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更新日:2023.02.24
登録日:2023.02.24
登記簿面積(内法面積)とは?壁芯面積や実測面積との違いを解説
「登記簿面積って何?」
「登記簿面積は壁芯面積や実測面積とはどう違うの?」
不動産の購入を検討する際には、このように疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
登記簿面積は、不動産を購入するなら理解しておきたい重要なポイントです。この記事では不動産の登記簿面積と、そのほかの面積との違いについて解説しています。
本記事を読めば、登記簿面積がどのような場面で必要なのか、また登記簿面積が用いられる減税措置とはどのようなものなのかがわかります。不動産を購入する際には、ぜひ参考にしてください。
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登記簿面積(内法面積)とは
登記簿面積(内法面積)とは
公簿面積とも言われる登記簿面積(内法面積)は、登記簿謄本に記載されている建物の面積のことです。特に「内法面積(ウチノリメンセキ)」といえば、マンションなどの区分所有建物における登記簿面積のことを指します。
内法面積は、専有部分の壁の内側を境界として計測される面積。マンションのように専有部分と共用部分がわかれている建物は、内法面積を登記簿面積として記載するように、不動産登記法で定められています。
専有部分とは、実際に所有者が住むスペースのこと。各部屋や廊下、浴室などが専有部分に該当します。ベランダや玄関ポーチのほか、居住スペースと共用部分を仕切るドアや窓などは、専有部分には含まれません。1階の住戸に専用庭がついている場合、専用庭も専有部分には含まれないので注意しましょう。
壁芯面積とは
壁芯面積とは
壁芯面積とは、壁の中心線(芯)を境界として計測される面積です。内法面積が用いられるマンションとは違い、戸建て住宅の場合は壁芯面積が登記簿謄本に記されます。なぜなら、戸建て住宅を購入すれば土地や建物のすべてに所有権を持つことになり、共用部分や専有部分の線引きは必要ないからです。
登記簿謄本には内法面積が記載されるマンションも、建築基準法では床面積に壁芯面積が用いられます。そのため、マンションのカタログやパンフレットなどに記載されている面積と、登記簿謄本の面積に差異が出る場合がある点には注意しましょう。
壁芯面積については、以下の記事でも詳しく解説しています。壁芯面積についてさらに詳しく知りたい人は参考にしてください。
壁芯面積と登記簿面積(内法面積)の違いとは?計算方法もわかりやすく解説
登記簿面積と壁芯面積の違い
登記簿面積と壁芯面積の違い
すでに説明した通り、登記簿面積は登記簿謄本に記載されている面積のことで、壁芯面積は戸建て住宅の登記簿謄本に記載される面積のことを指します。
つまり、登記簿面積には内法面積と壁芯面積の2種類の表し方があるということです。マンションなら内法面積、戸建て住宅なら壁芯面積が登記簿面積として用いられます。ただし、マンションの場合は床面積を広く見せるために、カタログやパンフレットなどには壁芯面積が記載されることもあるでしょう。
内法面積と壁芯面積の差は5〜8%程度と言われており、壁芯面積のほうが広くなります。壁の厚さによってはさらに差が広がる場合もあるでしょう。マンションの購入を検討する際には、カタログやパンフレットなどに記載されている面積が、内法面積と壁芯面積のどちらかを確認しておくのがおすすめです。
鑑定士コメント
床面積の表し方が壁芯面積・内法面積と違うのは、「建築基準法」の「不動産登記法」の2つの法律が存在していることが理由として挙げられます。戸建住宅の場合は、壁芯面積を登記面積とするため混乱は少ないと言えますが、マンションの場合は壁芯面積と内法面積がファミリータイプで平均約6%、ワンルームタイプで平均約11%(東京カンテイ調べ)と大きく違うので、どちらの面積で表記されているか注意が必要です。カタログや販売図面は壁芯面積が使われているのが原則ですが、販売図面は稀にですが壁芯面積が不明で登記簿面積で記載されることもあるので、備考欄など注意して見てください。
実測面積とは
実測面積とは
実測面積とは、実際に現場を測量して算出される面積のことです。不動産売買の際、より明確な面積を求めたい場合には、土地家屋調査士などの専門家に依頼して実測面積を測量してもらいます。
不動産売買には、登記簿面積に基づく「公簿売買」と、実測面積に基づく「実測売買」があります。公簿売買は測量を行わないため、時間をかけずに取引できる点がメリット。しかし、取引後に登記簿面積より実測面積のほうが小さいとわかった場合、購入者の想像より部屋が狭いということになりかねません。
実測売買は、隣地との境界を明確にしてから土地を測量し、面積を算出したうえで手続きを行います。そのため手続きに時間がかかる点には注意が必要ですが、実測売買のほうが登記簿面積との差異によるトラブルは起きにくいでしょう。
登記簿面積と実測面積の違い
登記簿面積と実測面積の違い
登記簿面積と実測面積の違いは、実際に測量をしているか否かという点。違いが生じる理由は、登記簿面積が明治時代初期の地租改正事業で測量された数値に基づいているからです。
地租改正で作成された「公図」には、登記された土地の位置や形状、地番などが記載されていますが、古い情報のため精度が低い部分があります。現在では、公図は法的根拠を失っており新しい地図の作成が進められていますが、完成するまでにはかなりの時間が必要になるでしょう。
新しい地図が完成するまでの間は、暫定的に公図が用いられます。そのため実際の測量に基づく実測面積と、公図がもとになっている登記簿面積が違うというケースは、今後も出てくることが予想されます。不動産売買の際には、登記簿面積と実測面積の違いをきちんと理解しておくことが大切です。
鑑定士コメント
土地に関して、登記簿面積は必ずしも実測を計測して面積が確定したものではないので、登記簿面積と実測面積が異なることがあります。法務局で登記簿謄本とともに「地積測量図」がある土地は、登記簿面積と実測面積が同じとなります。登記申請に地籍測量図が必要となったのは1960(昭和35)年4月1日からで、それ以降に分筆または地積更正された土地には、原則として地積測量図があります。それより前については、地積測量図がなく、また境界も確定していない土地が多いです。実際に境界確定し測量した実測面積が登記面積と異なる場合には、登記簿の内容を実測面積に更正する手続きが可能で、これを「地積更正登記」といいます。
登記簿面積の計測方法
登記簿面積の計測方法
登記簿面積には、内法面積と壁芯面積の2種類があることはすでに紹介しましたが、ここではそれぞれの面積の計測方法について説明します。
内法面積は、壁の内側を線で囲んだ部分の面積を計測する方法。たとえば壁の内側から反対の壁の内側までが6m四方の部屋があったとすれば、計算式は「6m×6m=36㎡」となります。内法面積には壁や柱は含まれないため、実際に生活する部屋の広さがわかる計測方法です。
壁芯面積を求める場合は、壁芯を線で囲んだ部分を計測します。壁芯とは、壁の厚みの中心部分を通した線のこと。たとえば200mmの壁厚なら半分の100mmが壁の内側から加算され、その数値をもとに面積が計算されます。そのため、実際に目で見えるスペースよりも広い面積になるのが一般的です。
登記簿面積が使われるケース
登記簿面積が使われるケース
登記簿面積が使われるケースは、大きくわけて2つあります。まず一つ目は、不動産を公簿売買で取引する場合。公簿売買は実際に不動産売買で多く用いられている方法であり、登記簿面積に基づいて取引が行われます。
公簿売買は、実測売買より早く土地面積を確定できるため、不動産を早く購入したい場合にはおすすめです。ただし、登記簿面積と実測面積の差異を理解したうえで、手続きを進める必要があります。
登記簿面積が使われるケースの二つ目は、各種減税措置を受ける場合です。特にマンションは、カタログなどに記載されている壁芯面積で申請しないように注意しましょう。いくら壁芯面積が控除の基準を満たしていても、登記簿面積(内法面積)が基準を満たしていなければ、減税措置を受けられない可能性があります。
登記簿面積が使われる減税措置については以下で詳しく説明しますので、ぜひご覧ください。
登記簿面積で判断される減税措置とは
登記簿面積で判断される減税措置とは
登記簿面積が判断基準となる減税措置には、以下の3点があります。
・登録免許税
・住宅ローン減税
・贈与税
それぞれの内容について詳しく説明しますので、不動産購入の際の参考にしてください。
登録免許税
不動産を購入する際には、土地や建物を購入した人の所有権を登記します。登記とは、土地や建物を所有したことを記録して公示すること。登録免許税とは、この登記手続きをする際にかかる税金のことです。
住宅を購入する際には、登録免許税の軽減措置を受けられる場合があります。「登記簿上の床面積が50㎡以上であること」は、登録免許税の軽減措置を受けるための要件のひとつ。(※)
ほかにも、新築マンションを購入する際の要件には「自分が住むための住宅であること」や「新築または取得後1年以内に登記されたものであること」といった内容があります。どのような住宅を購入するかによって要件が変わるので、自分に当てはまる要件を確認しておきましょう。
※参照:国税庁
住宅ローン減税
住宅ローン減税とは、年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間所得税から差し引いてもらえる制度です。所得税から控除しきれない場合は、翌年度の住民税から控除されます。
住宅ローン減税を受けるための要件は、「自分が住むための住宅であること」や「借入金の償還期間が10年以上であること」などさまざま。登記簿面積のついての要件は「床面積が50㎡以上であること」というものです。
また所得金額についての要件で「2023年末までに建築確認を受けた新築住宅で40㎡以上50㎡未満の場合、合計所得金額が1,000万円以下であること」という注意書きもあります。登記簿面積は複数の要件において判断基準となっているので、登記簿面積の概要をきちんと理解しておきましょう。(※)
※参照:国土交通省
贈与税
贈与税
贈与税とは、個人から不動産や保険、車などの物やお金をもらったときに課せられる税金。贈与税には、軽減措置が受けられる特例がいくつか用意されています。
贈与税の特例のなかで、登記簿面積が基準に用いられるのは「住宅取得等資金の贈与の特例」です。これは、18歳以上の人が自分の住む家を購入する費用を祖父や祖母からもらった場合、もらった金額が1,000万円までなら贈与税を納めなくてよいというもの。
住宅取得等資金の贈与の特例を受けるためには、たくさんの要件があります。そのなかで登記簿面積に関わる内容は「購入した住宅の登記簿面積が40㎡以上240㎡以下であること」です。増改築の場合も同様に「増改築後の住宅の登記簿面積が40㎡以上240㎡以下であること」となります。(※)
※参照:国税庁
まとめ:登記簿面積の概要とほかとの違いをしっかりと理解しておこう
まとめ:登記簿面積の概要とほかとの違いをしっかりと理解しておこう
登記簿面積とは、登記謄本に記載されている面積のことです。登記簿面積には2種類の計測方法があります。1つはマンションに用いられる内法面積で、もう1つは戸建て住宅に用いられる壁芯面積です。
面積の種類の違いは、マンションなどの不動産を購入する際には重要なポイント。各種減税措置を受けるためにも、内容をきちんと理解しておくことが大切です。登記簿面積の正しい知識を身に付けて、不動産売買をスムーズに進めましょう。
参考文献・サイト
選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 基礎編
選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 実践編
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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