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更新日:2024.09.12
登録日:2022.08.23
地形図とは?特徴や利用時の注意点・活用方法について解説
「地形図って何?」
「地形図はどんなときに使うの?」
上記のような疑問を持つ人もいることでしょう。
地形図では、一般的な地図では分からない情報を確認できます。しかし、あまりなじみがない地図なので、どのように活用して良いか分からない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、地形図の種類や特徴を詳しく紹介します。地形図と地図の違いや活用方法も分かりやすく解説。地形図の見方や活用方法を知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
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地形図とは地形を精細に表した地図のこと
地形図とは、地形や道路、建物などの様子を詳しく表した地図のことです。国土地理院が発行しており、土地の詳しい様子を知ることができます。地形図の概要を知るために、押さえておきたいポイントは以下2点です。
・地形図は4つの要素で構成されている
・地形図は縮尺によって3種類に分けられる
それぞれ詳しく解説します。
地形図は4つの要素で構成されている
地形図では、土地の様子を4つの要素に分けて記載されています。地形図を構成する4つの要素と、それぞれの具体的な内容を以下の表にまとめたので、ご覧ください。
地形図には、標高のほか道路などの交通網や都道府県の境界が分かるように記されています。広葉樹林や畑など土地の使用用途はもちろん、公共施設や発電所など地図記号で表せるものも表記されています。
また、建物の配置が分かるよう四角形で表されている点も特徴的です。主要な建物の名前も記載されており、地形図を見る際の目印に使えます。
鑑定士コメント
UTM(ユニバーサル横メルカトル)図法の中縮尺で均一に表現できる特徴が、地形図と相性が良いためです。UTM図法は南極や北極を除く全世界を表現できる地図で、国際的に使われている地図投影法のひとつです。日本でも国土地理院の地形図に使われて一般的になっています。
地形図は縮尺によって3種類に分けられる
地形図は縮尺により、以下の3種類に分けられます。
・1/10000地形図
・1/25000地形図
・1/50000地形図
1/10000地形図があるのは東京・名古屋・大阪などの大都市部と、県庁所在地など限られた区域のみです。平成27年6月1日現在で311面刊行されています。
1/25000地形図は全国を網羅している地形図です。平成27年6月1日現在で、4419面刊行されています。このうち、1/25000地形図をより見やすくした多色刷バージョンが平成25年11月1日から刊行されました。多色刷地形図は、586面の新刊図が刊行されています。
1/50000地形図も全国版がある地形図で、平成27年6月1日現在で1291面刊行されています。
※参考:国土地理院
地形図の特徴3選
地形図の特徴3選
地形図を活用するために、特徴を押さえておきましょう。地形図の主な特徴は、以下の3つです。
1. 地形情報がシンプルにまとめられている
2. 登山時や避難時などさまざまなシーンで活用できる
3. 表層地質などの学術情報も調べられる
それぞれ詳しく解説します。
①地形情報がシンプルにまとめられている
地形図の一番の特徴は、地形情報をシンプルにまとめている点です。土地の高低差を表す等高線には、一番高い場所が点で表され、標高も示されています。荒地や針葉樹林などが地図記号で示されているため、土地の利用状況を把握することも可能です。
一般の地図に書かれている河川や道路も分かるので、高低差をチェックすればどのような地形かを予測できます。
②登山時や避難時などさまざまなシーンで活用できる
地形図は登山時や避難時など、さまざまな場面で活用できる地図です。土地の高低差が分かるので、安全なルートを確認できます。
登山時は、地形図を見ながら現在地の傾斜を確認し、到着時間を予測するのに役立ちます。登山用高原地図と合わせてルートを引くと、急傾斜の場所や現在の標高がどのくらいかをチェック可能です。
避難時に備えて地形図を見る場合は、河川や道路のある場所の等高線を調べます。川に並走する道路で水面との高低差が少ない場合、冠水して通れない可能性があると予測できるでしょう。海岸そばの等高線を見れば、津波が来たときに避難できる高台を見つけることもできます。
地形図には縮尺により種類がありますが、登山や避難経路の確認には1/5000地形図がおすすめです。全国を網羅しており、登山時や避難経路の確認にも使いやすいためです。
③表層地質などの学術情報も調べられる
地形図と他の地図の違い
地形図と他の地図の違い
地形図からは、表層地質などの学術情報も読み取れます。表層地質とは、表面から深さ数十メートルほどの部分です。地形図では断層地形なども表示されているため、研究にも使うことができます。
もっと詳しい情報を知りたい場合は、地質図を確認するとよいでしょう。表層地質を構成する石や地層分布、地層の年代などが分かりやすく表示されています。
地形図と他の地図はどこが違うのか、疑問に思う人もいることでしょう。地形図と他の地図との主な違いは、以下の3つです。
・地形図と一般的な地図の違いは等高線の有無
・地形図と地勢図の違いは縮尺の数値
・地形図と地理院地図の違いは表示方法
それぞれ詳しく解説します。
地形図と一般的な地図の違いは等高線の有無
地形図には土地の高さを示す等高線が書かれていますが、一般的な地図には書かれていません。地形図で土地が高くなっている場所を見たとき、線が多いと感じる人もいるでしょう。波のように書かれた線が等高線で、地図により線の表す高さは違います。例えば、1/25000の地図の等高線は、10m間隔で記されています。(※)
等高線の間が狭いと急な斜面、広いとなだらかな斜面だと解釈が可能です。このように、地形図では一般的な地図では分からない高低差が分かる仕様になっています。
※参照:NHK for School
地形図と地勢図の違いは縮尺の数値
地形図と地勢図の違いは縮尺の数値のみで、呼び名の違いがあるのは途中で名称変更があったためです。地形図と地勢図を縮尺ごとに分類したので、ご覧ください。(※1)
1/200000地勢図は、以前「帝国図」と呼ばれていました。昭和20年代後半に「地勢の体勢を表す図」という意味の「地勢図」に変更されています。呼び名の違いはありますが、同じ地図の仲間ととらえて良いでしょう。(※2)
※1参照:国土地理院
※2参照:日本地図センター
地形図と地理院地図の違いは表示方法
地形図と地理院地図では、表示方法に違いがあります。地理院地図では、地形図より詳細な情報を確認できます。
地形図で確認できる情報は、地形・境界・交通・施設の4つです。一方、国土地理院では、地形図の他に火山や治水などテーマごとの地図も作成しています。さまざまな地図情報を一つにまとめてデータベース化したものが、Web上の地理院地図です。
地理院地図には、等高線や道路や河川など、地形図の情報も含まれています。Web上で距離や面積を調べたり、3D表示で等高線を立体的に表したりすることも可能です。
鑑定士コメント
GISとは、地理情報システム(Geographic Information System)の略称です。システムを使うことで場所に関する情報を地図上に分かりやすく表せることが特徴です。カーナビから、行政が行う都市計画や感染症対策、教育分野まで幅広く活用されています。地理学とITの融合と言えるでしょう。
地形図の用途5選
地形図がどんな場面で活用されているかを知ると、実生活でも役立ちます。地形図の主な用途は、以下の5つです。
1. 地形を見て街の移り変わりを確認する
2. 地形から自然災害のリスクを確認する
3. 過去の災害状況や被害の様子を確認する
4. 地形断面図を作る
5. 土地の高低差を確認する
それぞれ詳しく解説します。
①地形を見て街の移り変わりを確認する
街の移り変わりを確認したいときには、地形図が役立ちます。地形図をチェックすることで、年代による土地の利用方法などの変化を確認できます。
例えば、家を建てるために土地の購入を考えたとします。その土地がどのような場所に立てられ、その場所は昔どのような状態だったかは、土地勘がなければ把握できないでしょう。しかし、年代ごとの地形図を見比べると、土地がどのように使われてきたかを確認できます。
②地形から自然災害のリスクを確認する
自然災害のリスクを確認したいときにも、地形図が使われます。一般的な地図にない土地の起伏が分かるため、災害時の被害を予測するときに便利です。
日本は急斜面や山が多く、土砂災害の起こりやすい場所が多いです。台風や大雨で大量の雨水が山に流れると、がけ崩れや土石流の危険性が高まります。自分が住む場所の地形図を見ると、近くにある急斜面など土砂災害リスクが分かり、自然災害への対策を立てやすくなるでしょう。
洪水について知りたい場合は、洪水ハザードマップをチェックしましょう。洪水ハザードマップとは何かは、以下の記事でも解説しています。
③過去の災害状況や被害の様子を確認する
過去の災害状況や被害の様子を確認するときにも、地形図が役立ちます。地形図は年代ごとに更新されており、災害が起こる前の土地の情報も確認が可能です。
また、地形図では道路・河川や住宅の状況も把握できます。災害前の地形図と比較することで、普段活動している地域がどのような被害を受けたかがわかります。事前に災害時に被害を受けやすいエリアをチェックしておけば、緊急時にどこへ避難すればいいか判断できるでしょう。
④地形断面図を作る
地形断面図を作る際、地形図を使うと作りやすくなります。地形断面図とは、土地の高低差を表す図です。地形断面図を見れば土砂災害や水害が起こりそうな箇所を予測できるため、リスク回避につながります。
地形断面図を作るには、地形図の等高線を使います。まず、調べたい地点同士を直線でつなぎ、等高線と交わる部分の高さを調べましょう。調べた標高を折れ線グラフのようにつなげば完成です。
地形断面図は、国土地理院のホームページにある地理院地図上でも簡単に作成できます。
⑤土地の高低差を確認する
地形図は、土地の高低差を確認するときにも活躍します。等高線や標高が書かれているので、土地の高さを知りたいときに便利です。
地形図で分かる土地の高低差は、地形の学習や避難ルートの確認をするときなどに有用です。移動時に、お年寄りや子供でも歩きやすいような、高低差の少ない避難ルートを考える際にも活用できるでしょう。
地形図を利用する際の注意点
地形図を利用する際には、読図の知識と刊行年に注意しましょう。
まず、地形図を使いこなすには読図の知識が必要です。まず、自分が見ている地形図の等高線が何メートル間隔で引かれているのかを確認しましょう。慣れれば等高線の間隔や標高から、地形図を立体的に見られるようになります。
また、地形図には古い情報が残っている場合もあります。現在の情報と違う場合もあるため、最新の地形図かどうかを確認しましょう。
新しい情報が知りたい場合は、国土地理院ホームページの電子地形図が便利です。刊行年月日を入力すると、知りたい時期の地形図が表示されます。調べたい時期の地形図も簡単に閲覧できるので、活用してみてください。
まとめ:地形図を使って生活エリアの地形を確認しよう
地形図では土地の高さや過去の様子など、一般の地図では分からない情報が確認できます。街の変遷や避難ルートを考える際に便利です。ただし、地形図を読むには知識が必要で、刊行年度にも気をつける必要があります。
地形図は国土地理院のホームページで閲覧可能です。「一般の方」というページで地図の種類や見方を分かりやすくレクチャーしています。地形図の読み方が分からない人も、説明を見ながら確認できます。
自然災害のリスクを減らすためにも、地形図の確認は大切です。この記事を参考に、住んでいる地域の地形を確認してみましょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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