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更新日:2023.02.09
登録日:2022.12.20
普通借地権とは?定期借地権との違いやメリット・デメリットを解説
マンションの購入を検討していると、借地権という言葉を目にすることがあるかもしれません。借地権とは、土地を借りる権利のことであり、借地権付きのマンションが販売されていることがあります。
借地権付きのマンションには「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があり、把握しておくことが重要です。本記事では、普通借地権とはなにか、定期借地権との違いやメリット・デメリットについて解説します。
借地権付きのマンションに向いている人や購入する際の注意点も開設するので、ぜひ最後までご覧ください。
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普通借地権とは?
普通借地権とは?
普通借地権とは、1992年に施工された「借地借家法」によって新設された借地権です。土地や建物の貸し借りは、金額が大きいためマンションを購入する人の生活に密接にかかわる問題です。
例えば、マンションを購入したのにその土地を借りられなくなってしまうと、そのマンションに住むことができません。そのため、借地借家法にて借地権の契約期間や契約方法などが細かく規定されています。
普通借地権が適用されるのは、あくまで建物の所有を目的で土地を借りる場合のみです。畑や駐車場、または道路として利用するなどの建物以外のために借りる場合は適用されません。
借地権の契約を更新することで、建物が存在している限りその土地を半永久的に借り続けることが可能です。普通借地権の存続期間は最短30年であり、30年以上の契約を結ぶ場合はその年数が適用されます。また、特約がなければ存続年数は30年となり、30年よりも短い期間は無効とされます。
普通借地権の特徴は、下記のとおりです。(※)
※参照:総務省
普通借地権と定期借地権との違い
普通借地権と定期借地権との違い
マンションに付く借地権には、普通借地権のほかに「定期借地権」があります。定期借地権には「一般定期借地権」、「事業用定期借地権」、「建物譲渡定期借地権」の3つがあり、マンションには一般定期借地権が付くことが多いです。
普通借地権と定期借地権では、契約内容に大きな違いがあります。まず、普通借地権が契約更新できるのに対して、定期借地権は契約更新できません。定期借地権は50年以上の存続期間を設定しますが、その存続期間を過ぎた場合は延長できずに土地を返却する必要があります。
また、定期借地権では特約で建物買取請求権を行使しない旨を定めることできるため、土地を返却する際は原則として建物を解体して更地にする必要があるのです。普通借地権と定期借地権との違いは、主に下記のとおりです。
定期借地権付きのマンションについて、以下の記事で解説しています。ぜひ一緒にご覧下さい。
普通借地権のメリットとデメリット
普通借地権のメリットとデメリット
普通借地権には、メリット・デメリットが存在します。定期借地権付きのマンションや土地と建物すべての所有権を持つマンションと比べてどのようなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ詳しく解説します。
普通借地権のメリット
普通借地権のメリットは、主に下記の2つです。
・土地の固定資産税を払う必要がない
・借地のため物件価格が比較的安い
土地と建物すべての所有権を持つマンションの場合、その土地と建物それぞれの固定資産税を納める必要があります。しかし、普通借地権の場合は、土地の固定資産税を納めるのはマンションの購入者ではなく登記簿に所有者として登記されている所有者です。そのため、マンション購入者が固定資産税を納める必要がありません。
また、普通借地権付きマンションは、土地が借地のため購入費用に土地代が含まれません。購入費用が建物代のみのため、土地代が含まれない分物件価格が比較的安いというのも、普通借地権のメリットです。
マンションの固定資産税は、以下の記事で解説しています。
マンション購入後の固定資産税はどれくらい?計算方法もやさしく解説
普通借地権のデメリット
普通借地権には、下記のようなデメリットも存在します。
・地主に土地代を払う必要がある
・契約更新時や売却時に手数料が発生する可能性がある
・ローンの審査が通りにくくなる
普通借地権付きマンションは購入費用に土地代は含まれていないものの、毎月その土地の持ち主に土地代を支払う必要があります。また、契約更新時や売却時に、それぞれ手数料が発生する可能性があることにも注意が必要です。
そのほか、ローンが通りにくくなるというデメリットも存在します。マンションを購入する際、住宅ローンを利用する人もいると思いますが、普通借地権付きのマンションではローンが通りにくい、または金融機関によってはローンを利用できない可能性があるのです。
通常、住宅ローンは購入する土地や建物を担保に融資金額を設定することが多いですが、普通借地権付きマンションは土地を担保にできません。そのため、ローンの審査が通りにくくなる可能性があります。
鑑定士コメント
借地契約は期間があります。日本では「借地借家法」により借主が手厚く保護され、建物が朽ち果てない限り借地契約は更新されると考えてよいでしょう。しかしながら、期間満了で更新する場合に、地主に「更新料」の支払いが必要であったり、売却時に「壌渡承諾料」が必要であったりするケースがあります。思わぬ支出になりかねませんので、借地契約書等で確認する必要があります。
普通借地権の契約期間が満了したらどうなる?
普通借地権の契約期間が満了したらどうなる?
普通借地権の契約期間が満了した場合、建物の持ち主は下記2つのうちどちらかを選択することになります。
・契約更新
・契約終了
先述した通り、普通借地権は契約が満了した際に契約を更新して半永久的に存続期間を延長することが可能です。契約期間の満了後もその建物を利用する場合は、契約更新の手続きを行います。
契約満了のタイミングでその建物を手放す場合は、契約を終了します。契約終了時は、建物を撤去して更地にし、借りる前の状態に戻す必要があります。ただし、地主に対して建物を時価で買い取ってもらうように「建物買取請求権」を行使することも可能です。
鑑定士コメント
借地権マンションも通常に売買可能です。所有権マンションと同様、不動産仲介会社を通じて媒介契約を結び、ポータルサイトにも掲載されます。しかしながら、これまで説明してきたとおり、買い手が住宅ローンがつきにくいことや、将来にかけて地代や一時金の不透明さという懸念点もあり、販売は所有権マンションより長期化する傾向にあると言えます。
借地権付きのマンションに向いている人
借地権付きのマンションに向いている人
借地権にはメリット・デメリットがありますが、人によっては所有権マンションよりコストを抑えることもできます。借地権付きのマンションに向いている人は、下記のような特徴がある人です。
・住む期間がある程度決まっている人
・コストを抑えて好立地な物件に住みたい人
定期借地権の場合、契約期間が満了するとその建物に住めなくなります。普通借地権についても、満了時に更新手続きなどを行う必要があるため、煩わしさを感じるかもしれません。
しかし、最終的には引っ越しするなど住む期間がある程度決まっている場合は、その期間が存続期間内であれば気にする必要はないでしょう。
好条件の土地は、地主が代々引き継いできた土地であることが多いです。そのため、売却に抵抗があり、なかなかそのような土地にマンションが供給されることはありません。
しかし、借地権付きであれば地主が土地を手放す必要なくマンションを建設できるため、好立地なマンションにコストを抑えて住むことができます。
借地権付きのマンションを購入する際の注意点
借地権付きのマンションを購入する際の注意点
借地権付きのマンションを購入する際は、下記のようなことに注意する必要があります。
・売却が難しい
・減価償却の計算が違う
借地権付きのマンションは、売却が難しくなるケースがあります。特に、定期借地権付きのマンションの場合は存続期間などの関係で住宅ローンを利用できない可能性があり、買い手が見つかっても思い通りに売却できない可能性があるでしょう。
また、借地権付きマンションで店舗経営や賃貸経営を行おうと考えている場合、減価償却の計算にも注意が必要です。土地は減価償却されないため、土地と建物を購入した際は購入費用から土地代を差し引いた金額で減価償却を行います。
借地権付きのマンションの場合、購入費用に土地代が含まれていないため、購入費用全額を減価償却できると考える人もいるかもしれません。しかし、購入費用には借地権の取得費用などが含まれているため、それらの諸費用を差し引いて減価償却する必要があります。
まとめ:借地権付きマンションの特徴を理解して検討しよう
まとめ:借地権付きマンションの特徴を理解して検討しよう
借地権付きマンションとは、地主である第三者が持つ土地に建っているマンションのことです。借地権には存続期間があり、普通借地権は半永久的に更新できますが、定期借地権は更新できません。
借地権付きのマンションを購入する場合、購入費用に土地代が含まれていないため、比較的安く購入できます。しかし、デメリットが存在することも知っておかなければなりません。地主に毎月土地代を支払う費用があるほか、契約更新時などに手数料などがかかる可能性もあります。
借地権付きのマンションは、購入に向いている人・向いていない人がいます。借地権付きのマンションを検討する際は、特徴を理解して自分が借地権付きマンションに向いているかを判断しましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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