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更新日:2024.09.12
登録日:2023.09.21
マンション管理会社を変更するには?手順をステップで解説
「マンションの管理会社が思うように対応してくれない」
「マンションの管理会社を変えるには具体的に何をしたらいい?」
分譲マンションに住んでいたり、保有していたりすると、上記のように悩むこともあるのではないでしょうか。
本記事では、マンションの管理会社を変更するメリット・デメリットや、具体的なステップを紹介しています。最後まで読めば、マンションの管理会社変更の手続きをスムーズに進められるようになります。現在の管理会社に不満があるなら、ぜひ参考にして納得できる管理会社を見つけてください。
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マンション管理会社を変更する理由
マンション管理会社を変更する理由
マンションの管理会社を変更する主な理由は、管理業務が疎かになっていたり、対応が遅かったりすることです。管理会社の主な業務内容には、建物内の清掃やメンテナンス・事務処理・トラブル対応などがあります。
たとえば、以下のような事態が発生したときは、管理人や管理会社に相談する場合が多いものです。
・上の階からの漏水
・住民同士のトラブル
・建物内の破損
しかし、先方の対応が悪く問題がなかなか解決しなければ、住人が不満を感じやすくなります。
管理委託業務費(もしくは管理業務費)の値上がりや不正使用の発覚も、住人が管理会社に対して不満を感じる理由のひとつです。自分が購入したマンションの管理会社において、上記のような問題が頻発しているなら、管理会社の変更を検討してください。
マンション管理会社を変更するメリット
マンション管理会社を変更するメリット
マンションの管理会社を変更するメリットは、以下の3点が挙げられます。
・管理のクオリティが向上する
・運営をスムーズに行えるようになる
・住人の管理意識が高まる
それぞれの内容を詳しく解説するので、管理会社の変更を検討している方は参考にしてみてください。
管理のクオリティが向上する
複数の管理会社を比較し、現在より条件のよいところに変更すれば、管理のクオリティ向上が期待できます。管理のクオリティが向上する具体例は、以下のとおりです。
・住人同士のトラブルやクレームに迅速に対応してくれる
・建物内の清掃や修繕などのメンテナンスが放置されず行き届くようになる
・修繕積立金が過不足なく積み立てられるようになる
・管理委託業務費にも注目して管理会社を選べば、管理内容が費用に見合ったものになる
管理会社を変更するときは、変更先の業務内容が現在よりよいかどうか確認する必要があります。管理内容がよくなれば、住民の不満も解消されるでしょう。
また、マンションの修繕積立金が不足している場合、新しい管理会社への変更を機に、積立金を見直し・修正してもらうこともできます。適切な金額で修繕費用を積み立てられるようになることも、管理のクオリティが上がる例のひとつです。
ただし、管理業務の質が上がることで、管理委託業務費が今までより高額になる可能性がある点には注意しましょう。新しい管理会社を選ぶ際は、管理委託業務費が業務内容に見合っているか・予算に合っているか、見積もりを参考に検討することが大切です。
管理組合の運営をスムーズに行えるようになる
マンションの管理会社を変更すると、管理組合の運営がスムーズになる場合があることもメリットのひとつです。
管理組合とは、マンションを管理するための区分所有者(マンションの居室を購入した人)の団体を指します。区分所有法の第3条によると、分譲マンションを購入した人はすべて管理組合に加入する決まりです(※)。
管理組合の業務は、役員の選出・集会や理事会の開催・管理規約の取り決めなどさまざまなものがあります。しかし、マンションの住人によって構成されている管理組合は、運営に関する知識が乏しい場合も多いものです。
現在の管理会社が管理組合の運営に協力的でない場合、管理会社を変更することで効率のよい運営方法を教えてもらえたり、アドバイスしてもらえたりする可能性があります。
※参照:区分所有法第3条
住人の管理意識が高まる
住人の管理意識が高まる
管理会社を変更する手続きを踏むことで、住人のマンション管理に対する意識を高められる場合があります。
マンションの管理会社を変更する際、一部の住人のみではどの会社にするか決められません。管理組合からすべての住人に対して説明会を行ったり、会議や話し合いの場を設けて採決を取ったりする必要があります。
管理会社の変更は、区分所有者の自発的な行動でマンションに住むすべての人に関わるため、住人が興味を持ちやすい議題です。住人の管理意識が高まり、意見交換などが活発に行われるようになれば、その後の管理組合の運営にもよい影響を与えます。
マンション管理会社を変更するデメリット
マンション管理会社を変更するデメリット
マンションの管理会社を変更するデメリットは、以下の2点が代表的です。
・管理のクオリティが低下する可能性がある
・業務の継続性がなくなる
メリットだけでなくデメリットも理解して、管理会社を変更する際の検討材料にしてください。
管理のクオリティが低下する可能性がある
管理会社を変更すると、管理のクオリティが下がる可能性があります。変更先の会社の業務内容をよく確認せず決めると、現在の会社の管理業務より乏しい内容となる場合があるためです。
特に管理委託業務費の削減を重視して、今の管理会社より安いところに変更すると、管理のクオリティが落ちる可能性が高くなります。コストカットが目的だからといって業務内容の確認を疎かにせず、事前に求める条件を決めておくことが大切です。
また、実際にマンション内に常駐する管理人が請け負える業務も、確認しておくのがおすすめです。これまでの管理人が担当していた業務を、必ずしも新しい担当者が行ってくれるとは限りません。住人に意見を募るなどして、担当者に求める内容をまとめておきましょう。
業務の継続性がなくなる
管理会社を変更することで、これまで継続していた管理業務の進行が止まってしまう場合があることもデメリットです。
管理会社を変更するときは、現在の会社から新しい会社へ業務内容の引き継ぎをしなければなりません。引き継ぎ作業がうまくいかなければ、重要書類を紛失したり、共有事項の伝達をし忘れたりすることも考えられます。
引き継ぎミスが起こると、話し合いを続けてきた議題が忘れられ、進められなくなる場合があることには注意が必要です。引き継ぎ作業は新旧の管理会社に任せきりにせず、役員や理事長が立ち会うようにしましょう。
マンション管理会社を変更する手順
マンション管理会社を変更する手順
マンションの管理会社を変更する手順は、以下のとおりです。
1.現状のマンション管理会社の問題点を洗い出す
2.マンション管理会社を選ぶ
3.候補の管理会社のプレゼンを受ける
4.決定した管理会社と契約内容を確認する
5.総会でマンション管理会社の変更を決議する
6.現在のマンション管理会社に解約を通知する
7.契約締結後に新旧の管理会社で引き継ぎを行う
各ステップの内容について詳しく解説するので、マンションの管理会社を変更する際にはチェックしてください。
1.現状のマンション管理会社の問題点を洗い出す
まずは、現在の管理会社の問題点をリストアップしましょう。対応が遅い・管理委託業務費用が高い・メンテナンスが不十分など、住人が不満に感じている内容をまとめてください。
問題点を洗い出すときは、理事会や一部の住人だけで意見をまとめるのではなく、全区分所有者にアンケートを取りましょう。幅広く意見を募ることで、思いがけない問題点がわかったり、住人の意識が高まったりすることにつながります。
問題点の洗い出しは、新しい管理会社を選ぶ基準にもなる大切な過程です。できるだけ多くの意見を集めて、現状にはどのような問題があるのかを把握しましょう。
鑑定士コメント
管理会社を変更する場合、現行の管理会社に依頼している仕事はどうなるのでしょうか?現行の管理会社に依頼している仕事は、新しい管理会社に引き継がれます。理事会で進行中の議題なども引き継いだうえで、新しい管理会社が遂行するのが一般的です。なかには、業務開始時に全戸アンケートを取って問題点を把握し、対応してくれる管理会社もあります。管理会社を変更するときは、変更先の引き継ぎ体制もチェックしておきましょう。
2.マンション管理会社を選ぶ
新しい管理会社を選ぶ際には、条件に合う会社の候補を4〜5社程度選んで見積もりを取りましょう。見積もりは比較検討しやすいように、現在の管理内容と同等の内容で出してもらうのがおすすめです。
管理会社には、大手企業もあれば、独立系の中小企業もあります。大手だから安心・中小企業だから安いなどの固定概念は持たず、複数の管理会社の内容と費用を見比べて、マンションに合った会社を選びましょう。
3.候補の管理会社のプレゼンを受ける
候補の管理会社を絞り込んだら、各社のプレゼンテーションを受けます。通常、プレゼンテーションは理事会で行われますが、役員だけでなく住人向けにも説明会を実施しましょう。
プレゼンテーションの際は各社の持ち時間を決め、最後は質疑応答で終えるのが一般的な方法です。現場に常駐することになる管理人の人柄もあわせて確認しておくと、実際に管理が始まったときに業務を依頼しやすくなります。
プレゼンテーションや説明会がひと通り終わったら、全戸にどの会社がよかったかアンケートを取って、最後の1社を決定してください。
4.決定した管理会社と契約内容を確認する
4.決定した管理会社と契約内容を確認する
変更する管理会社を決定したら、契約内容を確認します。契約内容は、以下の4つのポイントを意識してチェックしましょう。
・契約解除の条件や損害賠償についての記載があるか
・解約を申し入れる期間が長すぎないか
・管理委託業務費を滞納した住人に督促する期間が短すぎないか
・緊急時の管理業務はマンションの立地状況に合った内容になっているか
マンションの管理組合と管理会社が契約を結ぶ際は、まず重要事項説明書を作成し、それをもとに管理委託契約書を作成します。管理委託契約書は、管理組合・管理会社双方の合意のもと、国土交通省のマンション標準管理委託契約書(※)をベースに追記・修正して作成するのが一般的です。
マンション標準管理委託契約書は、適正な契約のための基準として用いられます。しかし、実際に書類を作成するときは、追記・修正された部分が管理組合にとって不利な内容になっていないか、必ず確認してください。
5.総会でマンション管理会社の変更を決議する
契約内容の確認を終えたら、総会を開いて管理会社変更の決議を行います。総会を開く前には、契約内容について説明会を開いたり、書面で配布したりして住人に共有しておきましょう。
通常、マンションの総会は年に1回のみ開催されます。しかし、通常総会で話し合うべき議題が多い場合は、時間短縮のためにも臨時総会を開くことを検討しましょう。なお、臨時総会を開くには住人の5分の1以上、議決権の5分の1以上の賛成を集める必要があります(※)。
総会決議では、新しい管理会社の担当者にも同席を依頼し、重要事項の説明をしてもらうのがおすすめです。決議を行って賛成が規定数以上であれば、管理会社を変更できます。
※参照:区分所有法第34条
6.現在のマンション管理会社に解約を通知する
住人の賛成を得て新しい管理会社への変更が決まったら、現在の管理会社の代表取締役宛てに、解約通知書を送付しましょう。解約通知書は、解約したい日の3カ月前までに送付するのが一般的です(※)。
ただし、管理組合と管理会社との間で特別な取り決めがある場合は、この限りではありません。契約時に交わしている管理委託契約書で、解約を通知する期限を確認してください。
解約通知書は重要書類なので、管理会社に確実に送付するために簡易書留ではなく一般書留で届けるのがおすすめです。一般書留なら引受から配達までの過程をすべて記録でき、万が一届かなかった場合には、実損額が賠償されます。
7.契約締結後に新旧の管理会社で引き継ぎを行う
現在の管理会社に解約通知が受理されたら、新しい管理会社へ業務の引き継ぎを行います。引き継ぎ作業は、間違いがないよう理事会の立会いのもとで行いましょう。
引き継がれる主な物品は、重要書類と共用部分の鍵などの備品関係です。重要書類には、主に以下のようなものが挙げられます。
・管理規約・使用細則
・理事会・総会の議事録
・修繕履歴を記録した書類
・竣工図面・設計図書
・マンション販売時のパンフレット
共用部分の鍵は、どの設備のものなのか実際に確認しながら引き継ぐ必要があります。予備も含めて複数本同じ鍵がある場合が多いので、必ず本数も確認しておきましょう。
書類や鍵などの物品だけでなく、理事会で審議中の議題も重要な引き継ぎ事項です。新しいフロント担当に理事会に出席してもらうなどして、議題を共有しましょう。また、管理委託業務費の振込口座が変わることも、忘れず区分所有者へ通知する必要があります。
鑑定士コメント
現行の管理会社との契約が残っている場合も、新しい管理会社に変更できるのでしょうか?基本的には契約途中であっても、管理会社の変更は可能です。マンション標準管理委託契約書では、契約期間中でも3カ月前までに通知すれば、解約できることになっています。ただし、管理組合と管理会社の間で独自に期限を取り決めている場合もあるため、実際の管理委託契約書を確認しましょう。
マンション管理会社の変更で失敗しないための2つの注意点
マンション管理会社の変更で失敗しないための2つの注意点
マンションの管理会社を変更する際には、以下2つの注意点があります。
・金額で管理会社を選ばない
・管理のクオリティを落とす変更はしない
それぞれの内容について詳しく説明するので、チェックしてください。
金額で管理会社を選ばない
管理会社を変更する理由が管理委託業務費を抑えることでも、金額だけを見て選ぶのは避けましょう。管理委託業務費が一番安いからという理由だけで管理会社を決めると、住人が求める業務に対応してくれない事態になりかねません。
管理委託業務費が安い管理会社にすると、共用部分の管理品質が落ちたり、管理人の対応が住人の期待に沿わなかったりする場合がある点がデメリットです。また、住人と直接関わる管理人がパートか正社員かによっても、管理委託業務費が変わる場合があります。
管理会社を選ぶときは金額だけに注目せず、事前に住人から集めた希望の管理内容をもとに、予算と照らし合わせて検討することが大切です。
管理のクオリティを落とす変更はしない
管理のクオリティが今までより下がると、管理会社を変更した意味が感じられにくいものです。変更先の管理業務が住人の希望に沿っているか、必ず契約時に確認しましょう。
管理のクオリティを軽視すると、エレベーター・廊下などの清掃が不十分になることがあります。また、前の管理人が対応していた業務を、新しい担当者がやってくれなくなる場合がある点にも留意してください。
今まで行われていた業務が疎かになると、住人から「前の管理会社のほうがよかった」と不満が出る可能性があります。クオリティが著しく下がった場合、再び前の管理会社に戻すことにもなりかねません。管理会社変更のための話し合いや説明会が無駄にならないよう、求める管理内容は慎重に検討してください。
まとめ:マンションの管理会社を変更する際は、じっくり検討してから実行しよう
まとめ:マンションの管理会社を変更する際は、じっくり検討してから実行しよう
現在の管理会社に対してマンションの住人の不満が大きい場合は、管理会社の変更を検討しましょう。変更するメリット・デメリットを把握し、マンションに合った管理会社を選ぶことが大切です。
マンションの管理会社を変更する際、管理組合の意識統一のためにも、理事会での話し合いや住人への説明は丁寧に行いましょう。住人が管理会社に求める条件を明確にし、契約内容をよく確認する必要があります。
本記事で紹介した、変更の際の7つのステップや注意点も参考にして、納得のいく管理会社選びに役立ててください。
不動産鑑定士/マンションマイスター
石川 勝
東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。
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