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更新日:2025.09.26
登録日:2025.09.26
はつりとは?「斫り」工事の意味と住宅での活用法をやさしく解説

「家をリフォームする際に必要なはつり工事ってなに?」
「はつり工事にはどんなメリットがあるの?」
住宅の新築やリフォームを検討するなかで、このような疑問を持つ人もいるでしょう。
この記事では、はつり工事とはどのような工事なのかを解説します。どういった目的で行われ、採用する場合にどんな利点や注意点があるのかなども具体的にわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事でわかること】
・はつり工事は、コンクリートを切ったり削ったり・穴を開けたりする工事
・住宅において建物のリフォームや解体などに欠かせない工程
・狭い場所でも作業できるが、作業時間や費用が膨らむ可能性もある
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はつり(斫り)工事とは

はつり(斫り)工事とは
はつり工事とは、コンクリートを切る・削る・割る・穴を開けるなどの工事のことです。建物のリフォームや修繕、解体といった際に用いられます。鉄筋コンクリートの修繕現場であれば必ず発生する作業です。
はつり工事は手作業で行われることも珍しくありません。はつりを専門的に行う業者もおり、専門の職人は「はつり屋」や「はつり工」などと呼ばれます。
実際に、鉄筋コンクリート造りの建物における改修工事では、はつり工事が行われることがほとんどです。そのほかにもビルやマンション、一般住宅の壁や駐車場などをはじめ、道路や橋などコンクリートを含むさまざまな場所で行われます。
昨今のはつり工事では、電動の工具が使用される場面も増えています。ハンマーの代わりに圧縮空気や電気モーターを備えたノミを打ち込み、コンクリートを粉砕する機械を使用するのです。
「はつり工事」と「解体工事」の違い

「はつり工事」と「解体工事」の違い
「はつり工事」と「解体工事」の主な違いは作業規模と使用する機械です。はつり工事は細かい手作業が中心で、規模は小さいですが高い技術や精度が求められます。一方で解体工事は、大型の重機を使って建物全体を取り壊すもので、はつり工事と比べると規模の大きい作業です。
はつり工事は建物の解体や新築時などにおいて、細かい加工や調整が必要なときに、熟練の技術を持つ職人により精密な作業が行われます。 具体的には、配線を通すための穴を開ける際や、既存の建物に新しい設備を付ける際などです。
解体工事は、大規模な構造物や建物の全体を壊すものであり、重機を用いた大規模な作業が行われます。具体例としては、建物の完全な撤去や、修理が難しい建物の取り壊しなどです。
はつり工事の目的

はつり工事の目的
はつり工事にはどのような目的があるのでしょうか。主な目的は3つです。それぞれについて解説します。
1.壊す・撤去する
2.削る・穴をあける
3.表面を整える
1.壊す・撤去する
はつり工事の主な目的は、粉砕、取りつぶし、打ち壊しなどによって建物を取り壊すことです。具体例としては、中古マンションのフルリノベーションや、住み心地を改善するためのリフォームなどが挙げられます。
間取りを変える場合は、室内の間仕切り壁を取り壊さなくてはなりません。マンションのリフォームでは作業できるスペースが限られており、騒音に対する配慮も必要です。したがって、小さい規模で行えるはつり工事で壁を撤去するケースが多くなっています。
ただし、間仕切り壁が全体の強度に影響する「壁式構造」と呼ばれる構造のマンションでは、はつり工事でも壁の撤去ができません。
2.削る・穴をあける
コンクリートを削ったり、穴を開けたりする目的もあります。たとえば、サッシや玄関ドアなどをはめ込むためにコンクリートの壁を削ったり、形を整えるためにドリル等の工具を使って削ったりする工事です。
また、壁に電線を通したい場合にもはつり工事を行います。「エアコンの配管を通す穴を開けたい」「新たに電気配線を通したい」といった場合に、必要な部分だけを削って穴をあけるというものです。
このようにはつり工事は、壁全体を壊すのではなく一部分だけを削りたい場合にも使われます。
3.表面を整える
コンクリートの表面を整えるために行われることもあります。
専用の道具を使用しコンクリートの表面を叩き削ったりすることで、デザイン性を持たせられます。叩き方や削り方などによって、コンクリートの表面にさまざまな表情を持たせることができるのです。
また、トンネル内の仕上げ工事として、外観・内装の見栄えをよくするために行われることもあります。細かい作業が必要なときは、手作業で行われることが大半です。
はつり工事には、コンクリート壁を壊したり削ったりするだけではなく、コンクリートの表面を仕上げる目的もあります。
鑑定士コメント
はつりはどれくらいの費用がかかりますか?
はつり工事でかかる費用は、状況によって異なります。工事する面積や作業にかかる人数、使用する工具などによって費用が変化するためです。たとえば、はつり工事で土間を撤去する場合は、1㎡あたり3,000円程かかります。さらに、使用する工具の費用と運搬費や管理費、人件費・破砕物の廃棄費用なども必要です。一律での算出は難しいため、作業前に現場を確認してもらったうえで見積もりを取っておくとよいでしょう。
はつり工事のメリット

はつり工事のメリット
はつり工事を採用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下2点について解説します。
・狭小スペースでも作業可能
・デザイン性のある仕上げ(はつり仕上げ)も可能
狭小スペースでも作業可能
はつり工事は、狭いスペースでの作業にも対応できます。小型の機材や工具を使用できるためです。
はつり工事を専門とする職人が手作業で行い、重機が入れないような場所でもコンクリートの壁に穴をあけたり、壁を撤去したりできます。使用する道具は、ハンマー・チッパー・削岩機・ブレーカーなど、スペースが狭い場所でも動かせる機械です。
従来の大きな重機では作業が難しい狭小スペースでも、はつり工事であれば作業できるケースがあります。
デザイン性のある仕上げ(はつり仕上げ)も可能
表面の仕上げを工夫し、デザイン性に富んだ仕上げをすることもできます。
コンクリートの表面は、シンプルで無機質な印象になりがちです。しかし、ハンマーで叩いたり特殊なノミで削ったりといった加工を施すことで、独特な風合いを出すことができます。
たとえば、コンクリート壁の全体ではなく一部分だけをはつり仕上げとすることで、ほかの箇所とのコントラストを出すことも可能です。コンクリートの表面に凹凸が生まれ、照明が当たったときに影ができることから、日中と夜とで異なる雰囲気を感じることもできます。
このように、はつり工事をすることで、空間全体の雰囲気を変えることも可能です。
はつり工事の注意点

はつり工事の注意点
はつり工事を検討する際は、以下の2点を知っておく必要があります。
・騒音や粉塵が発生する
・作業時間と費用が膨らむ可能性がある
騒音や粉塵が発生する
コンクリートに直接力をかけることから、騒音や振動が必ず発生します。また、壊す・削る・切るといった工程があるため、粉塵の発生にも注意が必要です。
騒音は、重機を使うかどうかにかかわらず発生します。使う道具や養生を工夫したり、工事を行う時間帯に配慮したりすることで、騒音をなるべく抑えるようにしなくてはなりません。
騒音や粉塵の発生は避けられないため、工事の際は事前に周囲へ協力をお願いする必要があります。トラブルを避けるため、マンションの管理組合や地域の自治体などに相談のうえ、近隣の住人に通知しましょう。
作業時間と費用が膨らむ可能性がある
はつり工事を採用することによって、費用がかさんでしまう可能性があります。騒音対策のため人員を多く確保したり、騒音の少ない工具をレンタルしたりする場合があるためです。人の手で行う作業が多いことから、作業時間が長引くことも考えられます。
見積もりの際、全体の金額だけで細かい内容が提示されていない場合はとくに注意が必要です。工事を申し込む前に、作業時間や費用は最大でどの程度まで膨らむ可能性があるのかを確かめておきましょう。
また、工事をすすめるなかで、想定外の工事が追加で必要になることもあります。代表的なのが、解体途中で地中から思わぬ障害物が出てくるケースです。工事が完了してから慌てることがないように、こまめに確認しておくとよいでしょう。
鑑定士コメント
はつり工事はどれくらいうるさいでしょうか?
発生する騒音の大きさは、使う機械や作業内容などによって異なります。騒音規制法での基準値は85dbとなっており、一般的にはそれ以下に抑えられています。85dbは例えるならば街頭の騒音ほどのため、住宅街で値を超えた音がでていれば、うるさいと感じるでしょう。騒音が基準値よりも小さく抑えられているならば、65db~75dbほどと考えられ、掃除機の稼働音ほどの音量なので、特にうるささは感じないと考えられます。
はつり工事で使われる道具

はつり工事で使われる道具
実際の現場では、どのような道具が使われているのでしょうか。以下3つに分けて解説します。
・手持ち工具
・電動系工具
・重機・アタッチメント
手持ち工具
さまざまな工具が使われていますが、手持ち工具のなかで代表的なのが、タガネ(チゼル)やハンマーなどです。
タガネやハンマーは、コンクリートを砕いたり削ったりする際に使用します。使用する箇所が、比較的小さい場合に使われるのが特徴です。
タガネとは金属でできた棒状の工具で、先端が平らな刃のように加工されています。木工に使用されるノミの原型となったものです。刃の部分をコンクリートに当てて、刃の反対側をハンマーで叩いて使用します。
電動系工具
手持ち工具には電動系の工具もあります。コンクリートの比較的広い範囲を壊すときに、作業効率を上げるために使われるのが特徴です。電動ハンマーや電動ドリルなどが挙げられます。
電動ハンマーは、タガネのような先端工具をピストン運動させることで、コンクリートを叩く電動工具です。先端工具は交換が可能で、作業に合わせて使い分けができます。本体の重量が重く、作業中は両手でしっかり押さえる必要があり、使用には体力を要します。
電動ドリルは穴を開けるときに使う電動工具です。ドリルを回転させることで、ドリルの直径に合う穴を開けられます。
重機・アタッチメント
手持ち工具のほか、重機が使用されることもあります。工事環境や規模によって 「人力」 で行うか 「重機」を使用するかが区別されるのが一般的です。
広範囲のコンクリートを解体する大規模な工事では、効率アップのために重機を使い工事を行います。ショベルカーにアタッチメントを取り付けたものが使用されることが多々あります。
強い打撃を加えることでコンクリートを破壊するブレーカー(ハンマー)や、狭い部分を削るノミアタッチメントなど、さまざまです。ほかにも静音性の高いハンドクラッシャーや、挟んで砕くタイプのクラッシャーなど、用途によって使い分けられています。
上記のほか、マンションに関する機能用語について詳しく知りたい人は、以下を参考にしてください。
まとめ:はつりは工事の精度を高め仕上げの質を確保するために欠かせない工程

まとめ:はつりは工事の精度を高め仕上げの質を確保するために欠かせない工程
はつり工事は、コンクリート製品を切る・削る・割る・穴を開けるなどを行う工事で、建物のリフォームや解体などに欠かせない工程です。
類似用語に「解体工事」がありますが、作業規模や使う道具などが異なり、細かい手作業が中心で高い技術や精度が求められる特徴があります。
はつり工事による大きなメリットは、限られたスペースでも作業できることや、デザイン性のある質感に仕上げられることです。注意点として、騒音と粉塵が発生することや、作業時間と費用が膨らむ可能性があることを覚えておく必要があります。
検討する際は、メリットと注意点をよく比較し、不明点がある場合は申し込み前に必ず業者へ確認をとるようにしましょう。

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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