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更新日:2024.07.20
登録日:2023.09.21
自主管理とは?メリット・デメリットや行う前に押さえておきたいポイントを解説
マンションの管理方法には、管理会社に委託する方法以外にマンションの管理組合で行う「自主管理」という方法があります。自主管理にはさまざまなメリットがある一方でデメリットも存在するため、それぞれを把握したうえで管理方法を決めることが大切です。
本記事では、自主管理とはどのような管理方法か、やるべきことやメリット・デメリットについて詳しく解説します。自主管理から管理会社に委託する方法に変更できるのかについても説明するので、ぜひ最後までご覧ください。
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自主管理とは
自主管理とは
ここでは自主管理について、以下の2つの観点から解説します。
・自主管理の定義
・自主管理と委託管理の違い
マンション管理の際の参考にしてください。
自主管理の定義
自主管理とはマンションの管理方法のひとつで、オーナーや住民が自ら管理を行う方法です。マンション全体で自主管理を行う場合、管理組合が主体となって建物や設備などの共有部の保守や整備を行います。
マンションを自主管理するためには、マンションに関してだけでなく会計や事務手続きなどさまざまな知識が必要です。自主管理のメリット・デメリットの両方を把握し、住民全体で納得できる方法を選びましょう。
自主管理と委託管理の違い
マンションの管理方法には、自主管理のほかに委託管理があります。自主管理と委託管理の違いは管理者にあり、具体的な内容は以下のとおりです。
委託管理ではマンション管理を専門の会社に任せられるため、オーナーや管理組合の手間が省けたり、遠方のマンションも管理できたりするのがメリットです。住民からのクレーム対応や契約の締結・更新など、知識が無ければ難しい業務もスムーズに行えるでしょう。
ただし、委託管理は自主管理より費用がかかる点や、管理会社・担当者によって対応が変わる場合がある点には注意が必要です。
多くのマンションで委託管理が選ばれているのが現状ですが、マンションの状態によっては自主管理のメリットが大きい場合もあります。自主管理・委託管理それぞれの内容を理解して比較検討してみるとよいでしょう。
自主管理でやるべきこと
自主管理でやるべきこと
会社に委託せずに自主管理を行う場合、下記のような業務を管理組合で行う必要があります。
・建物や設備の定期点検
・定期清掃
・マンションの修繕計画
・管理費の徴収
・決算などの会計業務
・区分所有者や居住者の名簿作成
定期的な点検や清掃を業者に依頼する場合は、それぞれ業者の選定や発注を行う必要があります。また、上記はあくまで自主管理でやるべきことの一部です。やるべきことは多岐にわたり、マンションによって異なる場合もあります。
なお、第三者管理方式については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
第三者管理方式とは?3つの管理方式とメリット・デメリットを解説
自主管理マンションのメリット
自主管理マンションのメリット
自主管理マンションには、下記のようなメリットがあります。
・管理会社に委託するよりもコストがかからない
・マンション管理に対する意識が高まる
・住民間の交流が活発
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
管理会社に委託するよりもコストがかからない
自主管理の大きなメリットは、委託する場合よりもランニングコストが安いということです。会社にマンションの管理を委託する場合、委託の範囲にもよりますが管理費は割高になりやすいでしょう。
自主管理を行うことで、費用を抑えて各住民(区分所有者)の管理費の負担を削減できます。管理費が安いと、滞納などのトラブルが発生しにくくなるなどのメリットもあります。
マンション管理に対する意識が高まる
管理をすべて管理会社に委託すると、それぞれの住民のマンション管理に対する意識は高まりません。しかし、自主管理を行うことでそれぞれが管理を行う必要があるため、管理組合全体でマンション管理に対する意識が高まりやすいです。
管理に対する意識が高いと管理組合としての活動にも積極的になり、運営がスムーズになります。共有部の利用マナーの向上にもつながるでしょう。
住民間の交流が活発
自主管理することで組合活動が活発になるということは、住民同士の交流が活発になるということでもあります。住民同士の交流が活発になりコミュニケーションが増えることで、住民同士がそれぞれの家族構成や価値観、ライフスタイルなどを把握しやすくなるでしょう。
住民同士が顔見知りになってそれぞれの事情を知っていると、トラブルが起こりにくくなります。住民同士が密にコミュニケーションをとっていることで、孤独死や犯罪などの防止にもつながるでしょう。
自主管理マンションのデメリット
自主管理マンションのデメリット
自主管理マンションには、下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。
・理事会メンバーのなり手が不足する
・しっかり管理しないと資産価値が下がる
・管理の手間が増える
それぞれどのようなデメリットか、詳しく解説します。
理事会メンバーのなり手が不足する
自主管理は、委託に比べてやるべきことが多くなります。管理組合の負担も大きくなってしまうため、理事会メンバーになる人が減ってしまい不足するという状況になる恐れがあるでしょう。
また、理事会メンバーの入れ替わりが長期間ない場合、メンバーの高齢化によって継続が難しくなってしまいます。さらに高齢化に伴い、詳しい人がいなくなってしまう可能性があります。
管理に関する詳細が引き継ぎにくいため、さらに理事会メンバーになるハードルが上がってしまい、なり手が不足してしまうでしょう。
しっかり管理しないと資産価値が下がる
自主管理では、知識がないと正しい管理ができない恐れがあります。しっかり管理ができていないと、建物や設備の老朽化・劣化が進んでしまいマンションの資産価値が下がってしまう可能性があります。
また、建物や設備だけではなく、管理費の徴収や管理規約の徹底などの業務も資産価値に影響するでしょう。管理費の滞納によって費用が不足すると、正しい管理ができなくなってしまいます。管理規約が適切に設けられていないと、利用マナーが低下して資産価値が下がりやすいです。
管理の手間が増える
自主管理では、すべての管理業務を管理組合で行わなければなりません。会社に委託する方法に比べて管理費用は抑えられるものの、管理の手間は増えてしまいます。住民同士で協力して管理しなければならず、管理が負担になってしまうこともあるでしょう。
自主管理物件を購入する際の注意点
自主管理物件を購入する際の注意点
自主管理のマンションを購入する場合、購入前に確認すべきことと、購入後に気を付けることを把握しておきましょう。それぞれの内容について、詳しく解説します。
購入前に確認すべきポイント
自主管理マンションの購入を検討する際は、事前に管理状態をチェックしておくのがおすすめです。
管理が行き届いていないマンションは、建物内の清掃が不十分だったり劣化が放置されていたりする場合があります。検討時には、ゴミ置き場やエントランスの衛生状態や、外壁のひび割れなどに注目してみるとよいでしょう。
また、不動産取引の際に発行される「重要事項調査報告書」の内容も確認すべきポイントです。修繕積立金の残高や、家賃・管理費の滞納状況などがわかるため、金銭面の管理がきちんと行われているか確認しておきましょう。
購入後に気を付けること
自主管理マンションの購入後、管理組合がある場合はできるだけ積極的に活動に参加するとよいでしょう。組合員が増えればそれだけ管理組合の活動をスムーズに進めやすくなり、マンション管理も行き届きやすくなります。
また、近所づきあいにも気を配るのがおすすめです。自主管理の場合、ほかの住人とのトラブルが発生すれば、当事者間で解決しなければならない可能性があります。住人同士の関係性がある程度築けていれば、問題解決にも至りやすいでしょう。
さらに、住人一人ひとりがマンション管理への意識を高めることも大切です。管理規約を遵守したり設備を大切に扱ったりするなど、住人全体が意識することで管理状態を良好に保ちやすくなります。
鑑定士コメント
自主管理だと住宅ローンが組めないことがあるのでしょうか?住宅ローンの審査基準は銀行により異なります。扱える不動産の基準についても銀行により、例えば、定期借地権マンションは取り扱わない、築50年以上のマンションは取り扱わない、などがあります。自主管理のマンションについても、申し込み時の書面だけでは、実際の管理状況を詳しく把握するのが難しく、資産価値を判断できないため取り扱わない、という銀行もあります。購入したい物件は自主管理と判明した場合は、複数の銀行に相談しましょう。
自主管理物件を売却する際の問題点
自主管理物件を売却する際の問題点
自主管理のマンションを売却する際、以下3つのような問題点があるとなかなか買い手がつかないことが懸念されます。
・管理組合が機能していない
・管理の状態がよくない場合が多い
・大規模修繕の積立金が少ない
それぞれの内容について、詳しく解説します。
管理組合が機能していない
自主管理のマンションでは、管理組合が主体となって管理を行うのが一般的です。しかし、管理組合が機能していなければマンションをうまく管理できず、衛生面や金銭面で問題が発生しやすくなるでしょう。
なかには、そもそも管理組合が存在しないマンションもあります。管理組合が無ければきちんとメンテナンスが行われていないと捉えられ、売却がスムーズにいかなくなる可能性が高まるでしょう。
管理の状態がよくない場合が多い
自主管理のマンションは、前述のとおり管理状態がよくないケースも多いものです。たとえば、共用部分のゴミの散乱や外壁のタイルの剥がれなどが放置されていると、管理状態はよくないといえるでしょう。
そのほか、植栽の維持管理やポストの整理整頓ができていないなど、管理状態が反映されるポイントはさまざまです。マンションを売却するためには、細かいポイントまで管理が行き届いている必要があります。
大規模修繕の積立金が少ない
大規模修繕工事のための積立金が少ないマンションも、売却はしにくいでしょう。大規模修繕工事とは、マンションの経年劣化を補修するために定期的に行われる工事です。
大規模修繕工事の周期はマンションによって異なりますが、一般的には12年ごとに行います。それまでに住人から修繕積立金を徴収し、工事費用を貯めておかなければなりません。
大規模修繕の積立金残高が少なければ、今後の工事ができないことが予想できます。建物の状態だけでなく、金銭面の管理にも目を向けておくことが大切です。
鑑定士コメント
自主管理マンションは売れにくいのでしょうか?自主管理マンションでも、管理組合によりきちんと管理されているものもあれば、管理組合の実態が無いものまで様々です。自主管理マンションの中には、確かに売れにくい物件もあります。原因としては、管理組合がなかったり管理規約が定められていなかったりする場合、銀行によっては住宅ローンを組みにくい場合があります。直近の実際の売買が行われたケースがあるかなど、不動産会社にヒヤリングしてみるもの参考になります。
自主管理から委託に変更も可能
自主管理から委託に変更も可能
自主管理に不安がある場合は、委託管理への変更も可能なため検討するとよいでしょう。自主管理にはメリットもありますが、長期的にみると資産価値が下がるなどのリスクもあります。管理を専門家に委託すれば、管理組合の負担を減らせるのがポイントです。
委託管理に変更する際は、全部委託方式と一部委託方式のどちらにするかを決める必要があります。それぞれの意味は以下のとおりです。
全部委託方式では管理組合が請け負う管理業務が無くなるため、大幅に負担を減らせます。一部委託方式は、管理組合の業務が完全に無くなるわけではありませんが、全部委託方式よりコストを抑えられるのがメリットです。
管理組合の活動状況やマンションの管理状態を考慮して、どちらの方法がよいか決めるとよいでしょう。
まとめ:自主管理マンションの特徴を理解して管理方法を考えていこう
まとめ:自主管理マンションの特徴を理解して管理方法を考えていこう
自主管理マンションは、住民がマンションを管理するため、会社に委託するのと比べて管理費用が安いというメリットがあります。管理のために住民同士のコミュニケーションが増えることで、住民同士のトラブルや犯罪などを防ぐことにもつながるでしょう。
ただし、管理の手間が増えて住民の負担が大きくなるというデメリットもあるため注意が必要です。自主管理から委託に変更することも可能なため、自主管理マンションの特徴を理解したうえで管理方法を考えていきましょう。
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不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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