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更新日:2024.07.23
登録日:2022.08.24
マンションの管理組合とは?役員の役割やよくあるトラブルも紹介
「マンションの管理組合って何?」
「管理組合の役員の役割は?」
上記のような疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
マンションの管理組合は、入居者の住環境や資産価値を守る団体です。分譲マンションの購入者全員が組合員となり、住みやすい環境を整えるために活動しています。
この記事では、マンション管理組合の意味や役割を徹底解説。管理組合が存在するメリットや、よくあるトラブルと解決法も紹介します。自分に合った管理組合を見つけるポイントも知れるので、マンションの管理組合について知りたい人はぜひご覧ください。
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マンションの管理組合は住環境や資産価値を守るための団体
マンションの管理組合は住環境や資産価値を守るための団体
マンションの管理組合は、入居者が安全で快適に住める住環境を整えたり、マンションの資産価値を維持したりするうえで重要な組織です。そのため、管理組合はマンションの区分を所有している限り脱退できません。
以下では、管理組合を脱退できない理由や、マンション管理組合が不可欠である理由を解説します。
マンション管理組合は区分所有者である限りは脱退できない
マンション管理組合は、区分所有者である限り、区分所有権の譲渡を除いて脱退することができません。区分所有者がマンションの区分を購入することで、自動的に管理組合の一員になります。
区分所有法に基づき、建物全体の効率的な維持管理や運営を行うことを目的に、管理組合が自動的に形成されるためです。
加入が任意の自治会に対し、管理組合は特別な手続きをすることなく成立し、組合員への参加の拒否ができません。
ただし、区分所有権を売却することで管理組合を脱退することが可能です。賃貸として運用する場合は、物件を借りて入居した賃借人ではなく物件の所有者が組合員となります。
マンション管理組合の必要性
マンション管理組合の活動は多岐に渡り、大きく分けて「住環境を管理する業務」と「長期修繕計画に関する業務」を行うために必要です。
これらの業務は、住人が安全に気持ちよく暮らせるよう建物や設備を良好な状態に保持することや、資産価値の維持のために欠かせません。
例えば、「住環境を管理する業務」には防災機器やエレベーターなどの保守・点検・修繕、エントランスや共有部の清掃などが挙げられます。
「長期修繕計画に関する業務」の具体例は、長期にわたる修繕計画の見直しや策定、長期修繕に関する計画書の管理などです。
築年数が経ってもずっと快適で魅力的なマンションであるためには、しっかりとした管理が必要になります。管理組合はマンション管理を担う重要な組織です。
「マンション管理組合には入らなくてはいけないの?」と考えている人は以下も読んでみてください。
マンション管理組合に入りたくない!入らないでよい方法はあるの?
マンション管理組合の役割6つ
マンション管理組合の役割3つ
マンションの管理組合が担っている主な役割は、以下の6つです。
1.敷地や建物を管理する
2.管理費・積立金を管理する
3.管理規約を作成する
4.長期修繕計画の作成・変更
5.マンションのマナーやルールの周知
6.総会の運営
それぞれ詳しく解説します。
1.敷地や建物を管理する
マンションの管理組合は、敷地や建物の管理を行います。国土交通省が作成した「マンション管理標準規約」では、敷地と建物の管理について以下のように定められています。
・管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
・マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
・敷地及び共用部分等の変更及び運営
・組合管理部分の修繕
敷地や建物の整備から修繕、清掃まで管理組合の役割は多岐にわたることがわかるでしょう。
2.管理費・積立金を管理する
管理費・積立金を管理することも、管理組合の役割です。マンションの修繕や設備投資のための費用も、管理組合が管理せねばなりません。
国土交通省の「マンション管理標準規約」では、管理費・積立金の管理について以下のように定められています。
・修繕積立金の運用
・管理組合の消滅時における残余財産の清算
組合員から徴収した費用は、理事会が中心となって話し合い、運用方法を決めます。
修繕積立金の意味や相場、注意点などは以下で詳しく解説しています。
3.管理規約を作成する
管理規約を作成する
管理規約の作成も、管理組合の役割です。管理規約とは、国土交通省の「マンション管理標準規約」を基にした、マンション内で適用されるルールです。法律を基にマンションの現状を加味し、管理組合が作成します。
マンション管理規約で主に定められている事項は、主に以下の3つです。
1.共用部分の範囲や使用方法
2.管理組合の運営方法
3.災害時の対応
管理規約は自由に決められるものではなく、法律に基づいて作成する必要があります。管理規約があることで、マンション内の秩序が保たれています。
4.長期修繕計画の作成・変更
長期の修繕計画の作成や見直しも管理組合が行います。マンションを終の棲家と考える人は年々増えており、長期にわたるマンションの修繕計画は管理組合の重要な役割のひとつです。
修繕計画の作成・変更時には、意思決定を行ううえでの指針として、国土交通省の定めるガイドラインが用いられます。
具体的には、「長期修繕計画標準様式」や「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などです。
管理組合で集めた修繕積立金の使い方については、意思決定の場である「総会」で話し合われます。
5.マンションのマナーやルールの周知
マンションにおけるマナーやルールの周知も、管理組合が行わなくてはなりません。共同生活の場であるマンションでは、トラブル防止のために住人のマナーや管理組合運営に関するルールの制定が必須です。
マンションの基本的なルールは、区分所有法で策定されています。しかし、求められるルールはマンションによって異なるため、マンションごとの実情に則したルールである「管理規約」が必要です。
マンションの管理規約では、共用部分の使用方法や範囲、理事会の義務や権限など管理組合の運営において重要なことが定められています。
6.総会の運営
意思決定を行う総会の運営は、管理組合の任務です。上記で述べてきた、管理費や修繕積立金などのお金に関することや、規約の見直しなどを行う必要があります。
総会は、マンション生活における住民の最高意思決定機関といわれ、定期的に開催されます。
また、議決権総数の半数以上を有する組合員の出席によって成立しますが、やむをえず総会を欠席する場合は代理人に決議を委ねることも可能です。
マンションの管理組合のメリット3選
マンションの管理組合のメリット3選
マンションの管理組合が存在する主なメリットには、以下の3つがあります。
1.マンションで快適に住める
2.マンションの資産価値が安定する
3.所有者同士のトラブルを抑えられる
安心してマンションに住むためにも、管理組合に加入するメリットを知りましょう。それぞれ詳しく解説します。
1.マンションで快適に住める
管理組合があると、マンションに快適に住めるでしょう。マンションは一軒家と違い、多くの人が住んでいます。生活スペースは区切られていますが、通路やエントランスなど共用スペースがあるため、管理する人が必要です。
管理する人がいない場合、住民が好きなように振る舞い、他の住民が迷惑する可能性があります。
管理組合が管理すれば、共用スペースの使用方法・清掃の共通ルールができるため、快適に生活できます。
2.マンションの資産価値が安定する
管理組合があることで、マンションの資産価値の安定につながります。マンションの資産価値を守るには、定期的なメンテナンスと必要に応じた修繕が必要です。
管理組合の役割の一つに、建物のメンテナンスや修繕があります。個人で建物全体の資産価値を守っていくことは、簡単ではありません。
管理組合があることで、自分の資産の価値を守ることもできます。
3.所有者同士のトラブルを抑えられる
所有者同士のトラブルを抑えられる
住民同士のトラブルの仲裁をするのが、管理組合です。共通ルールである管理規約があったとしても、さまざまな人が住んでいるマンションでは、トラブルが発生することはあるでしょう。
トラブルが起きた際は、管理組合が中立の立場で仲裁すれば、解決できたり事態の悪化を防げたりします。
また、マンションの建て替えや大規模な修繕の是非を問う場面では、住民同士の意見がぶつかることもあるでしょう。そんなときは、管理組合、特に理事会を中心に多数決のような民主主義的な合意形成を図ります。
管理組合で役員になったときに知っておくべき4つのこと
管理組合で役員になったときに知っておくべき3つのこと
管理組合の役員になった時に知っておくべき事項は、以下の4つです。
1.役職ごとに立ち回りが変わる
2.理事長に選ばれても断ることは可能
3.役員になっても報酬は得られない
4.管理組合によって活動頻度が異なる
管理組合は住人で構成される以上、自分が役員に選ばれる可能性はあります。いざ役員になったときに知っておくべき内容を把握しましょう。
1.役職ごとに立ち回りが変わる
管理組合の役員は、役職ごとに立ち回りが変わります。役職ごとの主な職務内容は、下記の通りです。
役職それぞれに役割が設定されており、役員は任された業務をまっとうせねばなりません。
認識しておくべき点は、あくまでも役員は管理組合の代表であり、決議には組合員の合意が必要なことです。役員になれば自分の好きなように規則を決められない点には、気を付けましょう。
鑑定士コメント
マンション標準管理規約の第30条に「組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。」と規定されています。役員以外の一般の組合員は、管理組合の決定に関して投票が出来ます。
しかし、現実には委任状を出して理事会に決定を任せていることが大半です。これでは大きな金額を出して購入したマンションに対して、資産価値の責任を放棄しているようなものです。
自分たちが納めている修繕積立金や管理費の使い道にかかわることもあるので、自分の資産は自分で守るという意識で、積極的に意見を表明することが大切です。
2.理事長に選ばれても断ることは可能
管理組合の理事長に選ばれても、断ることはできます。しかし、基本的には引き受けるべきでしょう。
役員を決める際は、公平性を担保するために輪番制度を採用しているマンションが多い傾向にあります。管理組合の公平性・公正性を保つためにも、できる限り引き受けてください。体調不良といったやむをえない理由がある場合には、事情を説明するとスムーズに辞退できるでしょう。
役員になればいずれ理事長も回ってくるもの。自分がマンション管理組合の理事長になったら、どんな役割を担うのかは事前に確認しましょう。
鑑定士コメント
輪番制や、立候補制、推薦制があります。輪番制は、管理組合に対する意識を強く持ってもらうためには、すべての区分所有者が一度は役員を体験してもらうのが望ましい側面があり、新築マンションでは最初に採用されることが多いです。
しかし、年数が経過するうちに住民の構成も変わり、輪番制では上手くいかないケースが出てきます。そのときは、立候補制や推薦制を検討すると良いでしょう。立候補制や推薦制は、マンションの管理に意識の高い人が選ばれるため、総会における意思形成が容易に進みやすい側面があります。
3.役員になっても報酬は得られない
役員になっても報酬は得られない
多くの場合、管理組合の役員になっても報酬は得られません。役員は輪番制で回ってくるため、基本的には納得の上、無報酬で活動します。
しかし、役員に報酬を支払うかどうかは、マンションごとに管理組合の規約で定められます。理事会で組合員の合意を得られれば、報酬を受け取りながら役員を担うことは可能です。
少数ではありますが、実際には役員報酬を設けている管理組合もあります。
4.管理組合によって活動頻度が異なる
活動頻度は管理組合によって異なる点には注意が必要です。多くのマンションでは月に1回~数か月に1回の頻度で理事会を開き、問題点の確認や情報共有などを行います。
例えば、管理業務の一部を管理会社へ委託している場合には、共用部の点検・清掃や会計管理など日常業務の大部分を担ってもらうことが可能です。したがって、役員に選ばれたとしても毎日業務に追われる心配はありません。
一方で、自主管理の場合は自分たちで対応する分野が増えます。管理組合の活動頻度を知りたい場合は、マンションの管理規約などで確認しましょう。
マンションの管理組合でよくあるトラブルと解決策
マンションの管理組合でよくあるトラブルと解決策
マンションの管理組合でよくあるトラブルと、解決策を紹介します。管理組合でよくあるトラブルは、以下の3つです。
1.理事会が役目を果たさず住環境が悪化している
2.役員の仲が悪く理事会で議論が進まない
3.居住者同士のトラブルを管理組合が解決しない
マンションを良くするための管理組合が、トラブルを起こしては本末転倒です。それぞれ詳しく解説します。
1.理事会が役目を果たさず住環境が悪化している
理事会が役目を果たさずトラブルになるケースです。管理組合の役員に選出されたら、責任をもって役割を果たす義務があります。組合の運営を行う理事会が決められた業務を行わないと、住環境が悪化してしまうでしょう。
理事会が役目を果たさない場合は、組合員が理事を解任できます。区分所有法にも、総会の決議を経て理事の解任ができることが規定されています。
理事会だけでなく、組合員全員で住みやすい環境を作る姿勢が大切です。
2.役員の仲が悪く理事会で議論が進まない
役員の仲が悪く、理事会で議論が進まないケースもあります。理事会では、マンションに対するさまざまな決議を行わねばなりません。自分たちの生活環境に直接影響を与える決定なので、議論が白熱し口論になるケースも考えられます。
その際は、理事長を中心に他の役員が仲裁に入り議論を進めてください。それでも議論に支障が出る場合は、当事者の解任を考える必要もあるでしょう。
3.居住者同士のトラブルを管理組合が解決しない
居住者同士のトラブルを管理組合が解決しない
居住者同士のトラブルを放置してしまい、深刻な状況に陥るケースもあります。居住者同士のトラブルを解決に導くことも、管理組合の役割です。代表的な居住者トラブルは、以下の3つです。
1.ペットトラブル
2.騒音トラブル
3.駐車・駐輪トラブル
さまざまな居住者がいるマンションでは、時に対応しきれない案件も出るでしょう。その場合は、管理会社に仲裁に入ってもらうことも一つの手です。
マンションの管理組合が自分に合っているかを見分けるポイント
マンションの管理組合が自分に合っているかを見分けるポイント
マンションの共用スペースの使用方法や維持については、管理組合ごとに違いが出やすいです。管理組合が自分に合っているか見分ける際には、以下のポイントを確認しましょう。
・オートロックや監視カメラの有無
・バリアフリー対応について
・自転車、バイクが放置されていないか
・植栽、雑草、落ち葉の確認
・玄関以外の侵入経路の防犯カメラの設置
管理規約の変更には、区分所有者数および議決権の各4分の3以上の多数決によって決議する必要があります。そのため、管理規約に個人として許容できない項目があったとしても、変更のハードルは高いといえるでしょう。
管理組合を確認の上、自分のライフスタイルに最適なマンションを選択する方が、トラブルを回避しやすいと言えます。
マンションの管理組合がないパターンもある
マンションの管理組合がないパターンもある
マンションの管理組合への加入は必須であるものの、なかには管理組合が存在しないケースもあります。例えば、ひとりのオーナーまたは会社がマンションを所有している場合です。
こういったマンションの場合、オーナーや会社による独自の意思決定によりマンションが運営されます。
そのほか、管理組合は存在しているものの、まともに機能していないマンションがあるのも事実です。
管理組合が機能していない場合、マンションの住み心地は悪く、資産価値が目減りしやすくなります。マンションを購入の際は、管理組合がしっかりと運営されているかを確認するようにしましょう。
まとめ:マンションの管理組合を理解してトラブルを防止しよう
まとめ:マンションの管理組合を理解してトラブルを防止しよう
マンションの管理組合は、入居者の住環境やマンションの資産価値を守るために活動する団体です。マンション所有者は、必ず組合員にならねばならないと法律で定められています。
マンションの管理組合があることで、住環境を整え資産価値を守り、トラブルを減らすメリットがあります。役員も輪番制で回ってくるケースが多いため、自分たちが住みやすい環境を整えるために組合員全員で協力せねばなりません。
この記事を参考に、自分に合う管理組合のあるマンションを探してみてください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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マンションドリル中級
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