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更新日:2023.08.21
登録日:2023.06.02

第一種住居地域とは?建築制限や特徴についてわかりやすく解説

第一種住居地域とは?建築制限や特徴についてわかりやすく解説

不動産を探す際によく目にする「用途地域」。用途地域とは、その地域に建てられる建物の大きさや種類などが決められているものです。

ここでは、13地域の用途地域の中から「第一種住居地域」について解説します。
用途地域によって街の景観や環境が変わってくるため、不動産の購入など長く住める不動産を探している方はチェックしておきましょう。

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第一種住居地域とは

第一種住居地域とは

第一種住居地域とは

第一種住居地域とは、住民の環境を守るための地域のことを指します。つまり住環境をメインに考えられた地域のことです。

 

土地や不動産を購入する際は、重要事項説明書の中に用途地域に関する記載がされています。今住んでいる場所の用途地域に関しては、役所やネットで簡単に調べられます。

 

用途地域(※)には13種類あり、「住居系」「商業系」「工業系」にわけられています。それぞれの地域の違いは以下のとおりです。

 

※横にスクロールできます。

第一種低層住居専用地域

低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第二種低層住居専用地域

主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第二種中高層住居専用地域

主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第一種住居地域

住居の環境を保護するために定める地域

第二種住居地域

主として住居の環境を保護するため定める地域

田園住居地域

農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

準住居地域

道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域

近隣商業地域

近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域

商業地域

主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域

準工業地域

主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域

工業地域

主として工業の利便を増進するため定める地域

工業専用地域

工業の利便を増進するため定める地域

上記のように国によって都市計画法が定められています。

 

※参照:国土交通省・都市計画法

第一種住居地域で建てられる建築物とは

第一種住居地域で建てられる建築物とは

第一種住居地域で建てられる建築物とは

第一種住居地域は、「住居系」に分類される用途地域です。用途地域によって建築できる建物が異なります。

 

第一種住居地域で建てられる建築物、建てられない建築物について見ていきましょう。

建築できる建物

第一種住居地域で建築できる建物は以下のとおりです。

 

・一軒家やマンション、老人ホームや寄宿舎

・一定規模以下の店舗兼住宅、事務所兼住宅

・学校や図書館、病院などの公共施設

・宿泊施設やボーリング場、スケート場、プール(3000㎡以内)

・自動車車庫(2階以下で床面積の合計が300㎡以下)

・工場(50㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ない)

・ガソリンスタンド等(火薬類が非常に少ない施設)で床面積の合計が3000㎡以内

 

住みやすい環境を保護するための地域であり、住居がメインの地域となっていることがわかります。

鑑定士コメント

第一種住居地域に3階建ての住宅は建てられるのでしょうか?実際、第一種住居地域に3階建ては多く見られます。しかし、隣地側に面した建物の高さが20mまたは31mを超える部分について高さを制限することと定められているため、3階建ては建てられても、日影規制や隣地斜線制限などに配慮する必要があるケースもあります。土地の様々な条件によりますので、ハウスメーカーや建築士に確認するとよいでしょう。

建築できない建物

第一種住居地域で建築できない建物は以下のとおりです。

 

・床面積の合計が10,000㎡を超える店舗や飲食店

・麻雀屋、パチンコ屋、カラオケボックス

・劇場や映画館

・ナイトクラブや風俗

 

他にも工場の種類や大きさによっては建築が制限されます。

建てられない建築物の種類を把握しておけば、どのような街並みなのか想像しやすいかもしれません。

第一種住居地域の建築制限

第一種住居地域の建築制限

第一種住居地域の建築制限

用途地域にはそれぞれ建築制限が定められています。

 

建てられる建物や施設であっても、この建築制限を越えてしまうものは建築できません。

第一種住居地域の建築制限について見ていきましょう。

道路斜線制限

道路斜線制限とは、道路に面した建物の高さの制限です。道路への採光や通風を確保するためのもので、第一種住居地域では以下のように定められています。(※)

 

適用距離

20m・25m・30m・35m

勾配

1.25・1.5

 

※参照:建築基準法

隣地斜線制限

隣地斜線制限とは、隣の建物との間に空間を確保し、通風や採光を妨げないために定められた制限です。(※)

 

この制限は、高さが20m、31mを超えた部分の制限となります。そのため、低層住居専用地域や田園住居地域のような高さが10m、12mに制限されているものついては適用されません。

 

立ち上がり

20m・31m

勾配

1.25・2.5

 

※参照:建築基準法

日影規制

日影規制とは「冬至の日」を基準とし、定められた時間以上に日影が作られないように建物の高さを制限するものです。(※)

 

日影の部分は暗くなるため、周囲の日当たりを確保するのが目的です。

 

対象建築物

高さ10m以上の建築物

測定水平面

4m・6.5m

規制値

4-2.5h/5-3h

 

※参照:建築基準法

第二種住居地域との違い

第二種住居地域との違い

第二種住居地域との違い

第一種住居地域と、第二種住居地域は、どちらも「住居系」の用途地域であり、似ていますが細かい部分が異なります。

 

第一種住居地域には建てられないカラオケやパチンコ屋などの遊戯施設が建てられるのが第二種住居地域です。

 

第一種住居地域に比べて、住居と店舗や事務所が入り混じっているため人の出入りが多く、賑やかな場所であるのが特徴です。

 

第二種住居地域については、こちらの記事を参考にしてください。

住居地域と住居専用地域の違い

住居地域と住居専用地域の違い

住居地域と住居専用地域の違い

用途地域の中には「住居地域」と「住居専用地域」の2種類があります。それぞれの違いは以下のとおりです。

 

住居地域

・住宅の良好な住環境を守るために指定された地域

・店舗や事務所を建てられる

・商業施設の建築ができるため利便性がいい

・住居専用地域に比べて賑やか

住居専用地域

・住宅の良好な住環境を守るために指定された地域

・制限が厳しく静閑な住宅街となる

・スーパーなどの施設が建てられない

・静かではあるが利便性に欠ける

 

住居専用地域は、住居地域に比べると静かですが買い物などには不向きです。

第一種住居地域のメリット

第一種住居地域のメリット

第一種住居地域のメリット

第一種住居地域のメリットは以下のとおりです。

 

・スーパーや事務所、店舗が建てられるため利便性がいい

・商業施設があるため比較的明るい

・通勤や通学に便利であることが多い

・利便性が高いため不動産の売却がしやすい

 

パチンコ屋などの遊戯施設が無く、スーパーや商業施設は建てられるため、住居に適した地域と言えるのがメリットです。

 

また、事務所や店舗があるため街灯も多く、比較的明るい地域と言えるでしょう。それなりに人の行き来があるため、防犯面でも安心しやすいですね。

第一種住居地域のデメリット

第一種住居地域のデメリット

第一種住居地域のデメリット

第一種住居地域のデメリットは以下のとおりです。

 

・人通りが多くなるため騒がしい場合がある

・娯楽施設が無い

・制限があまり厳しくない

 

用途地域としては、幅広い建築物が建てられる地域であるため、必然的に人通りの多い場所も出てきます。場所によっては騒音が気になる場合もあるかもしれません。

 

また、高さ制限が厳しくないため近隣に大型の施設ができた場合、日当たりが悪くなってしまう可能性もあるでしょう。

鑑定士コメント

第一種住居地域を選ぶ際に注意するべきことは何でしょうか。低層住居専用地域よりも、建蔽率や容積率は緩和されるので、同じ土地の面積でも、床面積の広い建物や3階建など高さを確保できます。しかし、裏を返せば隣接建物の影響で、日当たりが悪い場合も出てきます。人通りや騒音も気になることもあります。事前に現地に何度か足を運び、確認しておくのがよいです。

まとめ:第一種住居地域の住宅は購入前に必ず確認しにいこう

まとめ:第一種住居地域の住宅は購入前に必ず確認しにいこう

まとめ:第一種住居地域の住宅は購入前に必ず確認しにいこう

第一種住居地域は、住宅と商業施設が入り混じった地域です。病院や学校、スーパーなど生活に密接した施設があるため、人通りが多い時間帯や騒がしい時間帯、場所などが生じやすいとも言えます。

 

住宅を購入する際には、事前に何度か足を運んで住環境を確認しておくのがおすすめです。実際に住むことをイメージしてみると、理想の地域を探しやすいでしょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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