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更新日:2024.09.12
登録日:2022.12.20
洪積層とは?よい地盤と悪い地盤を見分ける方法を紹介
洪積層と聞いてもピンとこない人も多いのではないでしょうか。洪積層とは地盤の種類の一つで、住宅地としては良好な地盤といえる傾向にあります。
洪積層以外には沖積層という地盤もあり、どのように違うのかも分かりにくいですよね。
そこで本記事では洪積層とは何かをはじめ、沖積層との違いやよい・悪い地盤を見分ける方法なども解説していきます。
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地震に強い場所を選ぶ方法
地震に強い場所を選ぶ方法
地震に強い場所を選ぶためには、国土交通省が公開しているハザードマップを利用する方法がおすすめです。ハザードマップでは、自分の住んでいる場所や家を買おうとしている地域などが地震も含めた災害に強いかが分かります。
また、ハザードマップは「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」の2タイプから調べることが可能です。
「重ねるハザードマップ」では地図に合わせてエリア情報が掲載されており、土砂災害から活断層を調べると地震の影響を受けやすいかが分かります。また明治以前は低湿地であったかも見ておきたいポイントで、地盤が緩いかを見極める判断材料となるので要チェックです。
「わがまちハザードマップ」は自治体が公開している災害に関するリンクを確認できるのが特徴で、地震に強いかやどんな対策を行っているのかなどが分かります。自分の調べたい地域の自治体が必ずしも情報を公開しているわけではないですが、まずは情報があるかをチェックしてみるといいでしょう。
※参照:ハザードマップ
洪水ハザードマップについては、以下の記事で詳しく紹介しています。こちらの記事もぜひご覧下さい。
知っておきたい地盤の種類
知っておきたい地盤の種類
地盤には洪積層や沖積層という種類があり、それぞれの特徴を知ることが大切です。どんな地盤なのかを知ったうえで選ぶと、地盤の強度で後悔するリスクを減らせるのでチェックしてみるといいでしょう。
洪積(こうせき)層
洪積層とは最終氷期以前(約18,000年前よりも前)に堆積した地層で、主に砂礫層や過圧密粘性土層からできているのが特徴です。沖積層と比べて地震や洪水、地盤沈下などが起きた際に液状化しにくいため、住宅地としては良好な地盤といえる傾向にあります。
日本の洪積層(洪積台地)には武蔵野台地や下総台地などがあり、また重要建造物は古くから洪積層の上に建てられるケースが多いです。ちなみに洪積層という用語は、主に沖積層と比較する形で使用されます。
沖積(ちゅうせき)層
沖積層とは一般的に最終氷期以後(約18,000年前よりも後)に堆積した地層を指し、最も新しい地層ともいわれています。主にまだ固まっていない泥や砂などからできているほか、現在の海や河川などの働きにより形成されているのも特徴です。
沖積層は一般的に洪積層に比べて軟弱な傾向にあり、液状化や地盤沈下などのリスクが高いです。沖積層の上に建物を建てる場合には、地盤の強度が問題ないかを慎重にチェックする必要があります。
沖積層については、以下の記事で解説しています。こちらも参考にしてみてください。
よい地盤と悪い地盤とは
よい地盤と悪い地盤とは
地盤を見分けるためにはまず軟弱地盤と硬質地盤を知ることが大切です。家を購入した後に地盤が緩かったと後悔するリスクを減らせるので、しっかりとチェックしておきましょう。
軟弱地盤とは
軟弱地盤は柔らかい砂や土などからできているため、地盤の強度が弱い傾向にあるのが特徴です。
日本の国土は他国と比べて軟弱地盤が多く、関東や大阪、福岡などの都市部にも広がっています。特に過去に池や川、沼、湖だった場所や、河川や海岸沿いの低地を埋め立てた土地には要注意で、地中には水分も含まれているので地盤が弱くなるケースが多いです。
軟弱地盤の上に建物を建てると、建物の傾きや沈下などのリスクが考えられ、地震が起きると液状化が起こる可能性も高くなります。液状化が起きた際には、地下水が地上に吹き出す噴砂という現象が起こるケースもあります。
もし軟弱地盤の上に家を建てる場合はしっかりと地盤の強度を確認し、場合によっては地盤改良工事も必要になるので要注意です。
硬質地盤とは
硬質地盤とは岩盤や砂礫を多く含んでいる地盤で、水分も軟弱地盤よりも少ない傾向にあります。そのため、地盤の強度としては丈夫で安定しているのが特徴です。
硬質地盤に含まれる土は硬く締まっており、地震が起きても揺れにくいところもポイント。地震に強い地盤を重視している人にもおすすめできます。また透水性に優れているので水分が少なく、一般的に良好な地盤と判断されるケースが多いです。
硬質地盤のある場所としては山地や台地、段丘などが挙げられ、安定した地盤を求めている人は要チェックといえます。ただし、硬質地盤であっても土砂滑りや地すべりが起こる可能性があるため、そのような災害への対策や準備は必要だといえるでしょう。
硬質地盤と軟弱地盤を見分けるには
硬質地盤や軟弱地盤を見分けるには地名や地形、むかしの地図などをチェックする方法があります。
まず、地名に水を連想させるような漢字が含まれている場合は要注意です。具体的には「水」「田」「船」「谷」「島」などがあげられます。
また「沼」「池」「沢」「浜」「江」「津」「沖」など、さんずいのある漢字が含まれる場合に加え、「稲」「亀」「蟹」などの水辺の植物や生き物の漢字が含まれる地名も、軟弱地盤である可能性があります。
地形としては湿地や河原、三角州(デルタ)なども注意が必要で、他の土地よりも低い場合は水が集まりやすくなります。むかしの地図も見てみると、地名も含めて問題ないかが確認できるのでおすすめです。
また、実際に行ってみるのもおすすめです。地盤の強度を見分けるには、その場所にある建物の外壁にひびが入っていないか、電柱が傾いていないか、道路が歪んでいないかを観察してみてましょう。
ちなみに、むかしからある高級住宅街や地震速報で震度の低いエリアは、地盤の強度が強い傾向にあるのでチェックしてみてください。
自分で地盤を調べる方法
自分で地盤を調べる方法
地盤は業者だけでなく自分で調べてみることも可能で、主に下記のような方法が挙げられます。どうしても地盤の強度が気になる人は、まずは自分でチェックしてみるのがおすすめです。
・地盤情報のデータベースを使う
・ハザードマップを確認する
・歩いて確認する
地盤情報のデータベースを使う
自分で地盤を調べる方法として地盤情報のデータベースを使うのもおすすめで、民間や自治体が地盤に関する情報を公開しています。
ある程度大きな建物を建てる際はボーリング調査(地盤調査)が行われます。ボーリング調査で集まった情報を見ることにより、自分でも地盤が問題ないかを調べられるので要チェックです。
たとえばジオテック株式会社は土と住宅の安全に関する情報を発信しており、ジオダスというサイトでは過去14年以上にわたって実施された地盤調査のデータを見られます。
その他では横浜市が地盤Viewや横浜市液状化マップにてデータを公表しており、無料で地盤強度や災害リスクなどを調べられるので見てみるといいでしょう。
家の購入で検討している地域が決まっている場合、地盤情報が集まったデータベースも判断材料になってくれます。
※1参照:ジオダス
※2参照:地盤View
※3参照:横浜市液状化マップ
ハザードマップを確認する
自分で地盤を調べる際は、国土交通省のハザードマップを確認する方法もおすすめできます。インターネット環境があれば、すぐに閲覧することが可能です。
またハザードマップとともに古地図や旧土地台帳などを確認するのもおすすめで、現在ではなく過去の土地利用状況をチェックできます。もしむかし水田だった場所は地盤強度が弱い可能性が高いので、家を買う場所としては向いていないと判断できるでしょう。
法務局に行くと旧土地台帳(明治22年頃に作成された土地台帳)を閲覧することも可能で、かなり古い情報もチェックできるのがうれしいポイントです。
その他では図書館にある資料では災害に関する記録を見られるケースもあり、地域の地盤を調べるうえで役立つのでおすすめです。
それ以外の地形図については、こちらの記事で解説しています。
歩いて確認する
自分で地盤を調べたい場合は、実際に現地を歩いて確認する方法も効果的です。川が近くにあるか、水が集まりやすい低地かなどの地形はもちろん、道路の陥没や亀裂や水たまりの有無、ブロック塀の傾き、雨が降った後の水はけ具合なども判断材料になります。
たとえば水はけが悪い場合は低地または地質に問題があると考えられ、明らかに低地である場合には浸水するリスクを予想できます。すぐ近くに川や用水路があれば水害、近隣に湿地があれば液状化や地盤沈下などを引き起こす可能性があると判断できるでしょう。
また場所によっては過去の地図や資料では地盤が弱いように見えても、現在は時間の経過とともに強くなっているケースもあり、実際に歩いて観察してみることにより見えるところも少なくありません。そのため地図やデータなどに加え、何度か現地に足を運んでみるのもおすすめです。
鑑定士コメント
「マンションの立地」としては、マクロからミクロの視点が必要です。まずがどうしても駅からの距離や、都心からのアクセスに目がいきがちですが、これはマクロの視点。ここからさらに、地盤の強さや、高台か低地か、川の近くかといったミクロの視点までチェックが必要です。本文にあるような地盤情報データベースやハザードマップなど行政が公表している資料はもちろん、実際に現地を歩いて確認することをお勧めします。
地盤調査の方法
地盤調査の方法
地盤調査には、スクリューウエイト貫入試験やボーリング調査(標準貫入試験)などの方法があります。それぞれの特徴やメリットを理解すると、どれくらい地盤を調べられるのかも分かり、土地選びの参考にもなるので知っておくといいでしょう。
スクリューウエイト貫入試験
スクリューウエイト貫入試験は重りをつけたロッドと呼ばれる鉄棒を使用した方法で、スウェーデンで開発されたことから「スウェーデン式サウンディング試験」とも呼ばれています。住宅の地盤調査としては、最も普及している方法です。
ロッドという鉄棒を回転させながら地面に垂直にねじ込み、重さや回転数などから地盤強度を調査していきます。ロッドがスムーズに入り込んだ場合は軟弱地盤、なかなか沈み込まない場合は硬質地盤といった判断基準です。調査場所は荷重がかかりやすい四隅と中心部分の計5ヶ所(深さは約10m)で、調査期間は半日程度となっています。
土質は大まかにしか分かりませんが、費用が安く簡単に調査できるのが大きなメリットです。
ボーリング調査(標準貫入試験)
ボーリング調査(標準貫入試験)は地面に円筒状の穴を掘って調査する方法で、主に大型の建物を建てる場合に採用されています。ちなみにボーリングは「くり抜く」という意味です。
63.5kg前後のハンマー(重り)を75cm前後の高さから自由落下させ、何回落とせば30cmを貫通するかにより地盤強度を調査します。調査は深さ1mごとに行うほか、何回で貫通したかの回数が土の強度や締まり具合を表す「N値」として記録されるのも特徴です。
また調査において土のサンプルを採取して土質検査を行うため、どんな土質なのかも詳しく分かります。スクリューウエイト貫入試験よりも大規模な調査になりますが、硬質地盤や深い深度にある地盤でも調査できるのもメリットです。
鑑定士コメント
土地や戸建ての場合は、地盤調査を依頼するタイミングは、基本的に土地を購入した後になります。土地を購入する前でも、現在の所有者が許可したり、以前の地盤調査報告書を見せたりしてくれます。
一方、マンションの場合、分譲時に地盤調査を行っているケースが多いので、管理組合に資料があるか確認しましょう。もし新たに地盤調査をしたいという場合は、土地は共用部分になりますので、当然に管理組合の許可が必要です。
まとめ:よい地盤を見分ける知識を身につけよう
まとめ:よい地盤を見分ける知識を身につけよう
地盤には洪積層や沖積層などの種類に加え、軟弱地盤や硬質地盤と呼ばれる地盤もあり、しっかりと見極めることが大切です。地盤を見分ける方法にはデータベースやハザードマップ、旧土地台帳などがあり、実際に現地に行ってみることもおすすめです。
しっかりと調べたうえでよい地盤を選べば、地震や水害などによる被害リスクを抑えられるでしょう。
すでに検討している地域がある場合は、まずはデータベースやハザードマップなどにアクセスしてみるといいでしょう。時間に余裕がある人は、ぜひ現地にも足を運んでみてください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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