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更新日:2025.04.25
登録日:2024.09.25
【マンションの専門家が解説!】ラーメン構造とは? 基本知識やメリット・デメリットを知ろう

「ラーメン構造とそのほかの構造との違いは?」
「デメリットや注意点はある?」など、疑問に思う人もいるでしょう。
ラーメン構造は建築構造形式のひとつです。マンションや一戸建て住宅などに広く取り入れられています。どのような構造かを知るうえで、基本的な知識を持っておくことが大切です。
今回は、ラーメン構造に関する基礎知識や、ラーメン構造以外の構造との違いを紹介します。メリットやデメリット、ラーメン構造を採用するうえでの注意点もわかりますので、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
・ラーメン構造とは柱や梁を剛接合することで骨組みを形成する建築構造形式
・メリットは間取りの自由度が高く構造設計がやりやすいこと
・デメリットはほかの種類の構造よりコストが高く防音性が低くなりやすいこと
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ラーメン構造とは

ラーメン構造の基礎知識
ラーメン構造とは、建物の構造をあらわす用語のひとつです。具体的にどのような構造なのか、以下の2点について解説します。
・ラーメン構造とは
・ラーメン構造が使われる建築物の例
ラーメン構造とは
ラーメン構造とは、柱や梁(はり)を剛接合(ごうせつごう)することで骨組みを形成する建築構造形式です。「ラーメン(Rahmen)」は、ドイツ語で額縁や枠という意味があります。
つまり縦方向の柱と横方向の梁で四角形の枠を構成する、と考えるとわかりやすいでしょう。また接合形式である剛接合では、柱と梁が一体化するように接合します。
骨組みに外力が加わって部材が変形しても、完全に固定された接合部分は変形しません。耐震力に優れており、地震に強いといった特徴があります。
ラーメン構造が主に用いられるのは、鉄筋コンクリート構造や鉄骨鉄筋コンクリート構造、重量鉄骨構造です。一方で構造用集成材の性能が上がったことで、木造のラーメン構造(SE構法)も増えてきています。
ラーメン構造が使われる建築物の例
ラーメン構造は、多くの公共建築やマンションなどに使われる建築構造形式です。
柱と梁が強固に接合されており、力が加わっても壊れにくい構造であることから、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物に多く使われています。
ラーメン構造の建築物で代表的なのが、世界遺産にも認定された国立西洋美術館です。開口部を自由に設計できるラーメン構造の特徴が生かされており、展示部分には壁がなく大きな空間となっています。
ラーメン構造はマンションや身近な公共建築などをはじめ、美術館等に至るまで幅広い建築物に採用されているのです。そのほか、マンションに関する用語について詳しく知りたい人は、ぜひこちらも参考にしてください。無料で資料をダウンロード可能です。
ラーメン構造と他の構造との違い

ラーメン構造と他の構造との違い
ラーメン構造は、ほかの構造とどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、以下の3つについて解説します。
・壁式構造との違い
・ブレース構造との違い
・トラス構造との違い
壁式構造との違い
ラーメン構造が室内に柱や梁が張り出すつくりであるのに対し、壁式構造は室内に柱や梁が出ない点が両者の違いです。
WRC造とも呼ばれる壁式構造では、天井・壁・4枚の壁の合計6枚の壁によって建物を支えるため、凹凸のないすっきりとした空間を作ることができます。
一方、ラーメン構造と比べて開口部を広げにくい、壁を撤去しづらいといった点はデメリットです。壁で建物を支えているため、間取りに制約が生じやすくなります。リフォームの予定がある場合は、壁式構造だと間取りが限られる点に注意が必要です。
マンションの内装をリフォームでおしゃれにするコツについては、以下の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
マンションの内装をリフォームでおしゃれにするには?抑えておくべきコツを紹介
ブレース構造との違い
ブレース構造では、ラーメン構造と比べて梁や柱の寸法を小さくすることが可能です。
ブレースは建物を補強するための部材で、梁と柱で構成された四角形の対角線上に斜めに設置します。ブレースがあることで、建物が水平方向から加わる力に強くなるため、暴風や地震などによって変形や倒壊することを防げます。
このように、ブレースが水平力をある程度受け流してくれることから、ラーメン構造よりも柱や梁の寸法をコンパクトにすることが可能です。
ただし、大きな窓や大空間が作りにくくなるデメリットもあります。ブレースは基本的に、梁と柱で構成された四角形の対角線上に設ける必要があるためです。扉や窓のサイズや位置などに制約が生じる点は、覚えておく必要があります。
トラス構造との違い
トラス構造では骨組み構造の接合部が自由に回転できるのに対し、ラーメン構造では結合部が一体となっている点が両者の違いです。
トラス構造とは骨組み構造の一種で、三角形の集合体によって作られています。結合部である節点がピンやボルトなどでとめられているため、節点に自由度を持たせられるのがメリットです。
結合部が自由に回転できるメリットを生かし、体育館やドームなど柱のない大空間に梁材として使われています。そのほか、タワーや橋などの建築物をはじめ、自転車やバイクのフレームなどにも採用されています。
トラス構造のデメリットは、梁が大きくなりやすいことです。梁が三角形で通常の梁より大きくなるため、一般住宅には向いていません。
以下の記事ではラーメン構造の見分け方についてさらに詳しく説明しています。ラーメン構造について知識を深めたい方は、ぜひチェックしてください。
ラーメン構造の見分け方はどこでわかる?ポイントをくわしく解説
鑑定士コメント
ラーメン構造の木造と鉄骨造では使用する部材が異なります。木材を用いる木造は木の温かさを感じられ、さらに開放感のある間取りを作りやすいことがメリットです。一方で建物の高さに制限がある、火災のリスクが高いなどのデメリットがあるでしょう。鉄骨を使用する鉄骨造は地震の横揺れや火災に強く、シロアリ被害の恐れがないことがメリットです。その反面、木造と比べると断熱性が低くなってしまいます。
ラーメン構造のメリット

ラーメン構造のメリット
ラーメン構造のメリットを紹介します。
・間取りの自由度が高い
・構造設計がやりやすい
・リノベーションしやすい
どのような魅力があるのか解説するので、ぜひ参考にしてください。
間取りの自由度が高い
ラーメン構造は柱と梁の骨組みで建物を支えるので、補強材を必要としません。補強のための壁が不要なため、間取りの自由度が高いといったメリットがあります。
窓や扉の位置を自由に決めたり広い空間を確保したりと、柔軟に設計できるでしょう。以下に、ラーメン構造だと実現しやすい間取りをまとめました。
ステップフロアとは、一つの階層に複数の高さのフロアを取り付ける間取りのことです。持ち出しは前に飛び出した物を支える部材・構法のことで、ラーメン構造なら柱なしで前に飛び出した空間を作れます。
構造設計がやりやすい
ラーメン構造は柱と梁だけで骨組みを構成するシンプルな形式です。そのほかの構造と比較すると、構造設計がやりやすいといったメリットがあります。
構造部材の施工や加工が比較的簡単なので、工事がスムーズに進むでしょう。建物の完成が遅れたり複雑な施工のせいで販売価格が高くなったりといったリスクは、ほとんどありません。
リノベーションしやすい
ラーメン構造は、間取りの変更などリノベーションがしやすいといった特徴があります。柱と梁の枠で建物を支えているため、壁を取り払っても影響はあまりありません。
壁を移動させて間取りを大きく変えたり、取り払って広い空間を作ったりと、自由にリノベーションできます。ライフスタイルにあわせた改装を予定している場合は、ラーメン構造にすることを検討してください。
ラーメン構造のデメリット

ラーメン構造のデメリット
ラーメン構造のデメリットは以下の通りです。
・ほかの種類の構造よりコストが高め
・防音性が低い可能性がある
・室内に凹凸が目立ちやすい
選択したあとに後悔しないために、あらかじめ確認しておくことが重要です。
ほかの種類の構造よりコストが高め
ラーメン構造ではサイズが大きい柱や梁を用いるため、部材費が高い傾向があります。他の種類の構造と比較した場合、建築コストが高くなってしまうでしょう。
さらにサイズが大きな部材を使用すると建物全体が重くなります。大規模な基礎工事や土地の基盤改良が求められるケースもあり、さらにコストがかさむ可能性があるので注意が必要です。
防音性が低い可能性がある
ラーメン構造では壁が薄くなってしまい、防音性が低くなるケースがあります。なぜなら壁の厚さに制限が設けられているからです。
マンションなど居住目的の建物だと、隣室の物音が気になったり騒音トラブルの原因になったりする可能性があるでしょう。ラーメン構造で建物を建てる場合、遮音性の高い材質を使用するなどの対策を検討してください。
室内に凹凸が目立ちやすい
ラーメン構造では、太い柱や梁を使用するため室内に凹凸が目立ちます。家具の配置が難しくなり、デッドスペースも生まれやすくなるでしょう。
一方で「逆梁工法」や「逆梁アウトフレーム工法」など、柱や梁が室内に張り出さないラーメン構造もあります。部屋がスッキリとしますが、追加コストがかかるため見積もりが必要です。
鑑定士コメント
ラーメン構造は柱と梁を一体化させることで耐震性を高めています。一方で面で支えられる壁式構造と比較した場合、耐震性で劣るので注意が必要です。とはいえ「ラーメン構造が地震に弱い」といった事実はありません。構造だけではなく、地盤の状況や建物の形状、窓や壁の位置、部材の寸法によっても耐震性は大きく左右されます。予算や建物の用途、土地の状況などを考慮したうえで、専門家に相談することが重要です。
ラーメン構造を採用するときの注意点

ラーメン構造を採用するときの注意点
ラーメン構造を採用する場合の注意点について、以下の3つのポイントにわけて解説します。
・設計に関する注意点
・工事をする際の注意点
・コスト管理の注意点
設計に関する注意点
ラーメン構造を採用する場合、室内に梁や柱が張り出すことを考慮して設計する必要があります。通常の工法の場合、太い梁と柱で建物を支えなくてはならないためです。
ラーメン構造ではブレース構造のような斜め材を用いないことから、梁と柱だけですべての荷重に耐えなければなりません。少ない部材で荷重に耐えるには、各部材を大きくする必要があり、太い梁や柱を使うため室内に凹凸が生じます。
家具が配置しにくくなることがあり、高さのある家具を置きたい場合は特に、設計前に寸法の確認が必要です。もしくは、通常の工法よりも空間がスッキリとする「逆梁工法」や「逆梁アウトフレーム工法」などを採用するという手もあります。
工事をする際の注意点
工事の際は、柱の位置をしっかりと揃える必要があります。ラーメン構造は梁と柱で建物を支える構造で、柱の位置がズレると梁の強度が下がり、建物にかかる荷重を支えきれなくなるためです。
また、柱の位置が揃っていないと建物自体に歪みが生じやすくなり、耐震性が低下するリスクもあります。たとえば地震が発生した場合、正常に建てられた建物よりも歪みやすくなるため、損傷や亀裂の入るリスクが高まります。
このように工事の際は、建物に十分な強度を持たせるため、柱の位置を揃えることが重要なのです。
コスト管理の注意点
ラーメン構造を用いる際は、建設にかかるコスト管理にも注意しなくてはなりません。ラーメン構造に使われる梁や柱の大きさがブレース構造と比べると大きくなりやすいためです。
大きな柱や梁を用意するためには、その分材料費も高くなります。また、大きい部材を用いることで建物全体が重くなることから、大規模な基礎工事や土地の地盤改良などが必要になりコストがより高くなる可能性もあります。
ラーメン構造を採用する場合は、通常よりも建設コストが高くなりやすいことを覚えておきましょう。
まとめ:ラーメン構造は将来的に改装したい人におすすめ

まとめ:ラーメン構造は将来的に改装したい人におすすめ
ラーメン構造とは、柱と梁で枠を作って建物全体をささえる建築構造形式です。間取りの自由度が高く、リノベーションがしやすいといったメリットがあります。
一方で他の構造よりコストがかかる、室内に凹凸が目立ちやすいなどのデメリットがあるので注意が必要です。その他の構造との違いをチェックしたうえで、選択する必要があるでしょう。
どうしても実現したい間取りがあるか、将来的に改装を予定しているかなど、十分に検討することが重要です。メリットやデメリット、注意点など、紹介したラーメン構造の知識をぜひ役立ててください。
#ラーメン構造とは、#建物、#リノベーション

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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