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2024.05.24

住宅ローンを一括返済するのはお得?メリットや手続きの方法を解説

住宅ローンを一括返済するのはお得?メリットや手続きの方法を解説

会社の退職金や株式の配当金など、まとまったお金が手に入ったタイミングで、住宅ローンの一括返済を検討している人も多いのではないでしょうか。

一括返済をすると毎月の返済負担を減らせるものの、さまざまなリスクがあります。本記事では、住宅ローンを一括返済するメリットや注意点をわかりやすく解説します。

このまま返済を続けるか、一括返済するか迷っている人はぜひ参考にしてみてください。

ローンの一括返済(全額繰上返済)とは

ローンの一括返済(全額繰上返済)とは

ローンの一括返済(全額繰上返済)とは

一括返済とは、金融機関から借り入れているローンの残高をまとめて返済することです。「全額繰上返済」とも呼ばれます。

 

通常、住宅ローンは毎月決められた金額を返済する「約定返済」を行いますが、任意のタイミングで一括返済に切り替えられます。

 

一括返済のメリットは、本来支払う予定だった利息の支払いがなくなり、総返済額を安く抑えられる点です。

 

なお、繰上返済には、ローン残高の一部を返済する「一部繰上返済」という選択肢もあります。

鑑定士コメント

ローンを一括返済した場合の住宅ローン減税の扱いはどうなるのでしょうか?住宅ローン減税は、住宅の購入から最大13年間ローン残高の0.7%が所得から控除される制度(※)です。住宅ローン減税の対象者は、ローンの返済中の人なので、完済後は住宅ローン減税を利用できなくなります。住宅ローンの控除期間が終了していない場合は、必ずしも一括返済が有利になるとは限りません。一括返済をして軽減される利息の金額と一括返済せず控除される金額を計算してみましょう。

※参照:国土交通省

住宅ローンを一括返済(全額繰上返済)するメリット

住宅ローンを一括返済(全額繰上返済)するメリット

住宅ローンを一括返済(全額繰上返済)するメリット

住宅ローンを一括返済するメリットは、次の3つです。

 

・支払総額を安くできる

・ローンの重圧から解放される

・新しいローンを組みやすくなる

 

一括返済によって、支払総額を安く抑えられることはもちろん、心理的負担も軽減できます。

支払総額を安くできる

一括返済する主なメリットは、住宅ローンの支払総額を安く抑えられる点です。支払う予定だった利息の支払いがなくなることで、支払総額を減らせます。

 

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済がありますが、どちらでも一括返済によって利息軽減効果を得られます。

 

借入金額が3,000万円で借入期間を30年と仮定し、一括返済をした場合としない場合の支払総額の差を比較してみましょう。(※)

 

 

支払総額

軽減された利息の金額

一括返済をしない

37,291,080円

-

5年後に一括返済

32,128,569円

5,162,511円

10年後に一括返済

33,907,075円

3,384,005円

15年後に一括返済

35,340,486円

1,950,594円

※ボーナス返済分が600万円、金利を1.50%とした場合

 

住宅ローン控除もあるため、実際の支払額とは異なるものの、一括返済によって利息の支払いを大幅に抑えられることがわかります。

 

※参照:三井住友銀行

ローンの重圧から解放される

一括返済によって住宅ローンの支払いが終わると、ローンの重圧から解放されます。住宅ローンは、多額の返済が長期間にわたって続くため心理的な負担が大きいです。

 

国土交通省の調査によると、住宅ローンを利用する世帯の年間平均返済額は、次の通り(※)です。

 

住宅の種類

年間返済額

返済負担率

注文住宅

174.0万円

16.4%

注文戸建住宅

126.6万円

18.8%

分譲集合住宅

148.1万円

17.4%

中古戸建住宅

106.7万円

16.6%

中古集合住宅

101.3万円

16.6%

返済負担率:世帯年収におけるローン返済額の割合

 

住宅ローンの支払いに加えて、子どもの教育費の支払いや老後の生活費について考えると、将来への不安を感じる人も多いです。

 

会社の業績が悪化して収入が低下したり、病気や事故によってしばらく働けなくなったりするケースも考えられます。

 

返済が滞ると自宅を競売にかけられるリスクがあるため、返済が終わることで大きな安心感を得られるでしょう。

 

参考:令和4年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省

新しいローンを組みやすくなる

新しいローンを組みやすくなる

新しいローンを組みやすくなる

一括返済によって住宅ローンの支払いが終わると、毎月の支出が減るため、新たにローンを組みやすくなります。

 

住宅ローンの返済が続いている状態では、教育ローンやマイカーローンなどの審査に影響が出る場合があります。住宅ローンの支払いがなければ、支払いにも余裕が出るため、新しいローンを組んでも審査に通る可能性が高まるでしょう。

 

個人の返済情報は、信用情報機関に記録されています。ローンを完済した記録があれば、次の新居の購入に向けた、新しい住宅ローンの審査で有利にはたらく場合があります。

 

一括返済をすることで、支払い能力があることの証明になるのです。

鑑定士コメント

一括返済の主なデメリットはどんなことがあるのでしょうか?一括返済の主なデメリットは、手持ちの資金が大きく減ることです。資金に余裕がなくなることで、急な出費に対応できないリスクもあります。その場合、住宅ローン以外の他のローンを利用すると金利が高く負担が大きくなります。一括返済をする際には、万が一の事態に備えて資金は確保しておきましょう。

住宅ローンを一括返済を考えるタイミング

住宅ローンを一括返済を考えるタイミング

住宅ローンを一括返済を考えるタイミング

住宅ローンの一括返済を検討するなら、次のいずれかのタイミングにしましょう。

 

・貯蓄に余裕があるとき

・定年退職したとき

 

一括返済のタイミングが早いほど、利息軽減効果は大きくなりますが、その分支払額も高額になります。

 

近いうちに大きな支出を予定している時期や収入が不安定な時期は、一括返済を考えるべきではありません。

貯蓄に余裕があるとき

一括返済は、貯蓄に余裕があるタイミングで行ってください

 

一括返済にかかる費用を差し引いても、まとまったお金が手元に残るなら一括返済を検討しましょう。すでに子どもが独立し、教育費や車の購入費などの大きな支出を予定していない場合は、一括返済をしても問題ありません。

 

日常生活に支障が出ることなく、毎月の支払いの負担を減らせます。

定年退職したとき

定年退職を迎えて、退職金を受け取ったときも一括返済を考えるべきタイミングです。

 

退職後も住宅ローンの返済が続くと、生活が苦しくなる可能性が高いです。一括返済によって返済の負担がなくなれば、退職後の生活に余裕ができるでしょう。

 

ただし、老後の資金に余裕がなくなると、将来的に生活が苦しくなる恐れがあります。一括返済の費用を差し引いて、十分な資金が残らない場合は、無理に一括返済をする必要はありません。

 

資金に余裕ができたタイミングで一括返済を行いましょう。

住宅ローンを一括返済する流れ

住宅ローンを一括返済する流れ

住宅ローンを一括返済する流れ

手続きの方法は金融機関によって異なりますが、窓口かインターネットバンキングで一括返済の手続きが可能です。まずは借入先の金融機関に問い合わせ、一括返済を希望している旨を伝えましょう。

 

インターネットバンキングで手続きが可能であれば、インターネットバンキングにログインし、住宅ローンのページから「繰上返済」や「全額返済」を選択します。あとは、画面の指示にしたがって進めれば、一括返済の手続きが完了します。

 

住宅ローンの完済後、住宅に設定された抵当権の抹消登記が必要です。抹消登記の手続きは司法書士に依頼できますが、自ら手続きを行うことも可能です。

 

全額返済の資金の引き落としが確認できた後、金融機関から必要な書類が届くので、法務局で手続きをしましょう。

 

住宅ローンの一括返済には手数料がかかります。みずほ銀行では、窓口で手続きをした場合、33,000円の手数料が発生します。

 

住宅ローンの契約書に、一括返済の方法や手数料に関して記載されている場合があるため、手続きを行う前に必ず契約書を確認してください。

 

※参照:みずほ銀行

住宅ローンを一括返済するときに注意するポイント

住宅ローンを一括返済するときに注意するポイント

住宅ローンを一括返済するときに注意するポイント

住宅ローンの一括返済を検討する際には、以下の3点に注意しましょう。

 

・住宅ローン控除がなくなる

・団体信用生命保険の保障が受けられなくなる

・手持ちの資金が一気に少なくなる

 

住宅ローンは、ほかのローンと比較して金利が低い融資です。経済状況や家庭の事情によっては、一括返済ではなく一部繰上返済を選択した方が良い場合もあります

住宅ローン控除がなくなる

一括返済を行うと、住宅ローン控除を受けられなくなります。

 

住宅ローン控除は、年末時点でのローン残高の0,7%が所得税から控除される制度(※)です。最大で13年間(※)の控除期間があります。

 

控除期間内であっても、一括返済が完了した時点で控除の対象外となり、以降に支払う税額の負担が増える恐れがあります

 

以下の2つの金額を比較して、一括返済を選択するかどうかを判断しましょう。

 

・一括返済をせず、住宅ローン控除を受けた場合の控除額

・一括返済をした場合に軽減される利息の金額

 

※参照:国土交通省

団体信用生命保険の保障

住宅ローンを一括返済すると、団体信用生命保険(団信)の保障がなくなる点に注意しましょう

 

団信とは、住宅ローンの返済中に加入者が死亡した(または高度障害状態になった)場合に、住宅ローンの全額を弁済する制度です。

 

団信以外の生命保険に加入していない場合、一括返済後、新たに保険に加入するまでに無保険の期間が生じます。万が一のことがあった場合に、保険金が支払われず、家族が経済的なリスクにさらされます。

 

無保険の期間が発生しないように、一括返済を行う前に生命保険への加入を検討しましょう。すでに別の生命保険に加入済みの場合でも、この機会に保険を見直してもいいかもしれません。

手持ちの資金が一気に少なくなる

手持ちの資金が一気に少なくなる

手持ちの資金が一気に少なくなる

一括返済によって、手持ちの資金が大きく減る点に注意してください。

 

住宅ローンは借入金額が大きいため、一括返済によって資金が大きく減少します。今後、教育費や車の購入などを控えている場合は、一括返済のタイミングを考え直しましょう。

 

無理に一括返済を行うと、資金がなくなり、家計が回らなくなる可能性があります。病気や事故などによる急な出費にも対応できるように資金に余裕を持たせることが大切です。

 

住宅ローンを完済した後にお金が不足し、金利の高いローンでお金を借りていては意味がありません。住宅ローンは金利の低いローンなので、資金に余裕がないうちは無理に完済しない方が賢明です。

 

最低でも半年分の生活費を確保した上で、一括返済を行いましょう。

まとめ:住宅ローンの一括払いはメリットと注意点を考えて判断しよう

まとめ:住宅ローンの一括払いはメリットと注意点を考えて判断しよう

まとめ:住宅ローンの一括払いはメリットと注意点を考えて判断しよう

住宅ローンの一括返済をすれば、返済の負担がなくなり、支払いによる心理的負担はなくなります。しかし、資金が大幅に減り、住宅ローン控除を受けられなくなるデメリットもあります。

 

近い将来、まとまった支出を予定しておらず、資金に余裕があるタイミングで一括返済を検討しましょう。

 

一括返済の支払いをしても、急な出費に対応できるか、老後の生活費を確保できるかを入念にシミュレーションしてください

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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