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更新日:2025.08.25
登録日:2025.08.25
マンションの名義変更、離婚時はどうする?住宅ローンあり・なし別の手続きと財産分与を解説

「離婚時にはマンションの名義の変更は必要?」
「マンションの名義を変更する方法は?」
夫婦間の財産であるマンションは、離婚のときに名義変更が必要になる可能性があります。さまざまな選択肢があるので、両者にとって最善の選択をすることが重要です。
本記事では、離婚したあとのマンションの扱い方と名義変更の方法をわかりやすく解説します。名義変更の方法やかかる費用・税金、登記完了までの手順とあわせてまとめました。
【この記事でわかること】
・マンションの名義変更をする前に住宅ローンの状況を確認すべき
・マンションの扱いによって名義変更が必要なケースと必要でないケースがある
・住宅ローンが残っている場合は、名義変更のために金融機関の許可が必要になる
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離婚時のマンション名義変更では住宅ローンの状況を確認しよう

離婚時のマンション名義変更では住宅ローンの状況を確認しよう
離婚時にマンションの名義変更を検討する場合、まずは住宅ローンの状況を確認します。
・アンダーローンの場合の考え方
・オーバーローンの場合の考え方
・住宅ローンが完済している場合
基本的な知識として、それぞれの違いをチェックしておきましょう。
アンダーローンの場合の考え方
アンダーローンとは、住宅ローンの残高より物件の売却価格が上回っている状態です。売却によって住宅ローンを完済できるため、売却価格からローン残高を差し引いた金額を財産分与の対象とします。
売却価格からローン残高を差し引いた金額をそれぞれ折半するのが、マンションを売却する際の基本的な考え方です。たとえばマンション売却価格が5,000万円、ローン残高が2,000万円だと、財産分与としてそれぞれが1,500万円を受け取れます。
オーバーローンの場合の考え方
オーバーローンとは、売却価格よりローン残高が上回っている状態です。オーバーローンはマイナスの財産とみなされるため、財産分与の対象にはなりません。
たとえば売却価格が4,000万円のマンションに5,000万円の住宅ローンがあれば、財産分与の対象外です。住宅ローンを折半するよう、一方に強制することはできません。
ほかにはオーバーローンの残高を他の財産で相殺する方法や、任意売却をする方法などがあります。オーバーローンでの財産分与は複雑なので、専門家に相談するのがおすすめです。
※参考:アトム法律事務所
住宅ローンが完済している場合
住宅ローンが完済していれば、マンションは夫婦の共有財産として財産分与の対象になります。ただし、婚姻前から一方がマンションを所有している場合は、財産分与の対象にはなりません。
婚姻前に購入したマンションでも、婚姻後に住宅ローンの支払いが続いていれば、婚姻期間に該当する部分に限り財産分与の対象になります。具体的な計算方法の考え方は複数あるので、専門家に相談しましょう。
※参考:三菱UFJ銀行
鑑定士コメント
夫名義の家であっても、妻が住み続けることは可能です。財産分与でマンションをもらうことになれば、名義を変更して不動産所有者を妻にできます。夫名義で組んだ住宅ローンが残っている場合は、一括返済するか妻名義で新しいローンを契約すれば住み続けることが可能です。ほかには、住宅ローンの債務者を夫のままにして、妻が家賃を払って住む方法があります。
離婚後のマンションの扱い方4つの選択肢

離婚後のマンションの扱い方4つの選択肢
離婚後のマンションの扱い方は、夫婦でよく話し合って決めることが重要です。
・マンションを売却し、現金で財産分与する
・夫婦の一方がマンションを取得し、住み続ける
・夫婦の一方がマンションを取得し、賃貸に出す
・名義変更せず、元パートナーがローンを払い続ける
具体的な4つの選択肢を紹介します。
マンションを売却し、現金で財産分与する
マンションを売却して、現金として財産分与するシンプルな方法です。現金なので平等に分けやすく、トラブルに発展しにくい方法といえます。
マンション売却価格から住宅ローン残高を差し引いた金額を、夫婦で折半するのが基本です。婚姻後に購入したマンションであれば、共有名義や単独名義にはかかわりません。
ただし、オーバーローンで売却価格が住宅ローン残高を下回った場合、他の財産で相殺しなければ売却はできません。売却が可能なケースであっても、買い手がつかず財産分与に時間がかかる可能性もあります。
夫婦の一方がマンションを取得し、住み続ける
夫婦が離婚したあと、一方がマンションを取得して住み続ける方法です。生活環境を変えたくないといった理由で、そのまま住み続ける方は少なくありません。
マンションを処分することなく住み続けるので、現金としては財産分与できません。マンション評価額が住宅ローン残高を上回る場合、その他の財産で資産を分けるなどの対応が必要なこともあります。
※参考:株式会社SBI新生銀行
夫婦の一方がマンションを取得し、賃貸に出す
離婚後夫婦の一方がマンションを取得して賃貸に出せば、安定した収入源になります。ただし、住宅ローンを組んだ状態では、第三者に貸し出すことはできません。
金融機関から承諾を得たうえで、契約の変更もしくは不動産投資ローンへの借り換えをすることになります。借り換えなどで金利が高くなり、月々の返済額が増加する可能性があるので注意が必要です。
空室によって家賃が入らなくなる可能性もあるため、リスクを把握しておくことが重要です。なお、共同名義のままでもマンションを賃貸に出すことはできますが、離婚後も元パートナーと関係を継続しなければいけません。
名義変更せず、元パートナーがローンを払い続ける
名義変更をしないまま、名義人である元パートナーが住宅ローンを支払い続けます。住宅ローンは居住者が支払うのが前提なので、名義人が住まない場合は金融機関の承諾が必要です。
居住者以外が住宅ローンを支払う場合、勝手に売却されるなど金銭トラブルに発展することが考えられます。名義人が滞納すれば、マンションに住み続けることはできません。支払いについて定めた離婚協議書を公正証書にするなど、対策を行いましょう。
鑑定士コメント
財産分与は夫婦に認められた権利なので、財産分与を拒否することはできません。拒否された場合は、財産分与に応じてもらえるように説得する必要があります。法律の専門家に相談して、アドバイスをもらうのがおすすめです。なお、夫婦がそれぞれ財産分与請求権を放棄したときは、財産分与をする必要はなくなります。
住宅ローンが残っているマンションの名義変更方法

住宅ローンが残っているマンションの名義変更方法
住宅ローンが残っているマンションの名義変更は、以下の方法で行います。
・必ず金融機関に相談・承諾を得る
・金融機関への交渉方法
・共有名義・ペアローンの場合の方法
必要な手続きについて、チェックしておきましょう。
必ず金融機関に相談・承諾を得る
住宅ローンが残っている場合、マンションの名義変更をするときは必ず金融機関の承諾を得る必要があります。無断で名義変更すると規約違反になるので、注意が必要です。
また、名義人ではない一方がそのまま住む場合、住宅ローンを利用できなくなります。離婚後マンションに住む居住者やローンの返済者によって対応は異なるので、まず金融機関に相談しましょう。
金融機関への交渉方法
住宅ローンの名義変更は、原則として認められていません。契約者の情報を審査したうえで借入額を決定しているため、審査を受けていない人に名義変更するのは不可能です。
名義人と異なる人がマンションに住み続ける場合、新しい住宅ローンを契約する必要があります。金融機関によっては離婚などの借り換えに対応しているので、まずは相談することが重要です。
新しい住宅ローンの契約や借り換えには、返済能力が求められます。収入面などに問題がある場合は利用が難しいので、その他の方法を検討してください。
※参考:株式会社SBI新生銀行
共有名義・ペアローンの場合の方法
共有名義のままだと、ローンの支払いが滞ったとき連帯責任者が負担しなければいけません。片方がマンションに住む場合は、単独名義に変更する必要があります。
ペアローンでは、夫婦の一方が無断でマンションを出ていくと規約違反です。銀行に相談したうえで、一括返済や単独ローンの一本化、借り換えなどから、適した方法を選択しましょう。
また、ペアローンでは、夫婦が2人で返済することを前提に返済計画を立てます。1人の収入だけでは、単独ローンへの一本化や借り換えが難しいこともあるので注意が必要です。
※参考:株式会社SBI新生銀行
離婚時のマンション名義変更にかかる費用と税金

離婚時のマンション名義変更にかかる費用と税金
離婚時にマンションの名義を変更する場合、以下のような費用・税金がかかります。
・登録免許税
・譲渡所得税
・専門家に依頼した場合の依頼料
基礎知識と金額を解説しましょう。
登録免許税
名義変更の登記申請のときに必要な税金です。税率は固定資産評価額の2%(※)なので、不動産価格が高ければ高いほど大きな負担となります。
金額分の収入印紙を購入して、登記申請書と一緒に提出しましょう。なお、印鑑証明書や住民票などの必要書類を揃えるために、数千円ほどかかります。
※参考:司法書士法人まちたま
譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産の売却や譲渡によって発生する譲渡所得にかかる税金です。名義変更による不動産の譲渡では、譲渡所得税がかかる可能性があります。
財産分与の譲渡所得がゼロ以下の場合は、譲渡所得税は発生しません。不動産の時価が購入時より高額になった場合は、納税する必要があります。
専門家に依頼した場合の依頼料
手続きを司法書士に依頼する場合の相場は、2万~9万円ほど(※)です。依頼料は司法書士が自由に決められるので、不動産の固定資産税評価額によって変動するケースもあります。
マンションの名義変更を自分で行えば依頼料は不要ですが、手続きには専門的な知識が必要です。難しいと感じるなら、無理をせず専門家に依頼してください。
※参考:司法書士法人さくら事務所
財産分与の取り決めから登記完了までの手順

財産分与の取り決めから登記完了までの手順
離婚の際の財産分与の取り決めから登記完了までの手順を、まとめました。
1. マンションの価値査定とローン残高の確認をする
2. 財産分与の内容を夫婦で協議する
3. 財産分与協議書を作成する
4. 金融機関との交渉・手続きをする
5. 必要書類を準備し、法務局へ登記申請する
6. 登記完了後、登記識別情報通知書(権利証)を受け取る
マンションで名義変更をするとき何をすべきなのか、チェックしておきましょう。
マンションの価値査定とローン残高の確認をする
離婚時の財産分与では、マンションの時価を用います。不動産会社に査定してもらい、いくらで売却できるのか確認しましょう。
ローン残高は、「ローン返済計画書」や「残高証明書」で確認できます。固定金利なら「ローン返済表」や「償還予定表」で、変動金利なら「金融機関の公式サイト」を閲覧しましょう。金融機関によって確認方法は異なるので、わからないときは相談してください。
財産分与の内容を夫婦で協議する
財産分与について、夫婦間で話し合いをします。夫婦が婚姻中に協力して築いた共有財産が対象なので、まずはピックアップしてください。
マンションの価値査定とローン残高を踏まえたうえで、マンションをどうするのか検討しましょう。売却する、住み続けるなど、具体的な方法を決定します。
財産分与協議書を作成する
財産分与について合意したあとは、「財産分与契約書」を作成します。当事者および第三者にわかるように財産分与の内容を明記して、署名・捺印をしましょう。
書類は任意で作成するものなので、自治体などで取得するものではありません。「誰が・誰に・何を」財産分与するのか、具体的に記入すればOKです。
金融機関との交渉・手続きをする
住宅ローンが残っている場合は、金融機関との交渉や手続きが必要です。名義変更の承諾を得ないと規約違反になるので、まずは相談にいきましょう。住宅ローンの名義は変更できないため、新しいローンの契約や借り換えが必要になることがあります。
必要書類を準備し、法務局へ登記申請する
マンションの名義変更には、以下のような書類が必要です。
登記完了後、登記識別情報通知書(権利証)を受け取る
不動産の所在地を管轄する法務局で、所有権移転登記手続きを行います。用意した書類とあわせて、登記申請書を提出しましょう。
登記が完了したあとは、登記識別情報通知書(権利証)を受け取れます。以上でマンションの名義変更は完了です。
以下の資料では、資産価値のあげ方を解説しています。マンションを名義変更する方法とあわせて、ぜひ参考にしてください。
まとめ:財産分与の取り決めを公正証書にし、トラブルのない再出発を実現しよう

まとめ:財産分与の取り決めを公正証書にし、トラブルのない再出発を実現しよう
離婚をする場合、マンションは財産分与の対象になります。オーバーローンなど例外もあるので、基礎知識をチェックしておくことが重要です。
離婚後のマンションの扱い方によっては、名義変更が必要になる可能性があります。マンションの価値査定や住宅ローン残高、現在の名義をふまえたうえで、2人にとって最良の選択を選びましょう。
トラブルにならないように、財産分与の取り決めは公正証書にするのがおすすめです。マンションの名義変更にかかる費用や手順も紹介したので、円満な財産分与のためにぜひ役立ててください。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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