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更新日:2025.01.20
登録日:2023.06.02
延べ床面積とは?建築面積・敷地面積との違いや含まれない部分を解説

物件探しをする中で、「延べ床面積」という用語を目にしたことがあるのではないでしょうか。延べ床面積は、建物の床面積をすべて合計した面積のことです。税金にも影響する重要な用語であるため、これからマンションを探している方はぜひ理解しておきましょう。
本記事では、延べ床面積や関連する用語について解説します。延べ床面積に含まれない箇所や、生活に必要な床面積、延べ床面積が坪単価に与える影響について解説しているので、マンション選びの参考にしてください。
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延べ床面積の基本

延べ床面積の基本
延べ床面積とは、建物の各階の床面積をすべて合計した面積のことで、居住スペースの広さを表す建築用語です。「延べ面積」や「建物面積」とも呼ばれます。
延べ床面積は、建物の売買価格・解体費用・登記にも影響する重要な指標となります。
すでに建設された建物の延べ床面積は、登記簿謄本で確認できます。建設中や建設予定の建物の場合は、住宅会社の担当者に聞きましょう。
まずは、延べ床面積の基本的な知識を紹介します。
延べ床面積の定義と計算方法
延べ床面積は、建物の各階の床面積の合計を表す数値です。2階建ての住宅の場合、1階と2階の床面積を合算して計算し、マンションであれば「マンション各階の床面積の合計」で延べ床面積を求めます。
延べ床面積を測定する際は、部屋の広さだけではなく、トイレや風呂、廊下、玄関、階段なども対象です。
ただし、床面積は居住目的として利用されているエリアを対象としており、地下室や屋根裏などは含まれない場合があります。
固定資産税における延べ床面積の意味
延べ床面積の広さは、住宅を所有すると毎年発生する固定資産税へ影響を与えます。固定資産税とは、土地や建物などの資産価値によって納める税金のことで、延べ床面積が広いほど固定資産税の価格も上がります。
新築住宅には延べ床面積84.7坪以下であれば、軽減措置が用意されています。逆に、延べ床面積が84.7坪以上になると固定資産税が高くなるので注意が必要です。
固定資産税の軽減措置については以下をご確認ください。
※軽減措置の適用期限:令和8年3月31日(国土交通省)
延べ床面積と混同しやすい面積の種類

延べ床面積と混同しやすい面積の種類
建物の面積を表す用語の中には、延べ床面積以外にも4つの用語があります。
・建築面積
・敷地面積
・施工面積
・床面積
似た用語ですが、それぞれが異なる面積を表す数値です。違いがわかると物件情報を取得しやすくなり、部屋選びの役に立つでしょう。一つずつの用語を解説するのでチェックしてみてください。
建築面積
建築面積は「建坪(たてつぼ)」とも呼ばれ、建物を真上から見たときの面積のことです。
延べ床面積との違いは、各階の床面積の合計を表す延べ床面積に対して、建築面積は1つのフロアの面積を指します。また、吹き抜けは延べ床面積には含まれませんが、建築面積には含まれるなどの違いがあります。
建築物の多くは一階部分がもっとも広いため、「建築面積=一階の総面積」になる場合が多いです。一階より二階の面積が広い場合は、二階部分の面積が建築面積となります。屋上部分は、建築面積には含まれません。
マンションの場合、建築面積に階数をかけることで、延べ床面積の数値を求めることができます。
敷地面積
敷地面積は「土地全体の広さ」を表す用語で、土地面積とも呼ばれます。
敷地面積は、建築面積と同様に、土地を真上から見たときの面積のことです。
敷地面積は真上から見て計測するため、土地の高低差や斜面が考慮されません。とくに斜面に建つ物件や高低差のある土地は、実際の床面積より狭くなる傾向があります。
建築面積や敷地面積は、登記簿謄本や建物購入時の重要事項説明書から確認できます。
敷地面積に対する建築可能な面積の割合を「建ぺい率」といい、所有する敷地に建てられる建築面積を求めることも可能です。
例えば建ぺい率60%の場合、100㎡の敷地には最大60㎡の建物が建てられる計算になります。
施工面積
建築面積や敷地面積とは異なり、施工面積は公的な法律用語ではありません。「実際に工事を行った(施工した)面積のこと」を施工面積といいます。
施工面積とは、建築基準法などの公的な法律用語ではなく、住宅会社や建築業者が使用する独自の指標です。「実際に工事を行った(施工した)面積のこと」を指します。
一方、延べ床面積は建築基準法で定められた公的な面積指標です。建物の各階の床面積を合計した総面積を指し、建築確認申請や不動産登記の際の基準となります。床のない吹き抜け部分やバルコニーは原則として床面積には算入されません。
この違いから、同じ建物でも施工面積は延べ床面積より大きくなります。例えば、延べ床面積100㎡平方メートルの建物でも、バルコニーや吹き抜けなどを含めた施工面積は120㎡になるといった具合です。
重要な注意点として、施工面積には標準的な算出方法が定められておらず、工務店やメーカーによって計算方法が異なります。
鑑定士コメント
複数の業者の提案を比較をするときに、坪単価が目安になりますが、坪単価に使われるのは施工面積・延べ床面積どちらかにより数字が変わってきます。しかし、坪単価の算出方法には、明確な決まりがないというのが実情です。施工面積と延べ床面積のどちらを使うかは、住宅会社によって異なるので、算出方法を確認すると良いでしょう。また、施工面積は延べ床面積より大きな値であるため、施工面積を使って算出した坪単価は安くなることも覚えておいてください。
床面積

床面積
床面積は、各階の床の面積を表す用語で、柱や壁に囲まれた部分を真上から見たときの面積です。
延べ床面積は、不動産登記法と建築基準法でそれぞれ定義が異なるため注意しましょう。一般的な住宅パンフレットに掲載する図面は、建築基準法で定義されている「壁芯(へきしん)面積」を採用しています。
壁芯面積とは、壁や柱の厚みの中心線に囲まれた面積のことです。壁や柱の厚みの半分が床面積に含まれ、実際の床面積より広くなります。
延べ床面積に含まれないもの

延べ床面積に含まれないもの
建物内のすべての面積が、延べ床面積に含まれるわけではありません。以下の6つは、延べ床面積に算定されないエリアです。
・ロフト
・吹き抜け
・出窓
・ベランダ・バルコニー
・外付け階段
・車庫・駐車場
同じ延べ床面積であっても、ロフトやベランダなどがある物件の方が広々と感じられます。快適に過ごせるマンションを選ぶために、延べ床面積に算定されない部分にも注目してみましょう。
ロフト
ロフトは「小部屋裏収納」と呼ばれ、衣服や寝具の収納や子どものための遊び場、寝室や書斎など、さまざまな利用方法があります。ロフトが延べ床面積に含まれないためには、次の3つ(※)の条件を満たしている必要があります。
・床から天井までの高さが1.4m以下
・ロフトの床面積が、設置された階の床面積の2分の1以下である
・固定されたはしごや階段が付いていない
延べ床面積に含まれないロフトを設置すれば、自然と天井高が高くなり部屋が広く見えるのもメリットです。
ロフトは多様な用途に利用できますが、建築基準法の制限によってロフト自体の高さが制限されているため、実際には物置や収納として利用する人が多いです。
※参照:建築基準法
吹き抜けと延べ床面積の関係
「吹き抜け」も、一般的には延べ床面積に含まれない箇所です。吹き抜けの一階部分は、延べ床面積に算定されますが、上階部分は床がないため延べ床面積には含まれません。
また階段は、設置されている階の床面積に含みますが、吹き抜けに面した階段の上階部分の床面積には含まれないなどの特例が存在します。
吹き抜けのある物件は、縦や横に広がった立体的な空間になるため、圧迫感がなく開放感を演出できます。吹き抜け部分に窓があれば、採光や風通しが良くなり、よりくつろぎやすい心地よい空間になるでしょう。
ただし、吹き抜けの部分にある渡り廊下などは、利用できる床として延べ床面積に含まれるので注意が必要です。
出窓
出窓は、奥行きを出すことで部屋を広く感じさせるメリットがあります。
建築基準法によると、次の基準(※)を満たす出窓は延べ床面積に含まれません。
・外壁から出ている部分の水平距離が50cm未満である
・床から出窓の下までの高さが30cm以上である
・見付面積の半分以上が窓である
しかし、以下のような場合は床面積に計上しなければならないので注意しましょう。
・室内の天井の高さ以上に出窓の天井が位置している
・出窓の一部が屋根と一体になっている
・出窓部分に地袋や収納スペースを作っている
出窓は、日光や風の通りを良くし、小物やインテリア、観葉植物を置くスペースとしても有効です。気になる物件に出窓があれば、基準を満たしているかどうかをチェックしてみましょう。
※参照:建築基準法
ベランダ・バルコニー
外壁から水平距離で2m以内に収まっているベランダやバルコニーは、延べ床面積に含まれません(※)。外壁から2mを超えた部分は、延べ床面積に算定されます。
雨や日差しから守る役割のある「庇」も同様に、2mまでは延べ床面積には入りません。
床面積に算入されるのは、室内的な用途で利用されるエリアです。専用の屋根がないバルコニーは、野外空間として認識され、床面積には含まれません。また、バルコニーが3方向の壁に囲まれていても、開放性があれば算入されることはありません。
2m程度のスペースがあれば、テーブルやチェアを置くことができます。家庭菜園やガーデニングをしたい方に適しているでしょう。
ベランダやバルコニーのあるマンションを見つけた場合は、外壁からの距離が2m以内に収まっているかチェックしてみてください。
※参照:建築基準法
外付け階段
外付けの階段も、延べ床面積に含まれない場所の1つです。室内にある階段は延べ床面積に含まれますが、屋外に設置された階段は延べ床面積の対象になりません。
延べ床面積に含まれない基準(※)として、次の2つがあります。
・階段の周長の2分の1以上が外部に開放されている
・階段の天井から手すりや壁までの高さが1.1m以上、かつ天井の高さの2分の1以上である
外付け階段を設置する場合は、雨天時の滑り止めや屋根の設置など、安全性への配慮も合わせて行いましょう。後付けは大幅な設計変更によって費用がかさむため、住宅の計画段階での検討が大切です。
※参照:建築基準法
車庫・駐車場
車庫や駐車場は、延べ床面積の5分の1を上限として床面積には算入されません。また、車を室内に格納するビルトインガレージも同様の広さ以内であれば、床面積から除外対象となります。
ビルトインガレージは、敷地面積が狭く駐車場の確保が難しい場合におすすめです。実際に車を格納しなくても、趣味を楽しむスペースや子どもの遊び場などにも利用できます。
生活に必要な延べ床面積の広さはどれくらい?

生活に必要な延べ床面積の広さはどれくらい?
物件探しでは、「どのくらいの広さを目安にして物件を選べばいいのか」と迷う方も多いでしょう。家族構成やライフスタイルによって、必要な広さは異なるためです。
1つの目安として、国が公表する「世帯人数別の基本水準」や「都道府県別の平均延べ床面積」を紹介します。これらを参考に、必要な物件の広さを確認しましょう。
世帯人数別の基本水準とは
厚生労働省の発表によると、住生活に必要な居住面積は、以下の表(※)のようになります。
※横にスクロールできます。
【】の数字は、3〜5歳児が1名いる場合
最低居住面積水準とは、「健康で文化的な生活を送る上で必要最低限の居住面積のこと」です。生活に困らない広さがあれば十分と考える方は、最低居住面積水準を目安にしましょう。
一方、誘導居住面積は、多様なライフスタイルを想定した場合に必要な居住面積のことです。子どもが遊ぶための広いスペースや、趣味のためのスペースが必要な場合は、誘導居住面積が目安となります。
居住地域が「都市部」の場合と「都市部以外」の場合でも、必要な面積は異なります。上記の表から世帯人数やライフスタイルに合わせて、目安となる面積を確認しましょう。
たとえば家族3人で郊外に住み、子どものためにゆとりのある大きさの物件に住みたい場合は、誘導居住面積水準の一般型である「100㎡」を目安にします。
※参照:厚生労働省
都道府県別の平均延べ床面積
都道府県によっても建物の大きさに違いがあります。都道府県別の平均延べ床面積を大きさ別に分類したので、居住予定の都道府県の数値をチェックしましょう。
※横にスクロールできます。
平均延べ床面積の最小は東京都(65.90㎡)、最大が富山県(145.17㎡)となりました。平野部が広い都道府県ほど延べ床面積が多い傾向にあります。また、東日本の日本海側に位置する県は、平均値が高くなっています。
都道府県ごとの正確な数値を知りたい方は、国土交通省の令和4年度 住宅経済関連データにある「一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」をチェックしてみてください。
※参照:国土交通省
延べ床面積が坪単価に与える影響

延べ床面積が坪単価に与える影響
延べ床面積が坪単価に与える影響は以下の2つです。
・延べ床面積当たりの建築費用相場
・面積による価格の変動
それぞれ解説していきます。
延べ床面積当たりの建築費用相場
坪単価は、建物の価格を一坪あたりに換算した価格のことで「建築費用÷延べ床面積」で計算します。住宅を建てる際の総費用を考える場合は、諸経費や土地購入費などを計上しなければなりません。
建築費用は地域や工務店、ハウスメーカー、施工方法などによって異なりますが、一例として延べ床面積当たりの建築費用相場の実例をご紹介します。
※坪単価は小数点切り捨て
実際の実例を見ると分かるように、延べ床面積がほとんど同じでも建築費用によって坪単価が大きく変動します。また、延べ床面積が小さくなるほど坪単価が上がる傾向があります。
面積による価格の変動
延べ床面積が小さくなるほど坪単価が高くなるのは、面積にかかわらず必要不可欠な設備の導入があるからです。例えば、延べ床面積が大きくても小さくても、トイレやキッチン、バスルームは生活に欠かせません。
また、建築時の人件費や資材の運搬費なども、延べ床面積に比例して高くなるわけではありません。そのため延べ床面積が小さくなると坪単価が割高になってしまいます。
少しでも費用を抑えたい場合は、不要な部屋を省いて小さくシンプルな建物にしたり、導入する設備のグレードを抑えたりなどの方法が有効です。
鑑定士コメント
不動産を購入すると、固定資産税や不動産取得税が発生します。これらの税金額は、延べ床面積の大きさがまずは影響してきます。しかし、各税金には減額措置があるため、必ずしも必ずしも延べ床面積が広いほど税金が上がるとは限りません。購入したい物件が減税の対象になるかどうかは、国土交通省ページにある「住宅等の取得に利用可能な税制特例」をチェックしましょう。
まとめ:延べ床面積を理解してマンション選びに役立てよう

まとめ:延べ床面積を理解してマンション選びに役立てよう
延べ床面積や関連する用語について理解することで、マンション選びをスムーズに進められます。ロフト・出窓・ベランダ・バルコニーなどの延べ床面積に含まれない箇所がある物件の場合、価格を上げずに広々とした空間で過ごせるでしょう。
また、延べ床面積の大きさ次第で税金額が変わったり、減税措置の対象になったりします。この記事を参考に、ライフスタイルに合うマンションを見つけましょう。
#延べ床面積、#住宅、#バルコニー、#建築基準法

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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