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更新日:2025.01.28
登録日:2025.01.28
布基礎のメリット・デメリットを紹介!正しく理解するための基礎知識
「布基礎のメリットやデメリットが知りたい!」
「布基礎とベタ基礎の違いは?」
住宅を新築・リフォームする際、このような疑問を持つ人もいるでしょう。
布基礎は、コンクリートを逆さT字形に柱や壁などの下に流し込む工法です。この記事では、布基礎の基本的な仕組みや、布基礎のメリットとデメリットを徹底解説します。
ベタ基礎との違いも具体的に説明しますので、布基礎について知りたい人はぜひ最後までご覧ください。
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布基礎とは?特徴を解説
布基礎とは?特徴を解説
家の土台である基礎には、布基礎とベタ基礎の2種類があります。まずは、布基礎について以下の2点を解説します。
・布基礎の基本的な仕組み
・布基礎が採用される建物の種類
布基礎の基本的な仕組み
布基礎は、T字を逆さにした形のコンクリートを柱や壁などの下に流し込む工法です。布基礎の布は、平らに伸びる布の性質に由来しており、そこから布基礎と呼ばれるようになったといわれています。
そもそも基礎とは、建物の土台となる重要な部分です。とくに地震が多い日本では、基礎の果たす役割が非常に大きく、建物の耐久性を大きく左右する部分のひとつといえます。
布基礎は、底板であるフーチングと基礎梁で構成される部分です。底板のフーチングを広く設計することによって、建物の沈下を防ぐことができます。一方、基礎梁の役割は、日常生活や地震などによって発生する衝撃を受け流すというものです。
柱や壁の下に基礎を打ち込むことから、布基礎は建物を点と線で支える構造といえます。
布基礎が採用される建物の種類
布基礎は、鉄骨系のハウスメーカーでよく採用されます。鉄骨造は木造と比較すると柱の数が少ないため、建物の重さが一箇所に集中しやすいのが特徴です。
一か所に集まる荷重に耐えられる構造を、できるだけコストを抑えた形で実現するために、柱や壁の真下だけに基礎を作る布基礎が適しています。
布基礎とベタ基礎の違い
布基礎とベタ基礎の違い
ここでは、布基礎とベタ基礎の違いについて、以下の4つの観点から解説します。
・構造の違い
・コストと工期の違い
・向いている地盤条件の違い
・耐震性能と断熱性能の違い
構造の違い
布基礎とベタ基礎は、建物を支える方法が大きく異なります。
布基礎は建物を点と線で支える構造であるのに対し、ベタ基礎は建物を面で支える構造です。
布基礎の床はコンクリートで覆われるため、一見するとベタ基礎と同じように見えますが、実際には立ち上がっている部分のみで住宅を支えているのが特徴です。
一方、ベタ基礎は床一面と立ち上がり部分が鉄筋入りコンクリートで一体化されており、建物の重みを広い面積全体で分散して支えています。床下全体がコンクリートで固められているため、より安定した構造となっています。
コストと工期の違い
布基礎は、床部分の鉄筋が不要でコンクリートも薄く済むため、材料費を抑えられます。しかし、実際の総コストは必ずしも安くなるとは限りません。
これは、ベタ基礎の施工技術が進歩したためです。以前は施工費用が高かったベタ基礎ですが、普及に伴って施工会社の技術が向上し、作業効率が改善されました。
そのため、現在では施工費用だけを比較すると、布基礎とベタ基礎の費用差は小さくなっています。コストを考える際は、実際に見積もり等を出してもらい比較検討するとよいでしょう。
布基礎とベタ基礎の工期や工程は、ほぼ同じです。基礎工事の実際の工程は、地盤調査から始まり、基礎範囲の決定・掘削工事・砕石の投入・捨てコンクリートを流す・基礎作りという流れで進みます。
向いている地盤条件の違い
寒冷地では布基礎が適しています。寒冷地は冬季の気温が頻繁に氷点下となり、地面が凍結して膨張します。この膨張により建物が押し上げられる危険があるため、行政は「凍結深度」という基準を設けています。
基礎は、この凍結深度よりも深い位置への設置が必要です。ベタ基礎の場合、建物の床面積全体を深く掘らなければならず、大量の土を処理するための費用がかかります。一方、布基礎は必要な部分だけを掘るため、掘削量と残土処理の費用を抑えることが可能です。
そのため、コストパフォーマンスの点で考えると、寒冷地の場合は布基礎のほうが向いているといえるでしょう。
耐震性能と断熱性能の違い
布基礎と比べ、ベタ基礎は耐震性能が優れています。建物を点と線で支える構造の布基礎に対し、ベタ基礎は大きな面で建物の重みを支えていることから、荷重を分散しやすいためです。
断熱性能の点でも、ベタ基礎は布基礎よりも有利になります。ベタ基礎の住宅に採用される基礎断熱は、基礎のコンクリートの内側もしくは外側に断熱材を貼る断熱方法です。床下が冷えないほか、給湯管が冷えにくい特徴があります。
布基礎の住宅に採用される床断熱は、床の下に断熱材を貼る断熱方法です。コストが抑えられるうえに床下の通気性にも優れていますが、断熱性の面でみると、気密性が低下しやすく冷気が床から侵入しやすくなります。
布基礎のメリット
布基礎のメリット
布基礎のメリットは、以下の3つです。
・コストを抑えやすい
・寒冷地でも使いやすい
・強度を高めやすい
それぞれについて、詳しく解説します。
コストを抑えやすい
布基礎には、コストを抑えやすいメリットがあります。布基礎は、立ち上がり部分と、底板であるフーチング部分にのみ鉄筋コンクリートを使用するからです。
その結果、基礎に使われる鉄筋コンクリートの材料費が多くかかりやすいベタ基礎よりも、鉄筋コンクリートの使用量が少なく済みます。
布基礎は、掘削時の残土もベタ基礎と比べると少ないことから、残土の処分費も削減が可能です。このように、材料と処分費が少ないためコストが抑えられます。ただし、布基礎のほうが工程が多いことから、トータルでのコストには大差が出ない場合もある点には注意しましょう。
寒冷地でも使いやすい
寒冷地でも使いやすい点もメリットです。布基礎は基礎を深く打ち込めるため、地面の凍結する寒冷地に適しています。
布基礎は、北海道から東北にかけての寒冷地で採用されることの多い基礎です。寒冷地では寒さが厳しいので、地中の水分が凍結し、建物を基礎ごと押し上げ、構造に損傷を与えることがあります。
それを防ぐため、地中が凍結する深さである凍深度よりも深いところに、基礎底を設定しなければなりません。
強度を高めやすい
布基礎は必要な箇所の強度を効率的に高められます。これは特に鉄骨造の建物で大きなメリットとなります。
鉄骨造は木造と異なり、柱の数が少ないのが特徴です。そのため、建物の重さが各柱に集中することになります。布基礎は柱や壁の真下にのみ鉄筋コンクリートの基礎を作るため、この集中した重さを効果的に支えることができます。
布基礎を採用すると、基礎を深く打ち込んだ箇所の強度が高まるのに加え、耐震性がアップするのもメリットです。柱の部分に荷重が集中しやすい鉄骨住宅の場合は、布基礎のほうが適しているでしょう。
布基礎のデメリット
布基礎のデメリット
布基礎のデメリットは、以下の3つです。
・軟弱地盤に弱い
・大地震時の変形に弱い
・定期的な点検が欠かせない
それぞれについて、詳しく解説します。
軟弱地盤に弱い
布基礎のデメリットは、軟弱な地盤での不安定さです。布基礎は建物の重さが特定の点に集中するため、地盤が弱いと建物の一部が沈んでしまう「不同沈下」が起きやすくなります。
もしも弱い地盤に布基礎を施工しなくてはならない場合は、地盤改良をする必要があります。見積り時は基礎自体の費用が安かったとしても、実際に建物を建てる際には地盤改良が必要になり、トータルのコストが増えることもあるため注意しましょう。
このように、基礎の安定性が地盤の強さによって変わってしまうことは、布基礎のデメリットです。弱い地盤の上に布基礎を施工すると、基礎の一部が沈み、建物の傾きや歪みなどを引き起こす可能性が高まります。
大地震時の変形に弱い
ベタ基礎と比べ、布基礎は大地震による地盤の変化に弱く、耐震性の面では劣ることがあります。建物の底面を大きな面で支えるベタ基礎に対し、布基礎は建物を点と線で支えているため、地震による揺れを建物から地面へと効率よく逃すことが難しいのです。
そのため、大きな揺れをともなう地震が起きた際には建物が地震によるダメージを受けやすく、構造の傾きや歪みなどにつながる可能性が高まります。
布基礎はベタ基礎と比べて、根入れを深くできるためベタ基礎よりも局所的には強度が高いと言われています。しかし、布基礎は点と線で支えていることから、面で支えるベタ基礎のほうが耐震面では有利です。
定期的な点検が欠かせない
布基礎で施工した場合は、定期的な点検が欠かせません。地面の全面がコンクリートで覆われておらず、地面から湿気が上がってきやすいためです。
ベタ基礎は地面全体が分厚いコンクリートで覆われているのに対し、布基礎は一部分しか覆われていません。防湿コンクリートを使う場合が多いものの、ベタ基礎と同じような厚みがないため、湿気がこもりがちです。そのため、床下に調湿材を入れる対策が必要です。
そのほか、シロアリ被害も受けやすくなります。布基礎を選ぶ場合は、シロアリ点検や薬剤散布などを定期的に行うことが必要です。
鑑定士コメント
布基礎は断熱性にすぐれているのでしょうか?布基礎はベタ基礎よりも断熱性能の点では不利になります。ベタ基礎の住宅に採用される基礎断熱では、基礎のコンクリートの内側か外側に断熱材を貼ります。床下が冷えにくく、給湯管も冷えにくいのがメリットです。
一方、布基礎の住宅では、床の下に断熱材を貼ります。コストが抑えられますが、断熱性の観点では、気密性が低下しやすく冷気が床から侵入しやすくなるため、断熱性が優れているとはいえません。
布基礎の工事費用の相場
布基礎の工事費用の相場
布基礎にかかる工事費用の相場は、どのくらいなのでしょうか。ここでは、布基礎の工事費用の相場について、以下の2つの観点で解説します。
・標準的な工事費用の内訳
・追加費用が発生するケース
標準的な工事費用の内
施工会社や地域などによって異なりますが、コストの目安は1㎡あたり布基礎が9,000円~13,000円ほど、ベタ基礎が10,000円〜14,000円ほどです。
たとえば、1㎡あたり布基礎が9,000円でベタ基礎が1万円とした場合、差額は1㎡あたり1,000円です。施工面積が100㎡(約30坪)とすると、約10万円の差になります。
ケースによっては思ったほど大きな差が出ない場合もあるため、実際にかかる費用は見積もりを取るなどしたうえで、比較するとよいでしょう。
追加費用が発生するケース
近年では見かけることが少ない布基礎ですが、築年数が経過している家には多く使われているタイプの基礎です。経年による強度の低下や、劣化が起きている場合も少なくありません。場合によっては、すぐに補強が必要なケースもあります。
建物を点で支える布基礎は、大きな負荷が集中するため、ひび割れが発生しやすいのがネックです。布基礎の脆弱性を補う工事として、次のような方法があります。
・ビックス工法
・Uカットシール工法
・アラミド繊維シート貼り付け
ひび割れの大きさや、耐震性能を高めたいといった目的によって、適した工事内容は異なります。業者に相談のうえ、慎重に検討しましょう。
鑑定士コメント
布基礎の工期はどれくらい掛かりますか?布基礎の工期は、一般的な戸建て住宅の場合、着工からはじまり基礎が完成するまではおよそ4〜5週間程度が目安です。建物規模や延べ床面積などによって多少前後するものの、大まかに1ヶ月ほどは必要だと考えておくとよいでしょう。布基礎とベタ基礎の構造はそれぞれ異なる部分がありますが、工期や工程はほぼ同じと考えて問題ありません。
布基礎のメンテナンス方法
布基礎のメンテナンス方法
布基礎を採用した建物のメンテナンス方法には、どういったものがあるのでしょうか。ここでは、布基礎のメンテナンス方法について、以下の3つの観点で解説します。
・定期点検のポイント
・湿気対策の重要ポイント
・ひび割れ補修の方法
定期点検のポイント
布基礎を採用した建物における定期点検のポイントは、「湿気」と「シロアリ」の2つです。布基礎は、地面からの湿気が上がってきやすいつくりであることが、背景にあります。
経年劣化によって基礎にひび割れができると、ひび割れた部分から湿気やシロアリなどが侵入してきます。定期点検の際は、基礎にひび割れがないかどうかを確認し、もしひび割れがある場合は湿気やシロアリの有無をよく確認しましょう。
なお、布基礎とベタ基礎とのどちらを選んだとしても、基礎の定期点検は必要になります。定期的にメンテナンスをしてくれるハウスメーカーを選ぶことが重要です。
湿気対策の重要ポイント
床下の湿気対策として、「調湿マット敷設工事」「布基礎からベタ基礎工事」などの施工をする方法があります。
床下の湿気が弱い場合に行うのが、調湿マット敷設工事です。一方で湿気が強く、床下にカビが発生する・部屋や押入れがカビる・柱が腐食するといった場合には、布基礎からベタ基礎へ変更する工事を行います。
床下に湿気が溜まると、住宅にはさまざまな変化が発生します。放置すると、被害が拡大してしまう可能性があるため、適切なメンテナンスを行うことが大切です。
ひび割れ補修の方法
ひび割れの補修方法はいくつかありますが、代表的なものは、ビックス工法・Uカットシール工法・アラミド繊維シート貼り付けの3つです。それぞれの内容は、以下の表で示しています。
家の状態によって、必要な補修は異なります。信頼できる業者に相談のうえ、補修方法を選択しましょう。
まとめ:布基礎をしっかり理解して状況に合ったものを選ぼう
まとめ:布基礎をしっかり理解して状況に合ったものを選ぼう
布基礎は、逆T字の形をしたコンクリートを、柱や壁などの下に流し込む工法です。
コストを抑えやすい・寒冷地でも使いやすいなどのメリットがある反面、軟弱地盤に弱い・大地震時の変形に弱いなどのデメリットもあります。
布基礎を採用した場合、定期的なメンテナンスが必要です。湿気が溜まっていないかを確認し、カビやシロアリなどの有無をチェックする必要があります。
住宅を新築・リフォームする際は、布基礎の特徴をよく理解し、自宅の状況に合うものを選択しましょう。
#布基礎 #地盤 #コンクリート #地面
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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