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更新日:2025.05.26
登録日:2025.05.26
【いざという時に役立つ!】ABC消火器とは?種類・使い方・注意点を徹底解説!

「ABC消火器とはどういうもの?」
「消火器の取り扱いや保管で気をつけることは?」
消火器に関して、こうした疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
本記事では、ABC消火器がどのように機能するのか、また使用や保管における注意点などを詳細に解説します。購入時のチェックポイントや、どんな種類が存在するのかも具体的に理解できるので、ぜひ最後まで目を通してください。
【この記事でわかること】
・ABC消火器は粉末状の消火薬剤を用いて消火する器具である
・蓄圧式と加圧式の2タイプが存在し、点検方法や操作性に違いがある
・消火器には耐用年数があり、定期的な点検が欠かせない
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ABC消火器とは

ABC消火器とは
ABC消火器とは、微細な粉末状薬剤を噴射して火を鎮めるタイプの消火器です。紙や木材などの普通火災(A火災)から、油が燃え広がるB火災、さらに電気設備が原因のC火災までカバーできるため、家庭用・業務用ともに一般的に採用されています。
内部には第一リン酸アンモニウムの結晶粉末を防湿加工し、添加剤を配合した消火剤が充填されています。この万能性により、一般住宅はもちろん、ホテル・病院・学校・工場・オフィス・商店・神社仏閣など、あらゆる場所に設置可能です。
ABC消火器のA・B・Cの意味

ABC消火器のA・B・Cの意味
ABCの各文字は、対応できる火災の種類を示しています。どんな火災に適しているのかを整理すると、次のとおりです。
・A火災
・B火災
・C火災
A火災
A火災は、紙・木材・布類などの可燃性固体が燃える一般火災を指します。日常生活で起こりやすい火災の多くがこの分類に含まれます。
普通の可燃物とは、紙、木材、布といった燃えやすい物質を指します。したがって、A火災は紙や木材、繊維質の燃えやすい固体が原因となる火災のことです。
B火災
B火災は、ガソリンやシンナーなど引火性液体が原因となる油火災です。水で消せないため、粉末消火器の使用が効果的です。そのため、汎用性の高い消火器として評価されています。
C火災
C火災は、変圧器・配電盤・モーターなど電気設備のトラブルで発生する火災です。電気が流れている状態でも消火できるよう設計されています。
これら3種類の火災に1本で対応できることから、ABC消火器は初期消火の切り札といわれています。現在市販されている小型消火器の中では、高い消火能力を有しており、初期消火において重要な役割を果たします。
鑑定士コメント
2011年施行の消火器の省令改正等のポイントは何でしょうか?2011年に改正された消防省令では、破裂事故防止の観点から表示ラベルの規格が刷新されました。旧式ラベルの消火器は2022年以降、原則として設置できません。また、製造後10年を超える製品には耐圧性能点検が義務づけられ、同時にリサイクルシール制度が本格運用されています。
ABC消火器の消火能力単位の確認方法

ABC消火器の消火能力単位の確認方法
能力単位は、本体ラベルに「A-3・B-7・C」のような形式で表示されています。
・A火災の数字は「バケツ1杯=8ℓの水」を基準に何杯分を消せるか
・B火災の数字は「スコップ1杯の砂」を基準に何杯分か
・C火災は定量基準がないため数字表記はありません
たとえば「A-3・B-7・C」とあれば、A火災をバケツ9杯分、B火災をスコップ14杯分の消火力で抑えられるという意味になります。購入時にはこの表示をチェックしましょう。
普通の可燃物によるA火災では、8リットルのバケツ3杯分の水が消火能力「1」に相当すると定められています。油が原因のB火災における消火能力「1」は、スコップ2杯分の砂に匹敵します。なお、電気設備が原因となるC火災については、能力単位は設定されていません。
ABC消火器の薬剤はリン酸アンモニウム

ABC消火器の薬剤はリン酸アンモニウム
ABC消火器に充填されている主成分はリン酸アンモニウム粉末です。使用時にピンク色の粉が噴射されるのが特徴で、色を見ることで薬剤を判断できます。
消火器から放出される粉末の色で、使用している薬剤の種類がわかります。粉の色と使用されている薬剤の組み合わせは以下のとおりです。
消火訓練等で粉の色を見る機会がある場合は、ぜひ確認してみるとよいでしょう。
ABC消火器の種類は2つ

ABC消火器の種類は2つ
ABC消火器の種類は2つあります。
・蓄圧式消火器
・加圧式消火器
それぞれの仕組みと特徴は次のとおりです。
蓄圧式消火器
蓄圧式は、あらかじめ窒素ガスで内部が加圧された構造です。
レバーを握ると弁が開き、圧力差で薬剤を即座に放射できます。圧力計で状態を一目で確認でき、レバーも軽い力で操作できるため、高齢者や子どもでも扱いやすい点がメリットです。
容器が劣化すると徐々にガスが抜ける設計になっており、急激な破裂事故を防げるように設計されています。
加圧式消火器
加圧式は、内部にガスが充填されておらず、使用時に内蔵ボンベのガスを放出して加圧する方式です。
外観での点検しかできないため腐食の有無を判断しづらく、容器損傷があると瞬間的な圧力で破裂するリスクがあります。
さらに、レバー操作には蓄圧式より大きな握力が必要です。握力が弱い子どもや高齢者にとっては、操作が難しい場合がある点もデメリットと言えるでしょう。
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ABC消火器の選び方

ABC消火器の選び方
ABC消火器を選ぶ際、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。選び方について、以下の2点を解説します。
・国家検定合格証の有無を確認する
・消火器で使用している薬剤を確認する
国家検定合格証の有無を確認する
消火器を選ぶ際は、国家検定合格証の有無を確認します。住宅用の消火器であれば、合格証のシールがラベルや本体に貼られているため、シールがあるかを確認してください。
合格証は、個別検定での検査に合格した製品にのみ表示されています。個別検定とは、検定対象である機械器具等の形状が、型式承認を受けたものと同じかどうかを調べる検定のことです。
検定に合格していない、合格証が表示されていない消火器は、設置や販売などが禁止されますので注意しましょう。
消火器で使用している薬剤を確認する
消火器を選ぶ際は、使用されている薬剤も確認しましょう。消火器によっては、消火剤が粉末・ガス・水などと異なり、それぞれ対応できる火災の種類が異なるためです。
A・B・C火災すべてに対応できる消火器が必要な場合は、薬剤に粉末か中性強化液を使用しているものを選んでください。
粉末や中性強化液は、最も一般的な消火剤のひとつです。幅広い種類の火災に対応でき、放射時間は短いものの消火能力が高く、火の勢いを短時間で抑えられます。とくに中性強化液タイプは、再燃抑制効果や浸透性の高いことが特徴です。
このように、A・B・Cすべての火災に対応しているかを見るために、使用している消火剤の種類もきちんと確認するようにしましょう。
鑑定士コメント
消火器の使用期限はどれくらいでしょうか?業務用の消火器の場合、標準的な使用期限は10年です。使用期限は、本体に西暦年で表示されています。住宅用の消火器の場合は約5年です。使用有効期限は、業務用と同様に本体に表示されています。エアゾール式の簡易消火具は、品質保証期間が約3年です。それぞれ使用期限が異なることを覚えておくとよいでしょう。
ABC消火器の使い方

ABC消火器の使い方
ABC消火器の基本的な使い方は、以下のとおりです。
・安全ピンを抜く
・ノズルを火にむける
・レバーを握って消火剤を放射する
安全ピンを抜く
消火器を使用する際、最初に本体に付いている安全ピンを引き抜きます。ピンを抜く作業は、火元にある程度近づいてから実施してください。火からの距離が遠すぎると、消火剤が火点に到達する前に薬剤が尽きてしまう恐れがあるためです。
火元までの適切な距離は、消火器の性能にもよりますが、概ね7〜8メートル程度が目安とされています。屋外で使用する場合は、自身の安全を確保するために、風上側の位置から操作するようにしてください。室内では、速やかに避難できるよう、出入口を背にして操作します。
ノズルを火にむける
安全ピンを抜いたら、消火器のノズルを掴み、火が発生している箇所に向けます。ノズルの付け根部分を持つと、噴射の勢いでホースの向きが意図せず変わってしまう危険があります。狙いが定まりにくくなるため、必ず先端部分を持つように注意してください。
また、燃え上がっている炎の上部ではなく、火元を狙うことが肝心です。消火器が重くて持ち上げられない場合は、無理に持ち上げる必要はありません。地面に置いた状態で、ノズルだけを操作しましょう。
レバーを握って消火剤を放射する
火元に狙いを定めたら、本体のレバーをしっかりと握り、消火剤を放射させます。片手でホース(ノズル)を保持したまま、もう一方の手でレバーを強く握り、薬剤を噴射してください。
一般的な家庭用消火器の場合、薬剤の放射時間は10秒から15秒程度です。炎の上部に向けてしまうと消火に時間がかかってしまうため、確実に炎の根元を狙うようにしましょう。ほうきで手前から奥へと掃くような動作をイメージして放射するのが効果的です。
ABC消火器を使用するときの注意点

ABC消火器を使用するときの注意点
ABC消火器を使う際は、いくつかの注意すべき点があります。
・定期的に点検する
・湿気や直射日光が当たる場所に設置しない
・古い消火器は使用しない
・消火剤が目や鼻に入った場合は医師の診察を受ける
上記について順に解説します。
定期的に点検する
消火器は定期的に点検を行う必要があります。消火器が腐食したり老朽化したりすると、破裂する危険性が高まり、怪我のリスクが生じるだけでなく、重大な人身事故につながる可能性もあるからです。
事故を未然に防ぐためにも、日頃から定期点検を心がけましょう。安全ピンやキャップが確実に装着されているか、表示されている使用期限を過ぎていないかなどを確認します。
加えて、本体容器にサビや変形が見られないか、ノズルにひび割れや詰まりがないか、圧力計の針が緑色の正常範囲内にあるかなどもチェックすべき項目です。
湿気や直射日光が当たる場所に設置しない
湿度の高い場所や、直射日光に晒される場所には設置しないようにしてください。高温多湿な環境は、消火器の劣化を早める原因となるためです。洗面所や浴室、日の当たる窓際などは設置場所として避けるべきです。
屋外に設置する場合は、破裂事故のリスクを低減するため、必ず専用の格納箱に入れて保管することが求められます。消火器を購入する際に、併せて準備するようにしましょう。
消火器は、誰の目にもつきやすく、いざという時に取り出しやすい場所に設置し、通行や避難の妨げにならないよう配慮が必要です。
古い消火器は使用しない
耐用年数を過ぎた古い消火器は、絶対に使用してはいけません。消火器には使用期限が定められており、期限を超過したものは破裂して怪我をする危険性があるためです。
消火器の寿命は設置環境によって変動しますが、一般的なABC粉末消火器で約10年、住宅用消火器では約5年が目安とされています。
安全に使用するためにも、古くなった消火器は速やかに廃棄・リサイクルし、新しいものと交換してください。
消火剤が目や鼻に入った場合は医師の診察を受ける
もし大量の消火剤が口、目、鼻などに入ってしまった場合は、病院で医師の診察を受けるようにしましょう。一度に多量の消火剤が体内に入ると、鼻水、目のかゆみ、喉の痛みといった症状が現れることがあるためです。
消火器に含まれる薬剤は、通常の操作範囲内であれば人体に対して無害とされています。使用中に咳き込んだり、目がかゆくなったりした場合は、うがいや水で洗い流すことで対処可能です。
通常の使用では人体への大きな影響はありませんが、万が一、大量に吸い込んでしまったり、目に入ったりした場合は、医師に相談し、診察を受けるのが賢明です。
まとめ:ABC消火器の知識をもって火災に備えよう

まとめ:ABC消火器の知識をもって火災に備えよう
ABC消火器は、粉末状の消火薬剤などを用いて火災を鎮めるタイプのものであり、最も広く普及している消火器の一つです。A火災(普通火災)、B火災(油火災)、C火災(電気火災)という区分は、それぞれ対応可能な火災の種類を表しています。
消火器には蓄圧式と加圧式の2種類があり、内部にガスが充填されているか、点検のしやすさや操作感などが異なります。
消火器を取り扱う上では、定期的な点検を怠らず、高温多湿になる場所への設置を避けましょう。また、使用期限を過ぎた古い消火器は使用しないようにしてください。
広範囲の火災に対応できるABC消火器を安全かつ効果的に使用できるよう、正しい知識を身につけ、万一の火災に備えましょう。
#消火器、#消火、#粉末

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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