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更新日:2024.09.17
登録日:2023.07.20
所有権移転登記は自分でできる?やり方の手順や必要な書類を徹底解説
「不動産を相続したけど、所有権移転登記は自分でできるの?」
「所有権移転登記を自分で行うときには、どのような書類が必要?」
不動産を売買・相続・贈与したときなどには、上記のように悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。
所有権移転登記は、自分で申請することも可能です。本記事では、自分で所有権移転登記の手続きをするときの手順や、必要書類について説明しています。所有権移転登記をスムーズに行うために役立つ情報を得られるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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所有権移転登記とは何か
所有権移転登記とは何か
所有権移転登記とは、不動産の持ち主の名義を変更する手続きのことです。土地や建物の持ち主は1件ごとに登記記録に記載されていますが、所有者が変わった場合は名義の変更手続きが必要です。不動産の所有者が変わる主なケースには、以下の4つが挙げられます。
・不動産を売却したときや購入したとき
・不動産を遺産として相続したとき
・不動産を生前贈与したとき
・離婚して財産分与するとき
以上のように、土地や建物を手に入れたり手放したりしたときは、法務局で所有権移転登記する必要があることを覚えておきましょう。なお所有権移転登記は、以下の記事でも解説しています。手続きに必要な費用などもわかるので、所有権移転登記の必要がある人はぜひ参考にしてください。
所有権移転登記とは?手続きが必要な場面や費用の相場をわかりやすく紹介
所有権移転登記は自分でもできる?
所有権移転登記は自分でもできる?
所有権移転登記は特別な資格を持っていなくても行えるため、自分でもできないわけではありません。不動産登記の手続きを実際に行う必要がある人は、以下のとおりです。
・相続の場合…登記権利者(相続する人)
・その他(売買などの場合)…登記権利者(買う人)と登記義務者(売る人)
所有権移転登記は、元の持ち主が亡くなっている相続の場合、新しい持ち主が単独で手続きできます。しかしそのほかの場合、間違いが起こらないよう元の持ち主と新しい持ち主が共同で手続きする必要があることを覚えておきましょう。
ここでは自分で所有権移転登記を行う場合のポイントについて、下記2つの観点で解説します。
・自分で所有権移転登記しやすいケース
・所有権移転登記を自分で行うときに気を付けること
自分で所有権移転登記を行えば諸費用の節約が可能ですが、自分で所有権移転登記を行うのは必ずしもおすすめできません。ミスが発生しないよう、司法書士に依頼することも検討しましょう。
自分で所有権移転登記しやすいケース
自分で所有権移転登記をしやすいケースとして、下記のようなケースがあります。
・登記を行う期間にゆとりがある場合
・平日に時間が取れる場合
・不動産の数や権利者が少ない場合
所有権移転登記は、必要書類の準備や書類の作成などである程度時間がかかります。特に初めて行う場合、自分で調べながら行わなければならないため時間がかかるでしょう。
緊急で所有権移転登記を行う必要がない場合は、自分で調べながらゆとりを持って登記手続きが可能です。必要書類の準備や登記手続きなど平日しかできないことも多いため、平日に時間が取れる場合は、特に行いやすいでしょう。
とはいえ、不動産の数が多かったり共有名義で権利者が複数いたりする場合などは、手続きが煩雑になります。一方、1つの不動産に対して権利者が1人など、不動産の数や権利者が少ない場合は自分でも手続きしやすいでしょう。
所有権移転登記を自分で行うときに気を付けること
所有権移転登記を自分で行う場合、下記のようなデメリットがあるため気をつけなければなりません。
・手続きできる時間が限られている
・必要書類の準備に手間がかかる
所有権移転登記は法務局で行う必要がありますが、法務局の営業時間は平日のみです。土日祝日は営業していないため、平日働いている場合は仕事を休んで手続きを行わなければなりません。
登記では、状況に応じてさまざまな書類の提出を求められます。書類を準備するのも役所などに行かなければならず、手間がかかるでしょう。
所有権移転登記はできるだけ早めにおこなった方がよいため、司法書士に依頼してみるとよいでしょう。
鑑定士コメント
本文に記載のとおり、所有権移転登記は自分でも出来ますが、司法書士に依頼したほうがよいケースもあります。それは、手続きが複雑になりそうな場合です。例としては、相続する人が複数いたり相続人同士が疎遠だったりする場合や、何世代も前から不動産の名義を変更していなかった場合などが挙げられます。一度に複数の不動産の所有権移転登記をしなければならなかったり、急いで手続きを進めたかったりするときにも、司法書士に任せるのがおすすめです。
所有権移転登記を自分で行うときの手順
所有権移転登記を自分で行うときの手順
それでは、不動産の所有権移転登記を自分で行うときの手順を把握しましょう。所有権移転登記を自分でする場合は、大きくわけて以下の4つの工程があります。
・申請書を入手する
・登記申請書類を作成する
・必要書類を添えて法務局に申請する
・登記識別情報を受け取る
それぞれの内容について詳しく説明するので、必要に応じて参考にしてください。
申請書を入手する
所有権移転登記を行うには、まず「所有権移転登記申請書」を手に入れましょう。所有権移転登記申請書の書式は、法務局へもらいに行くか、法務局のホームページからダウンロードすることで入手可能です。
また、法務省の「登記ねっと」というホームページでは、インターネットを利用して所有権移転登記のオンライン申請ができることも覚えておきましょう。紙ベースで書類を用意したり法務局に出向いたりする必要がないため、パソコンを使い慣れている人にとっては便利なサービスです。
以上のように所有権移転登記申請を行うときには、書類で行うかオンラインで行うかの2つの方法があります。どちらか自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
登記申請書類を作成する
書類で申請する場合は、所有権移転登記申請書を手に入れたら必要項目を記入します。必要項目とは、申請者の住所・氏名・電話番号や、対象の不動産の情報など。間違いが無いように、法務局のホームページでも閲覧できる記載例を見ながら記入するのがおすすめです。
オンライン申請の場合は「申請用総合ソフト」やマイナンバーカードを利用するためのソフトのダウンロード、ICカードリーダーなどが必要です。「登記ねっと」でダウンロードできる操作手引書も参考にしながら、手続きを進めましょう。
所有権移転登記は、必要なものがそろっていなければ作業が進められません。特にオンライン申請の場合、マイナンバーカードを持っていなければ市役所で発行申請をしなければならないため、早めに準備しておく必要があります。
必要書類を添えて法務局に申請する
必要書類を添えて法務局に申請する
所有権移転登記申請書が作成できたら、そのほかの必要書類もそろえて法務局に提出しましょう。そのほかの必要書類については名義変更の理由によっても変わるため、後ほど詳しく説明します。
申請するときは自宅の最寄りではなく、対象となる不動産を管轄している法務局へ行く必要がある点には要注意です。管轄している法務局がわからない場合は、法務局ホームページ内の「管轄のご案内」で確認してください。
オンライン申請なら自宅などで手続きができますが、PDF化した必要書類を添付して申請したあと、原本を登記所へ郵送しなければならない場合があります。申請用総合ソフトの手順をよく確認して準備しましょう。
登記識別情報を受け取る
所有権移転登記申請が受理され、登記情報に新しい所有者の名前が記載されると、登記識別情報通知が受け取れます。登記が完了したら印鑑や運転免許証などの身分証を法務局に持参し、窓口で受け取ってください。
オンラインで申請した場合はインターネット上で登記識別情報を確認できますが、通知を自宅まで郵送してもらうこともできます。郵送での受け取りを希望するなら、申請時にその旨を記載しておきましょう。登記識別情報通知は、本人限定郵便や書留などで送付されます。
所有権移転登記を申請してから実際に登記されるまでの期間は、1〜2週間程度です。登記識別情報通知を窓口で受け取るなら、そのあと法務局へ出向けば受け取れます。郵送してもらう場合はもう少し時間がかかり、2〜3週間程度で手元に届く場合が多いでしょう。
鑑定士コメント
自分で登記申請するとき、まず大事なのは、できるだけ早く申請を済ませることです。所有権移転登記は法的な義務がなく、期限などもありません。しかし、登記情報に記載されている所有者と実際の所有者が違えば、さまざまな問題が発生する可能性があります。たとえば、固定資産税などの税金の請求が元の所有者にされたり、自分が購入した不動産が別の人に二重で売却されたりするトラブルが起こらないとは限りません。いつでも申請できると思って放置していると、いつこうしたトラブルに巻き込まれるかわかりません。相続登記は2024年4月1日から義務化されることが決まっていますが、トラブルを防ぐためには、そのほかのケースでも迅速に所有権移転登記の手続きをするべきでしょう。
所有権移転登記に必要な書類
所有権移転登記に必要な書類
所有権移転登記の手続きに必要な書類は、申請する理由によって異なるため注意が必要です。本記事では以下の5種類のケースにわけて、必要書類を紹介します。
・すべての申請に共通して必要な書類
・不動産を売買するとき
・相続するとき
・不動産贈与のとき
・財産分与のとき
それぞれの申請で必要となる書類を詳しく説明するので、所有権移転登記を自分でしたいと考えている人は、手続きの際に参考にしてください。
すべての申請に共通して必要な書類
すべての申請で必要となる書類が、「所有権移転登記申請書」です。すでに説明しているとおり、所有権移転登記申請書は法務局の窓口で受け取ったり、法務局のホームページからダウンロードしたりすることで入手できます。
不動産の所有権が変わる理由がどのようなものであっても、まずはこの書類が必要です。自分で所有権移転登記を申請する人は、手続きの際に必ず準備しておきましょう。
不動産を売買するとき
不動産売買の場合は、所有権移転登記申請書に加えて以下の書類が必要です。不動産の売主が用意するもの・買主が用意するもの・その他(必要に応じてどちらかが用意するもの)にわけて紹介します。
不動産を売却したり購入したりしたときは、自分の立場に応じて必要な書類を確認し、忘れずに用意しましょう。
相続するとき
相続するとき
不動産を相続するときは、ほかのケースに加えて必要な書類が多いのが一般的です。法定相続通りの場合・遺言書による場合・遺産分割協議の場合でそれぞれ内容が変わるため、以下の表で確認しておきましょう。
相続するときの必要書類は市役所だけでなく裁判所や税理士、弁護士などに依頼しなければならない場合もあるため、早めに準備しておくのがおすすめです。
不動産贈与のとき
不動産の生前贈与の場合は、所有権移転登記申請書に加えて以下の書類が必要です。贈与する人が用意するもの・贈与される人が用意するもの・その他(共同で用意するもの)にわけて紹介します。
生前贈与の場合、贈与契約書などを当事者間で作成する必要があります。どのような書式で作成すればよいのか迷ったら、インターネット上にさまざまな例が公開されているため参考にするとよいでしょう。作成が難しい場合は、弁護士や行政書士などに依頼することもできます。
財産分与のとき
離婚などによる不動産の財産分与の場合は、所有権移転登記申請書に加えて以下の書類が必要です。元の所有者が用意するもの・新しい所有者が用意するもの・その他(必要に応じてどちらかが用意するもの)にわけて紹介します。
離婚協議書や財産分与契約書などの作成は、法的に義務付けられているわけではありません。しかし、いずれも離婚する際の取り決めを記した書類なので、作成しておけば後日トラブルになることを防げるメリットもあります。状況に応じて必要かどうかを判断しましょう。
所有権移転登記にかかる費用
所有権移転登記にかかる費用
所有権移転登記では、下記のような費用が発生します。
・登録免許税
・書類の取り寄せにかかる費用
・司法書士に依頼する場合の費用
それぞれどのような費用か、費用相場について解説します。
登録免許税
登録免許税とは、登記手続きの際に納めなければならない税金のことです。所有権移転登記の登録免許税は、不動産の種類などによって金額が異なります。
代表的な所有権移転登記の登録免許税額は下記のとおりです(※)。
※参照:国税庁
書類の取り寄せにかかる費用
所有権移転登記にはさまざまな書類を準備する必要がありますが、書類の取り寄せには費用が発生します。買主・売主が準備しなければならない書類の取り寄せにかかる費用は下記のとおりです。
書類によっては、市区町村や発行方法で取り寄せにかかる費用が異なります。事前に各市区町村のホームページなどで確認しておきましょう。
※1参照:法務局
※2参照:東京都主税局
※3参照:世田谷区
※4参照:世田谷区
司法書士に依頼する場合の費用
司法書士に所有権移転登記を依頼する場合、登録免許税などとは別に司法書士への報酬が発生します。司法書士の報酬は事務所などによって異なりますが、一般的には5〜10万円程度です(※)。
所有権移転登記の司法書士報酬は定められていないため、司法書士側が自由に決められます。また、当事者が複数いる場合や対象不動産が多い場合、不動産価額などによっても報酬額は変化するため、依頼する際は事前に確認しましょう。
※参照:不動産名義変更手続きセンター
まとめ:所有権移転登記を自分でするときは、早めに準備をしよう
まとめ:所有権移転登記を自分でするときは、早めに準備をしよう
所有権移転登記は、手続きが複雑になりがちで司法書士に依頼することが多いものですが、自分でも申請はできます。自分で手続きをする際は手順をしっかり把握し、状況に合った必要書類を準備して臨みましょう。
所有権移転登記に必要な書類は、すぐに用意できるものばかりではありません。また郵送やオンラインで申請する場合は、法務局窓口での申請に比べて時間がかかります。不動産の所有者が変わったときは、できるだけ早く申請の準備に取り掛かりましょう。
#所有権移転登記、#不動産、#登記
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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