なエリア
まとめ:第二種住居地域は遊戯施設が建設可能なエリア
第二種住居地域は、住宅や公共施設などのほか、遊戯施設も建設可能なエリアです。生活圏にさまざまな施設が集まっていることで、普段の生活においては高い利便性を誇ります。
一方、幹線道路が近いことや遊戯施設があることで、排気ガスや騒音が気になる地域でもあります。第二種住居地域を検討する際は、メリット・デメリットをきちんと把握しましょう。
#第二種住居地域 #第二種住居地域 高さ制限 #第二種住居地域 用途制限
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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