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更新日:2024.09.12
登録日:2023.04.24
不動産評価額とは?種類別の目的や調べ方・計算方法まで詳しく解説
不動産評価額とは、不動産の価値を測る基準価格で、売却価格や税金額を知りたい時に役立ちます。
しかし、不動産評価額には、「固定資産税評価額」「公示地価」「基準地価」「路線価」「実勢価格」の5つが存在します。どの評価額を参考にすべきか、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、不動産評価額の種類別の目的・調べ方・計算方法をまとめて解説します。売却価格や税金額を把握するために、本記事を参考にしてください。
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不動産評価額とは
不動産評価額とは
はじめに、不動産評価額について解説します。
不動産評価額とは、取引や課税の際に基準となる不動産の価格のことです。
不動産評価額から「現在所有している不動産がいくらで売れるか」の予想が立てられます。不動産評価額=売却価格になるわけではありませんが、取引価格の目安になります。
不動産評価額は、不動産にかかる税金額(固定資産税・都市計画税・相続税など)を計算する時にも必要な指標です。
以上の通り、不動産評価額は不動産を所有する上で重要な指標となりますが、不動産評価額には5つの種類が存在します。
不動産評価額の種類と目的
不動産評価額の種類と目的
「一物五価」という言葉があるように、1つの不動産に対して、価格が5つ存在します。
・固定資産税評評価
・公示地価
・基準地価
・路線価
・実勢価格
価格が複数存在する理由は、不動産を評価する主体や目的が異なるためです。
それぞれの評価額について詳しく解説するので、大まかな違いを理解しておきましょう。
固定資産税評価
固定資産税評価は、不動産の所有者に課せられる税金である「固定資産税」の基準となる指標です。固定資産税額を計算する際に役立ちます。
以下の計算式で、固定資産税額を算出しましょう。
固定資産税=評価額×1.4%(税率)(※)
総務省が定める「固定資産評価基準」に基づいて、各地方自治体の不動産鑑定士が、土地と家屋の状況を確認した上で固定資産税評価額を決定します。
固定資産税評価額は、「公示価格」の7割(※)を目安に調整され、3年に1度のペースで評価額の見直しが行われます。
※参照:総務省
鑑定士コメント
固定資産税評価額は「土地や家屋の状況を元に決定する評価額」、対して課税標準額は「税額計算の基礎となる金額」のことです。納税通知書などを見れば、この2つの価格が併記されています。課税標準額に税率をかけることで、固定資産税額が決定します。土地にかかる固定資産税は、住宅用地の場合は、特例措置の適用や税負担の調整措置が適用されて、課税標準額の方が固定資産評価額より低くなります。
公示価格とは
公示地価の正式名称は「地価公示価格」で、「毎年1月1日時点での標準となる地価」のことです。公示地価は、地価公示法に基づいて国土交通省の土地鑑定委員会が決定し、毎年3月に公表されています。(※)
公示価格は、都市計画区域内の標準的な土地を、2人以上の不動産鑑定士が鑑定して評価を決定する指標です。
売却を検討する土地の近隣にある公示価格を調べることで、およその売却価格を把握できます。
また公示価格は、固定資産税評価や相続税評価の基準であるため、税金額を計算する時にも必要になるでしょう。
※参照:国土交通省
基準地価とは
基準地価とは
基準価格とは、国土利用計画法施行令に基づいて、都道府県が決定する毎年7月1日時点での標準価格のこと(※)です。
基準地価は毎年9月頃に公表され、公示地価と同様に、土地の市場価値の参考指標として活用されています。
公示地価と異なる点は、「調査の主体が都道府県であること」や「都市計画区域外の土地も評価の対象に含まれること」です。
1人以上の不動産鑑定士が、都市計画区域外の土地も含めて調査し、評価を下します。
公示価格は毎年1月時点、基準地価が毎年7月時点での標準価格であるため、2つの価格を比較することで地価変動を把握することができるでしょう。
※参照:国土交通省
路線価とは
路線価は「相続税評価額」とも呼ばれ、「道路に面している標準的な宅地1㎡あたりの価格」のことです。国税庁が毎年1月1日時点での価格を決定し、毎年7月に発表します。(※)
路線価は、税金額を算出するための基準となる評価額で、土地にかかる相続税や贈与税を確認する時に役立ちます。路線価は、公示価格の80%程度を目安に調整(※)されている評価額です。
これまでに紹介した、公示価格・基準地価・路線価は公的機関が調査する指標ですが、次に紹介する実勢価格は公的価格ではありません。
※参照:国税庁
実勢価格とは
実勢価格とは、実際に取引された価格のことを指します。いわば、市場価格です。
実勢価格は、所有する不動産の価値を把握するための指標であるため、売却時の価格設定の参考になります。
物件の周辺環境・市場の需要・景気の動向によって価格は変動するため、実勢価格はあくまで参考価格として確認しましょう。
公示価格や基準地価などは取引価格の指標として公表されていますが、実勢価格と公的な価格は同じ金額にはなりません。
なぜなら、不動産の売却価格は、売り手と買い手の需要と供給のバランスによって変動するためです。このように、実勢価格は公的価格のような明確な基準がなく、当事者間の話し合いで価格が決定します。
不動産評価額の調べ方【種類別】
不動産評価額の調べ方【種類別】
以上の通り、不動産には5つの評価額があり、調査主体が異なります。そこで、以下の価格の調べ方を解説します。
・公示価格
・基準地価
・路線価
・実勢価格
価格を算出するための計算式も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
公示地価
公示価格は、国土交通省の公式サイトにある「標準値・基準値検索システム」から確認できます。「標準値・基準値検索システム」を開いた後、都道府県や市区町村を選択し、以下の条件を指定してください。
・対象
・調査年
・用途区分
・地価
すると、条件を満たす市区町村内の公示価格が表示されます。売却を予定している土地周辺の地域を見つけて、価格の欄を確認しましょう。
近隣に標準地が複数ある場合は、調べる土地と似た「形状」や「用途地域」の価格を参考にしてください。
基準地価
基準地価は、公示地価と同様に「標準値・基準値検索システム」から確認できます。
システム上で、基準地価は「都道府県地価」と記載されています。「対象」の項目では「都道府県地価」を選び、条件を絞り込みましょう。
「価格(円/m²)」の欄に記載されている値が、基準地価です。
基準地価に敷地面積をかけることで、およその売却価格を予想できます。
実勢価格は「公示価格(もしくは基準地価)の1.1〜1.2倍」と言われています。実勢価格を算出する場合は、以下の計算式で算出しましょう。
公示地価(基準地価)×敷地面積×1.1〜1.2
路線価
路線価
路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」から調べられます。
路線価図・評価倍率表を開いた後、対象となる都道府県を選択し、一番上にある「路線価図」をクリックします。
次に、市区町村を選択して、路線価図を開いて確認しましょう。
路線価図上では、数字とアルファベットの組み合わせで記載されています。数字は「路線価(千円単位)」、アルファベットが「借地権割合」を表します。
以下の計算式(※)で、評価額を算出しましょう。
・自用地の評価額=路線価×奥行価格補正率×地積
・借地の相続税評価額=自用地評価額×借地権割合
ただし、道路に面している位置や数によって計算方法は異なります。正確に知りたい場合は、税理士に依頼する手段もあります。
※参照:国税庁
実勢価格
実勢価格は、国土交通省の土地総合情報システムから調べられます。
土地総合情報システムを開いて、「不動産取引価格情報検索」をクリックしてください。知りたい地域や土地の条件を絞り込むことで、実勢価格を調べられます。
所有する不動産と条件の近い土地の実勢価格を確認して、不動産を売却する際の参考価格にしましょう。
鑑定士コメント
マンションの評価額は、土地の評価額と建物の評価額をそれぞれ計算した後、合算します。マンションのような区分所有の場合は、土地については、マンション全体の敷地の評価額に持ち分を乗じて計算されます。建物については、専有部分に課税されるのはもちろん、共用部分の共有持分にも課税されます。
【目的別】調べる不動産評価額
【目的別】調べる不動産評価額
※横にスクロールできます。
不動産評価額と売却価格に差がある理由
不動産評価額と売却価格に差がある理由
不動産評価額は、総務省の固定資産評価基準に基づいて、市区町村が決定する指標です。固定資産評価基準は、建築素材・構造・設備など、11の項目で評価(※)されています。
また、建物を建てるコストや経過年数に応じた評価額が付きます。
対して、売却価格は実際に取引された価格です。不動産の状態・需要と供給のバランス・周辺環境など、さまざまな要因によって売却価格が決定します。
以上の通り、価格決定の基準がそれぞれ異なるため、不動産評価額と売却価格には差が生じます。
不動産を売却する場合には、不動産評価額はあくまで参考にして、市場価格に応じた価格設定を行いましょう。
※参照:総務省
不動産評価額に納得できない場合
固定資産税の納税者が評価額に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申し出を行うことができます。
固定資産評価審査委員会は、法律に基づいて設置された行政委員会です。委員会が第三者機関として「評価額が適正であるか」を審査します。固定資産評価基準と照会した上で、「評価額が不適当である」と認められた場合、評価額が修正されます。
ただし、納税通知書を受け取った日の翌日から3ヶ月以内(※)に審査の申し出を行う必要があるため、注意してください。
再評価の申し込みは、市区町村役場で行うことができます。
参照:東京都主税局
まとめ:不動産評価額は目的に応じたものを利用しよう
まとめ:不動産評価額は目的に応じたものを利用しよう
不動産評価額は、不動産の取引や税金を計算する上で必要不可欠な指標となります。目的に応じて、適切な不動産評価額を調べましょう。
不動産評価額は固定資産評価基準に基づいて決定されるため、実際の売却価格と異なる場合があります。不動産を売却する場合、不動産評価額はあくまで参考にして、市場価格に応じた価格設定を行ってください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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