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更新日:2025.09.26
登録日:2025.09.26
【補修と修繕の違い】知らないと損!マンションの資産価値を守る言葉の正しい意味

「補修と修繕の違いって何?」
「補修や修繕工事は誰の責任で行われるの?」
マンションの補修や修繕について、言葉が似ていてそれぞれの違いが分からないとお困りの人もいるでしょう。
本記事では、補修と修繕の違いや、具体的な工事内容、修理や改修など混同しやすい言葉の違いを解説します。大規模修繕や長期修繕計画書について、補修や修繕を行う際の責任の所在についてもまとめました。補修や修繕の違いについて知りたい人はぜひご覧ください。
【この記事でわかること】
・補修は応急処置的な工事、修繕はマンションの資産価値を守る工事
・専有部分は所有者の責任、共用部分は管理組合の責任でメンテナンスや設備更新を実施する
・長期修繕計画書は、大規模修繕の計画を長期的な視点でまとめたもの
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一目でわかる!補修と修繕の違い

一目でわかる!補修と修繕の違い
マンションの補修と修繕はよく似た言葉に見えますが、目的や内容はやや異なります。それぞれの違いを表にまとめたので、違いをチェックしてみましょう。
※横にスクロールできます。
補修と修繕は、マンションの設備や性能をメンテナンスする部分では同じですが、工事内容や目的が異なることが分かります。
マンションに必要な工事を正しく選択するためには、それぞれの違いをよく理解することが大切です。
補修とは?|悪化を防ぐための「応急処置」

補修とは?|悪化を防ぐための「応急処置」
補修は、マンションの建物や設備の劣化・不具合の悪化を防ぐ応急処置的な工事です。
・補修の目的
・補修工事の具体例
それぞれ詳細に解説していきます。
補修の目的
マンションの補修工事は、建物の破損や劣化部分を材料の補填や修理で使用できる状態にするのが本来の目的です。
不具合が発生して応急処置を行い、問題ない程度まで性能や機能を向上させることから「小修繕」とも呼ばれます。
補修のメリットは、問題のある部分のみを補修工事することで、修繕工事よりも費用が抑えられる点です。しかし、見た目や性能が完全に元通りになるわけではない点がデメリットでもあります。
補修工事の具体例
実際の補修は、以下のような工事が行われます。
・外壁材の部分交換
・外壁材の隙間を埋めるシーリング材の交換
・バルコニーや屋上の一部補修
・手すりのぐらつき箇所補修
・タイルの浮きや割れの一部補修
補修工事のタイミングは決まっておらず、点検などで劣化や破損が見つかった時に実施されるのが一般的です。該当部分に問題がなければ、何年も補修工事が行われない場合もあります。
修繕」とは? |資産価値を維持する“計画的”な機能回復

修繕」とは? |資産価値を維持する“計画的”な機能回復
修繕は、マンションの建物や見た目、設備などを建設当時に近い水準まで回復させる工事のことです。
・修繕の目的
・修繕工事の具体例
実際の工事内容なども踏まえて、具体的に解説していきます。
修繕の目的
修繕は、不具合や問題のある個所を修理、交換することで、建物の性能や見た目を回復し、新築時の水準まで戻すのが目的です。
建物の見た目や性能、機能を元の水準に戻すことで、マンションの資産価値を維持し、守ることができます。
10年から15年に1度行われる「大規模修繕」も修繕工事の一つに含まれます。
修繕工事の具体例
修繕工事は、以下のような内容で行われます。
・大規模な外壁塗装、タイル全面貼替
・屋上防水全面改修
・給排水管の更新、更生工事
・鉄部の全面塗装工事
・エレベーター更新工事
修繕工事は足場の設置を伴う大規模修繕も含まれるため、応急処置で行われる補修工事よりも費用が高くなる傾向があります。
マンションの機能や性能面を維持するため、大きな修繕工事とともに定期的な修繕計画を作成することが重要です。
鑑定士コメント
修繕工事の費用はどのように決められるのでしょうか?
修繕工事は外壁や屋根の修理が一般的ですが、重要度や種類によって費用が異なってきます。一般的に修繕工事は一時的に高額になるケースがあり、所有者の負担を軽減するためにも、定期的なメンテナンスを実施することが大切です。
「修理」「改修」など、似ている言葉との違い

「修理」「改修」など、似ている言葉との違い
マンションで実施される工事には、補修や修繕以外にも修理や改修など、似ている言葉がいくつかあります。
一見似てはいますが、補修や修繕と同様に目的や内容が異なるため、それぞれの違いを理解しましょう。
・修理とは
・改修とは
一つずつご紹介していきます。
修理とは
修理は破損した部分の部品交換や補修で、機能や性能を取り戻すことを言います。マンションでよくある修理の実例をご紹介します。
・給湯器の修理
・トイレのつまりに対する修理
・蛇口の不具合部分の修理
・窓の修理
修理は、補修工事や修繕工事の原状回復や向上を図る時にも使われる言葉です。破損した部分に手を加える意味合いがあるため、広い場面で使用されます。
改修とは
改修とは、マンションの設備や機能を向上させて付加価値を高める工事のことを言います。よくある具体例は以下の通りです。
・バリアフリーへ改修
・防災対策として耐震強化を目的とした改修
・省エネ設備への改修
・セキュリティなどの機能向上を目的とした改修
リフォームとの違いは、改修や建物の機能や性能向上を目的としているのに対して、リフォームはデザインや快適性の向上を目的としている点です。
主に、室内の快適性を高めるために、浴室やキッチンなどの水回り設備の取替えや、壁紙の張替えなどはリフォームに該当します。
【マンション編】誰がどこまでやる?補修と修繕の具体例

【マンション編】誰がどこまでやる?補修と修繕の具体例
マンションの補修や修繕の違いは分かりましたが、実際の工事の責任は誰にあるのでしょうか?
・専有部分(室内)の場合
・共用部分(外壁・廊下など)の場合
具体例も含めてご紹介します。
専有部分(室内)の場合
マンションの専有部分とは、主に室内のことを指し、マンションを購入した所有者が自由に使用できます。
具体的な専有部分は以下の通りです。
・室内の壁や天井、床
・キッチン、浴室、洗面台、トイレ、給排水管などの室内設備
・リビング、ダイニング、寝室などの居住スペース
基本的に室内部分は所有者が間取り変更やリフォームなどを自由に行えます。ただし、共用部分と接する部分(隣の部屋と隣接する壁)などは、管理組合への確認が必要なケースもあるため注意しましょう。
マンションの専有部分については、以下の資料でもご紹介しているので参考にしてみてください。
共用部分(外壁・廊下など)の場合
共用部分は法律上、専有部分以外のすべてとされていて、住人が日常的に利用する空間や設備が含まれます。
代表的な共用部分は以下の通りです。
・廊下、エレベーター、階段、エントランスなどの共用スペース
・建物の構造体すべて(基礎、壁、屋根など)
・電気の配線やガスメーター、給排水管など、専有部分につながる配管や電線類
・玄関ドアや窓、バルコニー、ポーチ
玄関ドアやバルコニーなどは専有部分にも面していますが、防災に関わるため共用部分とされています。
共用部分の修繕や補修工事は、マンションの管理組合に責任があり、所有者が勝手に手を加えることはできません。
マンションの共用部分に関する情報は、以下の資料でも確認できます。
長期修繕計画と大規模修繕における「修繕」の重要性

長期修繕計画と大規模修繕における「修繕」の重要性
マンションの資産価値を維持するには、日頃のメンテナンスや修理だけでは目が届かない部分まではなかなか対応できません。
そこで、マンションの資産価値を維持しながら、住人が安心して住める住環境を保つために、以下のような計画と修繕工事が実施されます。
・長期修繕計画
・大規模修繕
それぞれ詳しく解説していきます
長期修繕計画とは
0年から15年に一度実施される大規模修繕工事は、足場の設置が必要となる非常に大がかりな工事となります。
そのため、大規模修繕にはまとまった資金が必要となりますが、資金を用意するためには、所有者を説得するために資料が必要です。
大規模修繕のために、毎月積み立てられる修繕積立金を決めるためにも、長期修繕計画書の作成は必須なのです。
ほかにも、長期修繕計画は以下のような理由で作成する必要があります。
・スムーズな修繕工事を実施するため
・将来的な修繕や点検費用を明確にするため
・資産価値の向上を図るため
長期修繕計画の有無は、マンションの管理力を客観的に可視化することになり、売買時の評価にもつながります。
長期修繕計画書については、以下の記事で見かたや作成方法などについて詳しくご紹介しています。長期修繕計画書についてさらに理解したい人はぜひチェックしてみてください。
大規模修繕とは
大規模修繕は一定の周期の間に実施される大がかりな修繕工事のことを言います。外壁補修工事や、鉄部塗装工事、給排水管交換などを行い、建設当時の水準まで各設備の機能・性能を元に戻すことを目的としています。
建物の中でも、使用頻度や立地、周辺環境などによって劣化が進むペースはそれぞれ異なります。先ほど解説した長期修繕計画を元に集めた修繕積立金を活用し、築年数に合わせて必要な修繕工事が計画されるのが一般的です。
修繕積立金については以下の記事で詳しく解説していているので、ぜひご覧ください。
マンション修繕積立金の残高目安はどれくらいになる?計算方法もわかりやすく解説
鑑定士コメント
大規模修繕のときに改修も同時にやるメリットはあるのでしょうか?大規模修繕の際は、足場を設置して作業を行うため、同じタイミングや改修や補修などをまとめて行えば、総額費用を抑えることにつながります。工事をまとめて実施することで、住人への騒音問題なども最小限に抑えられるでしょう。
まとめ:補修と修繕を正しく理解し、状況に合った工事を依頼しよう

まとめ:補修と修繕を正しく理解し、状況に合った工事を依頼しよう
マンションの補修と修繕は、とても似ている言葉ですが目的や工事内容、時期などが異なります。マンションの劣化や損傷を修理して使える状態にするのが補修で、取替えや最新設備への交換で資産価値を維持するのが修繕です。
補修は不具合が見つかったタイミングで行われますが、修繕は建物の状態を維持するためにも計画的に行われるケースが一般的です。10年から15年に一度実施される大規模修繕の時に、補修や改修なども合わせて行うと、トータルの費用を抑えることにつながります。
住んでいると様々な問題や不具合が発生しますが、補修と修繕の違いを理解して、状況に合わせた工事を実施しましょう。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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