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2023.12.20

マンションの修繕履歴とは?確認しておくべきチェックポイント

マンションの修繕履歴とは?確認しておくべきチェックポイント

中古マンションを購入するとき、修繕履歴は重要なチェックポイントです。維持・修繕状況の把握が不十分な場合、トラブルが発生する可能性があります。

「修繕履歴の確認方法がわからない」「何を確認すればよいかわからない」など、疑問を感じている方も多いでしょう。マンションの耐久性や資産価値を把握するうえでも、修繕履歴の基礎知識を把握しておくことが重要です。

本記事では、マンションの修繕履歴の具体例と確認方法を紹介します。修繕積立金の平均値や修繕履歴の確認ポイントも解説するので、中古マンション購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

マンションの修繕履歴とは

マンションの修繕履歴とは

マンションの修繕履歴とは

マンションの修繕履歴とは、建物や設備の修繕や取替えなどを記録したものです。

 

・修繕履歴の具体例

・修繕履歴の確認方法

 

修繕履歴の基礎知識として、上記のポイントをチェックしておきましょう。

修繕履歴の具体例

修繕履歴の具体例として下記があげられます。

 

・外壁塗装

・屋根防水

・床防水

・鉄部塗装

・電灯設備の取替

・ガス設備の取替

・白アリ駆除

・雨漏り工事

・情報・通信設備の取替

・エレベーターの点検

 

修繕内容や場所・部位、実施年月、費用、受注者などの詳細な情報とあわせて記入してあります。建物の状態や利便性に大きく関わるので、必ずチェックしておきましょう。

修繕履歴の確認方法

購入を検討している中古マンションの修繕履歴を確認したい場合、不動産仲介業者を通じて管理会社に依頼してください。手数料がかかるケースもありますが、不動産会社が負担することが一般的です。

 

ただし、管理会社が修繕履歴を保管していないことがあります。宅建業者に課せられるのは照会の義務だけなので、残していない場合は確認ができません。

 

修繕履歴とあわせて「長期修繕計画(※)」と「管理規約」を、取得しておきましょう。長期修繕計画書とは、将来予想される修繕工事を計画するものです。工事箇所や工事周期、修繕積立金の金額などを確認できます。

 

※参照:マンション管理について(長期修繕計画作成ガイドラインコメント)

鑑定士コメント

長期修繕計画が更新されてない場合、注意する点はどこでしょうか?長期修繕計画が長期間更新されていない場合、現実と乖離している可能性があるので注意が必要です。大規模修繕を実施する際に、資金不足に陥ることが考えられるでしょう。一時金として不足分の徴収が必要になる可能性があります。適切に更新されているかどうか、あらかじめ確認しておくことが大事です。

修繕履歴が必要な理由

修繕履歴が必要な理由

修繕履歴が必要な理由

修繕履歴が必要な理由は、適切に修繕されていることを確認できれば、安心してマンションを購入できるからです。

 

修繕履歴は管理会社に依頼して発行してもらい、詳細をチェックしてください。

 

中古マンションを購入する際の判断材料として修繕履歴は重要です。適切に修繕・維持がされているか、耐久性や耐震性に問題がないのかといった情報を確認できます。

 

修繕・維持が不十分なマンションだと、劣化が進んでいる可能性が高いので注意が必要です。寿命が短くなったり、資産価値が低下したりしていると考えられます。

 

一方でマンションなどを所有している場合でも、修繕履歴を記録しておく必要があります。維持・修繕されていることを提示すれば、適切な収益物件売却につなげることが可能です。

 

修繕積立金の平均値は?

修繕積立金の平均値は?

修繕積立金の平均値は?

修繕積立金の平均値(月/戸あたり)は以下の通りです。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果(※)」を参照しています。

 

駐車場使用料など充当額を含む修繕積立金(月/戸あたり)の平均値

総合的な平均値

12,268円

単棟型の平均値

11,875円

団地型の平均値

14,094 円

 

駐車場使用料等などの充当額を除く修繕積立金(月/戸あたり)の平均値

総合的な平均値

11,243円

単棟型の平均値

11,060円

団地型の平均値

12,152円

ただし、上記の平均値はあくまで平成30年度のデータです。資材価格の高騰などの理由で修繕積立金は上昇傾向にあるため、平均値も上がっていると考えられます。

 

※参照:平成30年度マンション総合調査結果(概要編)

 

マンションの修繕履歴を確認する際のポイント

マンションの修繕履歴を確認する際のポイント

マンションの修繕履歴を確認する際のポイント

マンションの修繕履歴を確認する際のポイントを、4つ紹介します。

 

・長期修繕計画が更新されているか

・修繕の実施間隔

・修繕積立金の金額と残高

・設備のチェック項目

 

中古マンションを購入する際の基準として、チェックしておきましょう。

 

長期修繕計画が更新されているか

修繕履歴とあわせて、長期修繕計画が更新されているか確認することが大切です。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン(※)」では、5年に1回ごとに長期修繕計画の見直しを推奨しています。

 

年数の経過により大規模修繕計画にズレが生じる可能性があるため、定期的な見直しが必要です。たとえば部材費や人件費が高騰すれば、修繕積立金が不足することが考えられるでしょう。

 

修繕積立金が適切に値上げされていない場合、大規模修繕を実施する際に高額な一時金が発生する恐れがあります。長期修繕計画がいつ更新されたのか、正確に把握しておくことが重要です。

 

※参照:マンション管理について(長期修繕計画作成ガイドラインコメント)

 

修繕の実施間隔

中古マンションを購入する際には、修繕履歴で修繕を実施する間隔をチェックしましょう。定期的に修繕が実施されていれば、適切にマンションの修繕・維持がなされていると考えられます。

 

数年以内に大規模修繕を実施しているなら、しばらくは必要ないため安心して購入できるでしょう。長期修繕計画もあわせて確認して、今後いつ修繕を実施するのか把握してください。

 

大規模修繕を実施する目安は12年です。ただし、工法や部材の進化によって、15年や18年でも問題ないケースがあるので、詳細な工事内容を確認することが大切です。

修繕積立金の金額と残高

修繕積立金の金額と残高

修繕積立金の金額と残高

修繕積立金の金額と残高を確認してください。区分所有者は大規模修繕に備えて、修繕積立金を毎月支払う必要があります。

 

修繕積立金は徴収方式によって、支払いの金額が変わるので注意が必要です。「段階増額積立方式」の場合、最初は金額が低いケースでも段階的に修繕積立金が引き上げられます。

 

また、修繕積立金の残高が想定される工事費より大幅に下回っている場合、修繕積立金の値上げや一時金が発生する可能性があるでしょう。重要事項調査報告書で残高を確認して、不足していないかチェックしてください。

 

マンションの修繕積立期の残高については、下記の記事でも紹介しています。修繕履歴を確認する際のポイントとあわせて、参考にしてください。

 

マンション修繕積立金の残高目安はどれくらいになる?計算方法もわかりやすく解説

設備のチェック項目

ガス設備や空調・換気設備、消防用設備など、それぞれの設備で補修や取替が必要な時期をチェックしておきましょう。

 

長期修繕計画作成ガイドライン(※)に記載された修繕周期の例から、一部を紹介します。修繕履歴でいつ修繕や取替が実施されたのか、確認しておくことが大事です。

 

修繕工事項目

修繕周期例

給水管

19~23年更生/30~40年取替

給水ポンプ 

5~8年補修/14~18年取替

排水管

19~23年更生/30~40年取替

排水ポンプ

5~8年補修/14~18年取替

ガス管

28~32年で取替

空調設備

13~17年で取替

換気整備

13~17年で取替 

電灯設備

18~22年で取替

屋内消火栓設備

23~27年で取替 

ただし、上記の修繕周期例はあくまで目安です。早く壊れるケースも多いため、定期的に点検したうえで適切な時期に修繕・取替をおこないます。

 

※参照:マンション管理について(長期修繕計画作成ガイドラインコメント)

 

鑑定士コメント

共用部の修繕履歴からどんなことが判断できるのでしょうか?修繕積立金の残高が十分に足りているのに修繕履歴があまりない場合、トラブルの発生が考えられます。たとえば「住民から工事への納得が得られなかった」といったケースです。組合運営に問題がある可能性があります。一方で修繕履歴が多く、修繕積立金の残高が不足している場合は、過剰に工事を実施している恐れがあるでしょう。適切な頻度で修繕しているかどうかを確認する必要があります。残高が不足することによって、修繕積立金の値上がりや一時金の支払いが発生する可能性もあるので注意が必要です。

修繕履歴の記録方法

修繕履歴の記録方法

修繕履歴の記録方法

Excelや専用ソフトを使用して修繕履歴を記録します。自分での作成が難しい場合は、不動産会社への依頼を検討してください。

 

記録すべき主な項目は以下の通りです。なお修繕履歴(※)の様式をダウンロードすれば、一から作成する必要はありません。

 

・実施年月(着手日と完了日)

・作業名称または工事名称

・詳細な修繕内容

・対象となる部位

・設備の名称や型番

・設備の数量

・契約金額

・委託作業または請負工事の受注者名称

 

上記の項目をなるべく詳細に記載しておくと安心です。同じ設備・機器が複数存在する場合、どこのものを修繕・取替をしたのか識別できるようにしておきましょう。

 

※参照:修繕履歴(Excel形式)の作成方法

まとめ:修繕履歴を残して、失敗しない物件売却を!

まとめ:修繕履歴を残して、失敗しない物件売却を!

まとめ:修繕履歴を残して、失敗しない物件売却を!

修繕履歴は、中古マンションを購入する際の重要な判断材料です。適切に修繕が実施されていない場合、建物や設備が劣化している可能性があります。

 

管理会社に依頼すれば修繕履歴を発行してもらえるので、長期修繕計画とあわせてチェックしておきましょう。修繕の実施間隔や修繕積立金の金額と残高など、ポイントを踏まえたうえで確認することが重要です。

 

また、マンションなど収益物件を保有している場合は、修繕履歴を残しておく必要があります。売却に失敗しないためにも、修繕履歴を残しておきましょう。

 

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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