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2023.03.27

壁断熱とは?マンションで断熱材が入っているかどうかチェックする方法を解説

壁断熱とは?マンションで断熱材が入っているかどうかチェックする方法を解説

マンションを選ぶ上で、断熱性能を確認することは大切です。断熱性能の高さは普段の生活に関わる重要な要素であり、断熱性能が低いと室内で快適に過ごせません。

本記事では、断熱とは何か、壁断熱の重要性や工法について詳しく解説します。マンションで壁に断熱材が入っているかを確認する方法も解説するので、マンション選びで困っている人はぜひ最後までご覧ください。

断熱とは何か?

断熱とは何か?

断熱とは何か?

断熱とは、文字通り「熱を断つ」という意味の言葉です。部屋の内と外で熱の移動を遮断して、室内が外気温の影響を受けないようにします。一般的に、住宅の断熱は断熱材を用います。部屋の内と外の間に熱伝導率の低い断熱材を置くことで、外気温が室内に伝わらないようになり、室内の温度が外に逃げないようになります。

 

断熱性が高いマンションには、さまざまなメリットがあります。まず、室内の温度が外に逃げないため、冷暖房の効率が良くなり電気代が節約できるでしょう。外気温の影響を受けにくいため、廊下などの空調がない場所でもある程度温度を保てます。室内の温度差が小さくなるため、結露などが起こりにくくなりカビの発生を抑えることもできるでしょう。

マンションで断熱性能が低いとどうなる?

マンションで断熱性能が低いとどうなる?

マンションで断熱性能が低いとどうなる?

マンションの断熱性能が低いと、下記のようなデメリットがあります。

 

・冷暖房の効率が悪くなる

・部屋が傷みやすくなる

 

断熱性能が低いと、部屋の中は「夏は暑く冬は寒い」状態になります。多くの人は、冷暖房を利用して室内を快適な温度にしようとするでしょう。しかし、断熱性能が低いと冷暖房を付けても熱が外に逃げやすく、外の温度も室内に入りやすいため、なかなか室内が快適な温度になりません。冷暖房の効率が悪くなると、電気代も余計にかかってしまいます。

 

また、カビなどが発生しやすくなり、部屋が傷みやすくなります。断熱性能が低いと、夏は湿った空気が外から入り、冬は室内の湿った空気が壁の中に入ってしまいます。湿った空気によって結露が発生してしまうと、カビの原因になって部屋が傷みやすくなり、劣化の原因になるでしょう。

マンションの壁断熱方法

マンションの壁断熱方法

マンションの壁断熱方法

マンションでよく用いられる鉄筋コンクリート造(RC造)は、木造などの他の構造と比べて断熱性があまりありません。そのため、壁断熱などで対策しなければ外気の影響を大きく受けてしまいます。

 

マンションの壁断熱には、下記2つの工法があります。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

 

・湿式工法

・乾式工法

 

なお、RC造については、以下記事で詳しく解説しています。

RC造とは?耐用年数やメリット・デメリットを詳しく解説

湿式工法

湿式工法とは、コンクリートやモルタルなどに断熱材を接着させる工法です。外壁を断絶剤で支える必要があるため、できるだけ軽量の材料を使用しなければなりません。また、透湿性のある断熱材が必要です。透湿性とは内側から外側へ水分を逃がす性質のことで、コンクリートに直接断熱材を接着する湿式工法では通気層がないため透湿性が欠かせません。

 

湿式工法では、室外に流れる水蒸気がコンクリートを通過して断熱材に直接接触してしまうため、水蒸気が通る場所で凍結が起こる可能性があります。凍結が起こると、凍害と呼ばれるコンクリート中の水分が凍結して膨張することによってコンクリートが劣化する現象が発生します。そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

乾式工法

乾式工法とは、支持金物をコンクリートに設置して断熱材を埋め込み、外側に外壁を施工する工法です。湿式工法とは異なり、断熱材と外壁の間に水蒸気を排出する通気層があるのが特徴で、湿式工法と比べて天候などに左右されずに施工できます。通気層があるため外壁の自由度も高く、メンテナンスも比較的簡単で部分的に行うことで費用を最小限に抑えることも可能です。

 

一方で、使用する支持金物や仕上げ材が高価なためイニシャルコストがかかるというデメリットもあります。また、外壁材や断熱材の制限はあまりありませんが、複雑な形状の建物への施工が難しく、デザインに制約を受ける可能性もあるでしょう。

鑑定士コメント

マンションにとって、効果的な断熱対策の一つが「外断熱」です。コンクリートの外側に断熱材を施工することで、コンクリートが外の温度の影響を受けにくくなります。とはいえ、マンションの断熱対策は壁だけではありません。窓でも断熱対策をすることで、部屋全体の断熱性能は上がるため、総合的に断熱対策することが重要です。

マンションで壁に断熱材が入っているかを確認する方法

マンションで壁に断熱材が入っているかを確認する方法

マンションで壁に断熱材が入っているかを確認する方法

マンションの内見などを行っても、壁に断熱材が入っているかを目視で確認するのは難しいでしょう。マンションで壁に断熱材が入っているかを確認するには、下記の3つの方法があります

 

・築年数から想定する

・住宅性能表示制度をチェックする

・内断熱マンションと外断熱マンションをチェックする

築年数から想定する

築年数から、断熱材が入っているかをある程度判断することができます。現在では省エネ効果もあることから導入されていることが当たり前の壁断熱ですが、昔は今ほど当たり前ではありませんでした。

 

1980年以前は、寒冷地で導入されることはあったものの、基本的に首都圏などでは断熱材は入っていないことが多かったです。1980〜2000年頃になると、断熱ボードなどが施工され始めますが、中には断熱材が入っていないマンションもありました。

 

2000年4月に住宅品質確保促進法が施行されたことで、断熱材を入れる建設会社が増えはじめたため、2001年以降に建築されたマンションのほとんどは断熱材が入っています。このように、築年数で断熱材が入っているかを想定できます。

住宅性能表示制度をチェックする

住宅性能表示制度とは、住宅品質確保促進法の施行によって生まれた制度であり、住宅を購入する消費者が安心して質の良い住宅を購入できるように作られました。住宅性能表示制度を確認することで、窓ガラスなども含めた部屋全体の断熱性をチェックできます

 

住宅性能表示制度には、大きく「構造の安定」「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境」の項目があります。このうち、温熱環境が断熱にかかわる項目です。温熱環境のなかには「断熱性能等級」という項目があり、等級が高いほど断熱性能も高い部屋です。

 

住宅性能表示制度をチェックする際、注意しなければならないことがあります。それは、実際に購入を検討しているマンションの部屋の情報であるかということです。マンションには多くの部屋があり、部屋ごとに断熱性能が違う可能性があります。そのため、かならず購入を検討している部屋の情報をチェックしましょう。

内断熱マンションと外断熱マンションをチェックする

マンションの断熱には「内断熱」と「外断熱」の2種類があります。内断熱とは壁の内側に断熱材を施行する工法で、外断熱は壁の外側に断熱材を施行する工法です。マンションで一般的に採用される鉄筋コンクリート造で利用されるコンクリートには蓄熱性があり、温まりにくく冷めにくいという特徴があります。

 

そのため、一度外の熱をコンクリートが蓄熱してしまうと、冷暖房の効率が悪くなってしまいます。内断熱はコンクリートが外の空気に直接触れるため、外の気温の影響を受けやすいです。外断熱は外の空気と触れないため、一般的には外断熱のほうが有利だといわれています。

 

断熱材が入っていても外断熱と内断熱で効果が違うため、どちらの断熱が導入されているかもマンションの断熱性能をチェックするポイントです

鑑定士コメント

マンションの断熱性能で参考になるのが、「住宅性能表示」です。これは国が定めた基準により、第三者の専門機関「住宅性能評価機関」が一定の基準に沿って評価する制度です。住宅性能表示をチェックすることで、マンション全体の断熱性能を確認できます。断熱性能は、壁断熱以外にも窓や天井、床などさまざまな場所の断熱によって決まります。そのため、総合的に断熱性能を確認できる住宅性能表示のチェックは欠かせません。

マンションでも壁断熱リフォームできる

マンションでも壁断熱リフォームできる

マンションでも壁断熱リフォームできる

気に入ったマンションがあるけど、壁断熱が入っていなかったという場合もあるでしょう。マンションでも、壁断熱のリフォームは可能です。ただし、マンションによってはできない場合もあるため、かならず事前に壁断熱リフォームができるかを確認しておきましょう。

 

鉄筋コンクリート造のマンションでは外断熱が効果的ですが、戸建てと違い外側から自由に工事を行うことができません。そのため、内断熱のリフォームを行うことになるでしょう。内断熱には、先述した「湿式工法」と「乾式工法」があります。ただし、8階以上の部屋では湿式工法での施行ができないため注意しましょう。

中古マンションの壁断熱リフォームする場合の費用

中古マンションの壁断熱リフォームする場合の費用

中古マンションの壁断熱リフォームする場合の費用

壁断熱リフォームをする際、気になるのが費用でしょう。壁断熱リフォームの費用は1㎡あたりおよそ7,000~30,000円です。費用は工法や断熱材の種類などによって大きく変わります。また、内断熱の工事期間中は部屋の中で生活できません。工事範囲にもよりますが、2週間~1か月ほどの工事期間になるため、その間の仮住まいの費用なども予算に組み込んでおきましょう。

 

断熱のためのリフォームは、補助金を利用できる場合があります。補助金の条件には一定の省エネ効果が必要になるため、施工会社に相談してみましょう。

 

まとめ:壁断熱がされていない場合はリフォームも検討してみよう

まとめ:壁断熱がされていない場合はリフォームも検討してみよう

まとめ:壁断熱がされていない場合はリフォームも検討してみよう

壁断熱は、普段の生活にも密接にかかわる重要な要素です。マンションを選ぶ際は、かならず壁に断熱材が入っているかを確認しましょう。壁断熱されていると、冷暖房の効率が上がり節電にも繋がります。

 

中には、気に入ったマンションに断熱材が入っていない場合もあります。多くのマンションでは壁断熱リフォームが可能なので、リフォームも検討しましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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建物の構造体の役目について、間違っているものは次のうちどれですか?

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解説

建物の構造体は建物の利便性を確保するものではありません。

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