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更新日:2024.09.12
登録日:2023.02.24
土質柱状図とは?見方や弱い地盤を選ばないコツを解説
建物の土地に関して「土質柱状図でなにが確認できるの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
この記事で地盤の重要性を理解することで、土地の契約後に取り返しのつかない状況になる事態を避けられます。
記事の内容は以下の通りです。
・土質柱状図について
・マンション建設における地盤の強さの基準
・弱い地盤を見抜くポイント
・強い地盤の土地を選ぶ方法
よくある質問と鑑定士による回答も記載しているため、ぜひ参考にしてください。
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土質柱状図とは
土質柱状図とは
土質柱状図は建設などの土木工学プロジェクトにおいて、地盤の土質情報を可視化するために使われる図です。
ボーリングなどの地質調査の結果を元に土質柱状図が作成されます。
地下深さに沿って土壌の層を表現し、各層の構成や地盤の固さなどの物理的・化学的特性を示しているのが土質柱状図です。
建物を支えるだけの耐力のある地盤のことを支持地盤といい、支持地盤の深さまで杭や基礎を設置することで安定した建築ができます。
ただし、土質柱状図は「過去に調査してデータとして提供されたポイントのみである」
「地下の地盤は数m離れると異なる場合もある」という点に注意が必要です。
あくまで周辺の参考データとしてのみ利用しましょう。
ボーリング調査とは
ボーリング調査とは
ボーリング調査は建設工事前に地盤や地下構造の状況を調べるための調査手法です。
この調査は地面から鉛直方向に穴を掘って、地盤の情報を収集することで行われます。
地面に円筒形状の孔をあけ、深さ1mごとに標準貫入試験により土のサンプルを採る、というのが具体的な方法です。
※標準貫入試験
地盤の工学的性質(N値)と試料を求めるために行われる試験で、地盤の安定性を推定する値を得る為の調査。試験方法は日本工業規格JIS A1219「土の標準貫入試験方法」として定められています。
ボーリング調査は「建物下の地盤状況を調べるため」、「杭を打つ際にどの深さまで根入れが必要か調べるため」といった目的で行われます。
土質柱状図の見方
土質柱状図の見方
土質柱状図の地盤情報に記載してある項目を抜粋して説明します。
・孔内水位
地下水位のこと
・標高、層厚、深度
地表面(孔口)からの深さ
・相対密度
砂質土の締まり具合のこと
・相対稠度(ちゅうど)
粘性土の固さ(コンシステンシー)のこと
・標尺
縮尺1/100とした、柱状図の縦の長さです
・現場土質名
各土層の記号と名称(例:礫岩)が記載されています
・地盤材料の工学的分類
地盤材料の工学的分類方法(JGS 0051)に従って記入します
例:シルト(ML)
・色調
「黒、褐色、赤、橙色、黄色、緑、青、紫、灰色、白」をベースとして、場合によっては2色を組み合わせて、ボーリングコアに入った土層の色を記載します
支持地盤とは
支持地盤とは
「支持地盤」とは建物や構造物などを建設する際に、その建築物が安定して立つために必要な地盤のことを指します。
地盤は設置物によって負荷がかかり、地下に届く力や圧力を受けるため、適切な強度と硬さを持っていることが重要です。
地盤の強固さは「換算N値」という1から50までの数値で表現されており、50に近づくほど丈夫な地盤となります。
住宅によって基準とする支持層が以下のように異なります。
・高層マンション(5,000t)…40mの深さの地層
・コンクリート住宅(200t)…8mの深さの地層
・木造住宅(100t)…5mの深さの地層
上記は例であり、土地によって支持層の基準は違うため注意してください。
支持地盤は「換算N値」で判断する
「N値」は地盤工学において使われる指標で、地盤が受ける負荷に対する抵抗力を示す数値です。N値はボーリング調査の結果をもとにして算出されます。
N値の数値が高い地盤ほど支持力があり、安定した地盤です。逆にN値が低い場合は、地盤劣化の可能性があるため、地盤改良が必要なこともあります。
N値は、土質、地下構造、地下水などによって異なります。一般的に、N値が大きいほど良好な地盤となりますが、具体的な値については地域や用途によって異なります。
マンションにおける換算N値の基準
マンション建設のN値の基準は明瞭です。
・高層マンション…N値50の支持層が5m以上
・中低層マンション…N値30以上の支持層が3m以上
上記を見て分かる通り、地盤の硬さはもちろん支持層の厚みまで指定されています。マンションは戸建住宅と比較して非常に高重量であるため、地盤沈下を起こす可能性があるからです。
戸建住宅のN値に明確な基準がない一方、マンションはN値の基準が明確です。
地震などの際、高層マンションの方が戸建住宅よりも危険だと思われがちです。しかし高層マンションほどN値の基準が厳しく、強固な土地に建設されているため、地盤のゆるい土地の戸建てよりも安全な場合があります。
鑑定士コメント
マンションに杭が打たれていないと不安になるかもしれませんが、それは逆です。杭を打つか否か、どれくらいの深さに何本の杭が必要かどうかは、構造計算審査の上、建築確認申請が許可されます。支持層が浅い地盤であれば、杭を打つ必要が無いケースがあるのです。
一般的に杭が長いほど、支持層が奥深くにあることを表します。杭を打たなくともマンションを建てられるということは、地盤が強固で液状化の心配もない地震に強い地域だと言えるのです。
弱い地盤を見極めるチェックポイント
弱い地盤を見極めるチェックポイント
地盤の強さを確かめるために周辺地域の以下の4箇所に着目してください。
・ブロック塀
・道路のアスファルト
・水はけ
・水路
なぜこの4箇所に注目すべきなのかを詳しく解説していきます。
<h3>ブロック塀</h3>
弱い地盤に堀やブロックを建てた場合、堀やブロックの重さに地盤が耐えられず堀やブロックが沈んでいきます。
堀やブロックは傾きながら沈むため、地上から堀やブロックを見ると斜めになっています。
ひどい場合だとブロック塀に亀裂が走っていることも。
建物を建てる際は周辺のブロック塀がまっすぐか、亀裂が走っていないかを注視してください。
道路のアスファルト
地盤の弱さを見抜くために道路のアスファルトを基準とする場合、以下の4点に注意してください。
・割れていないか?
・沈んでいないか?
・側溝と密着しているか?
・盛り上がっていないか?
地盤の不安定性や沈下で道路の支持基礎が損傷されることにより、こうした現象が引き起こされます。
水はけ
地盤が弱い土地の水はけは悪いです。
※水はけ… 溜った雨水などを排水する力
見た目としては、水はけが悪い土地は水たまりが多くできています。
なぜ水たまりができるのでしょうか?
弱い地盤だと土砂や泥などが流れ落ちにくくなり、地面が凹凸したり沈下したりすることがあるからです。
地盤が悪い土地は周りの土地よりも低くなっているため、水がたまりやすい環境となるのです。
水路
地盤が悪い土地の水路は、通常の水路とは異なる見た目をしていることがあります。地盤が弱いと土地がデコボコしたり沈下したりし、水路が歪んだり沈下したりするからです。
周辺道路の水路を見る際、「つなぎ目は密着しているか」「まっすぐな水路か」といった点をよく見てください。
地盤が悪い場所では、適切な土地整備や維持管理が必要になります。
鑑定士コメント
地盤が弱い土地に十分な対策がされないまま建物を建ててしまうと、「ブロックの傾き」や「基礎のひび割れ」、ひどい場合だと「地盤沈下」や「液状化現象」などが起きる可能性があります。また地盤の軟弱さを改善するには地盤改良や杭工事が必要で、地盤改良や杭工事の費用は非常に高額です。
強い地盤の土地を選ぶ手段
強い地盤の土地を選ぶ手段
強い地盤の土地を選ぶ手段としては以下の3つが有効です。
・地質調査を依頼する
・航空写真を活用する
・古地図を確認する
それぞれの確認時のポイントを解説します。
地質調査を依頼する
専門業者に地盤調査を依頼するのが最も安心です。地盤調査では、建物の重みに地盤が耐えられず建物が傾いたりしていないかを調査します。
しかし、地盤調査は一般的には土地の契約後に行われる調査です。
土地の契約前に地盤の強さを知るには他の手段をとる必要があります。
航空写真を活用する
過去の航空写真を見ることで、その土地が昔どのような場所だったかがわかります。
例えばその土地が河川埋め立てられてできた土地である場合、地盤が弱い可能性があるため、地盤の強さをしっかり確認する必要があるでしょう。
古地図を確認する
古地図を確認する理由も航空写真と同様で、その土地が昔どのような場所だったかが分かるからです。
古地図の場合は航空写真よりもさらに昔の土地の状態を確認できます。
航空写真は飛行機の時代以降の土地しか確認できませんが、古地図の場合は縄文時代までさかのぼって見ることが可能です。
縄文時代からその土地が陸だった場合、地盤が強固だと考えられます。
まとめ:土質柱状図をマンション選びに役立てよう
まとめ:土質柱状図をマンション選びに役立てよう
マンションを建てる際の地盤の確認がどれほど重要か理解できたでしょうか?
内容をまとめると以下の通りです。
・土質柱状図とは地盤の状態を確認するために使われる図のこと
・支持地盤とは、建物を建設する際にその設置物が安定して立つために必要な地盤のこと
・マンション建設の N値には明確な基準がある
・弱い地盤を見極める際にはブロック塀、道路のアスファルト、水はけ、水路を見る
・強い地盤の土地を選ぶには地質調査を依頼する、もしくは航空写真や古地図を確認する
建物の土地の契約前に地盤の強さだけはしっかり確認するようにしましょう。
参考文献・サイト
選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 基礎編
選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 実践編
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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