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2023.06.26

マンションの坪単価とは?メリットや計算方法、坪単価の相場も紹介

マンションの坪単価とは?メリットや計算方法、坪単価の相場も紹介

「坪単価はどういうときに使うの?」
「どうやって坪単価を計算すればよいのかわからない」
マンションを購入しようとするとき、坪単価という言葉を聞いてこのように悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

今回は、マンションの購入を検討するときに使われることが多い坪単価について解説します。坪単価の計算式や使用時のメリット、坪単価を比べるときの注意点も紹介していますよ。ぜひ最後まで目を通し、自分が納得できるマンション選びに役立ててください。

マンションの坪単価とは

マンションの坪単価とは

マンションの坪単価とは

マンションの坪単価とは、マンションの専有部分における1坪あたりの価格のことです。坪単価は、異なる条件のマンションの価値を比較するために用いられるのが一般的です。たとえばスーパーで、肉の価格を比べるときにグラム単価を確認するように、坪単価を見ればマンションの価値がわかりやすくなります。

 

そもそも「坪」とは、メートル法が導入される前の日本で使われていた「尺貫法(しゃっかんほう)」での面積の単位。尺貫法は、マンションや土地の売買などでは昭和34年から使用が禁止されています。しかし現在も業界の習わしによって、不動産の面積を表す際に坪数が使われることは珍しくありません。

 

坪単価を計算するためには、坪と平米(㎡)の関係を把握しておく必要があります。次に坪単価の計算方法について解説するので、マンションの購入を検討している人は一度目を通してみてください。

坪単価の計算方法

坪単価の計算方法

坪単価の計算方法

坪単価を計算するには、1坪が約3.3平米であることを知っておきましょう。

 

そのため、坪単価は「マンションの販売価格÷面積(平米)×3.3」という式で求められます。マンションの1平米あたりの価格を算出したあと、3.3倍することで平米単価から坪単価に換算する方法です。たとえば、床面積が70平米のマンションの販売価格が4,000万円の場合、坪単価を計算する式は以下のようになります。

 

4,000万円÷70平米×3.3=約1,885,714円

 

上記のとおり、床面積が70平米で販売価格が4,000万円の住戸の坪単価は、おおよそ188万円です。ただし前述のとおり、平米を坪に換算する際は小数点第二位以下を切り捨てた近似値を用いるため、数値に若干の誤差が生じることは覚えておきましょう。

鑑定士コメント

同じくらいの床面積でも、坪単価に差が出るのはなぜでしょうか?まずは建築本体工事費の影響があげられます。たとえばデザイナーズマンションのように一風変わった間取りの住戸などは、必要な材料が多く工事に手間もかかるため、建築費用が上がりやすいでしょう。また設備のグレードや構造、工法などによってもかかる費用が変わります。坪単価を比較するときは、床面積だけでなくそのほかの条件にも注目しましょう。

坪単価を活用するメリット

坪単価を活用するメリット

坪単価を活用するメリット

坪単価を活用するメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

 

・同じマンションの違う部屋を比較できる

・詳しくないエリアの相場を把握できる

・不動産会社の担当者と会話しやすくなる

 

それぞれの内容について詳しく解説するので、マンションの坪単価を把握するメリットを知って、マンション購入の際に役立ててください。

同じマンションの違う部屋を比較できる

坪単価を活用するメリットの一つ目は、同じマンション内の違う部屋が比較しやすくなることです。たとえば以下の2つの部屋で購入を迷った場合、どちらが安いかを考えてみましょう。

 

・610号室 65平米 4,700万円

・1510号室 75平米 5,000万円

 

販売価格だけを見ると、階数が高く部屋も広い1510号室のほうが高額であることがわかります。この価格を坪単価に換算すると、以下のとおりです。

 

・610号室 4,700万円÷65平米×3.3=約238万円/坪

・1510号室 5,000万円÷75平米×3.3=220万円/坪

 

坪単価では、610号室のほうが高額になります。販売価格での比較と坪単価での比較で状況が逆転する要因は、部屋の条件や設備などです。たとえば日当たりがよかったり角部屋だったりする住戸は、坪単価が上がる傾向があります。坪単価を見れば、価格に加味されている条件がわかりやすいでしょう。

詳しくないエリアの相場を把握できる

坪単価を活用する二つ目のメリットは、自分になじみのないエリアでもマンションの価格相場がわかることです。見知らぬ土地でも納得できる物件を探すためには、マンションの販売価格だけでなく、坪単価も検討材料としてチェックしましょう。

 

遠方に引っ越す場合など、実際にその土地に行ってマンションの周辺環境を確かめられない場合にも、坪単価が役立ちます。なぜならマンションの価値は、立地条件によっても変わる場合が多いからです。

 

都心や駅からのアクセスがよい・周辺環境が整っている・再開発が進められているなど、好条件の場所に建つマンションはそれだけ価値も高くなるのが一般的。坪単価を見れば、価格に反映されている立地条件も把握しやすくなります。

不動産会社の担当者と会話しやすくなる

不動産会社の担当者と会話しやすくなる

不動産会社の担当者と会話しやすくなる

三つ目のメリットは、マンションの坪単価を理解していれば、不動産会社の担当者との会話がスムーズになることです。マンションの購入について不動産会社に相談するときは、担当者との会話のなかで坪単価の話題が出ることも多いでしょう。

 

たとえば「このエリアの坪単価は150万円です」などと言われたときに、自分が坪単価をどの程度わかっているかで、話の理解度が変わります。相手の話が理解できなければ、自分にとってどのマンションがベターなのかを判断しにくくなることも。

 

自分のぴったりのマンションを選ぶためには、不動産会社に相談する前に、坪単価について把握しておくことをおすすめします。

新築マンションの坪単価相場

新築マンションの坪単価相場

新築マンションの坪単価相場

新築マンションの坪単価の相場は、地域によって変わります。2023年第1四半期(1〜3月)における新築マンションの坪単価を地域ごとに紹介するので、自分が住んでいる場所や、引っ越し予定の地域の価格を参考にしてください。

 

まず、首都圏の該当期間における新築マンションの坪単価は445.4万円でした。前期比としては+ 28.2%の価格となり、首都圏では3期連続でプラスになっています。坪単価が上がった原因は、東京都の供給戸数シェアが増えたことや、高級物件から坪単価1,000万円以上の住戸が多く売り出されたことなどです。

 

近畿圏における坪単価は266.3万円。前期比-1.5%の数値で、近畿圏では4期ぶりに減少しています。大阪府や兵庫県で供給戸数が減ったことや、大手デベロッパーの供給戸数シェアが大幅に縮小したことなどが原因です。

 

また、中部圏の新築マンションの坪単価は231.7万円で前期比-2.7%と、近畿圏と同じく減少しています。中部圏全体での供給戸数が少なく、特に高級物件からの目立った供給がなかったことが理由として挙げられるでしょう。

 

2023年5月東京カンテイ調べ

中古マンションの坪単価相場

中古マンションの坪単価相場

中古マンションの坪単価相場

2023年第1四半期(1〜3月)における中古マンションの坪単価相場を、首都圏・近畿圏・中部圏にわけてご紹介します。中古物件を探している人は、目を通してみてください。

 

該当期間における首都圏の平均坪単価は227.7万円で、前期比+ 0.6%となり11期連続のプラス。築年数別では、築10年以内と築30年以内の中古マンションの坪単価が下落していますが、それ以外の築年数は上がっており需要が高まっていることがわかります。

 

近畿圏の平均坪単価は133.2万円で、前期比は-0.1%とわずかに減少しました。築年数別では、築5年以内と築10年以内の中古マンションの坪単価は下落し、それ以外の築年数では上昇率が縮小したものの価格は上がっています。

 

中部圏の中古マンションの平均坪単価は104.3万円です。前期比は+ 0.4%とわずかに上がっています。3期連続の上昇となりましたが、築10年以内のマンションに限っては13期ぶりに坪単価が下落しました。

 

2023年5月東京カンテイ調べ

坪単価を比較する際に注意したいポイント

坪単価を比較する際に注意したいポイント

坪単価を比較する際に注意したいポイント

マンションの坪単価を比較する際には、気をつけるべきポイントもあります。主な注意点は以下の3点です。

 

・「延べ床面積」「施工床面積」どちらを使用しているかを確認する

・インテリアなどの費用が含まれているかどうかを確認する

・マンションを選ぶ際は坪単価のみで判断しない

 

それぞれの内容について詳しく説明しますので、坪単価を比較する際には確認してみてください。

「延べ床面積」「施工床面積」どちらを使用しているか

マンション全体での平均坪単価を比べる際は、その坪単価が「延べ床面積」と「施工床面積」のどちらを基準に計算されているかを確認しましょう。延べ床面積とは、各階の床面積を合計した面積のことで、ベランダ・共用廊下・玄関ポーチなどの共用部分は含まれません。

 

施工床面積は、ベランダなどの共用部分も含め、実際に施工した部分全体を表すことが多い面積。そのため、延べ床面積より施工床面積のほうが数値は大きく、施工床面積を基準に計算した坪単価のほうが安くなるのが一般的です。

 

坪単価の算出方法には明確な決まりがなく、どちらの面積を使うかは住宅会社によって違います。坪単価を比較する際は、事前に担当者に確認しておきましょう。なお以下の記事では、延べ床面積についてより詳しく解説しています。気になる人はチェックしてください。

延べ床面積とは?建築面積・敷地面積との違いや含まれない部分を解説

インテリアなどの費用が含まれているかどうか

坪単価を比較する際には、インテリアなどの費用が含まれているかどうかも確認しましょう。坪単価は、建築費用のみを用いる場合が多いものの、住宅会社によっては備え付けの家具家電・照明・カーテンなどの費用も含めて計算している場合があります。

 

インテリアの費用を含めて計算した坪単価は、建築費用のみを用いて計算したものより高額になりがち。基準となる費用が違えば、正しく比較検討ができません。マンションの坪単価を比較する際は、提示されている坪単価に建築費用以外のものが含まれているかどうか、住宅会社に確認してください。

マンションを選ぶ際は坪単価のみで判断しない

マンションを選ぶ際は坪単価のみで判断しない

マンションを選ぶ際は坪単価のみで判断しない

マンションを選ぶ際は、坪単価だけを見て判断するのは避けましょう。坪単価は、複数のマンションを比べる際の一つの目安として役立ちますが、それだけでは本当に自分にとって住みやすいマンションかどうかは判断できません。

 

マンションを購入する際にチェックしておくべきポイントは、間取り・部屋の方角・周辺環境・立地条件・災害時のリスクなどさまざま。坪単価が予算に合っていても、そのほかの条件が希望に合っていなければ、実際に移り住んだときに不便さを感じてしまいます。

 

マンションの購入は、多くの人にとって一生ものの大きな買い物。坪単価ももちろん重要ですが、そのほかの条件にも目を向け、実際に住んだあとのことをよく考えて選びましょう

鑑定士コメント

一般的に階数は坪単価に影響する大きな要因と言えます。例えば、戸建て住宅の場合、基礎工事は平家よりも2階建のほうが坪単価は低くなりやすいでしょう。なぜなら総坪数が同じでも、1階だけで60坪建てるのと、2フロアにわけて60坪(1階に30坪・2階に30坪)建てるのとでは「基礎」の施工面積が違うからです。一方で、2階建の場合、平屋よりも足場を組む費用であったり、外壁の面積が大きかったり耐震面から柱を増やす必要があったり、と坪単価が高くなる要因もあります。これらがトータルに組み合わさって坪単価に影響するのです。

まとめ:マンション選びの比較検討に坪単価を活用しよう

まとめ:マンション選びの比較検討に坪単価を活用しよう

まとめ:マンション選びの比較検討に坪単価を活用しよう

分譲マンションの購入にあたって複数の物件を比較する際は、坪単価を活用しましょう。複数のマンションにおいて、単純に販売価格で比べた場合と坪単価で比べた場合では、どちらが安いかが変わる場合があります。

 

坪単価を活用すれば、間取りや周辺環境などの条件がどのように価格に影響しているのかわかりやすくなる点がメリットです。より正確に坪単価を比較するための注意点を把握して、自分に合ったマンションを選び、住みやすい新居を手に入れてください。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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