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更新日:2024.09.12
登録日:2024.03.22
住宅ローンの繰り上げ返済で損をしないための基礎知識!タイミングの判断ポイント
収入の増加や貯蓄によって資金的な余裕が生じたとき、住宅ローンの繰り上げ返済にあてるという選択肢があります。適切に行えば、住宅ローンの返済の負担を減らせるでしょう。
一方で「繰り上げ返済の種類は?」「注意点やデメリットはある?」など、疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。繰り上げ返済で損をしないためには、正しい知識を身に着けておく必要があります。
本記事では、住宅ローンの繰り上げ返済の基礎知識や種類をまとめました。メリットやデメリット、タイミングの判断基準、注意点も紹介するのでぜひ参考にしてください。
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住宅ローンの繰り上げ返済とは
住宅ローンの繰り上げ返済とは
住宅ローンの繰り上げ返済とは、元金の全てもしくは一部を前倒しで返済することです。通常の返済とは別に繰り上げ返済を行うことで、ローン残高を減らせます。
住宅ローンの繰り上げ返済をするタイミングや金額は、自由に決めることが可能です。収入が増加したり資金が貯まったりしたときに、繰り上げ返済を検討しましょう。
ただし、住宅ローンの繰り上げ返済には手数料がかかります。金融機関によってはオンラインでの手続きで手数料が無料になるので、あわせて確認しておくと安心です。
住宅ローンの繰り上げ返済の種類
住宅ローンの繰り上げ返済の種類
住宅ローンの繰り上げ返済の種類は、以下の2つに分かれます。
・返済期間短縮型
・返済額軽減型
それぞれのメリットとデメリットについて、チェックしておきましょう。
返済期間短縮型
返済期間短縮型とは、月々の返済額をそのままに返済期間を短くする返済方法です。メリットとデメリットをまとめました。
返済期間短縮型のメリット
返済期間短縮型のメリットは以下の3つです。
・残りの返済期間を短くできる
・利息の軽減効果が大きい
・保証料を一括で前払いした場合は一部返金される可能性がある
返済期間短縮型の最大のメリットは、返済額軽減型と比較して利息の軽減効果が高いことです。毎月の返済に余裕があるなら、返済期間短縮型を選択しましょう。
返済期間短縮型のデメリット
返済期間短縮型の場合、繰り上げ返済後も毎月の返済額が変わりません。生活費の負担軽減にはならないので注意が必要です。
返済額軽減型
返済額軽減型では、返済期間をそのままに月々の返済額を少なくします。メリットとデメリットは以下の通りです。
返済額軽減型のメリット
返済額軽減型のメリットは以下の2つです。
・月々の返済額を少なくできる
・団体信用生命保険の期間を長くもてる
返済額軽減型では月々の返済額を減らせるので、生活の負担軽減につながるでしょう。毎月の返済に余裕がない、教育費など将来の負担に備えたいといった場合におすすめです。
返済額軽減型のデメリット
返済額軽減型のデメリットは以下の2つです。
・返済期間は変わらない
・返済期間短縮型と比較すると利息の軽減効果は小さい
毎月の返済額は少なくなる一方で、返済期間短縮型と比較すると利息の軽減効果は小さい傾向があります。ただし、住宅ローンの契約内容によってはあまり差がでないケースもあるので、まずはシミュレーションでチェックしましょう。
住宅ローンを繰り上げ返済するメリット
住宅ローンを繰り上げ返済するメリット
住宅ローンを繰り上げ返済するメリットは以下の3つです。
・利息の負担を軽減できる
・精神的な負担が軽減される
・ライフイベントに合わせて資金を準備しやすい
繰り上げ返済をするか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
利息の負担を軽減できる
住宅ローンを繰り上げ返済すれば元金を減らせます。減らした元金分の利息は支払う必要がなく、金額によっては大幅な利息の削減効果が期待できるでしょう。
また住宅ローンは時間の経過によって元本の割合が高く、利息の割合は低くなる仕組みです。早い時期に繰り上げ返済を行えば、住宅ローンの総支払額をさらに減らせます。
精神的な負担が軽減される
繰り上げ返済によって住宅ローンの総支払額が減れば、精神的な負担が軽減されます。返済期間短縮型なら予定より返済が早く終るため、将来に対する不安を減らせるでしょう。
返済額軽減型の場合は月々の返済額を減らせるので、その他のことに回せるお金が多くなります。生活の質を向上でき、ストレスの軽減や精神の安定につなげることが可能です。
ライフイベントに合わせて資金を準備しやすい
ライフイベントに合わせて資金を準備しやすい
適切な方法を選択して住宅ローンの繰り上げ返済を行えば、ライフイベントに合わせた資金調達がしやすくなります。返済期間短縮型の場合、住宅ローンの完済を早めることで老後資金を準備できるでしょう。
返済額軽減型なら、月々の返済にあてていた金額を運用や教育資金に使用することが可能です。子どもの進学や結婚などのライフイベントに合わせて、資金準備がしやすくなります。
住宅ローンを繰り上げ返済するデメリット
住宅ローンを繰り上げ返済するデメリット
住宅ローンを繰り上げ返済するデメリットは以下の2つです。
・住宅ローン控除額が減額する可能性がある
・団体信用生命保険の金額が減る
繰り上げ返済で後悔しないために、あらかじめチェックしておきましょう。
住宅ローン控除額が減額する可能性がある
繰り上げ返済によって、住宅ローン控除額が減額される可能性があります。住宅ローン控除(減税)とは、住宅ローンの残高に応じて所得税を控除する制度のことです(※)。
住宅ローンの残高が減った場合、控除額も減ってしまうので注意。ただし、住宅ローンの金利が一定以上を超えたときなど、繰り上げ返済を選んだほうがよいケースもあります。
※参照:国土交通省
団体信用生命保険の金額が減る
繰り上げ返済により、団体信用生命保険の金額が減額されます。団体信用生命保険とは、契約者が亡くなったときに住宅ローンの残高がゼロになる保険です。
多くの金融機関では、団体信用生命保険への加入を住宅ローンの要件としています。保険金額は、亡くなった時点でのローン残高と同額です。
万が一の事態が発生した場合、生前に行った繰り上げ返済の金額は戻ってきません。繰り上げ返済で住宅ローンを完済したあと亡くなったら保険金がおりないので、注意が必要です。
また、団体信用生命保険の保障内容は、金融機関や加入プランによって異なります。3大疾病や要介護状態を保証対象とするケースなら、死亡時以外でも住宅ローンの完済が可能です。
全額繰り上げ返済のあと3大疾病や要介護状態になった場合は、保険金はおりません。万が一の事態に備えて、繰り上げ返済をせずに資金を残しておくのも選択肢の一つです。
住宅ローン繰り上げ返済を行うタイミングの判断ポイント
住宅ローン繰り上げ返済を行うタイミングの判断ポイント
住宅ローンを繰り上げ返済するべきか、タイミングの判断ポイントは以下の3つです。
・収入が減少しても当面の生活資金があるか
・将来のライフイベント資金は用意できているか
・定年退職までに完済可能か
損をしないために、あらかじめチェックしておきましょう。
収入が減少しても当面の生活資金があるか
勤め先の業績悪化や育休期間中など、収入の減少を想定したうえで住宅ローンの繰り上げ返済を検討しましょう。資金が手元にないまま収入が減ると、生活が苦しくなり住宅ローンの返済が滞ることが考えられます。
数カ月分から1年分くらいの生活費があると安心です。当面の生活費を確保したうえで、資金に余裕があるタイミングで繰り上げ返済を行ってください。
将来のライフイベント資金は用意できているか
出産や子育て、子どもの進学など、将来のライフイベントの資金を用意できるかが重要です。繰り上げ返済を急ぎすぎると、必要なときに資金が不足する可能性があります。
とくに大学や専門学校の費用は高額になることが多いため、まとまった資金が必要です。将来のライフイベントに必要な資金をシミュレーションしたうえで、住宅ローンの繰り上げ返済を行うかどうか検討しましょう。
定年退職までに完済可能か
定年退職までに完済可能か
定年退職までに完済できない場合、収入が減った状態で毎月の返済を行うことになります。老後の資金が不足したり、生活が苦しくなったりする可能性があるので注意が必要です。
住宅ローンが定年までに完済できない場合、返済期間短縮型の繰り上げ返済を検討しましょう。残りの返済期間を短くして働けるうちに住宅ローンを完済すれば、老後の経済負担をなくせます。
鑑定士コメント
繰り上げ返済をするなら、早めに返済したほうが有利でしょうか?早い段階で繰り上げ返済を行うことで、利息の軽減効果は高くなります。早ければ早いほど、住宅ローンの総支払額を減らせるでしょう。十分に資金の余裕がある場合は、早めに返済することがおすすめです。一方で控除期間が残っている場合、住宅ローン控除が減額される可能性があるので注意してください。
繰り上げ返済で注意するべき点
繰り上げ返済で注意するべき点
繰り上げ返済を行う際の注意点は以下の4つです。
・住宅ローン控除と比較して考える
・借り換えのほうが有利な場合がある
・利息の軽減効果が薄いこともある
・急な出費に対応できない可能性がある
繰り上げ返済で損をしないために、あらかじめ確認しておくことが重要です。
住宅ローン控除と比較して考える
住宅ローンの控除期間中の繰り上げ返済を検討している場合、どちらが有利なのか比較することが重要です。繰り上げ返済を行うより、住宅ローン控除を受けるほうがお得なケースもあります。
金利が0.7%より高い場合は、住宅ローン控除より繰り上げ返済を優先させたほうがよいでしょう。判断が難しいなら、住宅ローンの借り入れをしている金融機関に相談してください。
住み始めた年によって住宅ローンの控除額の計算方法や控除期間は異なるので、あわせて確認しておくと安心です(※)。なお、返済期間短縮型の繰り上げ返済で借り入れ期間が10年を切った場合、住宅ローン控除の対象外になるので注意しましょう。
※参照:国税庁
借り換えのほうが有利な場合がある
繰り上げ返済より借り換えのほうが、利息の軽減効果が高いケースがあります。住宅ローンの借り換えとは、新しい住宅ローンを借り入れて返済中の住宅ローンを一括返済することです。
金利がより低い住宅ローンに借り換えをすれば、毎月の返済額や総支払額を減らせます。住宅ローンの借り換えをシミュレーションしたうえで、繰り上げ返済とどちらが有利か比較してください。
利息の軽減効果が薄いこともある
利息の軽減効果が薄いこともある
低金利の住宅ローンを利用しているケースでは、利息の軽減効果は小さくなります。金利が高いほど利息の軽減効果が高くなりますが、1%以下の低金利ではほとんど効果はないでしょう。
手元の資金を残しておき、資産運用などに活用するのも選択肢の一つです。一方で利息の軽減効果が薄い場合でも、返済期間の短縮や月々の返済額の軽減が目的なら行う意味があります。
急な出費に対応できない可能性がある
住宅ローンの繰り上げ返済に資金をつぎ込むと、急な出費に対応できない可能性があります。たとえば病気や事故で医療費がかかったり、故障で車の買い替えが必要になったりといったケースが考えられるでしょう。
手元の資金が不足してしまえば、住宅ローンの返済が滞ってしまう恐れがあります。万が一に備えて、緊急時の資金を確保したうえで繰り上げ返済を行ってください。
鑑定士コメント
繰り上げ返済は実行後に取り消しできるでしょうか?住宅ローンの繰り上げ返済は取り消しができません。実行後は資金が戻ってこないので、慎重に判断することが重要です。ただし、住宅ローンの繰り上げ返済日の前なら、手続きを取り消せる可能性があります。金融機関によっていつまでに取り消しができるかは違うので、あらかじめ確認しておきましょう。
まとめ:住宅ローン 繰り上げ返済は、よく検討してから決定しよう
まとめ:住宅ローン 繰り上げ返済は、よく検討してから決定しよう
住宅ローンの繰り上げ返済を行えば、利息の負担を軽減できます。返済期間短縮型なら返済期間を短縮でき、返済額軽減型なら月々の返済額を減らすことが可能です。
ただし、住宅ローン控除額が減額される可能性があったり、団体信用生命保険の金額が減ったりといったデメリットがあります。損をしないためには慎重に検討することが重要です。
住宅ローンの繰り上げ返済すべきタイミングや注意点を、チェックしておきましょう。利息の軽減効果や返済額、返済期間の変化をシミュレーションしたうえで、繰り上げ返済を検討してください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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