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2023.08.22

専任媒介契約とは?メリット・デメリットや向いている人を解説

専任媒介契約とは?メリット・デメリットや向いている人を解説

「不動産会社にマンション売買の仲介のお願いしたいけど、どんな契約があるの?」
「専任媒介契約するとどんなメリットがある?」
マンションを売買する際に行う不動産会社探し。このときに必要となるのが媒介契約です。今回はその中でも専任媒介契約について取り上げます。

専任媒介契約についてよく理解せずに契約すると、自分の要望とは合わず後悔してしまうかもしれません。本記事では専任媒介契約とは何かをはじめ、メリット・デメリットにそれぞれついて詳しく解説します。

不動産会社と締結する媒介契約とは?

媒介契約とは不動産の売買を依頼するための契約で、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。自分の希望に合った取引ができるような契約を選ぶことがポイント。それぞれの特徴をよく押さえておくことが大切です。

 

一般媒介契約では、さまざまな不動産会社と契約することが可能です。不動産情報が多くの人の目に留まりやすいのが大きな魅力です。買い主にとっては一番一般的な契約であるといえます。

 

ただし、不動産会社側からすればリスクのある契約であるため、積極的な販売活動を行わない可能性も高いところがデメリットです。

 

専任媒介契約は、1社の不動産会社のみが契約できる方式です。一般媒介契約と違って不動産会社の積極的な販売活動が期待できるのがポイントです。詳しくは後述します。

 

専属専任媒介契約は基本的に専任媒介契約と同じ契約内容です。大きな違いとしては、自分で買い手を見つける行為が禁じられている点です。また、専任媒介契約よりも細かな報告義務が課されています。

 

各媒介契約の違いは以下の表のとおりです。

 

媒介契約の種類

 

※横にスクロールできます。

 

専属専任媒介契約

専任媒介契約

一般媒介契約

複数の不動産仲介会社と契約

×

×

自己発見取引

×

販売状況報告の頻度

1週間に1回以上

2週間に1回以上

規定なし

契約期間

3ヶ月以内

3ヶ月以内

規定なし

 

一般媒介契約とは何かや専属専任媒介契約については、以下の記事でそれぞれ紹介しています。

一般媒介契約とは?知っておきたい基礎知識を解説

専属専任媒介契約とは?一般・専任との違いも紹介

レインズとは?

レインズは「Real Estate Information Network System」の略で、日本語でいうと「不動産流通機構」です。

 

宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、不動産流通の活性化を目的とした物件情報システムを持っています。

 

物件がレインズに登録されることで、全国の不動産会社から閲覧できるようになるため、購入希望者が見つけやすくなるのがうれしいメリットです。

専任媒介契約とは?

ここからは、専任媒介契約についてさらに詳しく解説します。

 

前述のとおり、専任媒介契約とは1社の不動産会社だけに物件探しや販売活動を依頼することです。不動産会社1社のみとの契約かつ、売り手の場合は自分でも買い手を見つけることが可能といった特徴があります。

 

マンションを買いたい場合は、気に入った物件を探すことが先決のため、物件が決まった時点で契約を行うのが一般的です。

 

また、契約日から7営業日以内にレインズへの登録が義務づけられており、全国の不動産会社において物件情報が早めに共有されます。

専任媒介契約のメリット3つ

ここでは専任媒介契約のメリットについて紹介します。マンションを買いたい場合は、できるだけ多くの物件を探して検討するケースが多いため、売り主としてのメリットを解説します。

 

主なメリットは以下の3つです。自分の要望と合っているかどうかを考える際の参考にしてみてください。

 

・不動産会社が積極的に売却活動を行う

・仲介手数料不要で売買取引ができる

窓口を一本化できるのでやりとりが楽になる

不動産会社が積極的に売却活動を行う

専任媒介契約では1箇所の不動産会社のみ契約する分、担当者が積極的に売買活動を行ってくれる傾向にあります。

 

複数の不動産会社との契約が可能な場合は、不動産会社の立場からすると他社で契約されてしまうと、それまでの販売活動が無駄になってしまうリスクが考えられます。そのため、会社によってはあまり力を入れて販売活動を行ってくれません。

 

その一方で、専任媒介契約では買い主が見つかれば、不動産会社は確実に仲介手数料を受け取れます。不動産会社が積極的に活動してくれると、買い主が早めに見つかる可能性がアップするため、できるだけ早めに売却したいと考えている人にもおすすめです。

仲介手数料不要で売買取引ができる

専任媒介契約は自分で買い手を見つける行為が認められているのも魅力で、自分で買い手を見つけて契約すれば、不動産会社に仲介手数料を払う必要がないのもうれしいメリットです。

 

そのため親戚や知人などにマンションを買ってくれそうな人がいる場合、不動産会社からの契約と自分で物件を発見した契約の両方のメリットを享受できます。ちなみに専属専任媒介契約では、自己発見取引が禁じられているので注意が必要です。

窓口を一本化できるのでやりとりが楽になる

1箇所の不動産会社とのみコンタクトを取り合う専任媒介契約は、不動産会社との連絡が楽になるのも魅力です。複数の不動産会社と契約すると、さまざまな会社とやりとりを交わす必要があり、場合によってはスケジュール調整も行わないといけません。

 

そのため、できる限り不動産会社との連絡頻度を下げたい人にもぴったりの契約方法だと言えるでしょう。複数の不動産会社と契約するよりも手間を省けるので、なるべくマンション売買の手間を省きたい人も検討する価値があります。

専任媒介契約のデメリット3つ

次に、専任媒介契約のデメリットについて紹介していきます。こちらについても売り手としてのデメリットを解説します。契約してから後悔しないためにも、しっかり理解した上で、契約方式を選択していきましょう。

不動産会社の営業手腕に左右される

不動産会社との単独契約になるため、その不動産会社の営業担当者の手腕に大きく結果が左右されます。自分の会社だけと契約してくれるのだから、と積極的に売買活動をしてくれやすいのはメリットです。しかし、担当者のスキルが低い場合は希望通りに売買できない可能性もあるので注意が必要です。

 

そのため、吟味せずに不動産会社を選ぶのはやめましょう。何社も候補の不動産会社をピックアップして、念入りに比較検討して選ぶのがおすすめです。できれば営業担当者も優秀かどうかも含めて考えるといいでしょう。

一度契約を結ぶと切り替えに時間がかかる

専任媒介契約では一度契約を結んでしまうと、他の不動産会社に切り替えに一定の時間がかかります。専任媒介契約の契約期間は3ヶ月以内で、不動産会社によっては3ヶ月間となっており、その期間中は他の不動産会社に切り替えられません。

 

もし途中で契約を解除した場合、それまで販売活動にかかった費用を請求される可能性もあります。そのため1ヶ月間依頼したけど売れないから、他の不動産会社と契約しようといった柔軟でスムーズな切り替えができない点には注意が必要です。

囲い込みを受けると売れにくくなる可能性がある

専任媒介契約のデメリットとして、物件の囲い込みも挙げられます。囲い込みとは、他の不動産会社から購入しようとする人を排除することです。

 

不動産会社からすると他の会社で購入し物件の場合、売り主からの仲介手数料しか受け取れません。(片手仲介)そのため、できるだけ売り主と買い主どちらからも仲介手数料を受け取れるように、自社経由での購入を狙っています(両手仲介)。他の会社を経由した購入希望者には「もう売却済みです」と嘘をつくケースもあるほどです。

 

不動産会社は囲いこみを行うことにより多くの利益を得られる一方で、売り主からすると物件が売れにくくなるので注意が必要です。また囲いこみを受けると売れないことを理由に値下げを要求されるケースもあるので、しっかりと信頼できる不動産会社から選ぶといいでしょう。

鑑定士コメント

囲い込み対策としては、広告の出稿状況を見るという方法があります。両手狙いの場合には不動産物件情報の出され方が限られます。両手狙いの会社であれば、他社がその物件の広告を出すことを許さないケースも多いため、広告は売り手の側についている会社1社しか広告が出ていないことが良くあります。また、営業マンと頻繁に連絡をとり、情報共有や進捗の説明を求めることも予防策となります。

専任媒介契約が向いている人は?

どのようなタイプの人が専任媒介契約に向いているかを解説します。自分のケースをチェックしたうえで、専任媒介契約を吟味するといいでしょう。

売買を早くしたい人

専任媒介契約は早めに売買を行いたい人におすすめで、不動産会社が積極的に活動してくれる分、比較的早めに買い主が見つかる傾向にあります。また契約日から7営業日以内にレインズへの登録が義務づけられているため、物件情報が多くの人の目につきやすいことも早く売れる理由です。

 

半数以上の人が半年以内に売買できたことを示すデータもあり、できるだけ早めに売却したい人にはぴったりです。ただし囲い込みを行っている不動産会社には注意が必要。囲い込みをされると売買までに時間がかかってしまうため、不動産会社が囲いこみをしていないかは確認しておくといいでしょう。

複数の不動産会社とのやりとりが面倒な人

1社とコンタクトすればよい専任売買契約は、いくつもの不動産会社と関わるのが面倒な人にはぴったりです。基本的に不動産会社の営業担当者1名と連絡するケースが多いので、不動産会社とのコンタクトにかかる時間や手間を少なく抑えられます。

 

仕事や子育てなどで忙しい人や、複数の不動産会社とのこまめなやりとりが苦手・面倒だと感じる人は専任媒介契約を検討してみるといいでしょう。

買主と直接売買取引をするかもしれない人

専任媒介契約では自分で買い手を見つけて契約する行為が認められているため、親戚や知人などを買い主として直接取引を行っても問題ありません。ちなみにその場合は、不動産会社に仲介手数料を払う必要がないのも魅力です。

 

専任媒介契約を選ぶと、販売から契約まで一連の活動を不動産会社に一任できます。さらに、自分で買い手を見つけて契約するメリットも享受できるのもポイント。もし、親戚や知人に購入してくれそうな人がいるなら、専任媒介契約が向いています。

専任媒介契約を結ぶ際の注意点

不動産会社1社としか契約できない専任媒介契約は、どの不動産会社を選ぶかも大切なポイントです。候補の不動産会社を複数選んで、比較検討するといいでしょう。

 

しっかりと信頼できる不動産会社を吟味する際は営業担当者の人柄に加え、宅地建物取引業

の免許を持っているかどうかを確認するのがおすすめです。

 

無免許で不動産業を営んでいる会社はもちろんNG。後々トラブルに巻き込まれてしまうリスクも高まるので、必ず避けるようにしましょう。

 

その他では契約期間や解約方法、仲介手数料などもチェックしておくべきポイントです。契約期間や解約方法は確認しておかないとトラブルに発展するケースもあります。仲介手数料も値引きや支払い時期などの交渉を行うためにも、あらかじめ把握しておくのがおすすめです。

鑑定士コメント

よい不動産会社を選ぶときのチェックポイントは以下のとおりです。
・ネットのクチコミがよい
・仲介も管理も手がけている
・駅前の1階に店舗がある
・2回以上、免許の更新を行っている

不動産会社が扱っている物件はレインズに記載されている物件です。そのため、特定の不動産会社でないと紹介できない物件はほとんどないと考えてよいでしょう。

まとめ:専任媒介契約を結ぶ際の不動産会社は慎重に選ぼう

専任媒介契約は不動産の売却活動を依頼するための契約の1つで、不動産会社1社のみとの契約かつ自分でも買い手を見つけることが可能といった特徴があります。

 

不動産会社が積極的に販売活動を行ってくれるため、できるだけ早めに買い手を見つけたい人におすすめです。

 

しっかりとした不動産会社と契約すれば、比較的スムーズに物件を売却できるので、ぜひチェックしてみてください。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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答えは 4

特別媒介契約という契約はありません。

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