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更新日:2025.04.24
登録日:2025.04.24
火災報知器の種類の基礎知識|選び方の前に押さえるポイントを紹介

「火災報知器はどのような種類がある?」
「我が家に合った火災報知器が知りたい」
「火災報知器の選び方のポイントって?」
火災の発生を素早くキャッチして警告し、初期消火や早期避難をうながす火災報知器は、命を守る重要な設備です。
火災報知器の重要性は理解していても、どのような種類があるのかよく分からない人もいるでしょう。本記事では、火災報知器の種類や、設置場所による向き不向き、選ぶ際のポイントなどを解説します。
火災報知器の設置を検討している人はぜひご覧ください。
【この記事でわかること】
・火災報知器の種類は大まかに3種類あり、それぞれ設置する場所や用途が異なる
・住宅用火災報知器は「煙感知式」「熱感知式」があり、設置する場所によって適切な種類が違う
・火災報知器の正しい設置は、火災を早期発見して命や家財を守ることにつながる
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火災報知器は大まかに3種類ある

火災報知器は大まかに3種類ある
火災報知器の種類は大きくわけて以下の3種類があります。
・住宅用火災報知器
・自動火災報知設備
・特定小規模施設用
住宅用火災報知器は、主に住宅に設置する火災報知器です。火災による煙や熱に反応して警告音で知らせてくれます。仕切られた部屋や就寝中でも火災に気付き、素早い避難につながります。
自動火災報知設備は、感知器が火元を早期に検知して、発信機で警告音を発することで、建物全体に火災の発生を警告する設備です。マンションやアパートなどの共同住宅に設置されています。
特定小規模施設用は、無線式でひとつの火災をすべての感知器に連動させられます。大規模な設置工事が不要な点がメリットで、延べ面積が300m²未満の小規模施設に設置可能です。
鑑定士コメント
火災報知機の設置が義務化されたのはなぜでしょうか?近年、火災による死者数の増加が問題視されたためです。死亡者の多くは火災に気付くのが遅くなり、逃げ遅れたことが原因とされています。高齢化が進む中で火災にいち早く気付くために火災報知器の設置が義務化されました。
住宅用火災報知器の種類

住宅用火災報知器の種類
住宅用火災報知器の種類は以下の2つです。
・煙感知式
・熱感知式
煙で火災を察知するタイプと、熱で感知するタイプの特徴を理解して、自分の家に合った報知器を選ぶことが重要です。
煙感知式
煙感知式は、火災の煙を素早く感知し、警報音で知らせてくれるタイプです。煙の発生を感知器がキャッチすると大きな警告音で知らせます。
消防法令により住宅への設置が義務付けられているのは煙感知式の火災報知器です。これは火災時に炎より先に煙が発生するためです。
熱感知式
熱感知式は、報知器の周辺温度が一定を超えたときに火災を検知して知らせます。蒸気や煙が滞留しやすい台所や車庫など、煙感知式の設置が向いていない場所に適しています。
市町村の火災予防条例で報知器の設置が義務付けられていれば、導入することが可能です。
自動火災報知器の種類

自動火災報知器の種類
自動火災報知器の種類は以下の3種類です。
・煙感知式
・熱感知式
・炎感知式
それぞれの特徴をご紹介します。
煙感知式
煙感知式は主に天井に設置され、火災による煙を感知する報知器です。煙を感知する方式の違いによって「光電式スポット型感知器」「光電式分離型感知器」の2タイプに分けられます。
光電式スポット型感知器
光電式スポット型感知器は、煙によって発光部の光が乱反射し、光の反射を受光部がキャッチすることで火災を感知します。
粉じんや埃が多い場所では、誤作動を起こすことも少なくありません。製品によっては、煙の流入部分を小さく設計することで埃や虫などの侵入を防ぎ、誤報を低減する対策をとっています。
光電式分離型感知器
光電式分離型感知器は、受光部と送光部の間で目には見えない光ビームを出し、その光ビームが煙によって遮られることで火災を感知します。
ホールや体育館のような天井高があり広い空間に適している感知器です。
熱感知式

熱感知式
熱感知式は、火災による熱の発生を感知する方式によって「差動式スポット型感知器」「定温式スポット型感知器」の2タイプに分けられます。
差動式スポット型感知器
差動式スポット型感知器は、火災で急激に上昇した周辺温度による内部の空気膨張を感知します。温度の上昇を感知するため、火災を感知する温度は一定ではありません。徐々に温度が上昇した場合は、リーク孔と呼ばれる通気口から空気が出ていくため、火災とは感知されません。
差動式スポット型感知器は一般的にドームのような形状をしていて、取り入れやすい価格帯の製品が多いのが特徴です。
定温式スポット型感知器
定温式スポット型感知器は、周辺温度が一定の温度以上になったときに火災を感知します。周辺の温度上昇によって感知器内部の素材が歪むことで、火災の発生をキャッチする仕組みです。
一定以上の温度まで検知しない定温式は差動式より火災を検知するスピードが遅れる傾向があります。温度変化が大きく差動式の設置が難しい場所に向いています。
炎感知式|紫外線式炎感知器・赤外線式炎感知器

炎感知式|紫外線式炎感知器・赤外線式炎感知器
炎感知式は、炎を感知する方式によって以下の2タイプに分けられます。
・紫外線式炎感知器
・赤外線式炎感知器
火災によって生じる炎には、目に見える部分以外に紫外線や赤外線が含まれています。炎感知式は火災の発生によって紫外線や赤外線の量に変化が生じることで火災を検知する仕組みです。
紫外線式炎感知器は、炎から放射される紫外線を検出する方式です。感知部に金属の光電効果とガス倍増効果を利用し、紫外線域のみに感度を有するセンサーを設けています。太陽光が大気中で吸収されて地表に届かない波長帯を監視するため、太陽光による誤警報を抑える効果があります。
赤外線式炎感知器は、炎から放射される赤外線を検出する方式です。紫外線式に比べて感度は劣るものの、50〜100cm程度の炎であれば高い確率で感知できます。
炎感知式は、劇場やトンネル、百貨店など天井高のある場所に設置されることが多いです。
マンションの火災報知器については、以下の記事でくわしく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
火災報知器の役割

火災報知器の役割
火災報知器は、火災にいち早く気付き、大切な命や家財を守る役割があります。火災報知器の設置効果として、寝室で寝たばこをしてしまったが、火災報知器の作動によって目が覚め、早期に消火できた一例があります。
このように住宅や施設などは様々な要因で火災につながる可能性があります。中でも、住宅では就寝中のため火災に気付かなかったり、暖房器具が火元になったりするケースも少なくありません。
火災報知器は、いち早く火災の発生をキャッチし音や音声で警告することで、初期消火や早めの避難につながります。
このことから火災報知器の重要性が認知されるようになり、住宅では2011年から新築や中古に関わらず火災報知器の設置が義務付けられました。(※)
※参考:国民生活センター
火災報知器義務については以下の記事で詳しくご紹介しています。設置する場所や条件、罰則の有無などを解説しています。
火災報知器設置義務とは?場所・住宅タイプ別の条件や罰則を紹介
【設置場所別】火災報知器の使い分け方

【設置場所別】火災報知器の使い分け方
火災報知器は設置する場所によって向き不向きがあるため、上手に使い分けることが重要です。住宅内の設置場所別に向いている火災報知器を紹介します。
・寝室・居間
・台所
・車庫
・火災報知器を設置するときの注意点
ひとつずつ解説していきます。
寝室・居間
寝室や居間には、火災の発見が早くできる煙感知式の火災報知器を設置するのがベストです。睡眠中やリラックスしている時は、火災に気付きにくく、避難が遅れがちになります。
煙感知式は煙を素早くキャッチし、大きな警報音で知らせてくれるため、早い段階で避難できるでしょう。
消防法でも、寝室や寝室がある階の階段には煙感知式を設置することが義務付けられています。寝室がある階の階段には取り付ける必要があるなど、住宅環境に沿った取り付けが必要なため、住宅の階数や部屋数に合わせることが大切です。
家族みんなが過ごすリビングも煙感知式を取り付けておけば、安心して過ごせます。
台所
台所は煙や湯気が日常的に発生しやすいため、誤報が少ない熱感知式の火災報知器を設置するのがおすすめです。料理の湯気や油煙を煙感知式が感知すると、火災ではないのに警報が鳴ってしまうことがあるからです。
しかし、揚げ油の火災でもみられるように、炎が上がる前に煙が発生するため、煙感知式の方が早く火災に気付けるケースもあります。
揚げ物など油を使った料理が多い家庭では、煙と一酸化炭素も検知できる複合型の火災報知器を選ぶのも効果的です。
車庫
車庫には、熱感知式の火災報知器を設置しましょう。
車庫では車の排気ガスやホコリ、湿気が溜まりやすく、煙感知式だと火災以外で警報が鳴ってしまうことがあります。熱感知式の中でも、一定の温度を超えると作動する「定温式スポット型感知器」を選ぶのがおすすめです。
車のエンジン熱や夏場の高温で誤作動しないように、設置場所にも注意しましょう。正しく設置すれば、安心して車庫を利用できるでしょう。
火災報知器を設置するときの注意点
火災報知器は取り付ける場所のスペースや選択した報知器の種類によって、適切な取り付け位置が異なります。
主に火災報知器は天井や壁に設置しますが、中でも天井に取り付ける場合は壁や梁から適度に離れた場所に取り付けます。
設置する火災報知器によってそれぞれ注意点が違うため、ご自身で取り付ける場合は必ず事前に取り扱い説明書を確認しましょう。
また、天井への取り付けは高所作業になり、転倒のリスクも考えられます。安全確保を行い、無理のない作業内容で設置を行ってください。
以下はマンションに関するお役立ち情報です。無料でダウンロードできますので、ぜひこちらもご覧ください。
火災報知器の種類を選ぶときにチェックしたいポイント

火災報知器の種類を選ぶときにチェックしたいポイント
火災報知器の種類を選ぶ時は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
・感知方式
・警報音
・電源
・作動方式
住宅の場合、設置が義務付けられているのは煙感知式の火災報知器ですが、設置場所によって適切に選択する必要があります。
設置環境が合っていないなどの不具合を起こさないためにも、導入する環境に合った火災報知器を選びましょう。
感知方式
火災報知器の種類を選ぶ際は、まず感知方式を選択します。一般的に住宅に設置する火災報知器は、煙の発生を検知する煙感知式を選択すれば問題ありません。
しかし、台所や車庫のように日常的に煙や蒸気が発生しやすい場所では、煙感知式を設置すると誤報が起きる可能性も考えられます。
設置場所に煙や蒸気が滞留しやすい場合は、熱感知式の火災報知器を選択しましょう。
ただし、東京消防庁では熱感知式より煙感知式の方がより早く火災を検知できる側面から、台所でも煙感知式を推奨しています。(※)
火災報知器の感知方式の選択で迷った場合は、自治体の推奨する方式を確認しましょう。
※参考:東京消防庁
警報音
火災報知器によって警報音が異なるため、聞き取りやすいものを選ぶとよいでしょう。
警報音の一例として、男女の音声と光で交互に警告したり、聞き取りやすい音と光で警告したりする報知器があります。
火元の火災発生をすべての火災報知器に連動して鳴動させるシステムを導入すれば、住人が各部屋にいてもすぐに避難することが可能です。
他にも、屋外警報装置といって火災発生をインターホンなどを通じて屋外に知らせることもできます。高齢世帯で万が一のときに近隣住人の協力が必要な場合に便利です。
電源
火災報知器の電源は以下の2タイプがあります。
・電池式
・AC100V式
電池式は配線工事が不要なので、専門知識がなくても自分の手で設置できるのが最大のメリットです。既存の住宅に導入予定で、新たな設置工事が難しい場合などに向いています。
電池式のデメリットは、電池が寿命を迎えると作動しなくなる点ですが、近年では電池の寿命が延びており、頻繁に交換する必要がありません。また、火災報知器の種類によっては、電池切れを音声で知らせてくれる機能も備わっています。
一方、AC100V式は一般の家庭用電源を使用する方式のため、電池式のように交換する必要がなく継続的に使用できるのがメリットです。
ただし、設置には専門業者による電気工事が必須なので、自分で設置することはできません。新築やリフォームを検討している場合は、AC100V式の火災報知器がおすすめです。
作動方式
火災報知器の作動方式は、以下の2つがあります。
・単独型
・連動型
単独型は火災を検知した報知器のみが警告音を発生させる方式です。シンプルな機能なので手に取りやすい価格で手軽に設置できる特徴があります。
連動型はひとつの火元に対して設置しているすべての報知器が連動して警告します。2階や3階建ての住宅のように、一ヵ所の警報音では届きにくい場合、逃げ遅れを防止するためにも連動型を選ぶといいでしょう。
鑑定士コメント
火災報知器の誤報・故障を防ぐためにどんなことをすればよいでしょうか?まずは定期的な点検やメンテナンスを行いましょう。埃や汚れなどを取り除いたり、電池の残量を確認したりなど、ご自身で点検できる項目はいくつもあります。定期的な点検で不具合が見つかった場合は、できるだけ早く修理や交換の依頼を行うことも大切です。
まとめ:火災報知器を正しく設置して住居の安全を守ろう

まとめ:火災報知器を正しく設置して住居の安全を守ろう
火災報知器の種類は、設置する場所の環境によって住宅用火災報知器、自動火災報知設備、特定小規模施設用などの種類があります。
それぞれの種類の特徴や向いている設置場所などが異なるため、火災報知器を選ぶ前に適切な基礎知識を理解することが大切です。
住宅は消防法によって火災報知器の設置が義務付けられているため、大切な家族や家財を守るためにも設置場所によって正しく使い分けましょう。
#火災報知器 種類 #感知器 #防災

不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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