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2022.10.13

マンションの未来を考える【小田急不動産】

マンションの未来を考える【小田急不動産】

新しく始まったコラム「マンションの未来を考える」では、マンションを取り巻く環境について、現在から少し先の未来、さらに10年、20年先の未来の姿について、マンションに関わっていただいている様々な業界、業種の皆様から、多角的に語っていただこうと思っております。第一回目は、小田急不動産株式会社の北村拓史様(以降、敬称略)にお話しを伺いました。

小田急不動産株式会社 仲介事業本部 仲介営業部 本社営業センター 副店長 北村拓史様

小田急不動産株式会社 仲介事業本部 仲介営業部 本社営業センター 副店長 北村拓史様

1. お客さまは小田急沿線の地元愛にあふれる方 が多い

- まず、御社のお客様の特徴を教えてください。

北村:弊社仲介や賃貸のお客さまは、小田急線沿線にお住まいのお客さまが多いですね。昔から小田急沿線に住んでいらした方や、一旦は外に引越ししたけれど、結婚のタイミングで実家の近くに戻られた方などいらっしゃいます。

 

- それは“小田急沿線愛”のせいなのでしょうか?沿線愛で対比するとしたら東急沿線などがあるかと思うのですが。

北村:例えば東急田園都市線にお住まいの方々はどちらに住まれていても、“田園都市線”という沿線アイデンティティが強いと思うのですが、小田急沿線にお住まいの方は街への愛が強く、例えば経堂なら経堂が好き、厚木が好き、町田が好き、といったローカルな良さを好む、地元志向の方が多いかと思います。

「どこに住んでいるの?」と聞かれた時、東急さんに住まれている方の場合は「田園都市線!」とお答えになるようですが、小田急線のお客様は「小田急線!」とは言わない()。その代わり「新百合ヶ丘!」「成城!」とお住いの地名で答える方が多い気がします。

 

ー 個々の街に魅力があるということですね?

北村:そうですね。街が牧歌的というか、自然と街になったようなところを魅力に思う方が選んで住まれている気がします。地域愛という意味では、沿線の神奈川県方面に行くほど小田急ファンがいる気がします。街についてもただハードを作るというのでなく、海老名では小田急線とJR相模線の駅間開発で「心身の充足(ウェルネス)」をテーマにした複合型施設ができたり、下北沢では既にある街の色を活かした施設作りがされていたりと、住まう人を大切に思い、それぞれの地域の良さを残した街づくりをしていると感じ、それらが地域愛を育んでいるのだと思います。

 

ー そういう意味で、小田急不動産さんは沿線住民の方には欠かせない存在ですね。

北村:確かに小田急線沿いのお客様をターゲットとしている不動産会社は弊社だけではないですが、声かけするならそのうちの1つには入ってくる存在になっています。

 

ー お客様のプロフィールはどんな感じでしょうか。

北村:新築マンションでは弊社はファミリー向けの2LDKや3LDKの物件が多いので、お客様はご夫婦、もしくはプラスお子様12人、年齢でいうと、3050代がコア層となっています。最近でいうと、お子様がいらっしゃらないご夫婦も増えています。

 仲介に関していうと、エリアや物件によってお客様は異なります。築5-10年 3LDKであれば新築と変わらないですが、1LDKになってくると単身者の方もいらっしゃいますのでお客様の層は幅広くなってきています。

2. マンション購入はリセール踏まえて買うのがデフォルト

―今、新築マンションの高騰が話題になっていますが、お客様においてその影響はありますでしょうか。

北村:はい、世の中全般として新築マンション価格が高騰しており、購入者は共働きの方が中心となっています。エリアにもよりますが、以前なら年収1000万あれば新築が購入できましたが、今はギリギリ。都心部では世帯年収1500万円以上ないと、なかなか新築マンションに手がでないようになってきているというのが、この数年間の印象ですね。

 新築では予算的に難しいため、郊外で探しているお客様も多くなってきています。あとは、コロナ禍によるテレワークの普及に伴いご勤務先の都心方面に出社しなくてもいいというお客様が増えており、都心から離れても住環境重視で検討しているお客様も非常に増えています。

 

ー 買い方自体に変化はありますでしょうか? かつてはマンション購入とは、一生に1度といったことでしたので、買うまでがゴールで、ローンが払えるかといったことが一大事のようでしたが。

北村:確かに今は、マンション購入が一生に一度ではなくなってきているので、購入される時に次売る時の将来リセールがどのくらいになるのかは、大半のお客様が気にされていると思います。儲けたいというのではなく、将来、損が出るかでないか。将来的にもスムーズにリセールできる可能性が高い物件であることを念入りにお調べされてから購入されるお客様が多いと思います。今はリセールを踏まえて購入するお客様がほとんどではないでしょうか。

 

ー リセールのことなど、お客さまはそれをどうやって調べているのでしょうか?

北村:今は、ネットで簡単に調べられてしまうので、近隣のマンションの新築時の価格と5年たったときの値段などを、ご自身でネットで確認されているようです。

こうした傾向は、マンションの価格が高くなり始めた2018年頃からではないでしょうか。このマンションは売れそうなのか、流動性はあるのかなどを、ご自身で調べるようになってきている気がします。

3. コロナ禍ゆえに出現した変化とその後

ー ここ数年のコロナ禍にあって、住まいに対する意識が変わってきたと思われますが、実際にはどのような変化がありますでしょうか。

北村: まずエリアに対する変化でしょうか。先ほども申し上げましたが、テレワークの普及で住環境重視の傾向があります。しかし、コロナ過が治まれば傾向は変わるかもしれません。

郊外ならではの広さは確保できて、それを選択される方もいますが、それもテレワーク次第。テレワークが終われば、やはり都心が、というような流れになるのか、それとも郊外で広さを求めるのか、これは結論が見えません。それでもある一定層はフルタイムでテレワーク勤務というのは残るのではないでしょうか。弊社は郊外型の物件もあるので、そのようなお客様の動きはしっかりと把握していきたいと思っています。

 

 あと間取りに関しては、テレワーク対応の仕事部屋や、カウンターをもうけてPCをおけるようにするなどは、もはやマストになっています。新築だと間取り変更ができるので、3畳ぐらいの書斎のような仕事専用部屋を取り入れるのが人気ですね。

マンションの場合、子供が部屋に入ってくるなど、生活音や家族の声が入ってしまう場合もあるので、共有スペースで防音設備のあるワークスペースが欲しいという需要も多いです。コロナが終わっても、マンションも戸建ても含めて、テレワーク対策の間取りなどは前提となってくるのではないでしょうか。

4. マンションにおける新サービス

ー 昨今では、マンション独自の新しいサービスが出てきているようですが、御社ではどういったことが挙げられますでしょうか。

北村:弊社では分譲物件における商品価値向上のための取り組みである「想いカタチ、ファクトリー」を2018年度より立ち上げ、顧客目線に寄り添った新商品企画に取り組んでおります。WITHコロナ、アフターコロナなどその時代に求められている仕様設備を社員アンケートや一般の方の意見を参考にして取り入れています。直近ではテレワーク用に部屋数が欲しい需要に対応した61㎡の広さながら導線に工夫した3LDKプランや、お子様と一緒に食事の準備ができるドロワーカウンターを採用しました。現在では第6弾まで進んでおり、今後も取り組む予定となっております。

5. マンション&住環境の未来について

ー 次に、もう少し先のマンションの未来についてお伺いしたいと思います。未来には「明るい未来」「暗い未来」の側面があると思います。例えば、最近メディアでは高齢化社会が進んで、管理体制の問題などがが取り上げられていますが、そのあたりはどうでしょうか。

北村:お客様自身では、現状、特に暗い未来を認識していらっしゃる方は、それほどいらっしゃいません。ただ高齢化社会という点で考えると、総戸数が少ないマンションの住民の高齢化が進み、管理費、修繕費が払えない方が増えてくると、修繕できなくなってくるということも出てくるかと思います。実際、払えなくなった人がいたらどうなるのかという不安はあると思います。また、築年数が40年を超えてきているマンションも増えてきており、売却しようとしても買い手が少なくなってきている物件もあります。建替えをしたくてもマンションは所有者数が多いため、意見をまとめるにはいろいろなハードルがあり、すぐに建替えは現実的ではありません。築年数が古いマンションの未来は今後の課題になるのではないでしょうか。

 

― マンションに限らず、空き家対策などで御社には「ありのまま賃貸」 などがあるようですが。

北村: 「ありのまま賃貸」は、最近できたサービスです。築年数が経過した空き家を通常の賃貸物件として活用する場合は、大規模なリニューアル工事に多額の初期費用が必要になるほか、入居者募集に際しては、築年数がネックとなり空室が埋まらないリスクがあります。一方、入居者視点では、一般的な賃貸借契約では退去時の原状回復義務があるため、設備の交換や造作家具の設置等、思い切った改装までは手を付けることが難しく、好みの空間を実現するためには、購入せざるを得ない状況にあります。

 

 そこで、当社はomusubi 不動産(運営会社:有限会社トノコーポレーション 本社:千葉県松戸市 取締役:殿塚 建吾)と、2022年4月に空き家再生に関する「基本協定書」を締結し、DIY型賃貸を特長とする空き家サブリース事業「小田急ありのまま賃貸 ~空き家活用DIY賃貸~」をサービスインしました。これは、小田急不動産が、物件オーナーから空き家を借り上げ、omusubi 不動産がDIY可能な賃貸物件として入居者に貸し出すサブリース事業です。本事業を通じて、未活用資産の有効活用や人口流入促進により沿線価値の向上を目指していく狙いがあります。

 

家とはやはり特別な存在なので、例えば相続するとなった場合、相続する人は情緒的に売りたくないので、自分は住まずにお金をかけずに貸したいというご要望があり、その解決策のひとつとして取り入れられています。

このサービスが生まれるまでには、法律関係など解決しなければならない点が色々ありましたが、「空き家を作らない」という、街の活力維持の視点で考えると、地域密着型会社である小田急という会社のテーマと合致しますので、こうしたサービスが浸透していくことは、弊社としても嬉しいことです。

ー 今までは賃貸だと釘1本打ってはいけないイメージがあったので、借りる側にとって魅力的ですね。賃貸に限らず、購入においてもリノベーションをご自身でDIYしたい方は多いのでしょうか。

北村:そうですね、今はまだリノベーションが済んだ物件を好まれる方が多いですが、ただ古いマンションはスケルトン状態(*内装や設備が施されていない状態)で、自分で作りたいという人が昔より増えた感じはします。

 未来に向けては、中古物件を買って自らリノベーションするというのは伸びていくと思われますが、今はまだ多くの人にとって、自分自身でリノベーションするイメージが持てず、自分でやるのは煩わしいという印象があるようです。これから色々な技術、社会が変われば、そうした状況も変わっていくとは思いますが。

 

これからは、分類として「新築」と「中古」だけではなく、「自らリノベーション」というジャンルが確立されていくのではないかと思います。時代の流れを読むと、自分らしさを大切にする世代は増えてくると思われますので、自分で出来るDIY含めて、そうしたマーケットは伸びていくのではないでしょうか。

 

― このところ全国的に天災が多く、色々な被害を受けているエリアも多いのですが、そうした災害対策について、お客様は事前に考慮されたりしているのでしょうか。

北村:昔より災害が多いので、ハザードマップなどチェックする人は非常に多くなってきたと思います。マンションの場合、2階以上は関係ないと考える方が多いかもしれませんが、確認されるお客様は多いです。

― マンション自体の災害対策、例えば備蓄などはどうなのでしょうか。

北村: どのデベロッパーさんも意識的にやっていると思います。マンションによっては、災害時対応用の簡易トイレを共用部に取り入れるなど、共用部に一部、災害対策の設備や備品を取り入れているところもあります。

 

ー 先ほどの管理体制にも関係すると思うのですが、マンションには管理組合があり、住民におけるコミュニティという存在が特徴の一つであると思うのですが、今は、そうしたコミュニティについて、どんな考えが主流なのでしょうか。

北村: 2極化している気がします。お客様の話を聞くと、同じマンション内での交流を求めていらっしゃる方もいれば、逆に交流の場となるような共有部はほとんどなくていいと仰るお客様もいらっしゃいます。共有部分が多くなるとその分、維持費が高くなるので、そういうのはむしろない方がいいということもあるようです。

 

ー 個々のマンションのコミュニティ度合いというのは、住む前からわかるものなのでしょうか?

北村:新築マンションのHPには、共用部についての説明は記載されていると思います。共用部が少ないところに住まわれているお客様は、そういうものを求めていないお客様ということになるのではないでしょうか。

 管理組合の理事の当番が嫌だ、という話をよく聞きますが、それはマンションの戸数によって、ある程度わかる部分もあります。戸数が少なければ、自ずとマンション理事の番がすぐ回ってきてしまいますし。嫌な方は大規模マンションを望まれるような気がします。戸数が多ければ、当番は回ってこないのではないかと思えますし()

 

ー デジタル化についてはいかがでしょうか。御社ではAI査定、VR内覧など実施されているようですが。

北村: 弊社ではAI査定はリリースしたばかりですが、多くのお客様にご利用いただいています。未完成物件のWEB上でのVRによる室内内覧は一般的になってきていると思います。

6. 小田急不動産のこれから

https://www.odakyu-fudosan.co.jp/ー小田急不動産社員の夢

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ー マンションの未来ということで色々お伺いしてきましたが、小田急不動産会社さまとして、今後、どういう事に注力されて行こうとされているのでしょうか。

北村: 世の中、色々分社化されている中で、弊社は1社で5事業をやっています。創業以来、沿線のお客様にどうやって寄り添っていけるか、ということで、それを起点に多角化してまいりました。ゆえに、強みとしては、ワンストップでお客様に最適なソリューションを提供できるということ、長くお客様の人生に寄り添えるということになります。また、それが弊社の提供価値になっています。弊社は昔から地域に根差しているので、地域で求められていることを常にキャッチし、お客様のお声に誠実にお応えしていきたいと考えています。

https://www.odakyu-fudosan.co.jp/ーリーフィアとは

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― 御社のHPでは街を掘り下げた案内がありますが、それはそうしたニーズに応えるためなのでしょうか。

北村: townはそうですね。これから人口が減っていく中で、小田急沿線は地元愛のある方が多いので、エリアの住民の方に支持されるために、我々も「この街を愛し、ここにしかない人生の景色を描く。」というミッションを掲げ、街の魅力を発信していきます。

 

弊社は地域に根差した不動産会社ですので、お客様とのエンゲージメントを作っていこうというのが、根底にあります。街は人格形成に影響します。同じ街に住んでいるのも縁ですし、その街全体で、未来の街や人々ためになる仕掛けをしていきたいし、それが支持される街でありたい。大げさかもしれませんが、一見、不便そうなことも厭わない、それが持続可能な街というイメージなので、自分だけいいや、ではなく、みんなが愛着を育める街になればと思っています。その街づくりに弊社が貢献していければと思っています。

 

ー 貴重なお時間、ありがとうございました。

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