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更新日:2023.10.23
登録日:2023.10.22
管理組合法人とは?メリット・デメリットや基礎知識をくわしく紹介
管理組合は、マンションの維持・管理・運営を目的とする区分所有者で構成された団体です。共用部分の維持・管理をはじめ、修繕計画や住民間のトラブル対応など、マンションごとにさまざまな取り組みを行っています。
マンションには欠かせない管理組合ですが、中には「法人化」している場合もあります。管理組合法人には、法人化していない管理組合と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、管理組合の法人化とは何か、法人化するメリットやデメリットについて詳しく解説します。法人化の手順についても解説するので、検討している方はぜひ最後までご覧ください。
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管理組合法人とは?
管理組合法人とは?
管理組合法人とは、法人格を持つ管理組合のことです。法人とは法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織のことであり、会社のような組織です。
ただし、会社を設立するわけではありません。法人化することで、人ではなく組織でも法律上人と同じ権利や義務を認められます。
なお、マンションの管理組合については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
マンションの管理組合とは?役員の役割やよくあるトラブルも紹介
法人化による仕事内容の変化
法人化した場合でも、法人化していない管理組合と比べて仕事内容に変化はありません。とはいえ、仕事内容そのものに違いはありませんが、細かな手続きなどには変化が生じるでしょう。
例えば、銀行口座の作り方などに違いがあります。管理組合ではお金を扱うため銀行口座を持つことになります。銀行口座の名義には、個人名義の「一般口座」と法人名義の「法人口座」があります。
法人化していない管理組合では、理事長の名義で一般口座を作成しなければなりません。理事長が交代すると、口座の変更などの手続きが必要になるでしょう。しかし、法人口座であれば管理組合の名前で口座を作ることができます。
法人化している管理組合の割合
国土交通省が2018年に行った「平成30年度マンション総合調査結果」によると、日本の管理組合のうち法人化を行っているのは全体の13.2%(※)となっています。
全体的には法人化している管理組合は多くありませんが、完成年次が古いほど法人化率が高い傾向にあります。
※参照:国土交通省
鑑定士コメント
「みなし法人」と「法人」の違いは何でしょうか?みなし法人とは法人と同じ扱いを受ける個人や団体のことですが、あくまでも個人事業主などに適用される税務上の制度です。そのため、みなし法人では法律上の権利や義務は認められていません。管理組合を法人化するには、みなし法人でなく、法人の要件が必要です。
マンションの管理組合を法人化するメリット
マンションの管理組合を法人化するメリット
マンション管理組合の法人化には、下記のようなメリットがあります。
・管理組合法人名義での登記ができる
・団体財産と個人財産を区別できる
・訴訟手続き関係がスムーズに進む
・理事長の負担を軽減できる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
管理組合法人名義での登記ができる
法人化すると、法人名義で不動産などの登記を行うことができます。管理組合では、集会場としてマンションの専有部分を購入したり、近隣の土地などを購入したりする場合があります。
法人化していない管理組合では、理事長などの名義で不動産登記する必要がありますが、法人化している場合は管理組合として登記が可能です。理事長などの役員の名義で登記している場合、役員の変更に伴って所有権移転登記を行わなければなりません。
登記には手間と費用が発生するため、管理組合法人名義で登記できるのは大きなメリットです。
団体財産と個人財産を区別できる
財産を区別できると、管理組合の所有財産が個人的な目的で利用されるのを防げます。
管理組合として何かしらの財産を所有する場合、かならず代表者を選出しなければなりません。法律上は代表者の財産となるため、代表者に借金などがあると差し押さえられる可能性がないとは言い切れないので注意が必要です。
訴訟手続き関係がスムーズに進む
管理組合法人化すると管理組合として訴訟の手続きを行えるようになります。訴訟にはさまざまな手続きがあるため、個人で行うのは大きな負担になります。管理組合を法人化すれば、組合員で訴訟に対する対応を分担できるので、トラブルに対する法的措置をスムーズに行えるようになるでしょう。
管理組合では、マンションに関するさまざまなトラブルに対応しなければなりません。中には、裁判にまで発展するトラブルもあります。迅速に訴訟を進められるのは、大きなメリットになるといえるでしょう。
理事長の負担を軽減できる
管理組合法人であれば、ほかの役員が登記簿謄本などを取得可能です。そのため、理事長以外も手続きを行えます。役員に業務を振り分けやすくなるので、理事長の負担も軽減しやすくなるでしょう。
一方、法人化していない管理組合では、権利関係の手続きは基本的に理事長の名義で行います。そのため、登記をはじめとしたさまざまな手続きを理事長が行わなければならず、大きな負担になる懸念があります。
マンションの管理組合を法人化するデメリット
マンションの管理組合を法人化するデメリット
マンション管理組合の法人化には、下記のようなデメリットもあります。
・各種手続きに費用がかかる
・事務手続きの手間が増える
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
各種手続きに費用がかかる
法人化にはさまざまな手続きが必要であり、その都度費用もかかります。
例えば、役員が入れ替わるとその都度登記しなければなりません。登記には費用が発生するため、法人化によりどうしても費用面の負担は増えてしまいます。
事務手続きの手間が増える
法人化すると、法人化の手続きや財産目録の作成など、行わなければならない事務手続きなどが発生します。
これらの事務手続きは、司法書士など各分野の専門家に依頼可能です。しかし、依頼すれば費用も発生するため、住民に相談する必要があります。
鑑定士コメント
管理組合の法人化に伴う「法人税課税」とはなんでしょうか?法人化すると、特定の収益に関して課税されるため税金を納めなければなりません。課税の対象となるのは、マンション居住者以外への賃貸による収益など、部外者からの収益がある場合になります。
管理組合を法人化する手順
管理組合を法人化する手順
管理組合を法人化する手順は下記のとおりです。
・管理組合による決議を行う
・要件を制定する
・法務局で設立登記する
それぞれの手順について、詳しく解説します。
管理組合による決議を行う
管理組合の法人化は、役員の承認があれば行えるというものではありません。区分所有者が4分の3以上出席した総会にて議決権総数の4分の3以上の賛成による議決を得る必要があります。
そのため、まずは総会を開いて決議を行いましょう。総会には区分所有者が4分の3以上出席する必要があるため、まず区分所有者の出席数の確保が必要です。また、総会の議長は議事録を作成しなければなりません。
要件を制定する
法人化の議決を得られたら、法人化する際の要件を制定します。要件には、下記のような項目があります。
・名称(「管理組合法人」という文字を用いる必要あり)
・事務所の所在地
・目的および業務内容
・理事
法務局で設立登記する
要件定義後、内容をまとめて登記申請書類を作成します。作成した登記申請書類や議事録、理事の就任承諾書などの必要書類をそろえて法務局に設立登記を行いましょう。
設立登記は、司法書士に依頼することも可能です。費用は発生しますが、スムーズに登記を進められるのでおすすめします。
まとめ:マンション管理組合の法人化を検討してみよう
まとめ:マンション管理組合の法人化を検討してみよう
マンションの管理組合は、法人化することで法人名義で手続きを行えるなどのメリットがあります。これまで理事長の負担が多かったこれらの手続きを分担できるため、より安定して管理組合を運営できるでしょう。
ただし、法人化には費用が手間がかかるのも事実です。メリットとデメリットの両方を把握し、マンション管理組合の法人化を検討しましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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