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更新日:2024.09.12
登録日:2023.03.23
マンションの名義変更が必要なケースとは?必要な費用や書類についても解説
さまざまな事由によって、マンションを取得することがある人もいるでしょう。マンションを取得した際は名義変更が必要ですが、マンションの名義変更はどのような手続きが必要なのか、詳しくわからない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、マンションの名義変更が必要なのはどのようなケースか、必要な費用やケース別の書類について解説します。名義変更の手順や注意するポイントについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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マンションの名義変更とは?
マンションの名義変更とは?
マンションの名義変更とは、法務局が管理する登記簿に記載されている名義を変更することです。マンションに関わらず、不動産を所有する場合は登記簿で所有者の住所や氏名などが管理されます。何かしらの理由で不動産の所有権を取得した場合、登記簿の名義を変更する「所有権移転登記」を行い、不動産の所有者の情報を登録しなければならないのです。
例えば、マンションの名義を自分に変更した場合、マンションの所有者が自分であることを第三者に証明できます。マンションを取得したあとに名義変更を行わなかった場合、前の持ち主が二重譲渡で自分以外の人にマンションを売却してしまう可能性があります。二重譲渡などのトラブルが起こっても、名義変更をしていなければマンションの所有権を主張できません。そのため、マンションを取得した際は速やかに名義変更を行う必要があります。
なお、不動産登記については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
不動産登記とは?登記簿謄本の見方や必要な費用の相場について解説
マンションの名義変更が必要となるケース
マンションの名義変更が必要となるケース
マンションの名義変更が必要となるケースは、主に下記の4つです。それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
・マンションを売買したとき
・生前贈与をしたとき
・遺産相続をしたとき
・財産分与を受けたとき
マンションを売買する場合、所有者が変わるため名義変更が必要です。自分が購入した場合は、所有者である売主から新しい所有者である自分に名義変更を行います。また、売却する場合は、売主である自分から新しい所有者である買主に名義変更を行う必要があるでしょう。
一般的なマンション売買の場合、不動産会社などの仲介業者が司法書士を紹介してくれることが多いです。そのため、基本的に自分で司法書士を手配する必要はありません。マンション引き渡しのタイミングで司法書士も同席して名義変更を行うため、名義変更を忘れるということは起こりにくいでしょう。
生前贈与をしたとき
税金対策の一環などで、生前贈与を行う人もいるのではないでしょうか。マンションを生前贈与する場合も名義変更が必要です。生前贈与は親族間で行われることが多く、マンションの売買と違い不動産会社などの仲介業者が間に入りません。そのため、名義変更を個人で司法書士へ依頼するか、司法書士を挟まずに行う必要があります。
生前贈与の場合、贈与者の「贈与する」という意思と受贈者の「受贈する」という意思が合致した場合に贈与の効力が発生します。そのため、生前贈与で名義変更する際は贈与者と受贈者の双方で手続きをする必要があります。
遺産相続をしたとき
遺産相続した場合も、マンションの名義変更をする必要があります。売買や生前贈与との違いは、所有者が亡くなっていることです。そのため、相続者からのみ名義変更の手続きを行います。相続者が一人であれば問題ありませんが、複数人の相続者がいる場合は遺産の分割をどのようにするかを話し合いで決め、相続人全員の合意を得る必要があるでしょう。
マンションの所有者が亡くなってから名義変更せずに時間がたってしまうと、新たな相続が発生してしまった際にさまざまな問題が起こる可能性があります。相続による名義変更には申請期限がないため、名義変更をせずに放置されているケースも存在します。放置すればおうちするほど、名義変更が必要な際に問題が複雑になってしまうため、早めに名義変更を行いましょう。
財産分与を受けたとき
夫婦が離婚した際に発生する財産分与ですが、財産分与の際も名義変更が必要です。財産分与請求権は離婚から2年のため、一般的には2年以内に名義変更を行います。なお、双方の合意があれば2年以降も財産分与は可能です。
夫婦でマンションに住んでいた場合、マンションの名義は「共有名義」と「単独名義」のどちらかに分かれるでしょう。財産分与で名義変更になるケースは、共有名義の場合と夫の単独名義のマンションを妻が受け取る・妻の単独名義のマンションを夫が受け取る場合です。
鑑定士コメント
マンションの名義変更を行うということは、所有権を移転したことを客観的に証明するために、登記簿の甲区に記載される所有者を変更するということです。例えば、マンションを購入して名義変更を行わなかった場合、登記簿上の所有者は売主のままになってしまいます。名義が自分でなければ、マンションを売却できない・トラブルの際にマンションの所有権を主張できないなどのリスクがあるのです。
マンションの名義変更に必要な費用
マンションの名義変更に必要な費用
マンションの名義変更には費用がかかります。主に必要な費用は、下記の3つです。それぞれどのような費用か、金額などを詳しく見ていきましょう。
・登録免許税
・司法書士への手数料
・必要書類の取得費用
登録免許税
登録免許税とは、土地や建物を買った名義変更(登記手続き)の際に課される国税です。マンションの名義変更の際にも登録免許税を納めなければなりません。名義変更を行うマンションの取得事由によって、登録免許税の税率が変わります。なお、一部事由については軽減税率が適用されることがあります。
※参考:国税庁
例えば4,000万円のマンションを購入する場合、適用される軽減税率で登録免許税を計算すると下記のようになります。
4,000万円×15/1,000=60万円
登録免許税の費用を準備する際は、マンションの取得事由にあった税率を調べて計算しましょう。
司法書士への手数料
名義変更の手続きを司法書士に依頼した場合、司法書士への手数料が発生します。司法書士の手数料は全国一律ではなく、各司法書士事務所によって違います。現在の登記簿の状態などによって金額は上下しますが、一般的な相場は5万円~15万円程度(※)です。
ただし、作業量が多いケースだとさらに金額が高くなる可能性があります。例えば、相続による名義変更で相続人の数が多い場合、報酬が加算されることもあります。司法書士へ名義変更手続きを依頼する際は、事前に金額を確認しておきましょう。
※参考:不動産名義変更手続きセンター
必要書類の取得費用
マンションの名義変更では、証明書などのさまざまな書類が必要です。下記の通り、書類の取得には費用(目安)が掛かります。
※1参考:法務局
※2参考:東京都主税局
※3参考:港区
これらの書類は、法務局や各市区町村の役所で発行できます。書類の取得費用はそれぞれの役所ごとに違うため、発行前に確認しておきましょう。また、役所での発行やオンライン発行など、発行方法によっても費用が違うため注意が必要です。
マンションの名義変更に必要な書類
マンションの名義変更に必要な書類
マンションの名義変更は、変更事由ごとに必要な書類や用意しなければならないものが違います。下記の名義変更事由別で必要な書類について、詳しく解説します。
・マンション売買の場合
・生前贈与の場合
・遺産相続の場合
・財産分与の場合
マンション売買の場合
マンションの売買では、買主と売主でそれぞれ下記の書類などを準備する必要があります。
不動産会社を介する売買では、基本的に司法書士に登記手続きを依頼します。下記の書類は一般的に司法書士が用意するものですが、売買時に確認を行うこともあるので把握しておきましょう。
・登記申請書
・登記原因証明情報
・委任状
生前贈与の場合
生前贈与の場合、贈与者と受贈者でそれぞれ下記の書類などが必要です。
登記原因証明情報とは、法務局に登記手続きの情報が正しいことを伝える情報です。生前贈与の場合、贈与証書や贈与契約書などの生前贈与であることが証明できる書類を準備する必要があります。また、司法書士に登記手続きを依頼する場合は、司法書士が委任状を準備します。
遺産相続の場合
遺産相続では、相続人の書類のほか亡くなった被相続人の書類も準備しなければなりません。必要な書類などは、それぞれ下記のとおりです。
相続人個人に関わる必要書類は、相続人全員分の書類を集めなければなりません。被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍は出生から死亡までの連続性のあるものを準備しましょう。
また、遺産相続の場合は遺言書の有無でも必要な書類が変わります。遺言書がある場合は遺言書を提出し、ない場合は必要に応じて「遺産分割協議書」を準備しましょう。法定相続分通りに遺産分割を行う場合、遺産分割協議書は不要です。遺産分割協議書がある場合は、相続人全員の印鑑証明書の準備が必要になります。
財産分与の場合
財産分与の場合は、新しい名義人と元の名義人でそれぞれ下記の書類などを準備しましょう。
財産分与での登記原因証明情報は「財産分与契約書」や「離婚の調停調書」、「離婚協議書」などです。
マンションの名義変更の手順
ここでは、マンションの名義変更の手順について解説します。一般的には、下記の順序で進めていきます。
・必要な書類を集める
・登記新支所に記入する
・必要書類と申請書を法務局に提出する
必要な書類をあつめる
マンションの名義変更を行う際は、まず必要な書類を集めます。売買や生前贈与など、名義変更が必要な事由によって必要な書類は違うため、事前に確認してリストアップしておきましょう。
書類は法務局や市区町村の役所などで、発行する場所が違います。発行方法も、役所やオンラインなどの方法があるため確認しておきましょう。登記申請書は法務局のホームページからダウンロードできますが、売買や生前贈与などのケース別で内容が違うため、確認の上ダウンロードする必要があります。
必要書類と申請書を法務局に提出する
書類の準備と登記申請書の作成が終わったら、法務局に提出します。窓口提出後、およそ1週間で審査が行われます。書類に不備がなければそのまま手続きが進んで「登記識別情報通知」が発行されるので受け取って名義変更は終了です。
必要書類と登記申請書の提出は窓口からのみ行え、郵送での提出はできません。しかし、登記識別情報通知は窓口での受け取りのほか、提出時に変身封筒を同封しておくことで郵送受け取りができます。必要に応じて変身奮闘を準備しておきましょう。
鑑定士コメント
名義変更は、マンションの新しい所有者ともとの所有者が共同で行います。具体的には、登記申請書を作成し必要書類を添付し、法務局に提出します。受理されれば「登記識別情報通知」が発行され、登記簿の履歴が変更されます。
司法書士に依頼することが一般的ですが、個人でも手続きは可能です。個人で行うと、費用を抑えられるといったメリットがあります。一方で、書類収集や登記申請書の作成などで労力や時間が必要になるというデメリットがあるため、状況に応じて選択しましょう。
マンションの名義変更で注意するポイント
マンションの名義変更で注意するポイント
マンションの名義変更を行う際、下記のような状況では注意が必要です。それぞれの注意するポイントについて、詳しく解説します。
・名義変更と一緒にローンも引き継ぐ場合
・共同名義をひとつの名義にまとめる場合
・共同名義の片方だけを名義変更したい場合
名義変更と一緒にローンも引き継ぐ場合
離婚による財産分与など、マンションの名義変更と同時にローンも引き継ぐ場合があります。例えば、「夫の単独名義でマンションを購入したが、離婚することになり妻がマンションをもらうことになった」という状況になる場合があるでしょう。
このような場合、一般的には名義変更を行うとともにローンも引き継ぐことになりますが、中にはローンを引継げないケースがあります。というのも、多くのローン契約で「名義変更する際は金融機関の承諾が必要」という条件が設定されている場合があるからです。
金融機関の承諾を得るには、現在のローン契約者以上の返済能力がなければ難しいため、場合によってはローンを引継げない可能性があります。そのため、名義変更を行う際は、ローンの引き継ぎではなく「借り換え」を行うことが多いです。ローンが残っている場合は、名義変更と並行してローンの借り換えの手続きを行う必要があります。
共同名義をひとつの名義にまとめる場合
夫婦や親子共同名義で所有しているマンションの名義を、ひとつにまとめたいという人もいるのではないでしょうか。基本的な手続きは、財産分与や生前贈与などのケースに応じた手続きを行えば問題ありません。
ただし、ローンが残っている場合は、追加の手続きが必要です。ローンが残っているマンションの共同名義をひとつの名義にまとめる場合、下記2つの方法があります。それぞれ、状況に応じて選択しましょう。
・2つのローンをまとめて借り換えする
・マンションの所有権を買い取って名義を解消する
共同名義の片方だけを名義変更したい場
「夫が亡くなったので夫の名義を子供に変更したい」「夫婦名義だったが、離婚後に再婚した相手との名義に変更したい」など、共同名義の片方だけを名義変更したい場合があるでしょう。この場合も、遺産相続や財産分与などの適切なケースで名義変更を行えば問題ありません。
ただし、共有名義をひとつの名義にまとめる際と同様、ローンが残っている場合は注意が必要です。先述した通りローンの引き継ぎは難しいため、新しい名義でローンの借り換えを行う必要があります。また、新しい名義人が元の名義人からマンションの所有分を買い取ることも可能です。
まとめ:マンションの名義変更は早めに手続きしよう
まとめ:マンションの名義変更は早めに手続きしよう
マンションの名義変更は、マンションの所有権を証明するために必要な手続きです。名義変更を行っていなければ、売買ができない・トラブルの際に所有権を主張できないといったデメリットがあります。売買や生前贈与、遺産相続、財産分与の際に行う必要があり、それぞれ必要な書類も違うため事前に確認しましょう。
マンションの名義変更は、書類の収集や登記申請書の作成などで時間がかかります。提出後も審査などで時間がかかるため、変更が必要になったら早めに手続きをしましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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