甘い生活2018/6/20

「大切なのは外見より中身。見た目を取り繕っても意味がない」……これは、ある意味大昔から言われてきた美の本質論。いや、本質と言うよりは建前論と言うべきなのかもしれない。

 

中身が大切… そんなことは、重々承知。みんなよく知っているけれど、その中身を磨くことはそう簡単では無いからこそ、まず外見から整える。だからやっぱりひとまず外見。中身は後からゆっくりと………それが、いつの時代も変わらぬ女性たちの本音だった。

 

一方、異性選びでも全く同じことが言えるわけで、見た目で異性を選んではいけない、大切なのは中身……これもみんな、よーく分っている。分っているけど、やっぱり見た目の好き嫌いが優先してしまうのが人間。そこは自己責任ということで、仕方のないことなのかもしれない。

 

じゃあ、家はどうなのか。新築の戸建てならば、当然のこととして、見た目も使い勝手もどちらも妥協なく作り上げるはずで、そんな二者択一など無縁のはずだが、中古物件を買うときには、大なり小なり迷うのかもしれない。中身か外見かと言うことを。いや本来家の場合、内装は後でなんとでもなるけれど、マンションの場合は新築であっても外観ばかりはどうにもならないわけで、そこはやっぱり悩ましい。

 

建前的に言えば、当然のことながら使いやすさをとるべき、との話になるはず。外観を最優先するのは、何か見栄を張っているようで後ろめたい、そんな思いになるのかもしれない。しかし、これは経験から言って、ノーである。「家は、まず外見」。極端な話そう思う。それこそ、内装はどうとでもなるわけで、外観の第一印象でマンションを決めると言う方法は絶対に否定できないはずなのだ。

 

なぜならば、家に帰ってきた時、何年たっても人は自分の家を客観的に見つめることになり、そのたびに明快な感慨を持つことになる。それこそ毎日ウットリするか、毎日ガッカリするか。
かつて、外観が大好きなマンションに住んだ時、家に帰ってくるたびになんだか自分の家に惚れ惚れした。その度に気持ちが上がる。大袈裟ではなく、なんだか生きてるって素晴らしい的な喜びをそこに感じたりして。家ってそれほど大事なのだと思い知ったもの。

 

逆に、中身の仕組みや利便性に心奪われて、外観がいまひとつ気に入らないマンションに住んだこともある。その時、帰ってくるたびに何か気持ちが落ち、毎日毎日どっと疲れが出たりした。家は不思議に見慣れない。良い意味でも悪い意味でも、自分の家にはなかなか目が慣れないのである。

 

だから、家はまず外見。「見た目が最優先」ってありだと思う。異性を選ぶ上でも、生理的な好き嫌いは、後々まで関わってくる。見た目は、さすがに一緒に暮らしているうちに慣れるのでは? と思いがちだが、生理は生理。不思議に慣れないものなのだ。だから生理的に嫌いな異性との結婚は、限りなく避けておきたい。

 

家も同じなのかもしれない。どうしても気に入らない要素があるのなら、その家にはやっぱり最初から住まないこと。ちょっと頭の片隅に入れておいてほしい。人間どうしても大きな買い物する時は、本質論を探して探して妙に大真面目になってしまいがち。外見より中身、そう自分に言いきかせてしまいがち。そうではないと言うことを、ちょっとだけ知っておいて欲しいのである。

 

 

齋藤薫 美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーと幅広く活躍。『されど“男”は愛おしい』(講談社)など著書多数。

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