オープンキャンバス2018/7/23

皆さん、こんにちは。マンションマイスターこと、不動産鑑定士の石川です。

「人生100年時代を楽しむ。マンション選びは長期目線で行こう!」

をテーマに始まった「教えて!マンションマイスター!シーズン2」ですが、5回分を終えてだんだん長期目線のメリットが分かってきましたよね。

アユミさんと、スミ太君はどうかな?

 

「こんにちは、アユミです!前回は私の好きな自由が丘を題材に、普段の生活の中で見つけた『あ、いいな』からマンション選びに結び付ける方法を知って新しい発見でした。前回は南口だったので、次は北口から歩いて見ようかなと準備しています。」

 

 

「ども、スミ太です!僕も実践してみました。雑誌で見つけた気になるラーメン屋さんがあってその環境が良さそうだったので、近くにあるマンションをピックアップして、歩いて見にってきました」

 

 

「お、二人とも前向きになってるね。関心、関心。今日はもう一歩深堀りして、『長期目線ならではのマンション選びの楽しみ』を紹介しよう。

マンションというのは言うまでもなく建物だけど、建物は宙に浮いているわけでないよね。『土地』というものがあって初めて建物が存在する。ここでいう『土地』は広義から狭義まで含まれる。例えば、広義では『自由が丘』『自由が丘南口』といったエリアがそうだし、狭義では『緑道沿い』『公園の横』『高台』といった意味にある。

今建っているマンションは所詮ここ何十年に建ったもの。でもそのマンションが建つ土地は、ずっと昔から人々に生活の場として使われてきた。

そういうことを想像すると、マンションがどんな土地に建ち、どんなゆかりを持っているかを知ると、ますますそのマンションが好きになる材料が増えるんだよ。

つまり、今日のテーマは。

『マンションが建つ場所の生い立ちを知ってみよう』

だ。さらに実践的な講義になるよ。」

 

 

「マンションが建つ場所の生い立ちですか。そういえば、そんな視点で考えたことなかったな。」

 

 

「僕はタイムスリップを想像して、マンションの土地の前を武士や商人が歩いているのをイメージしました。うんうん、あり得ますよね!マンションが建つ土地の生い立ちって、面白そう!」

 

 

「マンションが建つ場所の生い立ちを見ていくに当たって、キーワードを用意しよう。題材は僕が好きなエリア『飯田橋~市ヶ谷』を選んだよ。なぜこのエリアが好きかというと、飯田橋や市ヶ谷はオフィス街だけど、山手線の外側はちょっと雰囲気が変わって、少し歩くだけで静かな住宅地が現れたりする。

今日の実践のキーワードは「坂」だ。

さあ、出発の前にMAPを作ってみたから、これを持って歩いて見よう。

 

「わっ。イシカワさん、いつの間にこんなMAP作ってたんですか。結構マニアックです。」

 

「由緒ある坂に建つマンションなんて・・・素敵です!借景というか、「借坂」ですね!」

 

 

じゃあ、出発だ!

飯田橋はJRと東京メトロ、都営地下鉄の乗り入れがあってとても便利だね。いずれも南側の改札を出ると、牛込橋あたりに出る。

目の前にさあ、今日の1番目の坂、「神楽(かぐら)坂」の坂下がもう見えるよ。

あ、神楽坂、知ってます。有名な観光スポットですよね。名前の響きからして情緒がありますね!

江戸時代から続く由緒ある坂だけど、昔はもっと急こう配で、明治10年代に今の姿に改修されたらしい。

案内板によると、前の由来について、①坂の途中にある高田穴八幡の旅所で、祭礼で神輿が通るときに神楽を奏したから②若宮八幡の社の神楽の音がこの坂まで聞こえたから③津久戸明神がこの地に移った時、神輿が重くてこの坂を上ることができなかったが、神楽を奏すると容易に上ることが出来たため、など諸説ある。面白いね。

表通りはチェーン店も見られるが、ちょっと横道に入ると昔ながらの風情を出す名店も多いよ。ところで、神楽坂は全国的にも稀な逆転式一方通行となっていて、車両は午前中は「坂上→坂下」のみ可、午後はその逆となるんだ。

 

「へえ、入れ替わる瞬間の時間って車が混乱しないのかな?」

「あ、神楽坂名物ペコちゃん焼!インスタ映えする~!」

さあ、今日のマンション1棟目は、神楽坂下から登って、不二家のペコちゃん焼を過ぎて50m程進んだあたりに建つ「ラインビルド神楽坂」だ。

「神楽坂」と名の付くマンションは多いけど、実際に神楽坂に面するマンションは極端に少ない。外堀通りの「神楽坂下」から大久保通りの「神楽坂上」までが正式な「神楽坂」になるようだけど、何と、東京カンテイに登録されている分譲マンションはこの1棟のみだ。

 

「エントランスまでの広い空間が贅沢ですね。ここから外を見ると、入口が坂の斜面になって景色が斜めに切り取られているように見えて、坂に接するマンションらしくいいですね。何より神楽坂に建つマンションとして希少性があります。」

このマンションは2階までが店舗・事務所、3階から上は約20㎡のワンルーム。ただ、現状は3階から上もSOHO的に使われている住戸もあるようだね。坂に面している間口部分は狭いけど、奥行きがあり、総戸数は約70戸だ。エントランスには大きなアートが飾られていて住人や店舗・事務所のお客を迎える。

 

近くにはこんなお洒落な手作りの靴屋さんもありました。

神楽坂はこのあたりが坂の頂上で、ここから緩やかに下っていくよ。ちょうど坂を上りきったところにお寺が現れたね。

善国寺だ。文禄4年(1595年)に徳川家康が鎮護国家の意を込め創設し、2度の移転を経て約200年前に神楽坂へ移転されたんだ。最近の若い子は「ジャニーズの嵐ファンの聖地」と言った方が有名かな。

 

「あ!確かに絵馬が「嵐」「嵐」「嵐」!」

江戸時代より「神楽坂の毘沙門さま」として信仰を集め、芝正伝寺・浅草正法寺とともに江戸三毘沙門と呼ばれた。近年は、嵐のメンバーが神楽を舞台にしたTVドラマに出演したことから、ファンが詣でてお参りするようになり、書かれた絵馬が「嵐」の内容で溢れている。

『神楽坂』巡りはこの辺りで終わり。次回はここから道を折れて、『地蔵坂』や『新坂』『庾嶺(ゆれい)坂』を歩いてみよう。アユミさん、どうだったかな?

 

 

「はい、神楽坂と共に生活するって何て贅沢でしょう!今日の実践の目的がだんだん分かってきました。マンションの建つ土地の生い立ちを知ると、長い歴史の中の自分の人生がスポットを浴びてきて、生活スタイルの想像が広がっていきます」

 

 

 「お、コツをつかんだようだね。この調子で、次回もいろんな坂に建つマンションを見ていこう。ちょっと坂のアップダウンで体力は必要だけど、得るものは多し。それ以上の価値があると思うよ」

 

 

 「はい!」

 

では、この続きは次回お届けします。

お楽しみに!

 

 

石川勝

不動産鑑定士

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

 

 

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