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更新日:2024.11.22
登録日:2024.11.22
引き違い窓とは?掃き出し窓との違いやメリット・デメリットを解説
「引き違い窓とは、どんな窓?」
「掃き出し窓との違いは?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
引き違い窓とはスライド式で開閉する窓です。サイズが豊富で、場所を問わず設置できることから、日本の住宅で多く利用されています。しかし、具体的な特徴やメリット・デメリットはあまり知られていないかもしれません。
本記事では引き違い窓とは何か、掃き出し窓との違い、メリットやデメリットを詳しく解説します。選び方もお伝えしますので、これから家を建てる方やリフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
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引き違い窓とは
引き違い窓とは
引き違いとは、2枚以上のガラスを左右にスライドさせて開閉する窓です。ふすまや障子などにも似た構造で、左右どちらからでも操作できます。
日本の住宅で多く使用されており、窓といえばこの形を思い浮かべる方が多いでしょう。
スライド式の引き違いは、使い勝手の良さが魅力です。
横に滑らせて開けるため、前後にスペースを確保する必要はありません。また、狭い場所でも設置可能です。
価格面も優れています。比較的低コストで取り付けができ、メンテナンスも簡単です。長期的にみても、コストパフォーマンスが高い窓タイプと言えるでしょう。
引き違い窓と掃き出し窓との違い
引き違い窓と掃き出し窓との違い
引き違い窓とは、2枚以上のガラス戸を左右に滑らせて開閉するタイプの窓の総称で、設置場所やサイズに関係なく幅広く使われます。
一方、掃き出し窓も同じくスライド式の窓ですが、その中でも床と窓がつながっているタイプを指します。つまり、掃き出し窓は引き違い窓の一種です。
窓から直接ホウキでゴミを「掃き出す」ことができることから、その名がつけられました。
通常、掃き出し窓はリビングやダイニングなど、家族が集まる空間に設置されることが多いです。
床から高さ2mほどの大きな窓であるため、太陽の光をたっぷり取り入れられ、明るい空間を作り出せます。
鑑定士コメント
引き違い窓はどちらの窓を開けるのが正解でしょうか?結論から言うと、部屋の中から見て「右側」の窓を開けるのが正解です。なぜなら、右側の窓を開けることで隙間が生じず、虫の侵入を防げるためです。網戸を左側に設置した場合、窓を半開きにして網戸を使うと、構造上隙間ができやすくなります。その隙間から虫が入っている可能性があるため、網戸を右側に設置し、右側の窓を開けるのがおすすめです。なお、窓を全開にする場合は隙間ができません。左右どちらを開けても、虫が入る心配はないでしょう。
引き違い窓のメリット
引き違い窓のメリット
日本の住宅で最も取り入れられている引き違い窓には、以下のようなメリットがあります。
・バリエーションが豊富
・明るく開放感がある
・開閉がしやすい
・邪魔になりにくい
バリエーションが豊富
引き違い窓のメリットは、バリエーションが豊富である点です。
サイズや規格には幅があり、テラスやベランダの出入りに使用される大きなタイプから、居室に設置される腰窓、さらにはトイレなどの小さい窓まで、さまざまな場所に対応できます。
一般的には2枚の窓が使われますが、3枚や4枚のタイプもあります。好みに合わせてカスタマイズ可能です。
サッシの材質も豊富にあります。アルミやスチール、木、樹脂などから選べ、色にも選択肢があります。
シングルガラス、複層ガラス、Low-E複層ガラスなどガラスの種類も多く、予算や機能に合わせて選択できるのも魅力です。
明るく開放感がある
引き違い窓の魅力は、明るさと開放感です。
大きな開口部にも対応でき、外からたっぷりと光を取り入れることで、室内全体が明るくなります。
特に南側に設置すれば日中は自然光が差し込み、快適で明るい空間が広がるでしょう。
また、庭やテラス、ベランダなどの出入り口に引き違いを設置することで、室内と屋外が一体化したような開放感を得られます。
引き違いを採用すれば、空間が広く感じられ、居心地の良い開放的な住環境を実現することができるでしょう。
開閉がしやすい
窓の開閉がしやすいことも、引き違いのメリットです。スライド式のため、軽い力で簡単に開けることができ、子どもやお年寄りでも無理なく操作できます。
また、車椅子を利用する方にも利便性が高いでしょう。
例えば、床とつながっているタイプを設置すれば、段差がなくスムーズに通行可能です。3枚の引き違いであれば、2枚タイプのよりも大きな開口部を確保でき、車椅子でもより通りやすくなります。
引き違いは取り外しも可能です。大きな家具を搬入する際にも便利で、「せっかく買ったのに部屋に入らなかった」という事態も防ぐことができます。
邪魔になりにくい
邪魔になりにくい点も、引き違い窓のメリットの一つとして挙げられます。
前後に動かして開放する窓では、窓の前後にスペースを確保する必要があります。しかし、引き違いはスライド式のため、窓周辺に余分なスペースは不要です。
デッドスペースが生じず、限られた空間を有効に活用することができるでしょう。
窓際のレイアウトにも干渉しません。窓を活かした部屋づくりに最適です。
また、サイズのバリエーションが豊富なため、洗面所やお風呂、寝室などの狭い空間にも適しています。
強風が吹いても自然に閉まることがなく、安全性の高さも魅力です。
引き違い窓のデメリット
引き違い窓のデメリット
引き違いには、以下のデメリットがあります。
・セキュリティに不安がある
・気密性が低め
・外部の視線を感じやすい
・風通しがよくない場合がある
セキュリティに不安がある
引き違いのデメリットの一つは、セキュリティ面での不安があることです。
引き違いは外からガラスを割って手を入れられれば、比較的簡単に鍵を開けられてしまう可能性があります。
警視庁の「住まいる防犯110番」によると、一戸建住宅では窓ガラスからの侵入が最も多く、共同住宅でも表出入口に次いで窓からの侵入が多いことが明らかになっています。(※)
このように窓からの侵入は非常に多いため、引き違い窓にはセキュリティ対策が必要です。
不安がある場合には、以下の対策を検討しましょう。
・防犯フィルムを貼る
・補助錠を取り付ける
・防犯ガラスや窓シャッターを設置する
※参照:警視庁
気密性が低め
気密性が低めであることも、引き違いのデメリットの一つです。レール上を滑らせて開閉する構造上、どうしても隙間ができてしまい、そこから風が入ることがあります。
気密性とは、屋内外の空気の移動を少なくし、熱の移動を減らす性能のことです。気密性が高いと室内の温度を保ちやすくなります。
一方、気密性が低いと空気の移動が増え、熱が逃げやすく室温を保てません。夏は冷房、冬は暖房の効きが悪くなり、光熱費が増える可能性があります。
気密性を高めるためには、引き違い窓の使用を最小限にしたり、気密性の高い樹脂製サッシを採用したりするといいでしょう。
外部の視線を感じやすい
引き違いのデメリットとして、外部の視線を感じやすい点も挙げられます。
ガラスの面積が大きく開放感がある反面、設置場所によっては外からの視線が気になりやすいでしょう。
特に隣家の窓と向かい合わせになる場合や、道路に面している窓では、プライバシーが守られにくい状況となることがあります。
外部から見えないように設計段階で窓の位置を確認し、適切に配置することが重要です。
目隠し用のカーテンやブラインドを活用することで、視線を遮る方法もあります。
風通しがよくない場合がある
風通しがよくない場合があることも、引き違いのデメリットです。スライドして窓を開ける構造上、窓は半分しか開けることができません。
全開にすることは基本的にできず、大きな風を取り込むことが難しくなります。
また、引き違いは正面からの風は取り込み可能ですが、壁に沿って吹く横風を効果的に取り入れることはできません。
空気の循環が悪くなり、湿気が溜まってカビや結露の発生につながる可能性があります。
家や家具の劣化につながるだけでなく、健康にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
設計段階で適切な窓の配置を考え、風通しを確保するようにしましょう。
鑑定士コメント
引き違いはさまざまな場所に設置できますが、特に向いているのはリビングです。大きな引き違いを設けることで、たっぷりと自然光が差し込み、開放感のある明るい空間を作り出すことができます。家族全員が快適に過ごせる場所となるでしょう。
また、戸建であれば、リビングは庭に面していることが多いです。大きな引き違いを設置すれば、庭への出入りがスムーズになり、便利です。
引き違い窓の種類
引き違い窓の種類
引き違いと一口にいっても、さまざまな種類があります。ここでは引き違いの種類を確認しましょう。
・シングルガラス引き違い
・複層ガラス引き違い
・Low-Eガラス引き違い
・ペアガラス引き違い
シングルガラス引き違い窓
シングルガラス引き違いは、1枚のガラスを使用したタイプの窓です。かつては一般的でしたが、現在の住宅ではあまり使われなくなっています。
その理由は、ガラスが1枚しかないため、熱が伝わりやすく、断熱性が低いからです。
夏場は室内が暑くなり、冬場には窓が冷えて結露が発生しやすいなど、問題が生じる可能性があります。
しかし、シングルガラス引き違いは採光性が高く、部屋を明るくしてくれるメリットもあります。
複層ガラス引き違い窓
複層ガラス引き違い窓とは、2枚のガラスの間に空気やガスが封入された空間がある窓のことです。
空間には「スペーサー」と呼ばれる乾燥剤入りの金属がはさまれており、「ガラス→空気→ガラス」の構造で作られています。最近の住宅で最も多く採用されているタイプです。
複層ガラスはシングルガラスに比べて熱が伝わりにくく、断熱性が優れています。また、空気層があることで、室内外の温度差が小さくなり、結露の発生も抑えられます。
夏でも冬でも快適に過ごすことができるでしょう。
Low-Eガラス引き違い窓
Low-Eガラス引き違い窓とは、ガラスに熱を反射する特殊な金属膜がコーティングされた窓のことです。
主に複層ガラスに用いられ、近年の住宅でよく採用されています。
Low-Eガラスの種類は以下の2つです。
・遮熱タイプ
・断熱タイプ
両者の大きな違いは、Low-E金属膜の位置です。
遮熱タイプは室外側にLow-E金属膜がほどこされています。太陽の熱を遮断して室内を涼しく保つ効果があり、夏の暑さ対策に効果的です。
一方の断熱タイプは、室内側に金属膜があります。保温効果が高く、冬の寒さに強いです。
ペアガラス引き違い窓
ペアガラス引き違い窓とは、複層ガラスと同じく、2枚のガラスの間に空気やガスを封入して作られる窓です。
「ペアガラス」という名称はガラスメーカー「AGC」の登録商標ですが、広く普及したため、複層ガラス全般を指す一般的な呼び名としても使われています。
ペアガラス引き違いのメリットは、断熱性や遮熱性が高いことです。室内の温度が安定し、結露の発生を防げます。
また、紫外線カット効果が高く、室内の家具や床を紫外線から保護する効果も期待できます。
引き違い窓の選び方
引き違い窓の選び方
引き違いは、設置する場所や目的に合わせて選ぶのがポイントです。
キッチンやトイレ、寝室など、限られたスペースには、腰窓や小窓の引き違い窓が最適です。家族が集まるリビングには、大きな開口部を確保できる掃き出し窓がいいでしょう。
ただし、1階に設置する場合は、ロック機能があるタイプなど防犯対策がしやすい窓がおすすめです。CPマークと呼ばれる、警視庁が定めたマークがついているタイプは防犯性が高く、外からの侵入に5分以上かかるとされています。そのため、CPマーク付きの引き違い窓を選ぶとよいでしょう。
耐熱性も重要なポイントです。窓が大きくなるほど、耐熱性が求められます。サッシの素材を変更することで、快適性を向上させることが可能です。例えば、樹脂フレームと複層ガラスの組み合わせなら、寒冷地でも快適に過ごせます。
設置場所や用途に合った引き違い窓を選びましょう。
まとめ:引き違い窓の特徴を理解して最適な窓を選ぼう
まとめ:引き違い窓の特徴を理解して最適な窓を選ぼう
引き違い窓はスライド式で開閉する窓で、日本の住宅で広く利用されています。
バリエーションが豊富で、リビングや寝室、お風呂などさまざまな場所に対応でき、明るく開放感のある部屋を作ることができます。
しかし、引き違い窓を選ぶ際には、セキュリティに不安があったり、気密性が低かったりするデメリットも考慮しなければなりません。
新築やリフォームを考えている方は、引き違い窓の特徴をしっかりと理解し、住まいに合った窓を選ぶことが大切です。
この記事を参考に、快適で安全な家づくりを目指してください。
#引き違い窓、#サッシ、#リフォーム
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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