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更新日:2025.03.24
登録日:2025.03.24

火災報知器設置義務とは?場所・住宅タイプ別の条件や罰則を紹介

火災報知器設置義務とは?場所・住宅タイプ別の条件や罰則を紹介

「火災報知器に設置義務はあるの?」
「火災報知器はどんな種類がある?」

火災の発生をいち早く警告してくれる火災報知器は、住人の命や財産を守る重要な設備です。火災報知器の重要性はなんとなく理解していても、設置義務の有無や具体的な設置場所などが分からない人も少なくないでしょう。

本記事では、火災報知器の設置義務について詳しく解説します。住宅タイプ別の設置義務や、未設置によるリスク、報知器の種類など、火災報知器に関する情報を網羅しているので、参考にしてみてください。

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火災報知器の設置義務とは?

火災報知器の設置義務とは?

火災報知器の設置義務とは?

火災報知器は、住宅で火災が発生した際にいち早く知らせてくれる重要な設備です。火災報知器についてなんとなく知っていても、設置義務について詳しい人は少ないでしょう。

 

そこで火災報知器の設置義務についての基礎知識を解説します。

 

・火災報知器設置義務化の背景

・火災報知器未設置によるリスク

・火災報知器設置の重要性

 

それぞれ見ていきましょう。

火災報知器設置義務化の背景

火災報知器は、消防法の改正により2006年から新築住宅への設置が義務付けられました。新築住宅以外の既存住宅への猶予期間を設け、2011年6月から中古住宅を含むすべての既存住宅への設置が義務付けられています。(※1)

 

消防法によって火災報知器の設置が義務付けられた背景には、火災発生時の逃げ遅れが原因による死者数割合の多さがあります。消防庁の調べによると、火災によって命を落とす人の中で、逃げ遅れが原因である割合が42.0%であると発表されました。(※2)

 

逃げ遅れを解消するためにも、火災報知器による警報が必要だと判断し、設置義務の導入が検討されるようになりました。

 

※1参考:国民生活センター

※2参考:令和5年度版消防白書|第一章 災害の現況と課題

火災報知器未設置によるリスク

火災報知器未設置の場合、万が一火災が発生しても炎が室内に蔓延するまで気付かず、逃げ遅れるリスクが考えられます。

 

火災報知器は、火災をいち早く感知して住人に警報音として知らせるため、命や家財、財産を守るためにも設置するべきです。

 

また、火災報知器未設置の場合は、火災保険が適用されない可能性もあります。火災保険に加入、または加入予定の人は契約書に火災報知器設置が記載されていないか確認しましょう。

火災報知器設置の重要性

火災報知器は、住宅内の火災を住人よりも早く感知して警報音として知らせる機器です。米国の場合、住宅への火災報知器設置が義務付けられた前後で、火災による死者数が約5割と大幅に減少したことが分かっています。(※1)

 

火災報知器を設置している住宅では、早期に消火活動が開始できるため焼損面積も減少するそうです。

 

このように火災報知器の効果はさまざまなデータでも明らかですが、消防庁の調査によると令和5年における火災報知器の設置率は、全国平均で8割程(※2)だそうです。

 

万が一の火災にいち早く気付ける火災報知器は、命だけでなく大切な住宅も守る重要な役割を果たします。火災報知器の重要性を理解して、適切な場所に設置しましょう。

 

※1参考:北海道|住宅用火災警報器設置義務化

※2参考:消防庁|住宅用火災警報器の設置状況等調査結果

鑑定士コメント

火災報知器の設置義務違反をした場合はどうなるのでしょうか?火災報知器は設置義務を課されているものの、設置していなくても現状で罰則などはありません。しかし、火災報知器未設置は、逃げ遅れや火災範囲の拡大、火災保険の補償対象外になる可能性など、さまざまなリスクが考えられるため、正しく設置を行いましょう。

住宅タイプ別の火災報知器設置義務

住宅タイプ別の火災報知器設置義務

住宅タイプ別の火災報知器設置義務

住宅タイプ別の火災報知器設置義務について解説します。合わせて火災報知器の設置場所についてもご紹介するのでご自身の住宅タイプと照らし合わせてご覧ください。

 

・一戸建て住宅の場合

・マンションの場合

・店舗併用住宅の場合

・特殊な住宅形態の場合

 

火災報知器の設置が義務付けられている場所は、各市町村によって異なる場合があります。寝室や階段には全国共通で設置が義務づけられていますが、詳細はお住まいの市町村で確認しましょう。

一戸建て住宅の場合

住宅用の火災警報器は一戸建ての場合、設置義務が発生します。先述したように設置義務が発生する場所は各市町村で異なりますが、寝室や寝室がある階の階段には全国共通で設置が義務づけられています

 

住宅の階数別に火災報知器の設置が義務付けられる条件が異なるため、以下の表にまとめました。

 

階数

詳細

設置例

平屋建て

・各寝室

・1つの階に5つ以上部屋がある場合の廊下

2階建て

1階に寝室がある

・各寝室

2階に寝室がある

・各寝室

・寝室がある階の階段

3階建て

1階に寝室、3階に居室がある

・各寝室

・3階の階段

3階に寝室、2階に居室がある

・各寝室

・3階にしか寝室がない場合は1階の階段

・寝室がある階の階段

マンションの場合

2006年の消防法改正以降、全ての住宅を対象として火災報知器の設置が義務付けられているため、マンションの場合も適応されます。

 

延べ面積500㎡以上のマンションには、自動火災報知設備の設置が義務付けられています。このような建物では、自動火災報知設備が各住戸内の天井(主にキッチンや寝室など)に設置されており、火災時に煙や熱を感知して警報を発します。

 

自動火災報知設備が設置されているマンションでは、別途「住宅用火災警報器」を設置する必要はありません。住宅用火災警報器は、自動火災報知設備が設置されていない住宅に設置が義務付けられているものです。

 

ただし、マンションをリノベーションして間取りを変更した場合、寝室の位置が変わるなど用途が変更されると、火災報知器の移設や増設が必要になることがあります。そのため、リノベーションや用途変更時には適切な対応が必要です。

店舗併用住宅の場合

店舗併用住宅の場合

店舗併用住宅の場合

店舗兼用住宅の場合、住宅部分のみ住宅用火災報知器の設置が義務づけられています。

 

店舗部分で自動火災報知器やスプリンクラーが設置されていれば、住宅用火災報知器の設置義務が免除される可能性もありますが、各市町村で対応が異なるため確認が必要です。

 

住宅部分に火災報知器を設置する場合、寝室や寝室がある階の階段をはじめ、火元になりやすい台所への設置もおすすめします。

特殊な住宅形態の場合

特殊な住宅形態の場合、条件によって設置義務が異なります。代表的な例を以下にまとめたので確認してみてください。

 

住宅形態

設置義務の有無

二世帯住宅

世帯間で行き来できない場合は、別の住宅としてそれぞれ火災報知器の設置が必要

増築

既存住宅の適用日までは増築部分に火災報知器の設置義務はない

モーターハウス、トレーラーハウス

形態にかかわらず住宅として使用する場合、火災報知器の設置義務が発生する

事務所内の寝室や仮眠室

火災報知器の設置義務はない

 

※参考:日本消防設備センター|住宅用火災報知器ガイドブック

 

火災報知器の種類

火災報知器の種類

火災報知器の種類

住宅用の火災報知器は、火災が起きた際に感知する方式の違いによって、以下の3種類に分けられます。

 

・煙を感知する報知器

・熱を感知する報知器

・炎を感知する報知器

 

設置する環境によって感知しやすい報知器が異なるため、それぞれの火災報知器の特徴を知って適切なものを選びましょう。

 

一つずつ解説していきます。

煙を感知する報知器

煙を感知する火災報知器は、感知方法の異なる「光電式スポット型感知器」と「光電式分離型感知器」の2タイプがあります。

 

それぞれの特徴は以下をご覧ください。

 

種類

感知方式

設置場所

光電式スポット型

煙粒子の発光部への乱反射

寝室、階段、台所

光電式分離型

光ビームが煙によってさえぎられる

 

煙を感知する火災報知器の最大の特徴は、熱感知式より早く感知できる点です。そのため、消防法によって設置が義務付けられている寝室や階段などへの設置に向いています。

 

火災報知器が鳴ったらどうする?適切な対応方法を解説

熱を感知する報知器

熱を感知する火災報知器は、「差動式スポット型」と「定温式スポット型」の2タイプがあります。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

 

種類

感知方式

設置場所

差動式スポット型感知器

感知器周辺の温度上昇

キッチン、車庫

定温式スポット型感知器

感知器周辺が一定の温度へ上昇

 

差動式スポット型感知器は、感知器周辺の温度上昇によって感知器内部の空気が膨張することで感知します。一定の温度ではなく急な温度上昇を感知するため、日常生活で煙や熱が発生する台所や車庫などへの設置がおすすめです。

炎を感知する報知器

炎を感知する報知器

炎を感知する報知器

炎を感知する火災報知器は、「紫外線式スポット型感知器」と「赤外線式スポット型感知器」の2タイプがあります。それぞれの特徴は以下をご覧ください。

 

種類

感知方式

設置場所

紫外線式スポット型感知器

紫外線の変化

天井が高い部屋

赤外線式スポット型感知器

赤外線の変化

 

火災が発生した際の炎の中には、目に見えない紫外線や赤外線が含まれています。炎を感知する報知器は、紫外線や赤外線の量が一定以上になった時に火災を感知する仕組みです。

 

煙や熱を感知するには天井まで届く必要がありますが、天井高が20m以上の場合、感知器に届くまで分散するリスクがあります。そのため、天井の高い場所では炎を感知する火災報知器の設置がおすすめです。

 

鑑定士コメント

火災報知器はどこで買えるのでしょうか?住宅用の火災報知器は、ホームセンターや家電量販店、通販などで購入できます。国が定める法令規格に適しているものは、販売国家検定合格商品のマークが記載されているので、購入する際に確認してみましょう。

火災報知器の設置義務でよくある質問

火災報知器の設置義務でよくある質問

火災報知器の設置義務でよくある質問

火災報知器の設置義務についてよくある質問をご紹介します。

 

・設置義務の対象者は誰ですか?

・住宅用火災警報器を設置した場合、届け出は必要?

 

疑問点を解消して適切な火災報知器を設置しましょう。

設置義務の対象者は誰ですか?

火災報知器の設置義務が発生する対象者は、以下の通りです。

 

・住宅の所有者(住人)

・住宅の管理者(不動産会社、管理会社)

 

また、賃貸住宅の場合は、

 

・住宅の所有者(大家)

・住宅の管理者(不動産会社、管理会社)

・住宅の占有者(住人)

 

すべての人に設置義務が発生します。

 

実際に設置する場合は、それぞれで話し合い誰が設置するのか決定しなければなりません。

住宅用火災報知器を設置した場合、届け出は必要?

住宅用火災報知器を設置した場合、住宅の状態によって届出の有無が異なります。

 

住宅の種類

届出の有無

新築住宅、改築した住宅

消防署長への届け出が必要

既存住宅(中古住宅)

届け出の必要なし

 

新築住宅や改築の場合は、火災報知器を設置した位置や種類を明記した書類を、設置完了後の15日以内に届け出る必要があります。

まとめ:火災報知器設置義務を理解して適切に設置をしよう

まとめ:火災報知器設置義務を理解して適切に設置をしよう

まとめ:火災報知器設置義務を理解して適切に設置をしよう

火災報知器の設置義務は住宅の形状に関わらず、すべての住宅が対象です。火災報知器を設置することで、いち早く火災に気づくことができ、命を守ることにつながります。

 

火災報知器は、煙や熱、炎など、感知する対象によって種類が異なります。設置する場所に合った適切な報知器が異なるので、設置場所の環境に合ったものを選ぶことが大切です。

 

火災から身を守るため、火災報知器設置義務を理解して正しく設置しましょう。

 

#火災、#条例、#警報、#義務

石川 勝

不動産鑑定士/マンションマイスター

石川 勝

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

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  • 資産性が低くて
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  • 安いという理由だけで
    中古マンションを
    買ってしまった
  • 修繕積立金が
    年々上がる
  • 子供が成人したから
    マンションを売って
    一軒家生活したいけど…
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