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更新日:2023.06.26
登録日:2023.06.26
不動産鑑定士の費用相場はいくら?鑑定と査定の違いや選び方も解説
「不動産の適正価格を知りたいけど、査定にはいくらぐらいかかる?」
「不動産鑑定士への依頼料をできるだけ安く抑えたい」
不動産の適正価格を知りたいとき、このように考える人も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産鑑定士への依頼料の費用相場や不動産査定との違い、不動産鑑定士に依頼したほうがよいケースなどを紹介しています。ぜひ最後まで読んで、自分に合った不動産鑑定士選びに役立ててください。
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不動産鑑定士に依頼する費用相場
不動産鑑定士に依頼する費用相場
不動産鑑定士とは、不動産に関する国家資格。そのときの経済状況や、周辺の地理的状況を詳しく調査し、土地や建物の適正な評価額を算出するのが仕事です。不動産鑑定を依頼した場合の費用相場は、安くても20万円程度といわれていますが、依頼の内容によっても依頼料が変わります。
不動産鑑定士の業務は、大きくわけて「不動産鑑定」と「不動産調査報告(簡易評価)」の二つ。それぞれの依頼したときの費用について詳しく説明するので、不動産鑑定士への依頼を検討している人は参考にしてください。
不動産鑑定評価費用
不動産鑑定を依頼するときの費用は、対象となる不動産の種類や評価額によって異なります。たとえば土地だけを鑑定してもらうときと、土地と建物の両方を鑑定してもらうときとでは、後者のほうが高額である場合が多いでしょう。
不動産鑑定のおおよその費用相場は、以下の表をご覧ください。
上記の金額はあくまでも目安です。たとえば土地の規模が大きいと、調査に手間や時間がかかってさらに高額になることも。また、住んでいる都道府県によっては評価の基準が違うことがあるので、場所によって依頼料の相場が変動する場合もあります。
不動産鑑定の依頼料は鑑定事務所が独自に決定するため、依頼する事務所によっても費用が変わります。実際に不動産鑑定を依頼するときには、複数社の見積もりを取って比較検討するとよいでしょう。
不動産調査報告費用(簡易評価)
不動産調査報告は不動産鑑定より簡易な鑑定のため、調査にかかる期間が短くなり、依頼料も2〜3割程度安くなるのが一般的です。依頼料の相場は、1件あたりおおよそ10万円前後。不動産調査報告では、最小限の調査で大まかな評価額が算出されます。
不動産調査報告の際に作成される「不動産調査報告書」は、法的な効力は持っていないため使用できるシーンが限定されます。たとえば、マンションを売りたいときに交渉材料として資料にしたり、個人的に不動産の評価額を把握したりしたいときなどです。
コストを抑えたいときは費用が安い不動産調査報告に目が行きがちですが、そもそも自分が何のために不動産の評価額を知りたいのか、目的を明確にする必要があります。不動産鑑定士に依頼するときには、自分にとって不動産鑑定評価書と不動産調査報告書のどちらが必要かを、しっかり把握しておきましょう。
なお東京カンテイでは、中古マンションに特化した不動産鑑定評価サービスを提供しています。不動産鑑定評価書は25万円、価格調査報告書は5万円(それぞれ税別)で作成できますので、気になる人は以下のページからお問い合わせください。
不動産鑑定と不動産査定の違い
不動産鑑定と不動産査定の違い
不動産の評価額を知るための方法としては、不動産鑑定士が行う鑑定のほかに、不動産会社や仲介業者が行う「不動産査定」があります。内容や使用できるシーンなどに違いがあるため、それぞれの特徴を理解して、必要に応じて使いわけましょう。
不動産鑑定士が行う不動産鑑定
不動産鑑定とは、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準に基づいて行われる、正式な鑑定評価です。不動産鑑定を依頼すると、相続人・裁判所・税務署などにも提示できる「不動産鑑定評価書」が発行されます。
不動産鑑定評価書は、くわしい調査と明確な基準に基づいて発行されるため、不動産の価値を法的に証明できる点がメリットです。不動産鑑定の具体的な利用シーンには、不動産相続の際に財産分与をするときや、不動産の相続税の評価額を下げて節税したいときなどが挙げられます。
先に述べたとおり、不動産鑑定の依頼には決して安くはない費用がかかる点や、結果が出るまでに時間がかかる点には注意が必要です。しかし、不動産の評価額について公に開示するための正確なデータが必要なら、不動産鑑定を依頼したほうがよいでしょう。
不動産会社が行う不動産査定
不動産査定とは、不動産会社や仲介業者が不動産の推定価格を算出すること。不動産鑑定士に依頼する鑑定と比べて必要な期間も短い場合が多く、無料で依頼できるため、気軽に不動産の評価額を把握できます。
不動産査定の基準となる要素は、似たような物件の過去の取引価格や周辺環境など。その物件がおおよそいくらぐらいで売却できそうかの概算がわかることで、自分が保有する不動産を売却するときの判断材料にできる点がメリットです。
不動産査定で算出される価格はあくまでも概算なので、不動産鑑定のように法的に証明できるデータではありません。不動産査定で出た結果は、取引の際の参考資料のような使い方にとどまることを理解しておきましょう。
鑑定士コメント
固定資産評価額と不動産鑑定士による鑑定評価額は、どちらも「評価額」という言葉を使っており、違いが気になりますね。固定資産評価額と鑑定評価額は、大きくわけて二つの違いがあります。一つ目はその用途です。固定資産評価額は、自治体がその不動産の所有者に対して、土地や建物、償却資産の税額を公平性を持って決めるための基準に用いられる金額です。一方不動産鑑定士による鑑定評価額は、本文中にあるとおり、財産分与や遺産相続の分割など、いろいろな用途で用いられ、複数の利害関係者がいるときの客観的な指針として使われます。二つ目の違いは、誰がどのように評価するかです。不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて算出する鑑定評価額とは違い、固定資産評価額は各自治体の固定資産評価員が、固定資産評価基準に基づいて算出します。
不動産鑑定士に鑑定を依頼すべきケースとは
不動産鑑定士に鑑定を依頼すべきケースとは
不動産の正式な評価額を算出してくれる不動産鑑定士ですが、不動産の価格を知りたいすべての場合で、依頼しなければならないわけではありません。不動産鑑定士による鑑定評価額を用いるべきケースは、主に以下の三つです。
・相続や離婚で財産分与をするとき
・裁判で遺産相続の分割を決めるとき
・相続税の申告で土地評価額を下げて節税したいとき
それぞれのケースについて、詳しく説明します。
相続や離婚で財産分与をするとき
不動産鑑定士に依頼すべきケースの一つ目は、相続や離婚で財産分与をするときです。相続や離婚に伴う財産分与では、財産を公平にわけるために、適正な不動産の価格を把握しておかなければなりません。
たとえば離婚の際に正確な不動産評価額を把握しておらず、どちらか1人だけが多く財産を手に入れることになれば、後々トラブルが発生する可能性があります。財産を公平にわけられなければ、離婚後の生活に対する保障や損害賠償などに関わることも。
相続や離婚での財産分与の際は、すべての権利者が納得できるように財産をわける必要があります。トラブルを防ぐためにも、不動産鑑定士に依頼して正確な金額を算出してもらいましょう。
裁判で遺産相続の分割を決めるとき
不動産鑑定士に依頼すべきケースの二つ目は、不動産の遺産相続をめぐって相続人の間で話がまとまらず、裁判になったときです。不動産の相続に関して裁判所が介入する場合、不動産鑑定士が発行した不動産鑑定評価書を、裁判所へ提出する必要があります。
たとえば家を相続した人は、不動産の評価額を相続人数で等分した金額を、ほかの相続人に渡さなければなりません。このとき相続人の間で把握している金額に違いがあると、受け取る金額について揉めてしまう可能性があります。
正確に不動産の評価額を算出し、公平に分割するためには不動産鑑定士の評価が必須です。遺産相続の際に話がまとまらないようなら、不動産鑑定士への依頼を視野に入れましょう。
相続税の申告で土地評価額を下げて節税したいとき
相続税の申告で土地評価額を下げて節税したいとき
不動産鑑定士に依頼すべきケースの三つ目は、相続税を申告する際に土地の評価額を下げて、支払う税金の額を抑えたいときです。不動産の相続税は、自治体によって判断される固定資産税評価額や、国税庁が算出する路線価によって決められます。しかし、不動産鑑定士による評価額のほうが安ければ、その分節税が可能です。
固定資産税評価額や路線価より、不動産鑑定士による評価額のほうが安くなるケースの代表例には、主に以下の3点が挙げられます。
・整地されておらず利用できない
・土壌汚染がある
・土地が道路に接している幅が狭い
周辺環境や土地の状況が価値に影響しそうな場合には、不動産鑑定士に評価を依頼して、不動産鑑定評価書を税務署に提出するとよいでしょう。
鑑定士コメント
自宅を売却する際に鑑定評価は必要でしょうか?自宅を売却する際に不動産鑑定士に依頼するかどうかは個人の自由です。売却価格を決める際、大まかな不動産査定だけでよいという人もいれば、正式な適正価格を把握しておきたいという人もいるでしょう。
ただし、不動産鑑定士による評価額は専門家による客観的な指標です。売り手は高く売りたく、買い手は安く買いたいという利益相反する相対取引の中で、指標があるのは大きなメリットです。鑑定評価は、不動産の売却価格を決める判断材料として役立つでしょう。
不動産鑑定士の費用を抑えるための選び方
不動産鑑定士の費用を抑えるための選び方
これまで説明してきたとおり、不動産鑑定士への依頼料は安いとは言えない金額である場合も多いものですが、できる限り費用を抑えるためには以下の2点の方法が有効です。
・複数の不動産鑑定士から見積もりを取る
・同じ都道府県内に所属する不動産鑑定士に依頼する
すでに軽く触れている内容ですが、それぞれについてより詳しく説明します。少しでも不動産鑑定にかける費用を安くしたいと思っている人は、目を通してみてください。
複数の不動産鑑定士から見積もりを取る
不動産鑑定士への依頼を検討するときは、1社だけでなく複数の事務所から見積もりを取るのがおすすめ。不動産鑑定士への依頼料は、それぞれの事務所が個別に決めています。事務所によって依頼料が変わる場合が多いので、複数社の見積もりを比較して安いところに依頼するのも一つの方法です。
ただし価格ばかりを比べて、自分に合っていない事務所を選ばないよう注意しましょう。用途に合ったプランがあるかどうかや、在籍する不動産鑑定士の実績、事務所の雰囲気などをチェックすることも大切です。
同じ都道府県内に所属する不動産鑑定士に依頼する
不動産鑑定士に依頼するときは、対象となる不動産がある都道府県内の鑑定事務所を探しましょう。基本的には、不動産鑑定士の資格があれば全国のどの不動産でも鑑定できますが、同じ都道府県内のほうが安く依頼できる場合がほとんどです。
同じ都道府県内の不動産鑑定士に依頼すれば、かかる手間や時間も少なくなり、それだけ依頼料を抑えられます。また、不動産鑑定士は都道府県単位で活動している場合が多く、自分が属する都道府県の鑑定が得意であるのが一般的です。
安くて質の高い不動産鑑定を求めるなら、同じ都道府県内の不動産鑑定士に依頼するのがおすすめ。特別な事情がない限りは、自分が保有する不動産の近くの鑑定事務所を探しましょう。
まとめ:不動産鑑定士の費用相場を把握して必要なときに利用しよう
まとめ:不動産鑑定士の費用相場を把握して必要なときに利用しよう
不動産鑑定士に鑑定を依頼したときの費用相場は、20〜30万円程度です。ただし、土地・建物の規模や、どの事務所に依頼するかによっても依頼料は変わります。依頼するときには、複数の不動産鑑定士から見積もりを取って検討しましょう。
不動産鑑定では、土地や建物の適正な評価額がわかります。不動産鑑定によって発行される不動産鑑定評価書は、土地や建物の評価額が証明できる公的な書類です。自分にとっての必要性をしっかり考え、費用や内容に納得したうえで、不動産鑑定士への依頼を決めましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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