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2023.09.21

マンションの管理規約とは?規定されている内容や基本知識をくわしく解説

マンションの管理規約とは?規定されている内容や基本知識をくわしく解説

マンションでは、住民が快適に暮らせるように管理規約が定められています。とはいえ、管理規約の意味や内容を知らない人も多いでしょう。

管理規約の内容を把握していないと、知らない間に規約に違反し、裁判沙汰になる可能性があります。

そこで、この記事では、管理規約の内容について解説します。混同されがちな使用細則についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

マンション管理規約とは

マンション管理規約とは

マンション管理規約とは

マンションの管理規約とは、マンション内のすべての住人が、円滑に共同生活を送れるように定めた基本的なルールのことです。

 

主に、次のような事項が定められています。

 

・区分所有者の所有関係や権利

・区分所有者が負担する費用

・管理組合や理事会の運営

・災害の際の対処方法や避難措置

 

一般的に、マンションの管理規約は「マンション標準管理規約」をもとに作成します。

 

マンション標準管理規約とは、国土交通省が作成した管理規約の大枠となるルールのことです。

 

管理規約を制定する際は、マンション標準管理規約を参考に、それぞれのマンションの事情に合わせて内容を調整します。

 

感染症拡大の対応や、ITを活用した総会や理事会の実施などの理由で、マンション標準管理規約は2016年や2021年(令和3年)に改正されました

 

マンションは3種類に分けられ、それぞれで管理規約の内容が異なります。

単棟型

単棟型とは、住居専用として建てられたマンションのことです。一つの敷地に一棟のマンションがある、もっとも一般的なタイプです。

 

マンションが一棟しかないため、ルールを統一化しやすく、管理規約を設定しやすい傾向にあります。

 

以下から、内容を詳しく確認できます。

 

参考:マンション標準管理規約(単棟型)|国土交通省

団地型

団地型とは、敷地内に複数のマンションが存在するマンションタイプです。

 

単棟型とは異なり、管理組合が複数のマンションを一元管理できるように規定を定めています。

 

団地型では、建物の構造や老朽化の進行状況はそれぞれ異なるため、各棟で管理費や修繕積立金は分ける必要があります

 

一つの管理組合で複数のマンションの運営を行うため、規約が複雑になりがちです。

 

団地型のマンションに住んでいる人は、団地型の標準管理規約をチェックしておきましょう。

 

参考:マンション標準管理規約(団地型)|国土交通省

複合用途型

複合用途型

複合用途型

複合用途型とは、マンションの一部分が店舗または事務所で、その他の部分が居住スペースとなっているタイプです。

 

例えば、低層階に店舗があり、上層階に住戸があるマンションのことです。

 

複合用途型でも団地型と同様に一元的に管理しますが、住民と店舗・事務所の利用者では、共用部分の使用方法が異なります。

 

・住民のみが使用する共用部分

・店舗や事務所などの利用者のみが使用する共用部分

・すべての人が使用する共用部分

 

それぞれの部分で規約が定められています。複合用途型のマンションに住むなら、管理規約を入念にチェックしておきましょう。

 

複合用途型のマンション標準管理規約は、以下で確認できます。

 

参考:マンション標準管理規約(複合用途型)|国土交通省

マンション管理規約が必要な理由

マンション管理規約が必要な理由

マンション管理規約が必要な理由

マンションには、世代・世帯人数・ライフスタイル・考え方などが異なる、さまざまな人が集まります。

 

一つの建物の中で多くの人が共同生活をしているため、快適に過ごすうえではルールが必要です。

 

建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)でも、区分所有者の権利や義務などの基本的なルールは定められているものの、法律だけではトラブルを防げません。

 

立地や規模など、マンションによっても事情は異なるため、適切な管理規約の制定が必須です。

 

ただし、管理規約は「区分所有法」にしたがって定められるため、自由にルールを決められるわけではないことを理解しておきましょう。

鑑定士コメント

マンションに管理規約がない場合どうすればいいのでしょうか?稀に、築年数が古く、自主管理のマンションで管理組合が機能しておらず、管理規約もない、というケースがあります。まずはそのマンションの区分所有者に説明し、総会を開いてもらいます。その後、理事を選任し管理規約の制定を行います。総会の開催には、区分所有者数および議決権総数の5分の1以上の賛成が必要です。現実的にはこれらのことを個人で行うのは非常に負荷が多いため、管理会社・コンサルティング会社などに依頼するのをお勧めします。

マンション管理規約で規定されている事項

マンション管理規約で規定されている事項

マンション管理規約で規定されている事項

マンションの管理規約では、主に次の4つが規定されています。

 

・専有部分と共用部分の区別について

・区分所有者の費用負担について

・管理組合関連について

・トラブルの対処方法について

 

以下で、もう少し詳しく解説します。

専有部分と共用部分の区別について

管理規約では、専有部分と共用部分の範囲や使用方法、補修のルールなどが定められています。

 

マンション内で故障や不具合が見つかった際に、「誰が修理費用を負担するのか」がわからなくなる場合があるでしょう。そうしたトラブルを避けるために、専有部分と共用部分を区別してルール決めがされています。

 

専有部分とは、区分所有者が所有する独立した居住空間のことを指します。すべての区分所有者で共有する部分が、共用部分です。

 

専用部分の補修については、専用部分の所有権をもつ区分所有者が負担する場合が多いです。

 

のちにトラブルに発展しないよう、事前に専有部分や共用部分の区分について確認しておきましょう。

区分所有者の費用負担について

管理規約では、区分所有者が負担する費用についてルールが定められています

 

マンションは経年劣化するため、適切に維持管理のために、定期的なメンテナンスや大規模修繕が必要です。

 

すべての区分所有者には、管理費や修繕積立金などの支払い義務が生じます。そのルールは以下の通りです。

 

・費用の算出方法や支払い方法

・管理費や修繕積立金などの費用の内訳

・駐車場の使用料の使い道 など

 

各費用の金額については、管理組合総会で決定されるケースが多いです。

 

管理規約で、「適切な費用か」「どのように使用されているか」を確認してみてください。

管理組合関連について

管理組合関連について

管理組合関連について

マンションの管理規約には、管理組合に関する規定が定められています。

 

具体的な内容は、次の通りです。

 

・管理組合の業務内容や範囲

・役員の役職や選任方法、任期

・総会の招集や議決権の割合

・理事会の招集や議決事項 など

 

よりよい環境で暮らすためには、管理組合が健全に活動していることが重要です。自身が役員に選出される可能性もあるので、必ず目を通しておきましょう。

トラブルの対処方法について

マンションには、多くの人が住んでいるため、トラブルが起こる可能性は高いです。トラブルを未然に防ぐために、禁止事項やトラブルの際の対処方法が定められています

 

例えば、ペット飼育や騒音、費用の滞納に関する事項です。

鑑定士コメント

マンションに住む際に管理規約を確認しないとどうなるのでしょうか?管理規約はそのマンションの固有のルールです。一般論から自身では問題ないと考えていても、管理規約に禁止事項として記載されている場合があります。管理規約を確認しないと、知らない間に違反しているかもしれません。他の区分所有者へ悪影響を及ぼしていると判断されれば、退去を命じられたり、損害賠償請求されたりする恐れがあります。必ず管理規約をチェックしておいてください。

マンション管理規約に違反した場合

マンション管理規約に違反した場合

マンション管理規約に違反した場合

マンションの管理規約に違反すると、違反行為について総会や理事会が開催されます。

 

総会や理事会で決議を得たうえで、理事長から違反行為を辞めるように警告や勧告を受けます

 

それでも違反行為が続く場合は、強制退去を命じられたり、損害賠償請求をされたりする可能性があるでしょう。

 

マンションによっては、強制的に部屋を競売にかける規定もあります。

 

管理規約は、すべての区分所有者が対象となります。管理規約を確認していなかった場合でも、処分を下されるので、必ず管理規約はチェックしましょう。

マンション管理規約とセットで覚えておきたい使用細則とは

マンション管理規約とセットで覚えておきたい使用細則とは

マンション管理規約とセットで覚えておきたい使用細則とは

管理規約では、マンション管理の基本的なルールを定めています。一方で使用細則は、マンションで日常生活を送るうえでの注意事項など、より細かなルールを定めたものです。

 

例えば、以下のような規定が定められています。

 

・駐車場や駐輪場の使用方法

・共用部分での喫煙の可否

・ベランダの使用方法

・楽器の演奏に関する事項

・ペットの飼育に関する事項

 

使用細則は、管理規約と同等の拘束力があるため、管理規約とあわせてチェックしましょう。

 

区分所有者の要望によって、新たに制定・改正されることもあります。

 

管理規約の制定や改正は、区分所有者および議決権総数の4分の3以上の賛成が必要(※)です。しかし使用細則の場合、区分所有者の議決権総数のうち、過半数の賛成で制定・改正できます。

 

※参照:国土交通省

まとめ:マンションの管理規約を守って住みやすい環境を作ろう

まとめ:マンションの管理規約を守って住みやすい環境を作ろう

まとめ:マンションの管理規約を守って住みやすい環境を作ろう

管理規約を制定することで、住民同士のトラブルを未然に防ぎ、快適な生活を送れるようになるでしょう。

 

主に、専有部分と共用部分の区分や費用の負担、管理組合に関する事項が定められています。

 

違反した場合には、強制退去や損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

マンションに住む際には、より細かなルールが制定されている使用細則と管理規約の両方を確認しましょう

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

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答えは 3

所有者の意思に関わらず、必ず管理組合の組合員にならなければなりません

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