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更新日:2023.07.26
登録日:2023.07.20

瑕疵保証とは?適用範囲や保証期間をわかりやすく解説

瑕疵保証とは?適用範囲や保証期間をわかりやすく解説

「瑕疵保証って何?」
「瑕疵保証はどんなときに受けられるの?」
不動産を売却したり購入したりするときには、このように疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

この記事では、不動産売買の際に知っておきたい瑕疵保証について詳しく解説しています。瑕疵保証とは何かや保証の対象となる範囲、瑕疵保険との違いについても紹介しているので、ぜひ参考にして不動産売買におけるトラブルを未然に防ぎましょう。

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瑕疵(かし)保証とは?

瑕疵(かし)保証とは?

瑕疵(かし)保証とは?

購入したばかりの住宅に、雨漏りやひび割れなど(瑕疵)があったときに、修繕費用を売主に保証してもらえる仕組みが瑕疵保証です。瑕疵とは、購入したばかりの家で見つかった欠陥で、契約時には知らされていなかったものを指します。

 

不動産の売主が買主に対して負っているのが「契約不適合責任」です。契約不適合責任とは、買主の新居で瑕疵があったときに売主がその問題を解決する責任。住宅の購入者は、瑕疵保証を理由に販売主に欠陥の修繕費用などを求めることができ、販売主はその修繕費用を負担しなければならないことが民法で定められています。

 

参照:民法第562条

 

契約不適合責任については、以下の記事でも解説しています。より詳しく知りたい人は、一度目を通してみてください。

契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや期限や買主の権利について解説

瑕疵保証の適用範囲

瑕疵保証の適用範囲

瑕疵保証の適用範囲

瑕疵保証の適用範囲は、どのような問題があるかによって以下の4つの種類にわけられます。

 

・物理的瑕疵

・環境的瑕疵

・心理的瑕疵

・法的瑕疵

 

それぞれの瑕疵の内容について、具体例を挙げて説明します。購入したばかりの物件で起こったトラブルが、瑕疵にあたるかどうかがわからない場合などには参考にしてください。

物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、土地や建物において目に見える形で発生した不具合を指します。物理的瑕疵は目に見える欠陥のため、どのようなものが物理的瑕疵として認められるか、基準がはっきり決まっているのが特徴です。

 

物理的瑕疵は、新築住宅と中古物件で認められる内容が違う点に注意しましょう。新築住宅は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」において、基本構造部分の瑕疵だけが物理的瑕疵と認められています。基本構造部分とは、壁・柱・基礎・屋根など、家自体を支えたり雨や風などを防いだりする部分です。

 

中古物件の場合、物理的瑕疵の内容を定める法律はありませんが、業界団体などによって以下のものが主な物理的瑕疵であると考えられています。

 

建物の場合

シロアリによる被害

雨漏り

排水管や給水管の故障

壁や床など主要部分の木材の腐食

土地の場合

軟弱地盤(柔らかい粘土やゆるい砂による強度が低い土地)

土壌汚染のある土地

建物が傾いてしまう土地(不同沈下)

地中埋没物がある土地

 

中古物件の場合、床下・排水管・土地などの不具合は目で見てもわからない場合が多いため、購入するときは売主に細かく確認しておくのがおすすめです。反対に不動産の売却を考える際は、不動産会社や住宅診断士などに入念に相談して、瑕疵の発生を防ぎましょう。

環境的瑕疵

環境的瑕疵は、対象となる不動産の周りの環境によって発生した不具合です。環境による不具合は、人それぞれの感覚によって左右される場合もあるため、明確な基準は設けられていません。環境的瑕疵の例は、周辺道路や建物による騒音・振動・異臭などのほか、日当たりや眺望が妨げられているケースなどです。

 

ほかにも環境的瑕疵の例として、近くに嫌悪施設があることも挙げられます。嫌悪施設とはその名のとおり、家の近くにあると嫌がられやすい施設のこと。たとえば、ごみ焼却場・廃棄物処理場・火葬場・ガスタンク・墓地・風俗店などが一般的です。

 

ただし、嫌悪施設があるかどうかは不動産を購入する前に調べればわかります。実際に住んでからわかったとは判断されず、環境的瑕疵として認められないこともあるでしょう。

心理的瑕疵

心理的瑕疵

心理的瑕疵

心理的瑕疵とは、住宅の購入後に買主がストレスを感じるような事実がわかった場合の不具合です。環境的瑕疵と同じく、何をストレスと感じるかは人によって違うため、心理的瑕疵においても明確な基準はありません。

 

心理的瑕疵と判断されやすいのは、過去に自殺した人がいた・殺人事件があった・孤独死した人がいたなど、事故物件と呼ばれるケースです。ただし、何年前に事故が起こったのかによっても買主の感じ方が変わる場合があり、これらのケースで必ず心理的瑕疵が認められるとは限りません。

 

買主の心理的ストレスを理由に瑕疵保証が認められるかどうかは、その都度判断されます。事故物件には住みたくないという人は、住宅を購入する前に売主に確認してください。また売主は、事故があった物件であることがわかっているなら、正直に買主に伝えましょう。

法的瑕疵

法的瑕疵が認められるのは、対象となる不動産が法律に違反していることが契約後にわかった場合です。法的瑕疵に関わる法律は主に、消防法・都市計画法・建築基準法の3つがあります。

 

安全基準などを満たしていない不動産は、購入後に住宅ローンが利用できなかったり建て替えができなかったりする不具合が起きかねません。購入・売却した住宅によって問題を抱えないためにも、不動産取引の際には法律に適合しているか確認しましょう。

 

以下のお役立ち資料では、欠陥マンションを購入してしまった場合の対処法を紹介しています。気になる人はぜひダウンロードして、目を通してみてください。

 

欠陥マンションを買ってしまったら

鑑定士コメント

マンションと一戸建てで瑕疵保証の違いはあるのでしょうか?マンションと一戸建てでは瑕疵保証の内容が異なります。一つ目の違いは、保証が適用される範囲。新築マンションの瑕疵保証の内容は、新築一戸建てと同じく品確法によって決められています。品確法による瑕疵保証の適用範囲は「基本構造部分のみ」のため、マンションにおいては主に共用部分が対象です。基本構造部分以外の専有部分(居室など)に瑕疵があった場合は、民法や宅建業法が用いられることになるでしょう。二つ目の違いは、瑕疵保証を請求する人です。マンションの場合、瑕疵保証を請求する人は専有部分の場合は買主、共用部分の場合は管理組合とわかれています。すべての場合で買主が請求を行う一戸建てとは違うことを覚えておきましょう。

瑕疵保証の期限

瑕疵保証の期限

瑕疵保証の期限

瑕疵保証は請求できる期限が決まっているため、注意が必要です。期限は、新築住宅か中古住宅かによって変わります。また中古住宅においては、売主が不動産会社か個人かによっても変わることを把握しておきましょう。瑕疵保証の期限を知って、請求し忘れのないようにしてください。

新築を購入した場合

新築住宅を購入した場合の瑕疵保証は、瑕疵があった場所によって適用される法律が変わり、それぞれ異なる期限が定められています。瑕疵保証の期限と対象となる範囲を法律別に紹介するので、新築住宅を購入した人は参考にしてください。

 

一つ目は、品確法による決まりです。品確法では、引き渡しから10年間が保証の期限(※)とされています。保証対象として認められる範囲は「物理的瑕疵」の見出し内でも紹介したとおり、壁・柱・屋根などの基本構造部分のみです。

 

参照:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要

 

二つ目は、宅建業法による決まりです。宅建業法では、瑕疵保証の期限が引き渡しから2年間と品確法より短いため、請求漏れがないよう気に留めておきましょう。(※)ただし、宅建業法では住宅全体が対象となるので、基本構造部分以外に瑕疵があったときでも保証を受けられる場合があります。

 

参照:「宅建業法

中古住宅を購入した場合

中古住宅を購入した場合

中古住宅を購入した場合

中古住宅を購入した場合は、すでに経年劣化が進んでいることが考えられるため、新築住宅より瑕疵保証期限が短くなるのが一般的です。新築住宅で適用される品確法は、中古住宅には適用されません。

 

中古住宅を購入したときの瑕疵保証期限は、売主が不動産会社か個人かによっても変わります。違いについての詳しい内容は、以下のとおりです。

売主が不動産会社

対象の中古住宅の販売主が不動産会社なら、住宅の引き渡しから2年以上の間は瑕疵保証が請求できます。売主が不動産会社である中古住宅の瑕疵保証期限は、宅建業法によって定められたものです。

 

中古住宅の場合、入居した時点で傷やひび割れなどがあることが考えられます。契約時に知らされていなかった欠陥が入居してから見つかったとしても、経年劣化によるのか瑕疵にあたるのかが判断しにくいでしょう。

 

また、年月が経過するほど当然住宅の劣化も進みます。中古住宅の瑕疵保証期限は、買主と売主の間のトラブルを防ぐためにも、新築住宅より短く設定されていることを覚えておきましょう。

個人売買

中古住宅を個人売買したときの瑕疵保証期限は、民法によって「買主が瑕疵を知ったときから1年間」と決められています。しかし民法には強制力がなく、瑕疵保証の期限は個人間で自由に決められるため、実際には3か月程度としているケースが多いでしょう。

 

中古住宅の個人売買では、保証内容が修繕費用のみであるのが一般的。瑕疵があっても契約解除はできないため、注意が必要です。また、設備の瑕疵だと保証期限が1週間とさらに短くなる場合もあります。

 

不動産の個人売買では、売主が不動産会社のときに比べて保証期限が大幅に短縮されるため、なるべく瑕疵の発生を防ぐように契約時の内容の確認をしっかり行いましょう。

鑑定士コメント

瑕疵保証の期限が来てしまったらどうしたらよいでしょうか?保証期限を延長したいなら、新築住宅に関しては保険会社の延長保険に加入できます。延長保険とは、新築住宅の瑕疵保証期限である10年を過ぎたあとでも、保証期限を延長できる保険です。延長できる期間は商品によって異なりますが、5年や10年が一般的です。瑕疵保証期限が切れたあとでも、瑕疵が見つかるかもしれないと不安に思う人は、延長保険に加入するとよいでしょう。ただし、延長保険の保険料などは買主負担となります。月々の保険料や、加入前の検査費用などを支払わなければならないため、メリットとデメリットを理解したうえで加入するかどうか決めましょう。

瑕疵保証と瑕疵保険の違い

瑕疵保証と瑕疵保険の違い

瑕疵保証と瑕疵保険の違い

瑕疵保証と似ている言葉に、瑕疵保険があります。瑕疵保証と瑕疵保険は同じもののように間違われがちですが、実際にはまったく違う内容です。ここでは、瑕疵保証と瑕疵保険の違いについて詳しく説明します。

瑕疵保険とは

瑕疵保険とは、瑕疵保証の適用外となるトラブルにも対応できる保険のこと。瑕疵保証の適用外となるトラブルとは、瑕疵保証の対象範囲外の箇所に欠陥があったり、瑕疵保証の期限が切れたあとに瑕疵が見つかったりすることなどです。

 

売主の資金が不足していたり、倒産してしまったりして修繕費用が払えない場合でも、瑕疵保険に加入していれば買主は保険会社に修繕費用を請求できます。売主にとっては、瑕疵保証によって修繕費用を払わなければならなくなったときに、保険会社に負担してもらえる点がメリットです。

 

また、瑕疵保証の期限が切れても瑕疵保険によって5年、10年と繰り返し保証の期限を延長できます。ただし瑕疵保険に加入すると、毎月保険料を支払わなければいけません。加入前には、検査や補修のために別途費用がかかる場合もあります。メリットと注意点を把握し、自分にとって瑕疵保険が必要かを判断してください。

瑕疵保証の条件とは

瑕疵保険の内容がわかったところで、不動産の買主が瑕疵保証を受けるための条件について、改めて確認しておきましょう。瑕疵保証の条件を以下の表にまとめたので、参考にしてください。

 

対象となるもの

住宅の引き渡し後に見つかった欠陥で、契約時に知らされていなかったもの

保証期限

新築住宅

引き渡しから10年間

中古住宅

(売主が不動産会社)

引き渡しから2年間

中古住宅

(個人売買)

引き渡しから3か月程度が一般的(設備の保証は引き渡しから1か月程度のこともある)

対象範囲

新築住宅

(引き渡しから10年間保証)

基本構造部分のみの欠陥(壁・柱・屋根・土台など)

新築住宅

(引き渡しから2年間保証)

基本構造部分以外の部分の欠陥(キッチン・風呂・マンションの専有部分など)

中古住宅

シロアリ被害や雨漏りなどで、状況に応じて判断される。明確な基準はない。

 

上記の瑕疵保証の条件に当てはまらない部分に、瑕疵保険が適用されることになります。引っ越したばかりの新居で傷やひび割れなどを見つけたら、まずは瑕疵保証の条件に当てはまっているかを確認しましょう。

まとめ:瑕疵保証を理解しておけば万が一のトラブルにも対応できる

まとめ:瑕疵保証を理解しておけば万が一のトラブルにも対応できる

まとめ:瑕疵保証を理解しておけば万が一のトラブルにも対応できる

瑕疵保証は、購入したばかりの住宅で見つかった欠陥に対して、契約時に売主が告知していなかった場合に売主に修繕費用などを負担してもらえる制度です。不動産売買の際には、どのような欠陥が保証対象になるのかを確認しておきましょう。

 

瑕疵保証の対象外の問題が発生したときには、瑕疵保険が便利です。不動産の買主・売主の双方にメリットがあり、加入しておくと想定外のトラブルに対応できる可能性があります。瑕疵保証や瑕疵保険について正しく理解し、不動産売買を適切に進めましょう。

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

本記事で学んだことをおさらいしよう!

簡易テスト

マンションの購入に関して、新築と中古で保証が異なるが、次のうち、正しい組み合わせはどれか。

答えは 4

中古マンションの場合、「住宅設備保証」を、仲介会社が提携する保証会社の保証料を負担し付帯してくれるサービスがあります。

  • 資産性が低くて
    売りたくても売れない
  • 安いという理由だけで
    中古マンションを
    買ってしまった
  • 修繕積立金が
    年々上がる
  • 子供が成人したから
    マンションを売って
    一軒家生活したいけど…
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