カビにはさまざまな種類がありますが、赤カビにはどのような特徴があるのか、赤カビの基礎知識を解説します。

・赤カビの特徴と性質

・赤カビと黒カビの違いと見分け方

・赤カビが人体に及ぼす健康被害

・食品に発生した赤カビの危険性

赤カビについて知ることで、正しい対処法や日常生活の中で赤カビを予防する意識を高めましょう。

赤カビは名前からイメージできるように、赤い色を帯びたカビです。赤カビはカビの中でも湿度の高い場所に繁殖する性質があり、とくに浴室のような水回りで発生します。

浴室の角やパッキンにピンク色のぬめりも赤カビの一種です。赤カビは湿気に加えて、温暖な環境で成長するため、温度が高く湿気がこもりやすい浴室やキッチン、地下室などでよく見かけるでしょう。

室内だけでなく、常に高い湿度と温度が保たれる加湿器やエアコンの内部などでも発生しやすいのが赤カビの特徴です。

赤カビはロドトルラと呼ばれる菌の一種で、比較的浅い部分に根を張ります。そのため、洗剤やスポンジで擦れば簡単に取り除けますが、繁殖スピードが早いのでいつの間にか広範囲に広がっているケースも少なくありません。

赤カビと黒カビの大きな違いは見た目です。赤カビは赤やピンク色に対して、黒カビは黒ずみや黒い斑点のような見た目をしています。

赤カビは擦れば簡単に落とせますが、黒カビはゴムパッキンや素材の奥深くに根を張るため、擦っただけでは落ちない可能性が高いです。

また、黒カビと赤カビは高温多湿な場所を好む点は同じですが、必要な栄養素に違いがあります。皮脂汚れやほこりなどを栄養素に繁殖する黒カビに対して、赤カビは湿気だけでも十分繁殖可能です。

黒カビは赤カビも栄養素にして繁殖する性質があるため、黒カビを予防するならまずは赤カビを取り除くことが先決ともいえます。

赤カビは小さな胞子を空気中に放出するため、それを人が取り入れてしまうと、呼吸器系疾患や皮膚症状のきっかけになる可能性があります。

赤カビだけでなく、一般的なカビに長期間さらされると、身体に何らかの影響が出る可能性があるため注意が必要です。

赤カビが発生した食品は、マイコトキシンと呼ばれるカビ毒を生産するため、食品に赤カビを見つけたら食べないようにしてください。

マイコトキシンが生成された食品を摂取してしまうと、腎臓や肝臓、免疫系などに影響を与えて食中毒や下痢などを引き起こす可能性があります。

マイコトキシンは熱に強く、家庭の一般的な調理方法では分解できません。食品に赤カビを見つけた場合は無理に食べず、一緒に保管していた食品に影響が出ていないかも十分観察しましょう。

参考：東京顕微鏡院「カビが作る毒素の話」

赤カビが発生する原因はどのようなものがあるでしょうか？赤カビの発生原因を知れば、ご自宅の中でリスクの高い場所に優先的に対策がとれます。

・赤カビが発生しやすい環境条件

・季節や気候と赤カビの関係性

・食品保管時の赤カビ発生リスク

・見落としがちな赤カビの前兆サイン

それぞれ具体的に解説していきます。

赤カビは20度以上の高温で多湿な環境を好み繁殖します。黒カビのように皮脂汚れや石鹸カスのような栄養素を必要とせず水分のみで繁殖するため、浴室やキッチン、トイレなどの水回りで発生しやすいです。

そのような性質から、比較的すぐに取り除けるものの数日したらすぐに再出現してしまいます。掃除でキレイにしたはずなのに、気が付いたらすぐに元に戻っていた経験のある人も少なくないでしょう。

赤カビは繁殖スピードも早いため、濡れている時間が長い浴室は赤カビの成長に適した環境といえます。

季節や気候の変化はカビの繁殖に大きな影響を与えます。室内環境だけでなく、気温や湿度が上昇する季節は赤カビの繁殖しやすい環境になるため注意が必要です。

例えば、夏は気温とともに湿度も高くなり、カビが増殖する条件が整ってしまいます。夏だけでなく、秋は昼夜の気温差が大きくなることで、窓や壁に結露が発生しやすくなり、結露による水分が赤カビの成長を助長してしまいます。

気候が寒くなってくると、室内は暖房や加湿器などで暖めるため、外と室内の気温差から結露が発生しやすいです。このように、季節の変化は赤カビの発生リスクを高めることが分かります。

季節や気候の変動に合わせたカビ対策が大切になります。

カビは冷蔵庫のような低温でも条件が揃えば発生します。カビは一般的に20℃以上で活動が活発になりますが、低温だからといって死滅するわけではありません。

低温でもカビは活動していて、水分や食品自体の栄養によってカビが発生する可能性が十分あります。

とくに、冷蔵庫の奥に気付かずに放置された食品は注意が必要です。もしカビの発生した食品を見つけた場合は、保管していた場所をアルコール除菌スプレーなどで消毒しましょう。

カビの発生リスクを抑えるためには、冷蔵庫の温度管理と食品の正しい保管が重要です。ポイントを表にまとめたので参考にしてみてください。

浴室でよく発生する赤カビですが、壁や床、ゴムパッキンなどすぐに目につく場所は見つけやすいでしょう。しかし、見落としがちなのは水分がたまりやすく目につきにくい場所です。

排水溝やタイルの目地、椅子の裏や脚部分など、頻繁に掃除をしない場所は要注意です。石鹸入れやシャンプーボトルの底など、気が付いたら赤カビが大量発生しているかもしれません。

日頃から目につきにくく水分が残りやすい場所は、こまめな掃除で清潔を保つことが大切です。

ここからは、家庭でもできる赤カビの除去方法を4つご紹介します。

・赤カビに効果的な市販の洗剤選び

・安全な赤カビの落とし方

・赤カビ除去時の注意点

・子どもやペットがいる家庭での除去方法

赤カビは繁殖スピードが早いので、見つけたら早めの対策をとりましょう。

赤カビは素材の浅い部分に根を張る性質があり、スポンジなどでこすれば簡単に取り除けます。しかし、カビ菌は残っているためすぐに元に戻ってしまう場合も少なくありません。

赤カビを菌ごと除去するなら、適切な洗剤を使用しましょう。赤カビは酸性の性質を持つため、逆の性質があるアルカリ性の洗剤を選ぶ必要があります。

より環境や身体に優しい赤カビの除去方法は、自家製のカビ取り剤を作ることです。自宅にあるもので簡単に作れるので、安全性に考慮しながら赤カビを除去できます。

白酢と呼ばれる通常の食酢よりも濃厚な醸造酢と、同量の水を混ぜたスプレーは天然のカビ取り剤として使用可能です。重曹をペースト状にしたものをカビにぬり、その上からスプレーをかけてカビを分解する方法もあります。

どれも食品として使用されるため、自然な方法で赤カビを落としたい人は試してみてください。お酢の匂いが気になる場合は、使用後に水拭きしてしっかり乾燥させましょう。

赤カビを除去するときは、以下のような点に注意しながら行いましょう。

・酸性と塩素系の洗剤を混ぜて使用しない

・素材と洗剤の相性を確認する

・マスクや手袋を付けて行う

市販の洗剤を使用して赤カビを取り除く際は、酸性と塩素系の洗剤を混ぜないようにしましょう。塩素系漂白剤と酸性の洗剤を混ぜると、有毒なガスが発生する可能性があるためです。

また、塩素系漂白剤のようなアルカリ性の高い洗剤を使用するなら、使用可能な材質かどうか事前に確認しておくと安心です。

洗浄力の強い洗剤を使用した赤カビ掃除では、換気をしっかりと行いながら、マスクや手袋を装着して作業を行いましょう。

子どもやペットのいる家庭では、赤カビを除去する方法も気を遣うでしょう。カビの程度によって方法は異なりますが、初期のカビの場合はアルコール消毒スプレーをふきかけて使い捨ての布などでふき取る方法が簡単です。

重曹や先ほどご紹介した自家製のカビ取り剤などを利用すれば、仮に手で触ったり口に入ったりしても問題ありません。

子どもやペットがいる家庭では、健康リスクを考えてカビが発生する前に正しい方法で予防しましょう。

赤カビを除去した後は、赤カビの発生リスクを抑えて清潔な環境を保ちましょう。ここからは、赤カビの再発防止策を4つご紹介します。

・食品を正しく管理する

・湿度管理を行う

・定期的な点検と清掃を行う

・再発を防ぐための環境づくりをする

日常生活で少し気を付けるだけで赤カビを予防できるので、できるものから始めてみましょう。

食品への赤カビの発生を予防するためには、食品ごとに正しい保管を行うことが大切です。冷蔵庫で食品を保管する際は、フタ付きの容器やラップを活用して、空気中の細菌が入り込まないようにしましょう。

また、肉や魚などから出るドリップが他の食材にかからないように、冷蔵庫の下段に保管するなど決まった管理場所を決めるのもおすすめです。

食品にはそれぞれに適した適温があります。加工食品などは食品表示に明記されている保管方法に従ってください。

また、調理後の食材を温かい状態で冷蔵庫に入れると、室温が急激に上がり品質の低下につながります。冷蔵庫に入れる前に粗熱を取ってから保管しましょう。

赤カビの予防には室内の湿度を適切に保つことが重要です。カビは湿度60％を超えると活動が盛んになるため、40％から60％の間を保つとよいでしょう。

室内の湿度管理を行う時は、湿度計を利用すると手軽に確認できます。夏や梅雨時期のような高温多湿な季節では、除湿機やエアコンの除湿運転などを使用して湿度をコントロールしましょう。

乾燥しがちな冬でも、室内では暖房や加湿器によって高温多湿の環境になる場合があります。加湿器を使用する場合は、湿度の上昇に注意しながら、60％以上になったら換気などで調整してみてください。

また、キッチンや浴室のような水回りでは換気扇を回し続けて、湿気がたまらないようにするとよいでしょう。

カビが発生しやすい場所では定期的な点検と清掃で、清潔な状態を保ちましょう。例えば、浴室を使用した後は、冷水シャワーで室内の温度を下げるだけでもカビの発生リスクを抑えられます。

赤カビは水分だけで繁殖する性質があるため、使用後に水分をふき取るだけでも効果的です。スクイージーのような水切りアイテムで余分な水滴を落とす方法もおすすめです。

定期的な点検と、カビが発生する条件を整えないようにこまめな清掃を行って、効率的に赤カビを予防しましょう。

赤カビは水分のみでも繁殖するため、水分がたまりやすく日常生活で目の届きにくい場所に発生しやすい傾向があります。

一度赤カビが発生すると、湿度や温度などの室内環境を変えなければ、また再発を繰り返してしまいます。

赤カビだけでなく、高温多湿でホコリや汚れがたまっている場所では、さらに頑固な黒カビを引き起こす可能性もあるので注意が必要です。

カビの再発を防ぐためには、カビが発生しにくい環境づくりを徹底しましょう。

・目の届きにくい場所をこまめに掃除する

・定期的な換気で湿気をためこまない

掃除がしやすいように、浴室内には必要最低限のものだけ置く、家具や壁の隙間を開けるなどの工夫も大切です。

正しい知識と対策で赤カビが再発しない室内環境を作りましょう。

最後に、プロに依頼する場合の判断基準や失敗しない業者選びのポイントを解説します。

・自分で落とせない頑固な赤カビの事例

・プロに依頼するメリット

・業者選びで失敗しないためのチェックポイント

赤カビの除去を業者に依頼するかどうかお悩みの人は、ぜひ参考にしてみてください。

赤カビは湿度の高い場所で繁殖しやすく、気密住宅や湿気がたまりやすい構造の住宅であれば、床や壁、天井などの広範囲に繁殖してしまいます。

カビが広範囲に広がっていたり、天井のように物理的に除去が難しかったりする事例もあるでしょう。

室内の広範囲に赤カビが発生している場合、除去だけでなくこれ以上のカビの繁殖を抑えなければいけません。この場合は自分で対応するのが難しく、業者に依頼する判断基準のひとつになります。

赤カビの除去をプロに依頼するのは、以下のようなメリットがあります。

・専門知識と経験をもとに適切に対応してもらえる

・技術的に安定した結果が期待できる

・自分で作業する必要がなく、時間や労力が節約できる

依頼する業者や対応範囲によってある程度の費用はかかりますが、自分で落とせないカビの場合は選択肢の一つになるでしょう。

カビ取り業者に依頼する時は、優良な業者に依頼したいものです。業者選びに失敗しないためにも、以下のチェックポイントを参考にしてみてください。

カビ取りは室内の色々な場所に発生するため、専門知識や実績がある業者の方があらゆるケースに対応してもらえるでしょう。

また、業者選びはホームページや口コミサイトなども参考にしてください。

赤カビは湿度の高い水回りに発生しやすいカビです。赤カビを放置すると、呼吸器系や皮膚疾患などの健康リスクにつながる可能性もあります。

根の浅い赤カビは、適切な除去を行えばすぐに取り除けますが、再発を防ぐには湿度コントロールや定期的な清掃が重要です。

赤カビに悩まされている人は、効果的な除去方法を理解し、正しい予防と対策でクリーンな室内環境を保ちましょう。

#カビ　#予防　#除去　#発生　#風呂