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更新日:2024.01.23
登録日:2024.01.23
外壁塗装工事の耐用年数は?劣化を見分けるポイントも解説
外壁塗装工事は、建物を長持ちさせるために必要な工事です。定期的に行う必要がある外壁塗装工事ですが、耐用年数がどれくらいなのか気になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、外壁塗装工事の耐用年数はどれくらいか、塗料ごとや外壁材、防水工事の耐用年数について解説します。外壁工事の耐用年数を見分けるポイントや長持ちさせる方法、減価償却についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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外壁塗装の耐用年数は10〜20年
外壁塗装の耐用年数は10〜20年
ひとえに外壁工事といっても、外壁の状態などに合わせてさまざまな工事を行います。その中でも、外壁全体に塗装を施して外観や防水性などを高める外壁塗装は、もっともメジャーな外壁工事です。
外壁塗装には耐用年数があり、塗料や外壁材によって異なりますが一般的には10~20年程と言われています。外壁塗装では、塗装が外壁を保護できる期間を耐用年数と呼びます。
塗料や外壁材そのものの性能のほかにも、塗料と外壁材の組み合わせや立地条件などによっても耐用年数は変わるでしょう。そのため、塗装の剥がれや雨漏りなどが発生した場合は、耐用年数に関わらず外壁工事を行う必要があります。
鑑定士コメント
耐用年数と耐久年数の違いはなんでしょうか?耐久年数という用語があり、これは各メーカーによって設定された製品の物理的寿命を指します。これに対し、耐用年数は法律に基づいて資産価値を持つ期間として定義された寿命を表しています。
塗料の外壁耐用年数
塗料の外壁耐用年数
外壁塗装に使用される塗料には多くの種類があり、それぞれ耐用年数が異なります。ここでは、一般的に使用される下記5つの塗料の特徴や耐用年数を解説します。
・ウレタン塗料
・シリコン塗料
・ラジカル塗料
・フッ素塗料
・無機塗料
ウレタン塗料
ウレタン塗料の耐用年数は8~10年程度と、塗料の中では長くはありません。
ウレタン塗料とは、ウレタン系樹脂を主成分とする塗料です。光沢のある塗膜が特徴であり、外壁に使用することで高級感が出ます。密着性や柔軟性にも優れているため、下地部分にひび割れなどが生じても塗膜まで影響が出にくいです。
ただし、ほかの塗料と比べてメンテナンス性は高いものの、耐久性・防汚性に劣っています。
シリコン塗料
シリコン塗料の耐用年数は、10~15年程度です。
シリコン塗料はアクリルにシリコン樹脂を混ぜた塗料ですが、シリコンの含有量によって耐用年数が異なります。シリコン樹脂の含有量が少ないと、耐用年数は短くなってしまうでしょう。
シリコン塗料は耐汚染性や光沢の保持に優れており、長期間綺麗な外観を保てます。コストパフォーマンスにも優れており、人気が高いです。一方で、塗膜が固くひび割れを起こしやすいというデメリットもあります。
ラジカル塗料
ラジカル塗料の耐用年数は12~18年程度と言われています。ただし、流通が始まったのが2012年と新しい塗料です。そのため、実際に耐用年数がどれくらいかは詳しくわかっていません。
なおラジカル塗料は、ラジカル制御型の酸化チタンを使用した塗料です。ラジカルとは、塗料に含まれる顔料に酸素や水、紫外線などが触れることで発生する劣化因子のことです。ラジカル塗料は、高耐候酸化チタンを加えることでラジカルを制御し、劣化しにくい塗膜を維持します。
フッ素塗料
フッ素塗料の耐用年数は15~20年程度と、ほかの塗料に比べて長い耐用年数を誇ります。価格は高いですが、性能が高くメンテナンスの手間も少ないため、トータルコストを抑えることができるでしょう。
そもそもフッ素塗料とは、フッ素を含んだ合成樹脂を主成分とした塗料です。耐久性に優れており、耐熱性・親水性・防水性が高いため外壁に適しています。
無機塗料
無機塗料の耐用年数は5~25年と幅が広く、有機物との配合によって耐用年数は大きく異なります。「塗料全体の何%が無機物であれば無機塗料である」などの定義がないため、中には質の悪い無機塗料もあるとされています。
無機塗料とは、無機物を配合して作られた塗料です。ガラスなどの無機物を想像するとわかりやすいでしょう。
無機物は紫外線などで劣化しないため高い耐久性を誇ります。とはいえ、無機物だけでは塗料として固すぎるため、実際には有機物を混ぜて使用します。
鑑定士コメント
塗装に使われる塗料には法定耐用年数はあるのでしょうか?外壁塗装に使われる塗料には、法定の耐用年数が設定されていません。そのため、外壁塗装の耐用年数は、塗料の性能が持続する期間を意味しています。
外壁材の耐用年数
外壁材の耐用年数
外壁塗装工事の耐用年数には、塗料だけではなく外壁材の耐用年数も関わっています。外壁材として主に使用されるのは「モルタル」と「サイディング」の2種類で、それぞれ耐用年数が異なります。
モルタルはおよそ30年、サイディングはおよそ40年です。どちらも塗料よりは耐用年数が長いですが、定期的なメンテナンスが欠かせません。モルタルは8~10年、サイディングは種類によって7~20年ごとにメンテナンスが必要です。
外壁防水工事の耐用年数
外壁防水工事の耐用年数
外壁防水工事については、耐用年数は定められていません。そのため、工事単体で耐用年数を算出することはできません。外壁防水工事の耐用年数は、外壁塗装と同様に使用する塗料などによって異なります。
また、法定耐用年数については工事を施した建物に準拠します。例えば、木造住宅であれば22年、鉄筋コンクリートのマンションであれば47年(※)です。
※参照:国税庁
外壁塗装の耐用年数を見分けるチェックポイント
外壁塗装の耐用年数を見分けるチェックポイント
外壁塗装の耐用年数を見分けるには、下記のポイントをチェックすることが大切です。
・ひび割れや剥がれがある
・サビが発生している
・チョーキングが出ている
それぞれのチェックポイントについて、詳しく解説します。
ひび割れや剥がれがある
ひび割れや剥がれは、視覚的にもわかりやすい外壁塗装の劣化です。ひび割れや剥がれが発生している場合、外壁塗装されてから長い期間が過ぎていることがわかります。
ひび割れ箇所から外気や雨水、虫が侵入してしまう可能性があります。また、剥がれがあると内部の外壁材の劣化が進んでしまう原因にもなるでしょう。
自然に修復することはないため、早めのメンテナンスが必要です。
サビが発生している
外壁の金属部分にサビが発生している場合、防水効果が弱まっている可能性があります。外壁塗装工事では、防水工事を行うことも多いですが、防水効果がなくなってしまうと浸水によるさまざまな劣化が発生します。
とくに金属部分のサビは目視でもわかりやすいため、金属部分にサビが発生していないか確認しましょう。サビが発生している場合は、防水効果が弱まるほど工事やメンテナンスから年数が経過している可能性があります。
チョーキングが出ている
外壁にチョーキングが起きている状態の場合、注意が必要です。
外壁のチョーキングとは、塗膜表面の樹脂が劣化して塗料に含まれる顔料が脱落する現象です。チョーキング状態の外壁は、手で触ると白い粉が指に付着するためわかりやすいでしょう。
雨風や太陽光にさらされる外壁は、どうしても劣化が進んでしまうためチョーキングは避けられません。しかし、チョーキングを放置しておくと、徐々に外壁の防水性能が低下して外壁が腐敗してしまいます。
外壁塗装を長持ちさせる方法
外壁塗装を長持ちさせる方法
外壁塗装を長持ちさせるには、下記の方法を取り入れることが重要です。
・定期的に外壁の清掃を行う
・耐用年数の長い塗料を使用する
・技術力の高い業者へ施工依頼をする
定期的に外壁の清掃を行う
外壁を定期的に清掃を行ってきれいに保つことが長持ちさせる方法の1つです。定期的に手入れすることで、ひび割れや剥がれなどの状態もすぐに見つけることができるでしょう。
外壁は外気にさらされているため、どうしてもほこりやチリなどが付着してしまいます。また、放置しているとカビや藻が発生してしまうこともあるでしょう。
外壁の劣化は避けられませんが、見つけ次第メンテナンスすることで長持ちさせることができます。
耐用年数の長い塗料を使用する
耐用年数が長い塗料を使うことで、外壁塗装の耐用年数を長くすることが可能です。工事のコストは高くなってしまいますが、メンテナンスのしやすさや耐用年数が長いことでトータルではそこまで大きな金額差が出ない場合もあります。
とはいえ、外壁は経年だけではなく外的な衝撃によってもひび割れや剥がれが発生する可能性があります。耐用年数が長い塗料であっても、定期的な清掃やチェックは欠かせません。
技術力の高い業者へ施工依頼をする
外壁塗装工事を技術力が高い業者へ施工依頼をすることも長持ちさせる方法です。
外壁塗装工事の技術が未熟な業者に依頼すると、塗料の効果が発揮できずに短期間で塗膜が剥がれてしまうこともあります。
業者を選ぶ際は、工事実績を確認して複数の業者に相見積もりを依頼しましょう。価格が適正か、見積書の内容が具体的かなどを確認することで、優良な業者かを見極めることができます。
外壁塗装は減価償却できる
外壁塗装は減価償却できる
外壁塗装は、減価償却が可能です。ただし、外壁塗装の目的によっては減価償却できません。ここでは、外壁塗装の減価償却について、下記の内容を詳しく解説します。
・外壁塗装は「修繕費」か「資本的支出」となる
・外壁塗装の減価償却方法
・国税庁が定める法定耐用年数
外壁塗装は「修繕費」か「資本的支出」となる
外壁塗装の税務上の計上方法には、下記の2つがあります。
・修繕費
・資本的支出
2つのうち、修繕費については減価償却できません。修繕費とは、経年などによって生じた劣化を補修する工事にかかった費用のことです。
外壁塗装工事において減価償却できるのは、資本的支出と判断される外壁塗装です。長寿命化のために高グレードの塗料を使用して外壁塗装を行うなど、建物の価値を向上させるために行なった工事の費用は資本的支出として計上します。
国税庁が定める法定耐用年数
法定耐用年数は国税庁が定めており、建物によって異なります。鉄筋コンクリート造のマンションでは47年ですが、木造住宅では22年(※)です。
外壁塗装を施した建物によって、減価償却を計算するための耐用年数や減価償却率が異なります。計算する際は、建物の種類や用途を確認しましょう。
※参照:国税庁
外壁塗装の減価償却計算方法
先述した通り、外壁塗装の耐用年数は塗装を施した建物に準拠します。そのため、減価償却においても建物の減価償却率などが採用されます。
鉄筋コンクリート造のマンションの場合、耐用年数は47年、定額法償却率は0.022(※)です。例えば、300万円で高グレードの塗料で外壁塗装を行った場合、減価償却の計算は下記のようになります。
300万円×0.022=66,000円
つまり、毎年66,000円を減価償却費として計上できます。
※参照:国税庁
まとめ:外壁塗装工事の耐用年数に厳格な決まりはない
まとめ:外壁塗装工事の耐用年数に厳格な決まりはない
外壁塗装そのものに耐用年数はなく、使用する塗料などによって耐用年数は異なります。外壁の経年を確認するには、ひび割れや剥がれ、カビの有無、チョーキングが出ているかなどをチェックすると良いでしょう。
外壁塗装の耐用年数は、環境などによっても左右されます。定期的な清掃や耐用年数が長い塗料の使用、技術力の高い業者に施工してもらうなどの方法で長持ちさせられるでしょう。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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