LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/4/30

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

父から受け継いだ食器棚(キャビネット)。昭和30年ぐらいのものです。

 

一人暮らしにしては膨大な量の食器を持っています。

器が好き、骨董が好き、最近こそはあまり人を招いたりしていませんが、本当はお客さんを呼んで食事会なんぞをしたい、、、となるとおのずと数はどんどん増えていってしまいます。

収納はどうしてるの?とよく聞かれますが、最近ではもう収納量の限界を超えていて、困ったことになっています。とてもお見せできるようなものではありません。

今のマンションを買ったとき、置き家具はできるだけ少なくしたくて、壁面収納を多くつくったことは「額装」の回にも書きましたが、それでもどうしても使いたかったのはこのキャビネット(食器棚)です。

 

びっしりモノを入れすぎていますが、おかげで地震の時も被害は少なかったです。

 

もともとは父が母と結婚した時に父が持ってきた家具のうちの一つです。このほかには別のガラス扉の本棚や、両袖がついた大きな書き物机などがありました。

そのうち本棚はいまだに実家で使っていますが、書き物机などは大きすぎて処分してしまいました。

 

このキャビネットは子供のころから好きで、大学生になり自分が一人暮らしを始めたときに両親に頼んで貰い受けました。京都の下宿に送ってもらって、そのころから40年以上使っています。

扉の斜め格子や模様ガラスなど、キャビネット自体のデザインは好きなのですが、やはり昭和30年代のもの、ものがない時代の粗末なつくりです。側板などは薄いベニヤですし、塗られているニスも多分そんなにいい品質のものではないのでしょう、白く変色してしまったところも何か所かあります。

それでも、時々はオイルで磨いたり、内側にもかわいいクロスを張ったりして大事にしています。

 

ニューヨークの骨董市で買ったセーラーさんの人形。

 

下の段に入れているのは、昔集めていたT.G.GREENの「CORNISHWARE」といわれるキッチン用品。1930~60年代のイギリスのものです。

キレイなブルーと白の大胆なストライプが好きで、骨董市や海外出張のたびに少しずつ買い集めました。ニュージーランドのアンティークショップでたくさん見つけて、たくさん買ったのはいいのですが、荷物が重くなりすぎて、、、、。そんなこともいい思い出です。

 

「IMPERO SCALA」のコーヒーサービスで、ラデュレのラングドシャを。

 

中段に入れているのはRICHARD GINORIの「IMPERO SCALA」というシリーズ(ミラノスカラ座の装飾がモチーフらしい)で、これは骨董ではありません。6人分のディナーサービスなんですが、コネのある友人に頼んで安く分けてもらいました。

若いころの自分は、いつかこのフルセットを使いこなせると思ったのでしょうか?それでも、これもイタリアに行くたびに少しずつ買い足していきました。

 

上段のグラスは、フィレンツェにロケに行ったときに空き時間に行ったガラス工房で注文して作ってもらったものです。

コーディネーターの人に、ウフィツィでもなくサンタマリア大聖堂でもなく、「LOCCHI」というこのガラス工房に行きたい、といったらあきれられてしまいました。

これも、白ワイン、赤ワイン、シャンペンフルート、ウォーターゴブレットの4種類を6人分。イニシャルをエッチングしてもらいました。「ビスコンティ家スタイル」という形だそうです。

残念ながら、地震の時にシャンパンフルートが一客だけ割れてしまいました。

 

大好きなチェブラーシカ。このキャビネットの番人?

 

そう、こういう古い家具には地震対策も重要です。

このキャビネットは真ん中で上下に分かれる作りなんですが、そこもしっかり固定しましたし、キャビネット自体も壁にしっかり固定してあります。

ガラスの扉や下の扉にも新たにストッパーを付けました。

おかげで震災の時も中身が飛び出すことはなく、またキチキチにたっぷり詰め込んでいたのでお互い支えあったのか、割れたのはこのシャンペンフルート一客だけでした。被害は少なかった、と言えるでしょう。

 

昭和34年頃の写真。後ろに写っているのがこのキャビネット。1歳のころの自分。

 

このあいだ実家でアルバムを見ていたら、このキャビネットが写っている写真がありました。新品だったであろう写真の中のキャビネットは父と母の「新生活」の象徴だったのでしょう。今見ると何か面映ゆい感じもします。

はじめて一人暮らしをする息子に、このキャビネットをくれたとき、両親はこの家具を受け継がせることで、何か「子育てのひと段落」というか、バトンをタッチしたような気持になったのではないかと思います。

子供を持たない自分の想像でしかありませんが。

そして、このキャビネットを受け継がせる子供がいないことが、さびしいというより申し訳ない気がするのです。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

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