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2023.08.23

大規模修繕工事とは?必要な理由や費用・施工の流れを6ステップで解説

大規模修繕工事とは?必要な理由や費用・施工の流れを6ステップで解説

建物の劣化を防ぐために行われる大規模修繕工事。具体的にどのような工事をするのか、どのような流れで進められるのかなど、気になる人も多いことでしょう。

この記事では、大規模修繕工事の概要や主な内容、工事時の流れについて徹底解説します。大規模修繕工事が必要である理由や、工事にかかる費用なども紹介。

この記事を読めば、大規模修繕工事に関する正しい理解を深められるでしょう。大規模修繕工事について知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。

大規模修繕工事とは建物の劣化を防ぐ工事

大規模修繕工事とは建物の劣化を防ぐ工事

大規模修繕工事とは建物の劣化を防ぐ工事

大規模修繕工事とは、経年劣化による建物の劣化を防ぐために行われる工事です。普段は工事が難しい建物本体の修繕や、共用部分の改修などを実施します。工事をする頻度は建物により異なりますが、長期修繕計画作成ガイドラインに則り、一般的には12年の周期で行われています。(※)

 

大規模修繕工事を実施するためには、住民の同意が必要です。同意を得るために説明会を開くケースも多いため、工事を計画してから着工までは、一般的に1年以上かかります。工事開始から完了までの期間はマンションの規模に左右され、50戸を超えるマンションならば4ヶ月以上かかるでしょう。

 

※参照:国土交通省

大規模修繕工事が必要な2つの理由

大規模修繕工事が必要な2つの理由

大規模修繕工事が必要な2つの理由

大規模修繕工事が必要である主な理由は、以下の2つです。

・劣化した部分を修復するため

・建物の資産価値を守るため

それぞれ詳しく解説します。

 

①劣化した部分を修復するため

大規模修繕工事を行う理由の一つは、劣化した部分を修復するためです。最初はどれだけきれいな建物でも、時間が経過するにつれて劣化します。長期間にわたり日光や風雨にさらされるため、さまざまな部分に汚れや傷が付いてしまいます。具体的には、以下のような箇所が劣化しやすいです。

共有部分

外壁・屋根・給排水設備・エレベーター・共用廊下・エントランス・オートロックなど

専用使用部分

外側の玄関ドア・バルコニーの床や手すり・駐車場・トランクルームなど

劣化部分の修繕は、事故の防止にもつながります。たとえば、外壁の劣化が著しい場合、タイルが剝がれ落ち通行人に被害が及ぶ危険性が考えられます。事故を未然に防ぐためにも、大規模修繕工事は必要です。

②建物の資産価値を守るため

大規模修繕工事をすることは、建物の資産価値を守るためでもあります。工事を実施しないと、経年に伴ってさまざまな箇所が劣化し、見た目も損なってしまうでしょう。設備故障による生活面への支障も想定されるため、放っておくと建物の資産価値が下がってしまいます。

 

このような資産価値の低下を防ぐためには、大規模修繕工事が必要です。外壁の工事により建物がきれいになれば、イメージ向上が期待できます。バリアフリー設備や防犯設備のさらなる導入も、建物の資産価値向上に一役買うでしょう。

 

大規模修繕工事の費用は規模によって異なる

大規模修繕工事の費用は規模によって異なる

大規模修繕工事の費用は規模によって異なる

大規模修繕工事にかかる費用は、1戸あたりの費用で考えるため、建物の規模に大きく左右されます。1戸あたりの工事金額は、マンションにより異なりますが、多くの場合75万円~125万円が相場です。(※)

 

一般的に、工事にかかる費用はマンション管理組合が毎月集めて積み立てている修繕積立金から捻出されます。しかし、それだけでは足りない場合には追加で費用を徴収する場合があります。

 

修繕積立金については「修繕積立金とは?相場や値上げ・返金はされるのかを徹底解説」で詳しく解説しているので、興味がある人は併せてご覧ください。

 

※参照:国土交通省

大規模修繕工事の主な5つの内容

大規模修繕工事の主な5つの内容

大規模修繕工事の主な5つの内容

大規模修繕工事の代表的な内容として、以下の5つが挙げられます。

下地補修工事

タイル補修工事

シーリング工事

外壁塗装工事

防水工事

それぞれの内容を詳しく解説します。

 

①下地補修工事

下地補修工事とは、外壁や屋根の塗装前に、細かなひび割れなどを補修する工事です。外観をきれいにし、強度を向上させるのはもちろん、塗装の仕上がりを良くする効果もあります。

 

下地補修工事を実施しないと、どれだけ丁寧に塗装を行っても、下地が不十分な状態であるためすぐに劣化しやすいです。見た目の問題だけでなく、耐久性といったマンションの寿命にも影響しています。

 

②タイル補修工事

タイル補修工事とは、タイルの劣化や浮きを補修する工事です。見た目に問題がなくても、タイルが下地から浮いていたりひび割れしていたりするケースがあるので、作業員が打診などで確認します。

 

タイルがひび割れたままの場合、雨水が入りコンクリートを傷めかねません。タイルが落下し下を歩く人に当たるリスクも考えられます。耐久性や安全性の観点からも、タイル補修工事は必要です。

 

③シーリング工事

③シーリング工事

③シーリング工事

シーリングとは、外壁のタイルの間をつなぐゴムのような素材です。シーリングは時間が経つと硬くなり、ひびが入りやすくなるため、定期的に新しくする必要があります。ひび割れたままの場合、シーリングの隙間から雨水が入り込み雨漏りにつながる恐れも。

 

シーリングを新しくすると、室内への雨水やホコリの侵入を防げます。また、シーリングにより建物の気密性が高くなるので、断熱効果も期待できるでしょう。

 

④外壁塗装工事

建物の外壁には、外観を保つことはもちろん、防水や断熱などの機能的な役割も備わっています。快適な住環境をキープするためにも、外壁の塗装工事は必須です。もし工事を怠ってしまうと、雨水の侵入によるコンクリートの劣化といった問題が発生します。

 

外壁塗装工事では、最初に下地と塗料の接着力を確認します。十分な接着力があればそのまま塗料を塗り重ね、接着力が不十分の場合は一旦塗料を取り除き、新たに塗装する流れです。

 

⑤防水工事

防水工事とは、屋上やバルコニー、廊下などを雨水から守るために実施する工事です。「シート防水」や「FRP防水」などさまざまな種類の防水方法があり、それぞれ工法や費用などが異なります。

 

防水工事をしない場合、雨水が内部に容易に入り込み、コンクリートが劣化しやすくなるでしょう。防水層に破れやしわなどがある場合は、できるだけ早い補修が求められます。

 

鑑定士コメント

築年数が経過するほど、建物の劣化が進行しているので、大規模修繕の工事の規模は大きくなるのが一般的です。2回目の工事では、1回目よりも踏み込んだ工事になるでしょう。具体的には、外壁の補修に加えて、給水管の交換工事などが建物内部の設備交換が挙げられます。したがって、1回目よりも、工事期間は長く費用も高くなりがちです。

大規模修繕工事の流れを6ステップで解説

大規模修繕工事の流れを6ステップで解説

大規模修繕工事の流れを6ステップで解説

大規模修繕工事は、以下のような流れで進められます。

1.住民で大規模修繕委員会を結成する

2.業者に建物の現地調査をしてもらう

3.大規模修繕工事の実施計画と方針を決定する

4.見積もりを取得して施工会社を決定する

5.住民説明会を実施する

6.大規模修繕工事を実施する

それぞれのステップを詳しく解説します。

 

①住民で大規模修繕委員会を結成する

大規模修繕工事を円滑に進めるため、住民で大規模修繕委員会を結成します。委員会への参加資格があるのは、毎月修繕積立金を払っている管理組合員です。委員会は工事予定時期の数年前から発足され、一般的に管理組合の理事会とは別で組織します。

 

ただし、委員会に十分な人数が集まらないケースもあるでしょう。委員会が立ち上がらなかった場合は、管理組合の理事会を中心として、マンションの管理会社と相談しながら計画を進めます。

 

マンションの管理組合については、こちらの記事をお読みください。

マンションの管理組合とは?役員の役割やよくあるトラブルも紹介

②業者に建物の現地調査をしてもらう

大規模修繕工事の前には、業者による建物の現地調査が実施されます。現地調査でチェックされるポイントは、共用設備の劣化具合や、改修が必要とされる箇所の現状などです。調査により、工事にかかる費用のおおよその目安が分かります。

 

建物の現地調査を行うのは、主に大規模修繕を専門とするコンサルティング会社や建設会社、施工会社です。一般的には、複数の会社に調査見積もりを取ったうえで、大規模修繕委員会が調査の依頼先を決めます。

 

③大規模修繕工事の実施計画と方針を決定する

③大規模修繕工事の実施計画と方針を決定する

③大規模修繕工事の実施計画と方針を決定する

現地調査で建物の現状を把握した後は、調査報告をもとにして大規模修繕工事の実施計画と方針を決めます。計画を立てる際には、予算や見積もりを踏まえた金銭面の計画も重要です。どうしても修繕積立金で賄えない場合には、住民から追加で費用を集めることを考えなければなりません。

 

工事の計画や方針が決まれば、委員会は管理組合の総会を開催します。総会で組合員からの同意を得られれば、無事に計画は決議されます。

 

④見積もりを取得して施工会社を決定する

工事計画が決まり次第、複数の施工会社に見積もりを依頼します。取得した複数の見積もりを比較するポイントは、工事の詳細や方法、工事にかかる期間や費用などです。場合によっては、コンサルティング会社に業者選びを任せてもいいでしょう。

 

工事の時期によっては、建設ラッシュの影響でなかなか見積もりが取れない可能性もあります。業者選びで焦らなくてもいいように、早めに動き出すことが大切です。

 

⑤住民説明会を実施する

実際に大規模修繕工事が始まる前には、住民説明会を実施しなければなりません。説明内容は、工事のスケジュールや内容、工事中に気をつけるべき点などです。

 

大規模な工事のため、日常生活に支障が出ることが想定されます。工事中にトラブルが発生するのを防ぐためにも、住民説明会は必要です。委員会のメンバーならばもちろんですが、住民側だとしても必ず出ましょう。

 

⑥大規模修繕工事を実施する

⑥大規模修繕工事を実施する

⑥大規模修繕工事を実施する

入念な準備のうえ立てた計画をもとに、大規模修繕工事が実施されます。工事が開始されてから委員会が果たすべき役割は、工事の進捗確認です。住民から工事に関する意見や要望があった場合には、業者に伝える役割も担っています。

 

工事期間を決定づける要因は、マンションの規模と修繕箇所の個数です。大規模なマンションであったり、工事すべき箇所が多かったりする場合、工事が完了するまでに1年以上要する可能性もあります。

 

鑑定士コメント

大規模修繕工事では、外壁やベランダの工事も行われます。自宅のベランダに作業員が入ってくるため、洗濯物をベランダで干せなくなるでしょう。臭いや粉塵が室内に侵入するのを防ぐため、窓を開けられない時間もあります。工事施工会社が回覧版や張り紙などでお知らせしていますので、確認し、不明点があれば記載されている施行会社の連絡先に問い合わせするとよいでしょう。

まとめ:建物の耐久性を維持するためには大規模修繕が必要

まとめ:建物の耐久性を維持するためには大規模修繕が必要

まとめ:建物の耐久性を維持するためには大規模修繕が必要

建物の耐久性を維持するためには、定期的な大規模修繕工事が必要です。工事をしない期間が続くと建物の劣化が激しくなり、事故発生リスクが上がったり、資産価値が下がったりしてしまいます。

 

大規模修繕工事で行われる工事の内容は多岐にわたり、工事までの準備も大変です。工事の計画を立てても、住民から反対意見が出る可能性もあります。余裕を持って大規模修繕工事を実施するためにも、早めに準備を始めましょう。

 

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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マンションの「修繕積立金」にみられる傾向として明らかに間違っているものは、次のうちどれですか?

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