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更新日:2024.09.12
登録日:2023.01.25
タワーマンションの定義とは?メリット・デメリットを徹底解説
近年、都心部を中心にタワーマンションの建設が盛んに行われています。タワーマンションは、限られた面積で多くの住戸を提供できるマンションです。立地も良く高級感があり、街を一望できる人気のタワーマンションですが、その定義について知らない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、タワーマンションの定義とはどのようなものか、形状やメリット・デメリットについて詳しく解説します。タワーマンションの購入をお考えの人は、ぜひご参考ください。
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タワーマンションの定義とは?明確な定義はない
タワーマンションの定義とは?明確な定義はない
実は、タワーマンションには明確な定義がありません。ただし、タワーマンションには国土交通省の定めた、より厳しい建築上の基準があります。その基準は以下の通りです。
・構造強度
・設備安全性
・避難時の安全性
構造強度では、コンピューターシミュレーションによって、建設予定地で想定される規模の地震でどのような揺れ方をするか、構造強度に問題がないかを確認します。基本的には、震度6~7程度の地震で倒壊・崩壊しない構造強度が必要です。
設備安全性でも、エレベーターなどの設備が地震の際に安全な動きをするかを確認します。避難時の安全性は、火災や地震の際に安全・スムーズに非難するための経路などが設置されているかを確認します。高さ100m以上のタワーマンションは、空からも避難できるようにヘリコプターの緊急離着陸場の設置基準があります。
なお、タワーマンションの選び方などについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
タワーマンションの高さは?何階からかを解説
タワーマンションの高さは?何階からかを解説
タワーマンションは、法的な名称ではないため定義がなく、何階・何m以上がタワーマンションといった決まりはありません。しかし、一般的には20階以上のマンションがタワーマンションと呼ばれています。
建築基準法や消防法では、31m、45m、60m、100mと建築物の高さごとに基準が設けられています。そのなかでも、60m以上の建築物はより厳しい基準になっているのです。60mを階数にするとおよそ20階に相当するため、20階以上のマンションがタワーマンションと呼ばれています。
日本では、建築基準法(※)によって1961年まで建築物の高さが31m以下に制限されていました。しかし、法改正によって31m以下という制限がなくなり、31mを超える「高層建築物」が建設されるようになったのです。さらに、60mを超える建築物は「超高層建築物」と呼ばれるようになり、タワーマンションも超高層建築物に該当します。
※参考:総務省
タワーマンションの形状
タワーマンションの形状
近年では、40階や50階を超えるタワーマンションも珍しくありません。このような超高層建築物は、中層マンションでよくみられる板のように横に長い構造での建築は難しいのです。
そのため、タワーマンションの形状は基本的にがっしりとした四角い形状になります。また、エレベーターなどの設備や共有部分は、建物の中心に集積されます。ここでは、タワーマンションでよくみられる下記5つの形状について、それぞれ詳しく解説します。
・スクエア型
・吹き抜け(ボイド)型
・円形型
・多角形型
・星(トラスター)型
スクエア型
スクエア型
スクエア型は、その名の通り四角い形状のタワーマンションです。エレベーターや廊下などの共有部分が中心部に設置され、建物内は外気と遮断されます。また、タワー式のパーキングが中心部に設置されていることもあるでしょう。
内廊下方式のためホテルのような高級感があり、プライバシー性が保たれる構造になっています。一方で、廊下側に窓が設置されないことも多く風通しが制限されるため、空調機を設置する必要があり管理費が高くなる傾向にあります
吹き抜け(ボイド)型
吹き抜け(ボイド)型
吹き抜け(ボイド)型は、スクエア型と同様に四角い形状のタワーマンションです。エレベーターや廊下などが建物の中心部に設置されるのはスクエア型と同じですが、建物の中心部が吹き抜けになっているという特徴があります。
廊下側に窓を設置できるため風通しがよく、外周を長く採れるためスクエア型よりも住戸数を確保できるメリットがあります。ただし、廊下が吹き抜けに面していることで高級感では劣り、雨風の影響を受けやすいです。また、高層階になると吹き抜けはかなりの高度感があるため、恐怖感を感じる人もいるでしょう。
円形型
円形型
円形型は、名前の通り建物が円形になっているタワーマンションです。スクエア型のように、中心部にエレベーターや内廊下などが設置されており吹き抜けがありません。共有部を囲むように住戸が並んでおり、建物が円形型であることから住戸の形状は主に扇形になっています。
スクエア型との違いはその間取りで、住戸の形状が扇形であることからワイドに窓を設置でき、タワーマンションからの眺めを楽しむことができます。一方で、形状が独特のためアレンジが難しく似たような間取りしか作れない、スクエア型などと比べるとデッドスペースが多くなるなどがデメリットです。
多角形型
多角形型
多角形型は、スクエア型のような四角ではなく、丸みを帯びた形状のタワーマンションです。円形型のようにきれいな丸ではないため、間取りの自由度が高くアレンジしやすい形状でしょう。デザイン上の利点だけではなく、五角形や六角形など、丸みを増すほど「日影規制」の影響を減らすことができるため、建物設計の自由度が増します。
日影規制とは、高さが10mを超える建物によって周囲にできる日影の時間を一定限度以下に制限し、日照などの環境を確保するためのルールです。建物が丸みを帯びるほど日影の位置は変わりやすくなるため、多角形型にすることである程度の間取りの自由度を保ちながら日影規制に違反しないタワーマンションを建設できます。
星(トラスター)型
星(トラスター)型
星(トラスター)型は、建物中心を軸に3方向に建物が伸びるような形状のタワーマンションです。上空からは星のように見える近未来的な外観をしており、星型と呼ばれています。
中心部にはエレベーターが設置され、内廊下でありながら外周を長く採れるため、住戸数を増やしたり開口部を広くとったりできるのが特徴です。ただし、樹人によっては眺望に制約があるほか、日照時間が限られるといったデメリットもあります。
タワーマンションの共用部分
タワーマンションの共用部分
タワーマンションは、住戸数が多いことから共用部分にコストをかけることが可能です。そのため、エントランスなどの一般的な共用部のほか、下記のような独自の共用部分が設置されている場合があります。
・ゲストハウス
・スカイラウンジ
・ジム
・天体観測ドーム
・茶室
また、低階層は眺望に恵まれないため、低階層は住戸ではなく吹き抜けの広々としたエントランスや集会室などの共有部分を造る傾向にあります。
タワーマンションの耐震技術
タワーマンションの耐震技術
先述したように、タワーマンションには構造強度などの基準があるため、下記のようなさまざまな耐震技術が採用されています。
・耐震構造
・免震構造
・制振構造
・ハイブリッド構造
耐震構造とは、主に柱や梁などの力で耐えられるようにする技術です。免震や制振に比べてコストが安いメリットがある一方で、柱や梁が損傷する可能性があるため繰り返しの揺れに弱いというデメリットがあります。
免震構造とは、建物と基礎の間に免震機構をもうけることで地震の揺れの伝達を抑える技術です。地震による揺れを抑えられるため建物の変形を防止でき、構造体や外壁、間仕切りなどの損傷を防げます。ただし、免震装置の設置やメンテナンスのコストが高い、縦揺れに対しては横揺れほどの効果は見込めないなどのデメリットがあります。
制振構造とは、建物内部の気候により揺れを減衰させたり増幅を防いだりする技術です。地震が収まった後の揺れを早く抑える効果があるとともに、風揺れ対策にも一定の効果があります。
ハイブリッド構造とは、免震・制振の技術を組み合わせた耐震技術です。免震構造によって揺れを吸収し、吸収しきれなかった分の揺れを制振構造で吸収します。
鑑定士コメント
近年ではあまり見られなくなった建物形状ですが、「L字型」や「コの字型」といった平面形状または断面形状が不整形なマンションは揺れに弱く、大きな地震が起きた際に建物の接合部(「L」や「コ」の角部分)がズレたり崩壊してしまう心配があります。また、階層が高く多数の住戸が延々と連なる細長い形状のマンションの場合は、地震が起きた際に波打つように建物が揺れ続けてしまうため、桁行方向(長辺方向)に被害が集中しやすいといわれます。
タワーマンションに住むメリット
タワーマンションに住むメリット
タワーマンションには、さまざまなメリットがあります。そのなかでも、とくに注目したいタワーマンションに住むメリットは、主に下記の5つです。
・窓からの眺めがよい
・日当たりが期待できる
・設備や内装が豪華
・コンシェルジュが対応してくれる
・厳重なセキュリティで守られている
窓からの眺めがよい
物件の立地や階数にもよりますが、タワーマンションは窓からの眺めのよさが魅力です。周囲に視界を遮るような建物がない場合は、天気によって遠くの山や海を眺めることもできるでしょう。
また、都心部では夜景を楽しむこともできます。眺めを売りにしたタワーマンションもあり、中層マンションや戸建てでは見られない景色を眺めることができるのがメリットです。
日当たりが期待できる
タワーマンションは超高層建築物のため、近くに同等の建築物がない限りは基本的に周囲の建物に日を遮られることがありません。タワーマンションは低階層を共有部分にして天井を高くしていることも多いため、低階層でも中層マンションの3階ほどの高さになります。
タワーマンションは規模が大きいため敷地も広く、すぐ横に別の建物が建っているということもないでしょう。そのため、階層に関わらずある程度の日当たりを確保できます。
設備や内装が豪華
先述したように、タワーマンションは物件によって多種多様な共有部分が設けられています。高層階に展望室やラウンジがある場合、低階層に住んでいても自室とは違った景色を楽しむことができるでしょう。
また、タワーマンションの共有部分は住戸数が多いほど豪華になる傾向があり、エントランスなどの一般的な部分も内装が豪華なことが多く高級感を味わえます。タワーマンションを選ぶ際は、共有部分に目を向けてみるのもおすすめです。
コンシェルジュが対応してくれる
タワーマンションには、エントランスにコンシェルジュが常駐している物件も多いところも特徴です。共有部分の利用予約やお客様の対応・案内などのほか、物件によって下記のようなサービスに対応していることもあります。
・宅配便の取り次ぎ
・デリバリーの手配
・タクシーの手配
コンシェルジュのサービスを受けられる時間や内容は物件によって異なるため、確認が必要です。
なお、マンションのコンシェルジュについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
マンションのコンシェルジュサービスとは?内容やメリットを紹介
厳重なセキュリティで守られている
タワーマンションには多くの人が居住しており出入りも多いため、セキュリティ面が充実していることが多いです。タワーマンションでは、下記のようなさまざまなセキュリティが導入されています。
・オートロック
・防犯カメラ
・センサー
・常時セキュリティシステム
・その他多数の認証システム
コンシェルジュがエントランスに常駐していることもセキュリティの一環でしょう。なかには、警備員が定期的に巡回しているタワーマンションもあるため、不審者が住戸に侵入するといった心配はほとんどありません。
マンションのオートロックについては、以下の記事で解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
オートロック付きマンションのメリットは?鍵の種類や安全性も徹底解説
タワーマンションに住むデメリット
タワーマンションに住むデメリット
メリットが多いタワーマンションですが、デメリットも存在するため注意しなければいけません。タワーマンションに住むデメリットは、主に下記の5つです。
・エレベーターの待ち時間が長い
・ベランダに洗濯物を干せない
・地震の揺れを強く感じやすい
・管理コストが高い
・災害に備えた準備が必要になる
エレベーターの待ち時間が長い
階数が多いタワーマンションは、エレベーターの待ち時間が長いです。朝の通勤・通学の時間帯は、とくに待ち時間が長くなるでしょう。高層階に住むほとんどの住人がエレベーターを利用するうえ、利用者が少ない時間帯でも上下を行き来するだけである程度の時間がかかります。
比較的新しいマンションは、待ち時間が一定になるような定員数や昇降速度になっているほか、エレベーターが複数機設置されていることもあります。しかし、築年数が経っているタワーマンションはエレベーターの数が少ないなどの理由で待ち時間が長くなるため注意しましょう。
ベランダに洗濯物を干せない
タワーマンションは、物件によってベランダに洗濯物を干せない可能性があります。とくに中高層階になると、ベランダに洗濯物が干せない物件が多いです。タワーマンションは、高級感やブランドを重視している物件もあり、外観を保つためなどの理由でルールが設けられていることがあります。
また、高層階は強い風が吹くこともあり、洗濯物が落下する危険性があります。高層階から落下すると、たとえ軽い洗濯物でもその衝撃はとても強くなり危険です。そのため、タワーマンションでは部屋干しや乾燥機、浴室乾燥で洗濯物を乾かします。
地震の揺れを強く感じやすい
タワーマンションは、超高層であるがゆえに地震の揺れを強く感じやすいです。建物そのものが倒壊・崩壊しないように耐震構造が取り入れられてはいるものの、揺れを完全になくすことはできません。
とくにタワーマンションは、地震の揺れと建物の揺れが一致してしまうと共振によって長い時間強く揺れてしまうことがあります。高層階に居住する場合は、家具などが点灯しないように対策しておく必要があるでしょう。
管理コストが高い
共有部分が充実していたりコンシェルジュが常駐していたりと便利なことがある反面、その管理コストが高くなってしまうデメリットもあります。また、ほとんどのタワーマンションは築年数が浅いため、大規模修繕の経験がありません。
実際に大規模修繕が行われる場合にどれくらいの費用が発生するか予測できないため、毎月支払っている修繕積立金だけでは足りない可能性もあります。修繕積立金だけでは足りないことが判明した場合、修繕積立金が値上げされたり一時金を徴収されたりする可能性があるため注意が必要です。
災害に備えた準備が必要になる
タワーマンションでは、災害に備えた準備が欠かせません。地震による家具の転倒防止対策のほか、下記のような対策が必要です。
・ガラスの飛散防止
・食料、飲料水の備蓄
高層階は風が強いため、台風などの影響で物が飛んできてガラスが割れてしまう可能性があります。そのため、飛散防止フィルムなどをガラスに貼っておく必要があるでしょう。
災害によって電気が止まってしまうと、エレベーターが利用できなくなります。エレベーターが使えなければ階段を利用するしかありませんが、高層階に住んでいる場合は通常の生活すら困難になる人もいるでしょう。常に、食料や飲料水を備蓄しておく必要があります。
マンションで停電が起きたときの対処法などは、以下記事で紹介しています。
鑑定士コメント
特に都心で人気の高いタワーマンションですが、その人気故に、通常のマンションよりも購入費が高くなったり、将来に向けて維持管理費が高額になることを許容する必要があります。また、タワーマンションは昨今は分譲価格よりも中古価格が上昇しているケースもよく見られますが、これらは投機目的で資金が流入している場合もあります。登記需要が多いほど、今後不動産市況が悪くなったときに、急速に価格が下落する可能性もあることに留意してください。タワーマンションには本文に説明のあるとおり、メリットとデメリットがあります。まずは、自分の求めるマンションライフがタワーマンションでしか実現できないのか、そうでないのかを考えてみましょう。
まとめ:タワーマンションの定義だけでなくメリットとデメリットを把握して選ぼう
タワーマンションに明確な定義はありませんが、一般的には60m以上、およそ20階を超えるマンションがタワーマンションと呼ばれています。タワーマンションにはさまざまな形状があり、それぞれマンションの内装や間取りに特徴があります。
タワーマンションは、多くのメリットがある一方でデメリットも存在するため、それぞれを把握したうえで検討しましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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