全国市況レポート
注目記事
学ぶ
更新日:2025.12.24
登録日:2025.12.23
団体信用生命保険のがん保障(がん団信)とは?住宅ローンとの関係やメリット・デメリットをわかりやすく解説

「団体信用生命保険のがん保障(がん団信)には加入したほうがいい?」
「がん団信に加入した場合の保険料っていくらくらい?」
団体信用生命保険のがん団信に加入しておけば、がんと診断された時点で保障を受けられます。誰でもかかるかもしれない病気だからこそ、万が一に備えておくことが重要です。
本記事では、団体信用生命保険のがん団信の基礎知識をわかりやすく紹介します。メリット・デメリットや選び方、よくある質問も解説するので、住宅ローンの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
・がん団信に加入すればがんと診断されたとき住宅ローン残高が保険金で返済される
・50%保障と100%保障があり、それぞれの保障範囲や上乗せ金利が異なる
・健康状態や年齢によってはがん団信に加入できない可能性がある
マンション図書館の物件検索のここがすごい!

- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家によるコメント
表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正評価」
が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
住宅ローンと関係の深い団体信用生命保険(団信)のがん保障とは
住宅ローンと関係の深い団体信用生命保険(団信)のがん保障とは
住宅ローンを組む場合、多くの金融機関で団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。
・団信の基本的な保障内容
・がん保障特約付団信(がん団信)の仕組み
・がん団信と一般のがん保険の違い
団体信用生命保険とがん保障特約付団信(がん団信)について、解説しましょう。
団信の基本的な保障内容
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの利用者が以下のような予期せぬ事態に備えて加入する保険です。住宅ローンの全額もしくは一部が保険金で返済されます。
・被保険者(債務者)が死亡したとき
・被保険者が高度障害状態(所定の障害の症状が固定し回復の見込みがない)になったとき
ほとんどの金融機関では、住宅ローンを利用するとき団体信用生命保険の加入が必須です。例外としてフラット35では独自に新機構団信と呼ばれる団信を提供していて、加入は任意となっています。
一般的な団体信用生命保険では、がんと診断されても保障対象にはなりません。がんと診断されたとき保障を受けたいなら、保障特約付団信(がん団信)に加入する必要があります。
※参考:三菱UFJ銀行
※参考:三井住友銀行
※参考:SBIエステートファイナンス
がん保障特約付団信(がん団信)の仕組み
がん団信とは、団体信用生命保険にオプションとして追加できる特約です。「がん(悪性新生物)」と診断されたとき、支払われた保険金により住宅ローンの一部もしくは全額が支払われます。
加入が必須であることが多い団体信用生命保険と違い、がん団信への加入は任意です。住宅ローンと一緒に毎月の保険料を支払い、将来的にがんと診断されたときに備えます。
※参考1:国税庁
がん団信と一般のがん保険の違い
がん団信と一般的ながん保険の違いは、以下の通りです。
一般的ながん保険と比較すると、がん団信のほうが受け取れる保険金に対する保険料が割安の傾向があります。住宅ローンの借入金額が大きくなりやすいことが主な理由です。
がん団信に加入する3つのメリット
がん団信に加入する3つのメリット
団体信用生命保険のがん団信に加入するメリットをまとめました。
・がんと診断されると住宅ローン返済の負担がなくなる・軽くなる
・経済的な不安が減り、治療に専念できる
・生命保険(がん保険)の見直しのきっかけになる
住宅ローンの利用を検討している方は、ぜひチェックしてください。
がんと診断されると住宅ローン返済の負担がなくなる・軽くなる
団信に加入すれば、がんと診断されたときに家を失うリスクがなくなる・軽くなります。原則として進行ステージとは関係なく、がんと診断された時点で保障の対象です。
厚生労働省の調査によると2024年度の死因第一位はがんで、これは全体の23.9%にも及びます(※1)。2021年のデータによると、一生のうちにがんと診断される確率は「男性63.3%・女性50.8%」で、これは「約2人に1人」になる計算です(※2)。
収入の減少や治療費の負担によって住宅ローンを返済できなくなれば、自宅を売却しなければいけません。がん団信で万が一の事態に備えることで、がんになったとき家を失うリスクを軽減できます。
※1参考:厚生労働省
※2参考:国立研究開発法人国立がん研究センター
経済的な不安が減り、治療に専念できる
がんになった場合、それまでと同じように働けるとは限りません。がんの治療は長期化することも多く、収入の減少や休職のリスクが考えられるでしょう。
住宅ローン残高が全額または一部が返済されれば、経済的な不安を軽減できます。治療に専念できるようになるので、本人や闘病を支える家族にとっての安心につながるのです。
生命保険(がん保険)の見直しのきっかけになる
がん団信への加入は、生命保険(がん保険)の保障内容を見直すよいきっかけです。がんにどのように備えるのか話し合うことで、自分や家族にとってどのような保障が必要なのか明確になります。
これからのライフプランを想定し、保障とコストのバランスを踏まえて再設計することが大切です。がん団信だけで十分か、生命保険(がん保険)の保障内容に過不足がないかなど、将来を見据えたリスク対策ができます。
鑑定士コメント
がん団信は住宅ローンを返済できますが、治療費や生活費はまかなえません。収入の減少や休職によって、生活が苦しくなる恐れがあります。がん保険に入っていれば、自由な用途に使える保険金を受け取ることが可能です。がんと診断された後の生活を安定させたい場合は、がん保険への加入を検討しましょう。ただし、がん団信とがん保険の両方に加入すると、保険料の支払いが高額になる可能性があります。負担なく支払える範囲で、加入を検討することが大切です。
加入前に知るべきがん団信の4つのデメリット
加入前に知るべきがん団信の4つのデメリット
メリットが多いがん団信ですが、デメリットも考えられます。
・住宅ローンの金利が上乗せされる
・保障が開始されるまでに免責期間がある
・保障の対象外となるがんの種類がある
・加入には健康状態の告知が必要で、誰でも入れるわけではない
がん団信は途中で解約ができないので、注意点を確認しておくことが大切です。
住宅ローンの金利が上乗せされる
保険料は住宅ローンの返済額に含まれる形で支払い、金利が上乗せされる形式が一般的です。大体年間で0.1〜0.3%ほど金利が上乗せされ、金額は被保険者の年齢に応じて高くなります。
毎月の住宅ローン返済額が高くなると、家計への負担が増えるので注意が必要です。借入金額や上乗せ金利によりますが、毎月の返済額は数千円ほどあがります。無理なく返済を続けられる金額なのかよく考えたうえで、加入を検討してください。
団体信用生命保険の保険料は月々いくら?基本的な仕組みと注意すべきポイントとは
保障が開始されるまでに免責期間がある
がん団信の保証期間は、団体信用生命保険の保障開始日(責任開始日)から90日が経過した日の翌日からです。この90日間は免責期間なので、がんと診断されても保障の対象にはなりません。保障開始日はいつか、詳細な適用条件を確認しておくことが大切です。
保障の対象外となるがんの種類がある
一般的ながん団信では、身体の浅い層にとどまる上皮内がん(食道上皮内がん・大腸粘膜内がん・非浸潤がんなど)は保障の対象外です。悪性黒色腫を除いた皮膚がんとあわせて、対象外とするケースもあります。
ただし、保障の対象となるがんは金融機関によって異なるので、確認が必要です。一部の金融機関では、上皮内がんや皮膚がんと診断されたとき一時金が受け取れるプランを提供しています。
※参考:イオン銀行
加入には健康状態の告知が必要で、誰でも入れるわけではない
団体信用生命保険やがん保障特約付団信(がん団信)の加入には、健康状態の告知が必要です。金融機関による審査があり、病歴や治療歴によっては加入できない可能性があります。
また、がん団信の上限年齢は団体信用生命保険より低い傾向があります。上限年齢は50歳前後に設定されていることが多く、一定の年齢を超えると加入ができません。
鑑定士コメント
がん団信は、住宅ローンの返済中に後から追加することができません。住宅ローン契約時にしか加入できず、途中で外したり付けたりはできないのです。がん団信に加入するかどうかは、住宅ローンの契約をするとき冷静に判断することが大切です。ちなみに、住宅ローンを借り換えた場合、団体信用生命保険やがん団信は引き継げません。借り換え先の金融機関で、あらためて健康状態を告知して加入することになります。
自分に合ったがん団信の選び方
自分に合ったがん団信の選び方
団体信用生命保険のがん団信は商品によって保障の内容が異なるので、選び方が重要です。
・保障範囲で選ぶ
・上乗せ金利で選ぶ
・がん以外の疾病保障もあわせて検討する
返済計画や家族構成にあったがん団信を選ぶためのポイントを、紹介します。
保障範囲で選ぶ
がん団信の保障範囲は以下の2種類に分かれます。
保障範囲は50%保障でローン残高の半分、100%保障はすべてが保障されます。上乗せ金利は100%保障のほうが高くなるので、毎月の返済がいくらになるか比較することがポイントです。
上乗せ金利で選ぶ
上乗せ金利の相場は0.1〜0.3%で、金融機関や年齢によって大きな差があります。上乗せ金利が高いと毎月の住宅ローン返済の負担は大きくなるので、あらかじめ確認しておきましょう。
住宅ローンシミュレーションを利用すれば、毎月の上乗せ額など具体的な金額がわかります。複数の金融機関のがん団信を比較したうえで、費用対効果の高いプランを選択しましょう。
がん以外の疾病保障もあわせて検討する
3大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)や全疾病特約など、がん以外の疾患との保障がセットのプランもあります。
上乗せ金利は高くなりますが、通常のがん団信より広範囲のリスクをカバーできるのが特徴です。プランごとの保障内容を確認し、がん以外の疾病保障が必要かよく検討してください。
以下の資料では、マンション保有後に役立つ資産性の上げ方を紹介します。売却など将来を踏まえてチェックすれば、資産価値を維持するポイントがわかるはずです。
がん団信に関するよくある疑問
がん団信に関するよくある疑問
がん団信に関するよくある疑問をまとめました。
・団信に加入中にがんと診断されたらどうなりますか?
・がん団信に適用されない(保障対象外の)がんはありますか?
・がん団信は50%保障と100%保障のどちらがよいですか?
・がん診断一時金とは何ですか?
がん団信についての疑問を解消することで、自身や家族にとって正しい選択ができます。
団信に加入中にがんと診断されたらどうなりますか?
がん団信に加入していれば、所定のがんと診断されたとき保険金が支払われます。必要書類を準備して、金融機関に提出しましょう。
住宅ローンの100%もしくは半分が返済されるため、家を失うリスクは大幅に減ります。ただし、契約開始日から90日間の免責期間は、保障の対象にはなりません。
がん団信に適用されない(保障対象外の)がんはありますか?
一般的ながん団信では、「上皮内がん」と「悪性黒色腫以外の皮膚がん」は保障の対象外です。一方で金融機関やプランによって詳細は異なるため、一律に対象外とはいえません。
一方で、対象外のがんであっても診断時に一時金が受け取れるなど、独自の保障を用意している金融機関もあります。信頼できる担当者と相談しながら、加入前に条件を確認しておくことがおすすめです。
※参考:イオン銀行
がん団信は50%保障と100%保障のどちらがよいですか?
がん団信の50%保障では、金利上乗せを抑えながら最低限の備えを提供できます。100%保障だと金利負担は増えますが、がんと診断されれば住宅ローンの全額返済が可能です。
50%保障と100%保障のどちらがよいかは、家庭によって異なります。世帯の収入や貯蓄状況、ライフプランを踏まえたうえで、コスト優先か保障優先かを判断しましょう。
がん診断一時金とは何ですか?
がん診断一時金とは、がんと診断されたときに一時的に支払われるお金のことです。住宅ローン残高の保障とは別にまとまったお金を受け取ることができ、治療費や生活費に当てられます。
ただし、がん診断一時金があるのは、一部のがん団信や特約だけです。対象となるがんなどの条件や金額は金融機関やプランによって異なるので、加入の前に確認してください。
まとめ:がん団信の必要性を理解し、納得のいく住宅ローンを選ぼう
まとめ:がん団信の必要性を理解し、納得のいく住宅ローンを選ぼう
団体信用生命保険のがん団信に加入しておけば、がんと診断されたとき保険金を受け取れます。住宅ローンの返済は長期にわたるため、もしものときへの備えが必要です。
住宅ローン残高の全額もしくは半額が保障されることで、経済的な不安が減って治療に専念できます。一方で住宅ローンに金利は上乗せされるため、無理なく返済できるかシミュレーションすることが大切です。
がん団信によって保障範囲や上乗せ金利は異なるので、十分に比較したうえで加入する必要があります。がん以外の疾病保障やがん保険との組み合わせも検討しつつ、自身や家族のライフプランにあった住宅ローンを選択してください。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
公式SNSをフォローすると最新情報が届きます
あなたのマンションの知識を確かめよう!
マンションドリル上級
あなたにとって一生で一番高い買い物なのかもしれないのに、今の知識のままマンションを買いますか??後悔しないマンション選びをするためにも正しい知識を身につけましょう。
おすすめ資料 (資料ダウンロード)
マンション図書館の
物件検索のここがすごい!

- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家による
コメント表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正
評価」が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
会員登録してマンションの
知識を身につけよう!
-
全国の
マンションデータが
検索できる -
すべての
学習コンテンツが
利用ができる -
お気に入り機能で
記事や物件を
管理できる -
情報満載の
お役立ち資料を
ダウンロードできる
関連記事
関連キーワード
カテゴリ
当サイトの運営会社である東京カンテイは
「不動産データバンク」であり、「不動産専門家集団」です。
1979年の創業から不動産情報サービスを提供しています。
不動産会社、金融機関、公的機関、鑑定事務所など
3,500社以上の会員企業様にご利用いただいています。