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更新日:2025.10.24
登録日:2023.09.21

【管理会社経験者が回答!】マンション管理組合はトラブルが起きたらどうすべき?詳しい事例と対処法を紹介

【管理会社経験者が回答!】マンション管理組合はトラブルが起きたらどうすべき?詳しい事例と対処法を紹介

マンションの管理組合は、マンションを維持・管理する重要な組織です。分譲マンションを購入した際に加入することになるマンションの管理組合ですが、トラブルに遭うことも珍しくありません。

今回は、そのリアルな実態と解決策について、マンション管理や売買仲介の最前線で活躍してきた、東京カンテイのマンション専門調査員・今村浩一による経験も交えて詳しく解説します。

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マンションの管理組合が遭いやすいトラブルとは

マンションの管理組合が遭いやすいトラブルとは

マンションの管理組合が遭いやすいトラブルとは

管理組合が直面するトラブルは多岐にわたりますが、特に発生しやすいのは以下のものです。

 

・騒音トラブル

・共用部に関するトラブル

・ペットのトラブル

・駐車トラブル

・管理費滞納のトラブル

・水漏れ・給排水管に関するトラブル

・理事会運営に関するトラブル

・民泊に関するトラブル

・外国人居住者に関するトラブル

・マンション管理会社とのトラブル

 

なかでも最も頻発しやすいのは「騒音トラブル」です。生活スタイルが多様化する現代において、音の問題は特にデリケートで、多くの管理組合を悩ませています。

騒音トラブル

騒音トラブルは、マンションで最も多く、そして解決が難しい問題の一つです。

 

足音やペットの鳴き声、楽器音などが主な原因ですが、生活音か騒音かの判断は個人の主観に大きく左右されるため、問題がこじれやすい傾向にあります。

 

コンクリートが振動して音を伝えるため、足音や物の落下音などが躯体(コンクリート)を通じて周りの住居に伝わり、騒音トラブルの原因になります。音の伝わり方は複雑なため、上から聞こえた場合でも必ずしも上階が原因であるとは限りません。

 

また、ドアやサッシを強く閉める音や深夜のシャワーの音など、当人にとっては些細な生活音でも、他の居住者にとっては耐え難い騒音と感じられるケースも少なくありません。

 

さらに、東京カンテイの今村によると、知らず知らずのうちに発生した現象が騒音トラブルの原因になることもあるそうです。

 

特殊な騒音トラブルの事例〜ウォーターハンマー現象〜

中々馴染みがないかと思いますが、特殊な騒音発生原因として、「ウォーターハンマー現象」というものがあります。これは、主に80年代~90年代のマンションに多く導入されているレバー式水栓で発生しやすく、水栓レバーを急に閉めた際に「ドン!」という衝撃音が発生する現象を言います。水道管内の圧力の急激な変化によって起こるもので、知らずに騒音を発生させてしまう可能性があるので、注意が必要です。このようなタイプの水栓は急に水を止めるのではなく、ゆっくりと止めることで同現象を防ぐことができます。

 

音は壁や床を伝って予想外の場所から響いてくることもあり、発生源の特定が難しい点も、解決を困難にしています。

 

騒音は何デシベルくらいから問題になるのかの、鑑定士の見解は以下のとおりです。

鑑定士コメント

多くの自治体では、夜間において許容できる騒音はおよそ40~45デシベルとしています。ただし、45デシベル以下の騒音であっても、時間帯や騒音の種類、聞く人によっては騒音トラブルに発展するため注意が必要です。

共有部に関するトラブル

廊下やエレベーター、駐車場などの共用部に私物を置く行為も、頻繁に見るトラブル原因です。

共用部は、下記のような場所が該当します。

 

・エントランス

・エレベーター

・廊下

・階段

・駐車場

・駐輪場

・ゴミ集積場

 

特に問題になりやすいのが、バルコニーやベランダへの私物設置です。バルコニーは専用使用権が認められた「共用部」であり、多くのマンションでは規約で物置や大きな私物を置くことを禁止しています。

 

その最大の理由は、災害時の避難経路を確保するためです。多くのマンションのバルコニーには、隣戸との間に蹴破れる素材の隔て板が設置されています。ここに物が置かれていると、いざという時に避難の妨げになってしまいます。

 

そのため、消防点検の際に指摘を受けて問題が発覚するケースが見られます。「自分の家の延長」という意識で私物を置いてしまうと、他の居住者の安全を脅かすことになりかねません。

 

また、玄関前の廊下やアルコーブ内などにも私物を置きがちですが、美観が損なわれ、マンション全体への風紀の乱れにも繋がります。

ペットのトラブル

ペットに関するトラブルは、鳴き声や臭い、マナー違反などが主ですが、規約の変更が絡むとさらに複雑な問題に発展します。

 

ー実際、ペットが関わる規約変更がトラブルに発展したケースもあります。例えば、「ペット不可」のマンションから「ペット可」へ規約を変更するケースでは、 ルールを変えるだけでは不十分です。動物が苦手な住民の方やアレルギーをお持ちの方へどう配慮するのか、そして具体的な飼育ルールをどこまで細かく制定するのか、といった点を事前に詰めなければ、後々の大きなトラブルに繋がりかねません。

 

逆に、規約上は「ペット不可」にもかかわらず、隠れてペットを飼育されているケースも、残念ながら見てきました。この場合、管理組合としては粘り強く注意喚起を続けることが基本となりますが、飼い主にとってペットは「家族」同然の存在です。そのため、対応には非常にデリケートな配慮が求められる、難しい問題といえます。ー今村談

駐車トラブル

ほとんどの場合、マンションには駐車場や駐輪場が設置されています。駐車場では、違法駐車などのトラブルが発生する可能性があります。例えば、駐車スペースではない場所に車が駐車されている、本来の利用者ではない人の車が駐車されているなどのトラブルが考えられるでしょう。

 

駐車トラブルは利用者の通行の妨げになり、交通事故の原因にもなりかねないため早急に対応が必要です。また、有事の際に緊急車両の進入を妨げる原因にもなります。

 

しかし、駐車トラブルはマンションの住人だけではなく第三者が原因となることもあり、対応が難しいトラブルです。そのため、駐車禁止の看板や掲示による対策や、常駐する管理員さんや警備員さんとの連携が大切です。

 

管理費滞納のトラブル

マンションの管理組合は住人が快適に過ごせるようにマンションの維持・管理を行っており、その維持費用は毎月各組合員から管理費を徴収しています。しかし、なかには管理費を滞納する人もいるためトラブルが発生することもあります。

 

滞納が発生した場合、放置せずに初期段階で迅速に対応することが重要です。まずは書面で支払いを督促し、それでも支払われない場合は電話や訪問といった形で段階的に対応を進めます。

 

多くの場合は初期の督促で解決しますが、悪質なケースや支払い能力に問題がある場合は、理事会や管理会社のサポートだけでは解決が困難です。最終的には、弁護士に相談の上、法的手続き(支払督促や訴訟)に移行することになります。

 

マンションの健全な運営を維持するためにも、滞納は決して軽視できません。なお、管理費の滞納トラブルはマンションの資産価値にも関わってきます。詳しい内容は「【専門家が語る】管理費滞納がマンションの資産価値を蝕む「3つの理由」」の章で解説しています。

水漏れ・給排水管に関するトラブル

水漏れ・給排水管に関するトラブル

水漏れ・給排水管に関するトラブル

水漏れに関するトラブルは、近隣の住居をはじめマンション全体に影響を及ぼす恐れのあるトラブルです。水漏れは、住民の生活による人的要因と、給排水管の劣化などによる設備的要因があります。

 

人的要因による水漏れのケースとしては、お風呂や洗面台などでの水の出しっぱなしや、洗濯機などの水を利用する電化製品の故障による水漏れなどが考えられます。設備的要因による水漏れのケースでは、給水管や排水管の経年劣化による腐食やピンホール(微細な穴)などが考えられるでしょう。また、外壁のひび割れや、屋上などの防水材劣化による雨水の侵入なども発生する可能性があります。

 

一度水漏れが発生すると住居者だけでは対応できないため、管理組合に相談が来ます。複数の住居でトラブルが発生する可能性もあるため、対応が必要です。

理事会運営に関するトラブル

マンションの管理組合へは分譲マンションを購入したすべての人が加入しますが、実際の日々の管理運営は、組合員の中でも理事(役員)のメンバーが中心となって行います

 

特に近年問題となっているのが、居住者の高齢化による「役員のなり手不足」です。役員がなかなか決まらず、理事会の運営が停滞してしまうケースが増えています。輪番制にしても「今年はできない」と辞退する人が後を絶ちません。

 

ーいっぽうで、特定の理事が長期間役員を務める場合もやや注意が必要です。それ自体が悪いことではありませんが、独断的な管理運営や、他の組合員が委縮して意見や要望が届きにくいといった風通しの悪い状況を作らない工夫と配慮が必要です。ー今村談

民泊に関するトラブル

近年、マンションの一室を宿泊施設として貸し出す「民泊」によるトラブルが増加しています。不特定多数の人が出入りすることで、騒音やゴミ出しマナーの悪化、セキュリティ面の不安などが生じます。

 

多くのマンションでは、管理規約で民泊を禁止しています。規約で禁止すること自体に住民の反対は起きにくいですが、問題は規約が守られているかどうかの実態把握です。特に観光地に近いエリアや、人の出入りの多い大規模マンションでは、規約違反の民泊が行われていないか、管理組合として注意を払う必要があります。

外国人居住者に関するトラブル

国際化に伴い、外国人居住者との文化や生活習慣の違いからトラブルが発生することもあります。

 

最も多いのがゴミ出しのルールに関するものです。分別方法や収集日が守られず、他の住民との間で問題になるケースが見られます。

 

対策としては、まず注意文を英語や中国語など多言語で作成し、ルールの理解を促すことが有効です。

 

ーまた、より積極的な工夫として、外国人居住者の方に理事会の役員になっていただくというアプローチも非常に有効です。当事者として運営に直接関わっていただくことで、マンションのルールへの理解が深まり、同じ国出身の居住者の方々への橋渡し役となることも期待できます。ー今村談

マンション管理会社とのトラブル

管理を委託している管理会社との間でも、トラブルは発生します。

 

最も多いのは「清掃が行き届いていない」「設備の不具合への対応が遅い」といった、管理業務の質に対する不満です。

 

もし管理に不満がある場合は、まずその要望が現在締結されている「管理委託契約」に該当する内容であるかを確認しましょう。該当する不満であれば、改善を求め、それでも対応されない場合は管理会社の変更を検討することになります。管理委託契約範囲外であれば、契約の見直しを検討しましょう。

 

管理会社とのトラブル事例〜管理業界全体の人手不足が深刻化〜

近年では、人件費高騰などから採算が合わず、管理会社の方から管理委託業務を辞退するケースも増えています。「管理の担い手が見つからない」という、新たな問題も起こりうる状況です。

【専門家が語る】管理費滞納トラブルがマンションの資産価値を蝕む「3つの理由」

【専門家が語る】管理費滞納トラブルがマンションの資産価値を蝕む「3つの理由」

【専門家が語る】管理費滞納トラブルがマンションの資産価値を蝕む「3つの理由」

管理組合が困るトラブルの一つに前述のとおり、管理費の滞納があります。

 

「うちのマンションでも滞納者がいて困っている」という話は頻繁に耳にしますが、この問題は単に「お金が回収できない」というだけでは終わりません。滞納はマンション全体の資産価値を根底から揺るがす、深刻な問題だといえます。

 

なぜ、滞納問題がマンション全体の価値を下げてしまうのか。ここでは、そのメカニズムを以下3つの視点から説明します。

 

・理由1:建物の「物理的な価値」が劣化する

・理由2:将来の「市場価値」が下落する可能性がある

・理由3:住環境が悪化する「空気感」が生まれる

理由1:建物の「物理的な価値」が劣化する

管理費の滞納が及ぼす最も直接的な影響として、”修繕が計画通りに実施できなくなる可能性がある”という問題が発生します。

 

滞納によって管理組合の資金が不足すると、日々の修繕や、最悪の場合本来12年〜15年周期で行うべき外壁の補修や防水工事などを、後回しにせざるを得なくなります。まさに「やるべきはずのことができなくなる」状態に陥るのです。

 

修繕が遅れれば、当然ながら建物の劣化は進みます。外観の美観が損なわれるだけでなく、雨漏りや設備の故障といった実害にも繋がりかねません。

 

もちろん、1人のみが管理費を滞納しただけでは、このような事態にまで発展する可能性は低いです。しかし、後ほど解説する空気感によって、管理費の滞納者が増えてしまう可能性があります。滞納者が増えた結果、マンションという「モノ」としての物理的な価値を低下させてしまうのです。

理由2:将来の「市場価値」が下落する可能性がある

次に、将来の買い手に与える影響です。滞納による資金不足を補うため、結局は他の住民の方々で負担を分かち合うしかありません。その結果、最悪の場合修繕積立金の値上げや、大規模修繕の際に一時金を徴収するといった措置が必要になる場合があります。

 

中古マンションを購入する際、一般的に仲介会社を介して、管理会社が作成している重要事項調査報告書を参考にして契約書関連の書類が準備されます。

 

つまり、滞納がある事実や、それが原因で一時金の徴収の可能性などがあると、将来そのマンションを「買いたい」と思う人のマインドに影響を与えてしまいます。結果として市場での競争力が落ち、マンションの市場価値が下落してしまう可能性が考えられます。

理由3:住環境が悪化する「空気感」が生まれる

そして、最も危険だと感じているのが、目に見えない「空気感」の悪化です。

 

「滞納している部屋があるなら、うちも少しくらい…」「ゴミ出しのルールくらい、まあいいか」といったように、一つのルール違反がマンション全体のモラルの低下を招いてしまうケースもあります。

 

「ちょっとくらいルールを守らなくても」という空気は連鎖し、滞納者がすでにいるのであれば、さらに増えるといった可能性も出てきてしまいます。また、滞納だけでなく、生活音や放置物など、あらゆる管理上のトラブルに繋がるのがこの「空気感」であり、その結果、先ほど解説したマンションの市場価値の低下につながってしまうのです。

マンションでトラブルが発生したときの対処する流れ

マンションでトラブルが発生したときの対処する流れ

マンションでトラブルが発生したときの対処する流れ

マンション内でルールを守らない居住者がいた場合、感情的に注意するとかえって関係が悪化し、問題がこじれてしまうことがあります。トラブルが発生した際は、以下の流れで段階的に対処するのが基本です。

ステップ1:注意文による告知(全体への周知)

まずは掲示板への貼り紙や各戸へのポスティングで、「〇〇といった行為はお控えください」と、個人を特定せずにやんわりと注意喚起を行います。多くの軽微な問題は、この段階で解決することがあります。

ステップ2:管理会社からの連絡

注意喚起をしても改善されない場合は、管理会社から該当者へ電話連絡や、場合によっては訪問して直接伝えてもらうことを検討しましょう。第三者である管理会社が間に入ることで、客観的な視点から冷静な対話を促すことができます。

ステップ3:理事会との連携による直接対話

管理会社からの連絡でも解決しない場合は、理事会が直接対話を行うことを検討しましょう。管理会社の担当者と一緒に訪問するなど、複数人で冷静に話し合いの場を持つことが重要です。

マンション管理組合のトラブル解決方法

マンション管理組合のトラブル解決方法

マンション管理組合のトラブル解決方法

マンション管理組合のトラブル解決方法について、下記4つのポイントを解説します。

 

・住民とのコミュニケーションを増やす

・管理会社に管理を任せている場合は契約範囲を確認する

・トラブル防止のためのルールを制定する

・外部の専門家に依頼する

 

トラブルが発生するのは仕方がないことですが、うまく解決しないとトラブルが長続きしたり住民同士が対立するといった問題が発生してしまいます。そのため、できるだけ早くトラブルを解決することが重要です。

住民とのコミュニケーションを増やす

住民同士のコミュニケーション不足から生じるトラブルも多くあります。日頃からあいさつを交わすだけでも関係性は変わりますが、管理組合が主体となって交流の機会を作ることも場合によっては有効です。

 

防災訓練や季節のイベント、清掃活動などを通じて、住民同士が交流する機会を設けることが有効です。

 

ただし、コミュニティのあり方はマンションの規模や雰囲気によって異なります。例えば、ファミリー層が多く住む地域のランドマーク的なマンションでは、イベント活動を活発に行うことが正解となることが多いかもしれません。

 

しかし、マンションによっては決してこの限りではなく、高齢者が多い場合は見守り活動が正解かもしれませんし、都心のコンパクトマンションなら逆に程よい距離感が正解かもしれません。自分たちのマンションに合ったコミュニケーションの形を見つけることが大切です。

 

居住者の中に理不尽なクレームや要求をする方がいた場合の対応について、鑑定士のアドバイスも紹介します。

鑑定士コメント

過剰な要求やクレームをする方に対しては、まず冷静に対処することが重要です。どちらも感情的になってしまうと、トラブルが大きくなってしまいます。相手の言い分を冷静に聞き、どこが問題なのかを見極める必要があります。対応が難しい場合は、深入りせずに、外部の専門家に依頼して解決してもらいましょう。

管理会社に管理を任せている場合は契約範囲を確認する

管理会社への不満がある場合、まずは「管理委託契約書」を確認しましょう。管理会社の業務は、主に以下の4つに大別されます。

 

・事務管理業務:総会・理事会の運営支援、会計業務など

・管理員業務:受付、点検の立ち会い、報告連絡など

・清掃業務:日常清掃や定期清掃

・建物・設備管理業務:エレベーターや消防設備などの保守点検

 

例えば「もっと高い場所の清掃をしてほしい」といった要望が、契約範囲外であることも少なくありません。

 

その場合は、スポット(単発)で追加の清掃を依頼したり、次回の契約更新時に業務内容の見直しを交渉したりするといった対応が必要になります。まずは契約内容について管理会社と認識をすり合わせることが、不要なトラブルを避ける第一歩です。

トラブル防止のためのルールを制定する

既存のルールが現状に合わなくなっていたり、新たな問題に対応できなかったりする場合は、管理規約そのものを見直す必要があります。

 

ただし、規約の改正は住民の生活に直接影響するため、慎重に進めなければなりません。

 

マンション管理会社にて勤めていた際に担当したマンションでも、時代や住民の方々の状況に合わせて、さまざまな規約改正が行われてきました。その中でも特に多かった事例をいくつか紹介します。

 

ルール・規約改定の事例①管理費・修繕積立金の増額

長期修繕計画見直しに際して、将来的な資金不足が判明し、管理費や修繕積立金の増額に踏み切るケースはよくあります。日々の支出が増えるので、個人としては嬉しくない改定ですが、マンションの財政に直結し、結果として住み心地という形で還元されるため、何とかご理解いただき合意形成を図ることが多い事例です。

 

ルール・規約改定の事例②役員の定数(人数)の削減

私が見てきた中でも居住者の高齢化などで役員のなり手が見つからない、という悩みは多くのマンションが抱えていました。そうした場合、「理事の定数を2人から1人に減らす」といったように、規約で定められた役員の人数を見直し、理事会を運営しやすくするという改正もよく行われていました。

 

ルール・規約改定の事例③共用施設の利用ルールの見直し

ゲストルームや集会室といった共用施設も、住民の方々のライフスタイルの変化に合わせて、「利用時間帯や料金を見直す」といった細かなルール変更がよくありました。より実態に合った運用を目指すための改正です。

 

マンション内には、元役員など、住民から信頼が厚く意見に影響力を持つ方がいる場合があります。そうした方に事前に改正案の趣旨を説明し、意見を聞いておくことも、スムーズな合意形成の助けになります。

 

なお、マンション管理規約については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

マンションの管理規約とは?規定されている内容や基本知識をくわしく解説

外部の専門家に依頼する

当事者間の話し合いや管理組合だけでの解決が困難な場合は、外部の専門家の力を借りることも重要です。特に、管理費の滞納問題が長期化・深刻化した場合は、最終的に弁護士に依頼せざるを得ないケースがほとんどです。

 

ー管理組合が弁護士に相談する案件の中で、経験した中ではかなりのケースが滞納問題でした。ー今村談

 

支払督促や訴訟といった法的手続きが必要になった場合、弁護士は心強い味方となります。その他、マンション管理士や司法書士など、トラブルの内容に応じて適切な専門家に相談しましょう。

トラブル対応の外部相談窓口

トラブル対応の外部相談窓口

トラブル対応の外部相談窓口

トラブルによっては、マンションの管理組合だけでは対応が困難な場合もあります。管理組合だけで対応しようとするとかえってトラブルが大きくなってしまう可能性もあるため、場合によっては外部へトラブル対応の相談をすることも必要になるでしょう。

 

ここでは、下記5つのトラブル対応の外部相談窓口について詳しく解説します。

 

・マンション管理センター

・マンション管理士事務所

・マンション管理業協会

・東京都マンション管理士会

・マンション紛争解決センター

マンション管理センター

マンション管理センターとは、マンションの管理を適正化するために管理組合の運営や建物の維持などを支援する、国の指定を受けた公益財団法人です。トラブルについて相談することで、公平・中立な立場の回答やアドバイスを得られます。

 

ただし、特定の弁護士や企業を紹介してもらうということはできません。仲裁に入るようなこともないため、あくまでも管理組合で解決するためのアドバイスをもらえる相談窓口です。

マンション管理士事務所

マンション管理士事務所とは、「マンション管理士」を有する専門家が所属する事務所です。マンション管理や管理組合の運営など、マンションに関する幅広い分野で相談を受け付けています。

 

マンション管理士事務所は無料で相談を受け付けてることも多いですが、公的な団体ではないため無料相談を受けるのはあくまでもトラブル解決の仕事を受注するためです。本格的にトラブル解決のためのアドバイスを受けるためには依頼する必要があるため、信頼できるマンション管理士を見つけましょう。

マンション管理業協会

マンション管理業協会とは、マンションの健全な管理体制の確立のため、マンション管理・保全技術の調査研究、管理者の育成などを行う一般社団法人です

 

マンション管理業協会は、協会に加盟しているマンション管理会社に対して公正な立場から事情調査や双方の主張の整理などを行い、トラブルの解決に向けてアドバイスを行います。

東京都マンション管理士会

東京都マンション管理士会とは、東京を拠点とするマンション管理士が在籍する一般社団法人です。東京都をはじめとする行政機関と連携をして「マンション管理士制度の社会への定着」や「マンション管理士の業務活動に対する支援」などを行っています。

 

マンション管理士事務所と同様に無料で相談を受け付けていますが、より詳細なアドバイスを受けるためには在籍しているマンション管理士を紹介してもらって依頼する必要があります。

マンション紛争解決センター

マンション紛争解決センターとは、マンション管理に関するトラブルに対して、訴訟上の手続きによらず裁判外紛争手続きによる早期解決を目的とする機関です。騒音トラブルから近隣住民などの外部とのトラブルまで、幅広く対応しています。

 

訴訟などを行わずに解決するため、少額の費用や簡単な手続きでトラブル解決を目指せます。申込金や手数料などは発生しますが、深刻なトラブルでも裁判をせずに解決しやすいのが特徴です。

 

よりよいマンションを探すためには内見も大切な要素です。内見時に使えるリストをご用意しました。ぜひダウンロードしてお使いください。

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まとめ:マンション 管理組合のトラブルは第三者へ相談することも視野いれておこう

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マンションでは、騒音やペットに関するトラブルなどのある程度想定できるトラブルもあれば、まったく想定できないトラブルが発生することもあります。できるだけトラブルが発生しないようにするためには、マンションの管理組合が環境を作ることが大切です。

 

マンションの管理組合ではさまざまなトラブルの対応を行う必要がありますが、どうしても管理組合だけでは対応しきれないトラブルも発生します。そのような場合は、第三者への相談も視野に入れておきましょう

今村 浩一​

マンション専門調査員

今村 浩一​

マンション管理会社にて管理組合の運営支援業務、その後、大手不動産仲介会社にて売買仲介営業​に従事し、2016年に東京カンテイに入社後現在に至る。​
マンション専門調査員として東京都心部を中心に、埼玉県全域、 名古屋市、札幌市、福岡市、広島市、宇都宮市、高崎市など、​延べ15,000棟以上のマンションについて現地/データの二面から調査を行う。​
趣味はマンション関連のネットサーフィン、モデルルーム巡り、マンション将来価格予想。​夢は歴代住んだマンションの模型を部屋に並べてお酒を飲むこと。​

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

簡易テスト

マンションの所有者は、その全員が管理組合に入り、組合員となります。「管理組合」及びその組織である「総会」「理事会」に関する下記説明文のうち、正しい文章を選んでください。

答えは 4

「総会」は、管理組合の最高意思決定機関です。

  • 資産性が低くて
    売りたくても売れない
  • 安いという理由だけで
    中古マンションを
    買ってしまった
  • 修繕積立金が
    年々上がる
  • 子供が成人したから
    マンションを売って
    一軒家生活したいけど…
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