全国市況レポート

注目記事
学ぶ
更新日:2025.06.25
登録日:2025.06.25
築30年マンションは買い?メリット・デメリットと後悔しない選び方を徹底解説!

「築30年マンションは買っても大丈夫なの?」
「築30年マンションを購入する際に後悔しない選び方を知りたい。」
マンションの購入を検討していると、築30年の物件に出会うことも少なくありません。新築や築浅に比べて価格は抑えられているものの、「老朽化」「修繕費」などが気になって迷っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、築年数だけで判断するのは早計です。適切に管理されているマンションなら、築30年でも快適に、そして安心して暮らせる可能性が十分にあります。
この記事では、築30年マンションのメリット・デメリットを紹介したうえで、後悔しない選び方を徹底解説します。
【この記事でわかること】
・築30年マンションの耐用年数は47年。ただし管理次第で100年以上住めることもある
・築30年マンションの主なメリットは価格が手頃、好立地、耐震性が高い、資産価値が安定
・築30年マンションの主なデメリットは老朽化、大規模修繕、売却のしにくさ、修繕積立金の増額リスク
マンション図書館の物件検索のここがすごい!

- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家によるコメント
表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正評価」
が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
築30年マンションは何年くらい住めるのか

築30年マンションは何年くらい住めるのか
築30年というと、「あと何年住めるのか?」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。マンションには法定耐用年数がありますが、実際の寿命はその管理状態によって大きく左右されます。
ここでは、築30年マンションの耐用年数の目安や、管理状態が建物の寿命にどのような影響を与えるのかを解説します。
築30年マンションの耐用年数
国税庁が定める「主な減価償却資産の耐用年数表」によれば、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅用建物の法定耐用年数は「47年※」です。
上記の「耐用年数」は、税金の計算などに使うもので、「この建物は47年で住めなくなる」という意味ではありません。あくまで、会計上の資産価値を毎年少しずつ減らしていくための目安として使われています。
一方、「実際にどれくらい住めるか」を示すのが「物理的耐用年数」です。これは建物自体がどれくらいの期間、安全に使用できるかを示したものです。
国土交通省によると、鉄筋コンクリートで建てられたマンションの物理的寿命はおよそ120年。しっかりと修繕やメンテナンスを実施していれば、150年程度まで延ばすことも可能といわれています。
つまり、築30年のマンションでも、構造部分がしっかりしていて、管理や修繕が適切に行われていれば、長く住み続けられるのです。
※1 参照:主な減価償却資産の耐用年数表
※2 参照:中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書
耐用年数は管理状態に影響する
マンションの寿命は、建物の構造だけでなく、日々の管理にも大きく左右されます。よく「マンションは建物ではなく管理を買え」と言われるのは、それだけ管理の良し悪しが大切だからです。
例えば、海の近くのマンションは、潮風による塩害の影響で、築5年ほどでも鉄部が錆びてしまうケースがあります。このような環境では、塩害対策や日ごろのメンテナンスの有無によって、建物の寿命が大きく変わるのです。
築30年でもきちんと手入れされていれば、快適に暮らせる物件は多くあります。反対に、築年数が浅くても管理がずさんなら、劣化が早く進むでしょう。
購入する際は、築年数だけでなく、管理の状態にも注目することが重要です。
鑑定士コメント
築30年のマンションでも、新耐震基準(1981年以降)に適合していれば、住宅ローン控除の対象になります。ただし、床面積・返済期間・所得などの要件をすべて満たす必要があります。また、自分で確定申告を行うことも必要です。築年数だけで判断せず、制度の内容を正しく理解したうえで、賢く活用しましょう。
築30年マンションのメリット

築30年マンションのメリット
「築30年」と聞くと、古さや老朽化といったデメリットを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、築年数が経っているからこそ得られるメリットも数多くあります。
ここでは、築30年マンションを購入する際に知っておきたい4つのメリットを紹介します。
・価格が手頃
・立地が良い物件が見つかりやすい
・耐震性が高い
・資産価値が安定している
価格が手頃
築30年マンションの最大のメリットは、新築や築浅に比べ価格が手頃であることです。
新築マンションは、購入した瞬間に資産価値が約2割下がると言われています。その理由のひとつが「新築プレミアム」と呼ばれる割増価格の存在です。
新築というだけで、200〜600万円ほど価格が上乗せされており、購入直後にその分の価値が目減りしてしまうのです。
一方、中古マンションにはこのプレミアム価格がつきません。同じ条件でも割安で購入できるのが大きな魅力です。
価格に余裕があれば、立地や設備にこだわったり、リフォーム費用に充てたりと、より理想に近い住まいを実現しやすくなります。
立地が良い物件が見つかりやすい
立地が良い物件が見つかりやすい点も、築30年マンションを購入するメリットです。
そもそも「立地が良い」とは、次のような条件を満たす場所のことを指します。
・駅やバス停が近い
・学校や病院、スーパーがそろっている
・治安が良い
・災害リスクが低い
このようなエリアはすでに開発が進んでおり、新たに新築マンションが建つ可能性は限られています。仮に建てられたとしても、価格は非常に高額になりがちです。
その点、築30年のマンションであれば、こうした好立地の物件でも手頃な価格で購入できる可能性があります。
また、立地条件の良い物件は資産価値が下がりにくいため、将来的な売却を見据えた場合にも有利です。
耐震性が高い
築30年マンションを購入するメリットの一つは、耐震性が高いことです。
中古マンションを選んでいると、「旧耐震」「新耐震」という言葉をよく目にするかもしれません。これは、マンションが建てられた時期によって、地震に対する基準が異なるからです。
以下は、旧耐震基準と新耐震基準の主な違いです。
2025年時点で築30年というと、1995年頃に建てられた物件が該当します。そのため、多くの築30年マンションは新耐震基準に対応しており、地震に強い構造となっています。
大地震への備えとして、倒壊リスクが低いことは安心材料の一つです。耐震性の高さは、築30年マンションを選ぶうえでの大きな魅力といえるでしょう。
鑑定士コメント
新耐震基準に対応しているから安心と聞くと、「旧耐震のマンションは避けるべきなのでは」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、「新耐震=安心」「旧耐震=危険」と一概に決めつけることはできません。旧耐震の物件でも、設計の工夫や適切なメンテナンスが行われていれば、十分な耐震性を保っているケースもあります。建物の安全性は、耐震基準だけでなく、地盤や管理状況にも左右されるため、総合的に確認することが大切です。
資産価値が安定している
資産価値が安定している点も、築30年マンションの大きなメリットです。
マンションの価格は一般的に築20〜25年で下落が落ち着き、その後はゆるやかな変動にとどまる傾向があります。つまり、築30年のマンションは、すでに価格がある程度下がった状態のため、これから大きく値下がりするリスクが少ないといえるでしょう。
さらに、築30年クラスのマンションは駅近などの好立地に建てられていることが多く、人気エリアでは新築よりも高値で取引されるケースも見られます。
購入価格が抑えられ、売却時にも損をしにくい点は、築30年マンションだからこその魅力です。
住んでいるマンションの資産性が気になる方は、以下の資料をご活用ください。無料でダウンロード可能です。
築30年マンションのデメリット

築30年マンションのデメリット
築30年マンションにはメリットがある一方で、デメリットもあります。購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、事前にリスクを把握しておくことが重要です。
ここでは、築30年マンションを検討する際に押さえておきたい4つのデメリットを紹介します。
・建物の老朽化
・大規模修繕が始まる可能性
・売却しにくい
・修繕積立金が値上がる可能性
建物の老朽化
建物の老朽化は、築30年マンションを購入するうえで避けては通れないデメリットの一つです。
建物は経年とともに少しずつ傷んでいくもので、築30年を超えると外壁や手すり、配管などに劣化が見られるケースも珍しくありません。
とくに管理が行き届いていない物件では、コンクリートのひび割れや雨漏りなどのトラブルが起こりやすく、建物全体の耐久性に悪影響を及ぼす可能性もあります。
老朽化によって設備の交換や補修が必要になると、予想以上の費用がかかるケースも。そのため、購入前に建物の状態をしっかり確認しておくことが大切です。
大規模修繕が始まる可能性
築30年マンションのデメリットの一つに大規模修繕が始まる可能性があることが挙げられます。
大規模修繕とは、建物全体や共用部分の老朽化・劣化を直すために行われる大掛かりな修繕工事のことです。
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、実施時期の目安は以下のとおりとされています。(※)
・1回目の修繕工事:築15年以下
・2回目:築26〜30年
・3回目:築41年以上
築30年のマンションであれば、2回目の修繕が検討されるタイミングに該当します。
物件によっては、購入後すぐに臨時の修繕費として50万〜100万円ほどの費用が徴収されることもあるため、事前に修繕履歴や工事予定を確認しておくことが大切です。
売却しにくい
築30年マンションは、売却しにくい点もデメリットの一つです。
例えば、購入後に10年住んでから売却しようとすると、築40年の物件となり買い手が限られる可能性があります。
また、築年数が経過した物件は、新築に比べて外観や設備が見劣りしやすく、購入希望者が集まりにくいのが実情です。
ただし、以下のような条件を満たす物件であれば、売却できる可能性は十分にあります。
・駅から近いなど、立地が良い
・人気エリアにある
・管理状態が良好で長期修繕計画が整っている
将来的に売却も視野に入れている方は、こうしたポイントを事前にチェックしておくことも大切です。
修繕積立金が値上がる可能性
築30年マンションを購入する際に注意したいのが、修繕積立金が将来的に値上がる可能性がある点です。
修繕積立金とは、マンションの共用部分を維持・管理し、大規模修繕に備えて各住戸の所有者から毎月徴収される費用のことです。
積立方式には、主に以下の2種類があります。
段階増額積立方式は、購入時の負担が少ない反面、後年に思わぬ出費が発生するリスクがあるため注意が必要です。
さらに、人件費や資材価格の高騰により、修繕工事そのものの費用が上がる傾向もあります。
購入前には将来の費用変動を確認し、資金計画を立てておくことが重要です。
築年数が経過したマンションでは、修繕積立金の値上げが避けられないケースもあります。
その理由や相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひご覧ください。
修繕積立金が値上げされた!相場や理由についてわかりやすく解説
築30年マンションを購入するときのチェックポイント

築30年マンションを購入するときのチェックポイント
築30年マンションを購入する際は立地や価格だけでなく、「管理状態」や「耐震性」なども確認することが大切です。
ここでは、購入前にチェックしておきたいポイントを3つ紹介します。
・修繕履歴や長期修繕計画がしっかりしているか
・エントランスや共用部分の清掃は行き届いているか
・新耐震基準に基づいているか
修繕履歴や長期修繕計画がしっかりしているか
築30年マンションを購入する際は、修繕履歴や長期修繕計画がきちんと整備されているかを必ず確認しましょう。
快適な住環境を維持し資産価値を保つには、過去にどのような修繕が行われてきたか、そして今後の計画がどうなっているかの両方が重要です。
ただし、すべてのマンションが長期修繕計画を作成しているわけではありません。
国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果概要」によると、長期修繕計画を作成している管理組合は全体の88.4%。つまり、約1割には計画がない実態も明らかになっています。
購入後のトラブルを避けるためにも、修繕履歴や計画の有無は必ず確認しましょう。気になる点は、不動産会社に遠慮せず尋ねることが大切です。
※ 参照:令和5年度マンション総合調査結果概要
築年数の経ったマンションを選ぶ際、見落とせないのが「長期修繕計画」の有無です。では、長期修繕計画がないとマンションにどのような影響があるのでしょうか。詳しくは、以下の記事で解説しています。
長期修繕計画がないとマンションはどうなる?購入前に調べておくべきポイントを解説
エントランスや共用部分の清掃は行き届いているか
築30年のマンションを選ぶ際は、エントランスや共用部分の清掃状況にも注目しましょう。共用部分の使われ方や清掃状況には、住民のマナーや管理組合の運営状況が反映されます。
例えば、以下のような状態が見られる物件には注意が必要です。
・ゴミが収集日以外に放置されている
・ゴミ箱周辺が汚れている
・エントランスの照明が切れたままになっている
・植栽が放置されている
・通路やエントランスに私物が置かれている
こうした状態は見た目だけでなく、住環境や防犯面にも悪影響を及ぼします。
中古マンションは実際の建物を確認できるため、管理状態を自分の目で確かめられるのが大きなメリット。購入を検討する際は、共用部分の清掃・管理が行き届いているかを忘れずに確認しておきましょう。
購入時に気をつけたいポイントなど、詳しくは以下の資料もご確認ください。
新耐震基準に基づいているか
築30年マンションを購入する際は、その物件が新耐震基準に基づいて建てられているかを確認しましょう。
新耐震基準とは、1981年6月以降に改正された耐震のルールです。震度6強〜7程度の大地震でも倒壊しないことを想定して設計されているため、旧耐震基準の建物よりも耐震性が高くなります。
新耐震かどうかは、不動産会社に確認できるほか、市区町村の役所で調べることも可能です。
また、2022年度の税制改正により、新耐震基準に適合していれば築年数に関係なく住宅ローン控除の対象になるようになりました。
つまり、1982年以降に建てられたマンションであれば、税制面でもメリットを受けられる可能性があります。
購入前には、建築年と耐震基準の適合状況を忘れずに確認しておきましょう。
築30年マンションの購入は信頼できる不動産会社への相談も検討しよう

築30年マンションの購入は信頼できる不動産会社への相談も検討しよう
築30年マンションは「古くて不安」と感じる方もいるかもしれませんが、価格の手頃さや立地の良さなど、魅力的なポイントも多くあります。
一方で、築年数が経っているからこそ、建物の老朽化や修繕費、新耐震基準への対応など、事前に確認しておきたい点も少なくありません。
マンション購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物の一つです。納得できる物件に出会うためには、信頼できる不動産会社に相談し、専門的なアドバイスを受けながら慎重に進めることが大切です。
#住宅 #中古マンション #価格 #メリット

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
公式SNSをフォローすると最新情報が届きます
あなたのマンションの知識を確かめよう!

マンションドリルマンション管理編
あなたにとって一生で一番高い買い物なのかもしれないのに、今の知識のままマンションを買いますか??後悔しないマンション選びをするためにも正しい知識を身につけましょう。
おすすめ資料 (資料ダウンロード)
マンション図書館の
物件検索のここがすごい!

- 個々のマンションの詳細データ
(中古価格維持率や表面利回り等)の閲覧 - 不動産鑑定士等の専門家による
コメント表示&依頼 - 物件ごとの「マンション管理適正
評価」が見れる! - 新築物件速報など
今後拡張予定の機能も!
会員登録してマンションの
知識を身につけよう!
-
全国の
マンションデータが
検索できる -
すべての
学習コンテンツが
利用ができる -
お気に入り機能で
記事や物件を
管理できる -
情報満載の
お役立ち資料を
ダウンロードできる
関連記事
関連キーワード
カテゴリ
当サイトの運営会社である東京カンテイは
「不動産データバンク」であり、「不動産専門家集団」です。
1979年の創業から不動産情報サービスを提供しています。
不動産会社、金融機関、公的機関、鑑定事務所など
3,500社以上の会員企業様にご利用いただいています。