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更新日:2025.11.27
登録日:2025.11.27
ファンコイルユニットとは?エアコンとの違いやメリット・デメリットを解説

「ファンコイルユニットの仕組みは?」
「ルームエアコンとどう違うの?」
ファンコイルユニット(FCU)とは、大型商業施設やマンションに用いられる空調設備のことです。冷水・温水を利用する仕組みで、室内を快適に保ちます。
しかし、ルームエアコンと比較して知名度が低く、どのような空調設備なのかよくわかっていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ファンコイルユニットの基礎知識やメリット・デメリットを紹介します。ルームエアコンとの違いやメンテナンスの方法とあわせて、わかりやすくまとめました。
【この記事でわかること】
・ファンコイルユニットは配管に流した冷水・温水を利用する空調設備
・ファンコイルユニットは室外機が不要で部屋ごとに細やかな温度調整ができる
・ファンコイルユニットを長持ちさせるためには定期的な清掃とメンテナンスが必要になる
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ファンコイルユニットとは
ファンコイルユニットとは
ファンコイルユニット(FCU)とは、天井や壁に埋め込んで設置する空調設備です。
・ファンコイルユニットの基本的な仕組み
・ファンコイルユニットの形態(種類)
・ファンコイルユニットが適している建物
どのような空調設備なのか、基礎知識をチェックしましょう。
ファンコイルユニットの基本的な仕組み
ファンコイルユニットは、建物に通した配管に水を流してポンプで循環させる仕組みの空調設備です。熱源設備で冷水や温水を作り、各部屋やゾーンに設置されたファンコイルユニットへ供給します。
ファンコイルユニットの構成は、「ファン」「熱交換器(コイル)」「エアーフィルター」です。取り込んだ空気の塵(ちり)をエアーフィルターで取り除き、熱交換器(コイル)で温度や湿度を調節。ファンで室内に戻すことで、温度を下げたり上げたりできます。
たとえば夏の場合は、冷たい水で空気を冷やして放出し、室内からあたたかい空気を取り込みます。つまり冷たい水を流し、あたたまった水が戻ってきて、また水を冷やして流す循環によって、室温を調節する仕組みです。
ファンコイルユニットの形態(種類)
ファンコイルユニットの形態は、以下のような形態に分かれます。
形態によって見た目や設置方法、適した設置場所が異なります。また、さらに以下のようなタイプに分かれるので、あわせて確認しておきましょう。
2管式の場合は、建物全体で冷房と暖房のいずれか一方しか使用できません。4管式は部屋ごとに設置した機器で自由に冷房と暖房を切り替えでき、精度が高い個別空調を実現できるでしょう。
標準的なACモーターと省エネ対応のDCモーターなど、搭載するモーターにも違いがあります。DCモーターなら消費電力を大幅に削減でき、より効率的な運転が可能です。
ファンコイルユニットが適している建物
ファンコイルユニットは、部屋数が多く常に人が滞在しているような建物に向いています。配管を通して建物全体に冷水や温水を供給し、部屋やフロアごとに空調管理をする仕組みだからです。
たとえばオフィスや病院、ホテルなど、大規模かつ個別に部屋やエリアを利用する建物に適しています。ファンコイルユニットを採用しているマンションもあるので、不動産を探す際にはチェックしてください。
ファンコイルユニットとルームエアコンとの違い
ファンコイルユニットとルームエアコンとの違い
ファンコイルユニットとルームエアコンはどちらも空調設備ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
・動力源と仕組みの違い
・設置場所と見た目の違い
上記のような違いについて、わかりやすく紹介します。
動力源と仕組みの違い
ファンコイルユニットとルームエアコンの動力源と仕組みの違いは、以下の通りです。
エアコンの場合、室内機と室外機をつないだパイプの間を冷媒が流れています。室外機と室内機の間で熱を移動させ、室内に冷たい空気や暖かい空気を供給する仕組みです。
一方のファンコイルユニットでは、冷媒ではなく冷水や温水を使用して熱を運びます。熱を移動させて空調に利用する仕組みは同じですが、熱を供給する媒体は異なるのです。
設置場所と見た目の違い
ファンコイルユニットとルームエアコンの見た目には、あまり違いがありません。室内から見た場合、見分けをつけるのは困難です。ファンコイルユニットは室外機がないため、ベランダや建物の周りを見れば判断できるでしょう。
一方でファンコイルユニットはコイルにファンを組み合わせたものなので、小型化できます。ルームエアコンはコイルではなく羽状になっているため、熱交換に大きな設備が必要です。このことから、ファンコイルユニットのほうがサイズは小さい傾向があるといえます。
また、ファンコイルユニットとルームエアコンの設置場所の違いは、以下の通りです。一概には言えませんが、空調設備として設置されやすい場所には傾向があります。
ファンコイルユニットをペリメーターゾーンに設置することで、窓際など外周部分を快適に保ちやすくなります。エアコンは本体をインテリアゾーンに設置して、そこから枝分かれした空気で窓際に空調を効かせるのが一般的です。
鑑定士コメント
ファンコイルユニットの電気代は、エアコンと比べて高いのでしょうか?ファンコイルユニットの電気代は、エアコンと比較すると安い傾向があります。稼働してからは冷水や温水を同じような圧力で流すため、あまり電気を消費しません。一定のエネルギー消費で運転することで、省エネを実現できます。DCモーターなら、さらに電気代を抑えることが可能です。ただし、設備費用や配管工事費用がエアコンより高い傾向があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
ファンコイルユニットのメリット
ファンコイルユニットのメリット
ファンコイルユニットのメリットは、以下の通りです。
・風がマイルドで体に優しい
・室外機が不要でベランダがすっきり
・部屋ごとの細やかな温度調整が可能
・立ち上がりが早いケースが多い
その他の空調設備とどう違うのか、確認しておきましょう。
風がマイルドで体に優しい
ファンコイルユニットは、ファンにあてる風の強弱を変えることで細かく風量を調整できます。強・中・弱の3段階で切り替えるタイプが、一般的です。
柔軟な風量調節機能によって、利用者が不快に感じるような強いドラフト(気流)を防げます。利用者にとって心地よい風量を保つことで、体に優しいマイルドな風を感じられる環境になるのです。
また、静音に優れたファンコイルユニットを選べば、風の音が気になりません。睡眠や仕事の邪魔にならない、静かで落ち着いた室内空間を実現できます。
室外機が不要でベランダがすっきり
ファンコイルユニットは、室外機の設置が必要ありません。設置スペースが必要なく、建物の外観にも影響を及ぼさないことがメリットです。
マンションだと室外機をベランダに設置する必要がないので、見た目がスッキリしてスペースも広く使えます。室外機から発生する音や振動も気になりません。
部屋ごとの細やかな温度調整が可能
ファンコイルユニットは、部屋や建物全体の空調を一箇所で管理するセントラル空調方式の一種です。しかし、ファンコイルユニットの機器を用いれば、部屋やフロア単位で温度を調整できます。
部屋ごとに調整することで適温を保てるので、快適に過ごせるでしょう。人の滞在状況や使用時間帯に応じて、効率的な運転を実現できます。
立ち上がりが早いケースが多い
ファンコイルユニットは、搭載する熱交換器によって素早く温度を調整できます。ファンで風を送りこみ、短時間で室温を下げたり上げたりできる仕組みです。
夏の暑い日や冬の寒い日でも、長時間待つことなく室内を快適な状態にできます。エアフィルターでホコリやチリを除去でき、空気を清潔に保てることも魅力です。
ファンコイルユニットのデメリット
ファンコイルユニットのデメリット
メリットが多いファンコイルユニットですが、デメリットも考えられます。
・冷暖房の切り替えが集中管理の場合がある
・除湿機能が弱い、または付いていない
・定期的なメンテナンスや清掃が不可欠
・製品の選択肢が一般的なエアコンに比べて少ない
後悔しないために、デメリットの詳細を確認しておくと安心です。
冷暖房の切り替えが集中管理の場合がある
ファンコイルユニットの種類によっては、部屋ごとに冷暖房の切り替えはできません。2管式の場合、冷水と温水を切り替えて供給します。熱源機器側で管理する仕組みなので、温度の調節はできても冷暖房の切り替えはできません。
4管式のファンコイルユニットでは、2組の熱交換器(コイル)でそれぞれ冷水と温水を供給します。部屋やフロア単位で冷房や暖房を切り替えて運転できますが、費用が高額になるので注意が必要です。2管式と4管式の違いについて、あらかじめ確認しておきましょう。
除湿機能が弱い、または付いていない
ファンコイルユニットには、基本的に除湿運転の機能がついていません。冷房を使用したとき空気が冷えて結露することによって、結果的に冷却除湿になるだけです。
冷却除湿の場合、室温を下げずに除湿することはできません。ただし、ヒートポンプつきのファンコイルユニットも登場しています。冷房除湿で冷えた空気を温めることで、室温を下げることなく除湿ができる仕組みです。
定期的なメンテナンスや清掃が不可欠
ファンコイルユニットのエアーフィルターは、定期的な清掃が必要です。目詰まりが発生すると風量が低下して、冷暖房が効きにくくなります。
また、水が循環する配管に汚れが蓄積して詰まると、漏水が発生するので注意が必要です。機能を維持して故障を防止するためには、定期的な清掃やメンテナンスが欠かせません。
製品の選択肢が一般的なエアコンに比べて少ない
ファンコイルユニットを取り扱っているメーカーは、限られています。さらに建物全体の配管工事をする必要があるため、特定の部屋にだけ設置することはできません。
さまざまな製品があるエアコンと比較した場合、選択肢は少なくなります。そのため導入時には、限られた製品から自身のニーズにあったファンコイルユニットを選択することが重要です。
ファンコイルユニットのメンテナンス
ファンコイルユニットのメンテナンス
ファンコイルユニットは定期的なメンテナンスで、トラブルや故障を防止できます。
・フィルターの掃除手順
・内部の汚れやカビ対策はプロのクリーニングがおすすめ
寿命を伸ばすためにも、基本的な方法をチェックしておくことが重要です。
フィルターの掃除手順
ファンコイルユニットのフィルターは、以下の手順で掃除します。
・ファンコイルユニットの元電源を切る
・エアーフィルターを取り外す
・掃除機で汚れを取り除く
・汚れがひどい場合は水洗いして陰干しする
・エアーフィルターを取り付ける
取り外しや掃除の方法は製品によって異なるため、説明書で確認しましょう。製品によっては、個人での清掃を推奨していないケースがあります。自分で清掃するのが難しい場合は、業者に依頼してください。
内部の汚れやカビ対策はプロのクリーニングがおすすめ
ファンコイルユニットの内部は、自分で清掃することが基本的にできません。間違った方法は故障の原因になるので、汚れの除去やカビ対策はプロのクリーニングに依頼しましょう。
安定して稼働させるためには、定期的な点検が推奨されています。配管のつまりや故障が発生した場合は、建物全体でのメンテナンスが必要です。1年に1~2回を目安に点検することが、トラブルや故障の防止につながります。
また、以下の資料では、マンションの機能用語をまとめました。マンションを選ぶ際の基礎知識として、ぜひチェックしてください。
鑑定士コメント
ファンコイルユニットの寿命はどのくらいでしょうか?ファンコイルユニットの寿命は、15年が目安です。モーター・コンデンサーなど電気部品は、8年もしくは20,000時間での交換を推奨されています。ただし、15年や8年といった寿命はあくまで目安です。使用方法やメンテナンスによって、寿命が短くなったり長くなったりします。ファンコイルユニットを長持ちさせるために、定期的にメンテナンスを行いましょう。
ファンコイルユニットを正しく理解して快適なマンションライフを
ファンコイルユニットを正しく理解して快適なマンションライフを
ファンコイルユニットは、配管で冷水や温水を循環させる仕組みの空調設備です。主にオフィスや病院、大型商業施設に適していますが、マンションで導入しているケースもあります。
部屋ごとに細かな温度調整ができ、立ち上がりが早いのがメリットです。一方で冷暖房の切り替えができない可能性がある、定期的な清掃やメンテナンスが必要などのデメリットもあります。
ルームエアコンとどのような違いがあるのか、詳細を比較してみましょう。ファンコイルユニットを導入しているマンションを検討するなら、あらかじめ特徴を把握しておくと安心です。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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