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更新日:2024.09.12
登録日:2024.04.23
住宅ローンは40年で組んでも問題ない?メリットとデメリットや向いているタイプを紹介
「返済期間を40年以上に設定できる住宅ローンはある?」
「40年で住宅ローンを組むメリットやデメリットは?」
住宅ローンの返済期間をできるだけ長くしたいと考えたとき、上記のように悩む人もいるのではないでしょうか。
住宅ローンの最長返済期間は35年が主流ですが、商品によっては40年以上に設定することも可能です。本記事では、40年以上の住宅ローンを組む場合のメリット・デメリットをわかりやすく解説しています。
35年と40年での返済額の違いや、40年ローンがおすすめの人などもあわせて紹介するので、ぜひ参考にして40年の住宅ローンを検討してみてください。
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住宅ローンを40年で借りることは可能
住宅ローンを40年で借りることは可能
住宅ローンの一部の商品では、返済期間を40年や50年に設定できます。若いうちに住宅ローンを組む場合などは、返済期間を長くしてできるだけ無理のないよう返していくのもひとつの方法です。
ただし、40年以上で組める住宅ローンは主流とはいえないため、扱っている金融機関は意識して探す必要があります。複数の商品を比較しにくかったり、遠方の銀行まで足を運ぶ必要があったりする点には留意しましょう。
住宅ローン40年プランが増加している理由
住宅ローン40年プランが増加している理由
住宅ローンの40年以上のプランが増加している理由は、需要の高まりです。前述のとおり、住宅ローンは返済期間を長く設定すれば余裕を持って返しやすいため、若い世代を中心に希望する人が増えていると考えられます。
固定金利が魅力の「フラット35」を提供する住宅金融支援機構では、平成21年から返済期間を36〜50年に設定できる「フラット50」の取り扱いを始めました(※1)。これをきっかけに、ほかの金融機関でも40年以上のプランが見られるようになったといえます。
たとえば、三井住友信託銀行の住宅ローンでは、35年の審査に通れば最長40年まで返済期間を設定可能です。40年ローンを組んだあとでも、変更手数料を払えば返済期間を短縮できます(※2)。
ほかにも長期ローンを組める商品はいくつかあるため、希望に合うものを探してみるとよいでしょう。
※1 参照:住宅金融支援機構
※2 参照:三井住友信託銀行
住宅ローンを40年で返済するメリット
住宅ローンを40年で返済するメリット
住宅ローンを40年で返済するメリットは、以下の4つです。
・月々の返済額が減少する
・団体信用生命保険を40年かけられる
・返済期間を調整しやすい
・購入する住宅の価格を上げられる
それぞれの内容について、詳しく説明します。
月々の返済額が減少する
返済期間を40年以上に設定すれば、35年ローンに比べて毎月の返済額が減少します。月々の出費を抑えて、家計に余裕を持ちたい場合におすすめです。
特に若いうちに住宅ローンを組む場合、結婚や出産などで大きな出費が重なる場合も少なくありません。子育て中なら食費や教育費なども嵩むため、月々の支出は抑えたいと思う人も多いでしょう。
日々の生活の負担を減らして着実に返済していけることは、長期ローンを組むメリットのひとつです。
団体信用生命保険を40年かけられる
住宅ローンを扱う金融機関では、借入時に団体信用生命保険に加入することを条件としている場合が多いでしょう。住宅ローンの借入期間を40年に設定すると、団信へも40年間加入できます。
団体信用生命保険は団信とも呼ばれ、加入者が死亡・高度障害などで住宅ローンを返済できなくなった場合に、残りの支払いが免除される保険です。団信に加入している期間は、もしもの場合でも家族が住宅ローン残高の支払いを引き継がなくてよい点がメリットです。
団信は3大疾病や要介護状態も保障対象にできるものもあり、団信でカバーできる部分についてはほかの生命保険をかける必要が無くなります。さらに、団信加入によって金利が優遇される場合もあることから、コストダウンにもつながるでしょう。
返済期間を調整しやすい
返済期間を調整しやすい
住宅ローンの返済期間を長く設定しても、あとから繰り上げ返済などによって短縮できます。繰り上げ返済とは、ローンの返済途中で月々の支払いとは別にまとまった金額を返済する方法です。
最初に長期ローンを組めば、月々の負担が少なくなるため貯金しやすくなります。貯金によって余裕ができれば、その後の返済期間も調整しやすくなるでしょう。
返済期間の延長はできませんが、途中で短縮することはできるため、まずは可能な限り長い期間でローンを組んでおくこともひとつの手です。
購入する住宅の価格を上げられる
長期ローンを組むと返済負担率が下がるため、より高額な借入が可能です。返済負担率とは、年収に対して返済額がどのくらい占めているかを表す割合で、理想は20〜25%以下(※)といわれています。
借入額が大きいとそのぶん住宅の購入費用に充てられるため、より高機能な住宅も選択肢に入れられるのがポイントです。ただし、高機能な住宅は購入価格だけでなく、その後のメンテナンス費用なども多くかかりやすい点には注意しましょう。
※参照:auじぶん銀行
住宅ローンを40年で返済するデメリット
住宅ローンを40年で返済するデメリット
住宅ローンを40年で返済するときの主なデメリットは、以下の4つです。
・返済総額は増加する
・金利が高くなる
・定年してもローンが終わらない可能性がある
・取り扱っている金融機関が限られている
それぞれの内容について、詳しく説明します。
返済総額は増加する
長期ローンを組むと、その期間中は利息を支払い続ける必要があります。金利が同じでも、返済期間が長いほど利息は増え、結果的に返済総額が高くなる点には留意しましょう。
返済期間が短いほうが返済総額は安く済みますが、月々の負担が大きくなる点は考慮しなければなりません。繰り上げ返済など、返済期間をあとから短縮できる方法もあるため、収入やライフプランなどを踏まえて計画を立てましょう。
金利が高くなる
一般的に住宅ローンは、返済期間が長くなれば金利も高くなります。返済期間が長いほど、完済されない可能性も上がりやすいためです。例として、2024年3月現在のフラット35とフラット50の最頻金利を比べてみましょう。
上記のように、返済期間が長引くほど最頻金利も高くなっています。住宅ローンを利用する際は、検討中の商品の金利がどのように変動するかも確認しておきましょう。
※1 参照:住宅金融支援機構「フラット35」
※2 参照:住宅金融支援機構「フラット50」
定年してもローンが終わらない可能性がある
定年してもローンが終わらない可能性がある
住宅ローンの返済期間を40年以上に設定すると、借入時の年齢によっては定年までに完済できない場合があります。定年退職後は現役のときより収入が下がる場合がほとんどのため、注意が必要です。
たとえば、65歳までに完済を目指すとすれば、25歳までに住宅ローンを組む必要があります。しかし、25歳以下の若さで住宅を購入する人はそれほど多くないでしょう。
定年後も返済を続ける場合は、老後の貯蓄を確保したうえで計画を立てる必要があります。退職するまでにどれだけ返しておくか、退職金でいくら支払うかなど具体的に考えておきましょう。
取り扱っている金融機関が限られている
40年以上の住宅ローンを取り扱っている金融機関は、それほど多くありません。メガバンクなどは少なく、地方銀行や信用金庫などでの取り扱いがほとんどです。40年以上の住宅ローンを扱っている金融機関には、以下のようなところがあります。
・京葉銀行
・南都銀行
・阿波銀行
・琉球銀行
収入や年齢によっては、通常の35年ローンで複数の商品を比較したほうが、自分に合うプランが見つかりやすい場合もあります。40年以上がよいという絶対的な理由が無いなら、一度ほかのプランも視野に入れて検討してみるとよいでしょう。
鑑定士コメント
ネット銀行でも40年で住宅ローンは組めるのでしょうか?ネット銀行でも40年以上の住宅ローンを取り扱っています。例えばSBIネット銀行は、返済期間は最長50年まで設定でき、申し込み手続きがWebと郵送だけで済ませられるのがメリットです。Web申し込みなら低金利で利用できたり、団信の内容が充実していたりする点でも、利用しやすいでしょう。
住宅ローン35年と40年のシミュレーション比較
住宅ローン35年と40年のシミュレーション比較
住宅ローンの返済期間が35年の場合と40年の場合で、どのように返済額が変わるかを解説します。まず、仮定する条件は以下のとおりです。
・借入金額5,000万円
・元利均等返済方式
・ボーナス返済なし
・年利0.405%(変動金利)
以上の条件で住宅ローンを組んだ場合、月々の返済額と返済総額は以下のようにシミュレーションできます(※)。
※返済総額は返済期間中金利が変わらなかった場合の金額
表を見ると、月々の返済額は35年ローンのほうが高く、返済総額は40年ローンのほうが高くなることがわかります。毎月の負担と差額などを比較してみて、自分が納得できるほうを選びましょう。
なお、上記の金額はあくまでもシミュレーションのため、実際の返済額は変わる場合があります。借入時には融資手数料や登記費用など、そのほかの費用がかかることも覚えておきましょう。
住宅ローンを扱う各金融機関のホームページでは、返済シミュレーションが利用できる場合もあるので、気になる人はチェックしてください。
※参照:三井住友信託銀行
住宅ローンの40年はこんなタイプの人におすすめ
住宅ローンの40年はこんなタイプの人におすすめ
40年以上の住宅ローンを組むのがおすすめなのは、以下のようなタイプの人です。
・20~30代の若者
・親子リレーローンの利用を検討している人
・月々の返済額を減らしながら繰り上げ返済をしたい人
それぞれの人の特徴について、詳しく説明します。
20~30代の若者
若い世代は安定してまとまった収入を得にくい場合もありますが、40年ローンなら月々の負担を抑えられるため、利用しやすいでしょう。
特に20代半ばなら、返済期間を40年に設定しても定年退職までに完済できる可能性があります。定年までに住宅ローンを完済できれば、退職金をそのまま老後の資金に回しやすくなる点が利点です。
若い世代にとって40年以上の住宅ローンを組むメリットは大きいため、早い段階で住宅の購入を予定しているなら検討してみましょう。
なお、以下の記事では住宅ローンを組むべき年齢について紹介しているので、あわせて参考にしてください。
住宅ローン組むなら何歳まで?ローンを組む際に気を付けておくべきポイント
親子リレーローンの利用を検討している人
親子で同居していたり、住宅を相続する予定があったりするなら、親子リレーローンを組んで長期的に返済していくこともひとつの方法です。
親子リレーローンでは、親と子が2世代にわたってローンを返済します。借入時に親が高齢であっても、40年以上の長期ローンを組みやすいのがメリットです。
2世代で返済することで、40年以上のローンの審査も通りやすくなるため、借入額を増やしたり月々の負担を減らしたりしやすくなるでしょう。
月々の返済額を減らしながら繰り上げ返済をしたい人
月々の返済額を減らしながら繰り上げ返済をしたい人
40年以上の住宅ローンを組んで繰り上げ返済をうまく活用すれば、毎月の出費を抑えつつ返済総額も減らせます。途中でまとまった金額を返済するため、元金が大きく減って利息も減ることになります。
ただし、繰り上げ返済では手数料が発生することもある点に注意してください。金融機関によって扱いが違うため、検討中の住宅ローンの決まりは申し込み前に必ず確認しましょう。
繰り上げ返済については以下の記事でも詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
住宅ローンの繰り上げ返済で損をしないための基礎知識!タイミングの判断ポイント
鑑定士コメント
40年の住宅ローンを組む際に気をつけたほうがよいことは何でしょうか?40年の住宅ローンを組む際は、借入額が妥当かどうかに留意しましょう。長期ローンでは35年ローンより多くの融資を受けやすいため、そのぶん予算を上げて住宅を購入できます。しかし借入額は、自分が確実に返済できる金額でなければなりません。40年ローンを組んだからといって限度額いっぱいまで借り入れることなく、自分の返済能力に見合った金額かを意識しましょう。
まとめ:住宅ローンの40年は綿密な返済計画を立てた上で利用を検討しよう
まとめ:住宅ローンの40年は綿密な返済計画を立てた上で利用を検討しよう
住宅ローンのなかには、返済期間を40年以上に設定できる商品があります。取り扱っている金融機関は多くないものの、月々の返済額を減らせたり団信に長期間加入できたりと、状況によってはメリットの多いプランです。
40年の住宅ローンには、返済総額が増加したり金利が高くなったりするデメリットもあります。しかし、20〜30代の若者や、親子リレーローンを組む人などにはおすすめです。
自分の状況を踏まえてしっかり返済計画を立てたうえで、40年の住宅ローンを選ぶようにしましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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