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2023.02.09

欠陥マンションに出会ってしまったら?見分けるためのポイントも解説

欠陥マンションに出会ってしまったら?見分けるためのポイントも解説

「欠陥マンションとはどんなマンションのこと?」
「欠陥マンションを選ばないためのコツは何?」
など、マンションを購入するにあたって不安に感じていませんか?

今回は欠陥マンションとは何かをはじめ、欠陥マンションを見分けるポイントや購入してしまった場合の対応方法などを解説します。マンション選びの際にぜひ参考にしてみてください。

欠陥マンションとは

欠陥マンションとは

欠陥マンションとは

欠陥マンションは本来あるべき安全性が欠けているマンションのこと。欠陥は法律用語では「瑕疵」や「契約不適合」とも言い、マンション売買の契約時には想定していなかった欠陥を意味します。

 

耐久性や耐震性、耐火性、遮音性などで、マンション売買を契約した時点では想定していない欠陥があることを指します。

 

欠陥の原因には施工不良(手抜き工事)やデータ改ざんなどがあり、雨漏りやシロアリ、壁の亀裂、排水不良などの欠陥にもつながります。設計図や契約書にある設備がないケースもあるので注意が必要です。

 

万が一欠陥マンションを購入してしまった場合には、売り主が契約不適合責任を負います。売り主は、しっかりと対処することにより責任を追求可能です。ただし、新築分譲マンションや中古マンションで対応方法が異なります。

欠陥マンションの対応方法(新築分譲マンション)

欠陥マンションの対応方法(新築分譲マンション)

欠陥マンションの対応方法(新築分譲マンション)

まずは、新築分譲マンションの欠陥マンションに対応する方法について解説します。

欠陥マンションは誰が保証する?

新築分譲マンションの場合、欠陥マンションは基本的に売り主であるディベロッパー(不動産開発業者)が保証責任を負っています。たとえ欠陥の原因が施工業者にあったとしても、マンション購入者に対してはディベロッパーが責任を負うのが特徴です。その後にディベロッパーが欠陥の原因を作った施工業者に対して損害賠償を請求します。

 

どこまで保証されるのかについては住宅購入者を保護する法律として定められた「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」にて、10年間の瑕疵担保責任を負うことと規定されています。(※)

 

また特例により逃れられない強行規定であるのも特徴で、当事者の意思に左右されずに強制的に適用されます。

 

※ 参照:国土交通省

 

分譲マンションとは何かは、こちらの記事で解説しています。

分譲マンションとは?賃貸との違いや物件の選び方も紹介

住宅瑕疵担保履行法とは

住宅瑕疵担保履行法は、2007年3月に成立した住宅購入者の利益を保護するための法律です。2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、住宅の主要構造部分や設計・施行ミスなどによる欠陥(瑕疵)には10年間の瑕疵担保責任を負うことが定められています。

 

ただし、2005年に起きた構造計算書偽装問題をきっかけに、売り主が瑕疵担保責任を十分に果たせない場合、結局住宅購入者が多額の負担を背負わざるを得ない状態になることが明らかになりました

 

そうした購入者を救済するために住宅瑕疵担保履行法が定められ、売り主が瑕疵担保責任を果たすための資力を確保することが義務付けられました。ちなみに住宅瑕疵担保履行法は2009年10月1日から施行されています。(※)

 

※ 参照:国土交通省

 

住宅瑕疵担保履行法について以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

住宅瑕疵担保履行法とは?知っておきたい内容をわかりやすく解説

万が一、欠陥マンションを購入してしまった場合に備えて、以下の資料もぜひチェックしてみてください。

欠陥マンションを買ってしまったら

主要構造部分の瑕疵とは何か

主要構造部分の瑕疵は構造上の欠陥による強度低下や雨水の染み込みなどを指し、具体的には柱や基礎、外壁、屋根などの欠陥です。主要構造部分は建築基準法にて定められており、特に構造強度において重要となる部分を指します。構造上重要ではない床や間柱、つけ柱などは対象外です。

 

主要構造部分の欠陥が引っ越し後10年以内に見つかった場合は、売り主が補修しなくてはなりません。マンションの場合は主要構造部分を補修するのに多額の費用がかかる傾向にあり、売り主側は補修するために資金を確保しておくことが求められます。

 

ただし品確法では主要構造部分以外の瑕疵は保護されていないため、専用部分の住宅設備の欠陥は対象外となるので要注意です。この部分は宅地建物取引業法や分譲会社によるアフターサービスなどにより保護されるケースが多いので確認しておくといいでしょう。

欠陥マンションの対応方法(中古マンション)

欠陥マンションの対応方法(中古マンション)

欠陥マンションの対応方法(中古マンション)

次に、中古マンションの欠陥マンションに対応する方法について解説していきます。誰が保証するのかは新築分譲マンションとは異なるので要注意で、また民法が改正されたことにより救済手段が増えたので知っておくといいでしょう。

欠陥マンションは誰が保証する?

中古マンションの場合は新築分譲マンションとは違い、品確法が適用されないので注意が必要です。中古マンションの欠陥では民法の契約不適合責任に根拠を求めることになり、原則として買い主が不適合を知ったときから1年以内に通知すれば、売り主は責任を負わなくてはならないと定められています。

 

ただし必ずしも適用されるわけではない点には要注意で、民法の契約不適合責任の規定は任意規定であるため、特約により変更・修正することが可能です。個人が取引する場合には売り主が契約不適合責任を負う期間を引っ越し後3ヶ月間とすることや、売り主は契約不適合責任を負わないことを特約として結ぶことも認められています。

民法の改正で買主の救済手段が増えた

瑕疵担保責任が認められる範囲として、2020年4月1日までは引き渡されるまで気づかなかったけど隠れた瑕疵があった場合に限られていました。隠れた瑕疵はマンションの売買契約を結んだ時点で、買い主が知らなかった・知り得なかった場合を指します。そのため内覧や重要事項説明などにより知り得た場合は認められず、内装や建具などの明らかな傷や不具合も隠れた瑕疵には含まれません。

 

このように隠れた瑕疵は曖昧で立証することが難しいところもあるほか、特約が認められていることからも、買い主が欠陥を指摘して保証してもらうのはハードルが高い状態にあります。

 

ただし、民法が2020年4月1日より大きく改正したことで、瑕疵担保責任という概念も廃止されて契約不適合責任という考えに変わりました。これにより瑕疵が隠れていてもいなくても欠陥があれば、売り主は契約不適合責任を問われるほか、追完請求(補修費用請求)や代金減額請求が可能になったので救済されやすくなったといえます。

鑑定士コメント

欠陥マンションのトラブルは個人1人で解決するには、荷が大きすぎます。まずは、マンション内で同じトラブルに合っている区分所有者がいれば、結束するのが良いでしょう。その上で、国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどに相談するのがおすすめです。弁護士に相談したい場合は、まずは法テラスに相談してみるといいでしょう。

欠陥マンションを見分けるポイント

欠陥マンションを見分けるポイント

欠陥マンションを見分けるポイント

欠陥マンションを見分けるポイントにはコンクリートの亀裂や雨漏れのカビ、タイルの剥がれなどがあります。しっかりと内覧時にチェックしておくことで、欠陥マンションを選んでしまったという後悔を減らせるので確認しておくといいでしょう。

 

  ・コンクリートのひび割れや亀裂

  ・雨漏りの跡やカビ

  ・床や柱の傾き

  ・タイルの剥がれ

  ・中古マンションは管理状態もチェック

コンクリートのひび割れや亀裂

欠陥マンションを見分けるポイントとして分かりやすいのがコンクリートのひび割れや亀裂で、外壁や階段・廊下と住居の間などにあるコンクリートをチェックするといいでしょう。

 

コンクリートにひび割れや亀裂が生じる理由には設計ミスにより過大な負荷がかかったことや、十分な強度のないコンクリートを使用したこと、地盤沈下によるマンションの歪みなどがあります。

 

コンクリートは永久に使用できる部材ではなく乾燥や温度変化などでもひび割れを起こすケースがあり、必ずしもひび割れがあれば絶対に欠陥マンションだとはいい切れません。ただし築年数が浅いのにひび割れが目立つ、短期間でひび割れしている部分が増えたなどといった場合は欠陥マンションの可能性があるので要注意です。

雨漏りの跡やカビ

雨漏りの跡やカビがある場合も欠陥マンションを疑ってみるのがおすすめで、雨漏りが生じていると部屋全体の劣化を進行させる可能性もあります

 

雨漏りの原因になるのは屋根や外壁、屋上、ベランダなどの風雨や紫外線の影響を受けやすい場所で、雨水が侵入して停滞するとカビや腐食を生じさせるリスクもあります。専用部分の管理不足により近隣住宅に雨漏りを生じさせた場合には、損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。

 

マンションの内部からチェックする場合は壁やサッシ周りに染みがないか、外部からはベランダの溝や排水溝、室内とベランダの間にあるサッシの下側などが傷んでいないかを確認してみるのがおすすめです。

床や柱の傾き

床や柱の傾き

床や柱の傾き

欠陥マンションかどうかを見分けるために床や柱の傾きを確認するのもおすすめで、もし傾ていたらマンションの強度に悪影響を及ぼすリスクがあります。マンションは基本的に水平時を想定した強度で設計されており、床や柱に傾きがあると設計時に想定していない負荷がかかる可能性が高いです。

 

また人によっては傾いていることにより頭痛や吐き気、めまいなどの症状を引き起こされるリスクもあります。床や柱の傾きがひどいと睡眠障害になるケースもあるので要注意です。

 

床や柱の傾きをチェックするには水平器で測る、ビー玉やゴルフボールを置くなどといった方法が効果的です。最近はスマホアプリでも簡単に測れるので、内覧時にもチェックしてみるといいでしょう。

タイルの剥がれ

タイルが剥がれていないかも欠陥マンションの見分けポイントで、タイルの剝がれが目立つマンションは危険です。タイルが剥がれる原因は経年劣化や施工不良などで、タイルが剥がれ落ちた場合には怪我させてしまうリスクもあります。

 

タイルの剝がれを確認するためには、タイルが浮いているかをチェックしてみるのがおすすめです。タイルが浮いている場合はしっかりと張り付いていない可能性があり、タイルの浮きは目視だけでなく打鍵棒で叩いてみるのも効果的で、タイルを叩いた際の音により判断できます。

 

約1~2枚のタイルが浮いている程度であれば問題ありませんが、全体の5〜10%程度以上浮いている場合は危険と捉えておくといいでしょう。

中古マンションは管理状態もチェック

中古マンションの欠陥マンションをチェックするには管理状態を確認するのもポイントで、管理状態はマンションの状況により大きく異なります。主な原因は経年劣化で、そのまま放置していると問題を引き起こす可能性があるので要注意です。

 

マンションの管理状態をチェックするには共用部分にゴミが落ちていたり散らかっていたりしていないか、長期修繕計画が立てられているか、大規模修繕が計画通りに実施されているかなどを確認してみるといいでしょう。

 

ちなみに大規模修繕計画は10~12年程度の周期で行われるのが一般的で、それよりも長い期間修繕されていない場合はずさんな管理状態である可能性があります。また、大規模修繕の場合は費用が100万円以上かかるケースもあるので注意が必要です。

マンションの内覧会でチェックすべきポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。

マンションの内覧会でチェックすべきポイントとは?役立つ持ち物も紹介

万が一、欠陥マンションを購入してしまった場合に備えて、以下の資料もぜひチェックしてみてください。

欠陥マンションを買ってしまったら

また、中古マンションを内覧する際のチェックポイントをまとめた、以下の資料もぜひ活用してください。

中古マンションのCHECKPOINT(一棟:共有部編)

中古マンションのCHECKPOINT(専有部分/住宅設備編)

鑑定士コメント

まずは管理組合でしっかりとした管理がされているかの確認が必要です。きちんと管理されているかを見極める方法には修繕計画があるか、必要な修繕費を積み立てているかなどがあります。また、個人で欠陥チェックを網羅するには限界があります。インスペクションを請け負っている業者など第三者機関に依頼するもの1つの方法です。

中古マンションを安心して購入するために

中古マンションを安心して購入するために

中古マンションを安心して購入するために

中古住宅売買瑕疵保険

中古住宅売買瑕疵保険は中古住宅の検査と保険がセットになった保険制度で、国土交通省の主導により2010年4月から開始されました。(※)

 

国が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人が提供している保険で、加入するには専門建築士による検査に合格することが必要であるため、買い手にとっては安全性が確認されたマンションを購入できるのがうれしいポイントです。

 

また保険に加入している中古住宅において主要構造部分の瑕疵が確認された場合には、保険金が支払われます。そのため後日欠陥が見つかった場合にも安心でき、欠陥トラブルを避けたい人にとってはぴったりです。

 

※ 参照:国土交通省

住宅設備保証

住宅設備保証は大手不動産仲介会社が2012~13年頃にはじめた住宅設備に特化したサービスで、中古マンション購入後に住宅設備が故障した場合の修繕費用を保証してくれます。ちなみに今では、中堅不動産仲介会社も取り扱っているケースが多いです。

 

中古マンションはマンション自体だけでなく住宅設備も中古であるため、購入時は正常に稼働していても翌日に故障してしまう可能性もなくはないです。住宅設備保証があると、保証期間内に生じた不具合は無償で修理してくれるので安心できます。

 

ただし保証内容や保証期間、修繕費用の上限、免責事項などは仲介会社により異なるので、しっかりと比較しながら検討してみることが大切です。

まとめ:欠陥マンションに出会わないための準備はしっかりしておこう

まとめ:欠陥マンションに出会わないための準備はしっかりしておこう

まとめ:欠陥マンションに出会わないための準備はしっかりしておこう

欠陥マンションとは本来あるべき安全性が欠けているマンションで、耐久性や耐震性、遮音性などに問題があるケースが多いです。欠陥の原因には施工不良やデータ改ざんなどがあり、できるだけ欠陥マンションに出会わないように準備することが大切。コンクリートのひび割れや雨漏りのカビなどが見分けるポイントです。

 

また欠陥マンションに出会ってしまった場合は、新築分譲マンションや中古マンションでは対応が異なるので注意が必要です。ただ、しっかりと対応すれば欠陥に対する責任を負ってもらえるので、あらかじめ保証内容について知っておくといいでしょう。

 

中古マンションの場合はより安心して購入できる保険制度も用意されているので、欠陥マンションに不安がある人はチェックしてみてください。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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